イタリアより

滞在日記

ベネチアのランチ/レメール再訪

2014年02月22日 | ベネチア

カンピエッロ・デル・レメール

お気に入りの隠れ家的レストラン


■2013年12月27日

長い間、その存在だけは知っていて、ずっと行きたかったベネチアのレストラン「タベルナ・レメール」。2年前にやっと探し当てて訪ねましたが、今年もまたまた訪れました。旅先では時間的な制限もあって、行こうとしても行けなかったり、訪ねてみても閉まっていたりと、お気に入りのレストランで食事をするのはなんと難しいことかと思います。このお店もクリスマスの前後は休業で、開くのは毎年大体12月27日あたりから。今回はランチに行こうと考えていたので、ベネチア滞在の最終日に出かけました。というよりも、ここだけの話ヒソヒソ…レメールに行きたかったので27日までベネチアに居たというのが正しいですハイ^^;。


「カンピエッロ・デル・レメール」とも呼ばれるお店の店内

私はこの日の来店客第1号でした(*^_^*)


12時少し前でしたが、訪ねるとお店は開店準備も完了していて快くテーブルに案内してくれました。夜ならこの時期予約がないと入れないほどにぎわいますが、ランチはそこそこで私は一番乗りでした。このお店のランチタイムはいわゆるビュッフェ形式で、後方に並べられたお料理は食べ放題。そしてそれにプラスしてパスタが一品と食後のコーヒーが付きます。料理はどれもベネチアの家庭料理らしく、何よりも好きなものを好きなだけ選んで食べられるのが嬉しかったです。


野菜料理もふんだんにありました


正直な話、例えばパスタを注文すれば、お皿いっぱいに盛られた麺は同じ味が続いて(当たり前ですが)、それだけで満腹になり、どうかすると飽きてもきます。私はいろいろなものを少しづつ味わいたいので、こうしたビュッフェ形式はとても有り難いのです。材料を見れば、さして豪華なものは何もないですが、そこは料理人の腕のみせどころ~ランチを食べればその店のクゥオーコ(コックさん)の実力も分かりますよね。


熱々のお料理もありました

思いの外美味しかったのが、手前にある茄子の炒めもの

茄子は、イタリア語でMelanzane(メランザーネ)といいます


実は一番乗りした私に続いて、一組の日本人のカップルが入店し私のテーブルの斜め前に座りました。この店で日本人に会うのは初めてです。お互い目で挨拶を交わしましたが、あとで話をすると、どうも以前レメールをこのブログで紹介した記事を読んで下さった方のようで、それで今日訪ねて見えたということが分かりました。


勿論デザートも食べ放題です

チョコレートのプチケーキが程よい甘さで美味しかった(^^)



好きな物を少しづつ~


このお店は住所を知っていても探し当てるのはなかなか難しく、時として地元の住民でさえ知らない隠れ家的な場所にあります。なのでまさかここで同郷の観光客に会うとは思ってもみず、ほんとに驚いたのでした。


マイタケと若鶏のスパゲティ

ゆで具合は勿論アルデンテ~美味でした

ベネチアの家庭料理が食べ放題+パスタ一品+飲み物付きで17ユーロ

ベネチアでもガイド本やネットで紹介されている有名なバールやレストランに行けば、必ずといっていいほど多くの日本人に出会います。それも申し合わせたように皆同じ観光本とネットの情報を打ち出した紙を持って^^;勿論私も例外ではありません。昔と違って今はインターネットでリサーチが出来るとはいえ、現地の情報がまだまだ得難く少ないのですよね。

飲食店は、個人の味の好みもあるからお勧めするのはなかなか難しいのですが、せめてあの若いお二人がこの店に来て良かったと思ってくれたならこんなに嬉しいことはありません。私が経営するレストランでもないのに、こんな気持ちになるのは、少しでも人のお役に立った嬉しさと共に、他人同士でも旅先での情報がこうして共有出来たからだろうと思います(^^)。
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ベネチアのホテル「アイ・レアーリ」にて その2

2014年02月08日 | ベネチア

「ホテル アイ・レアーリ全景」

リアルトから少し奥まった静かな場所にあります

隣には教会


イタリアに出発する二週間前のこと。一通のメールがありました。「ホテル アイ・レアーリ」からでした。私は旅行が近くなると、早くから予約をしているホテルには、「間違いなく行くので予約は保っておいて下さい」と連絡を入れることにしているのですが、そのメールに返信はあるものの、ホテル側からわざわざコンタクトがあるのは珍しく、おまけにPDFファイルまで添付されていたので何事かといぶかりました。実は、出発の三週間前、ナポリで当初予約していたホテルから「リニューアルの為しばらく閉鎖するので他のホテルを予約して欲しい」というメールがあったばかりなのでした。

「アイ・レアーリ」の用件とは…


サーモンのキャビア添えヨーグルトソース(メニューより)


なんと、クリスマスディナーのお誘いでした。本文には、「当ホテルを選んで頂いてありがとうございます~」から始まって、「24日と25日に私共のホテルのレストランで、クリスマスの特別の食卓の用意があります、ついては、お出でになりませんか?スタッフ一同、心を込めておもてなしを致します」とありました。


アドリア海のシーフードと赤カブのニョケッティ(メニューより)


過去、ベネチアでは同時期に「パレス・ボンベッキアティ」や「ルッツィーニ」「リアルト」など「アイ・レアーリ」と同格のホテルに宿泊しましたが、ホテルからこんなお誘いがあったのは初めてです。勿論、ホテルの稼ぎ時でセールストークではあるけれど、これは余程厨房に自信があるのと少しばかりの客への気遣いなのだとちょっと心が打たれました。


栗を包んだホロホロチョウのロールとじゃがいも&ペコロスのグラッセ(メニューより)


というのも、ベネチアのクリスマスの食事はどの店も予約が必須なので、これというレストランは当日ではなかなか入れないのです。おまけに家族経営のレストランやトラットリアなどは長い休みを取って閉店しているところも多いので、少し気の利いた食事をしようとなるとお店探しに苦労します。きっとそんな事情も見越しての企画なのでしょう。


口直しのマンダリンのソルベット(メニューより)


もっともこのホテルの事務方は、24日と25日の宿泊者名簿から食事のお誘いメールをコビー貼り付けで一斉送信~。私には「女性一人やけど駄目元で送ってみるか~」みたいにポチッとしたのだろうと思うしな^^;・・・多分に営業トークだと分かっていても、このお誘いはなんと心憎いことかと思います。添付ファイルには食事のメニューと金額が表示されていましたが、私はこのホテルの心意気に感じ、そしていつものちょっと行ってみよー精神で到着予定の24日のディナーに申し込みを入れたのでした。


ヒラメの香草焼きと宮殿風レンズ豆のクリームソース(メニューより)


しかし、この夜の宴の心配がただ一つ・・・沢山の料理が出てきっと食べきれないと思うこと・・・このホテルだけのことではないのですが、イタリアでコース料理を頼むと日本人にはどうにもこうにも多すぎるのです。4年前、ベネチアのトルチェッロ島のレストランでも経験しています。あの時は、カメリエーレ(給仕さん)がテーブルのそばで料理を取り分けてくれたので、「少なくして下さい」と頼めたけれど、一品料理が提供されたなら・・・

食べ切れん(-_-;)



イタリアのクリスマスの伝統的な、いわゆるブッシュドノエル(メニューより)


ハイ、心配はものの見事に的中しました。この日は昼食も抜いて、胃薬や消化薬も飲んで、ついでにストレッチもして気合いを入れてテーブルに着きましたが、やはり私には多かった^^;。でも料理は、どれもほんとに美味しくて、実に丁寧に作られている、おおざっぱな味付けは何一つなく繊細で、料理人の矜恃さえ感じました。スタッフの人たちも笑顔を絶やさず、かといって過剰なサービスもなく、各テーブルの雰囲気を邪魔しないように、静かだけれど心のこもった気遣いで非の打ち所がありません。女性一人のテーブルでも臆することの無いように何気ない目配りもあり、ゆったりと居心地の良い食事をすることが出来ました。


panettone fatto in casa(salse creme)

ホームメイドのケーキ塩クリーム(メニューより)


最後のデザートは、もう食べきれないからと断ったのですが、すると、奥から責任者らしい男性が出てきて、残してもいいので一口だけでも食べて行って下さい、心を込めて作りましたので、と言ってくれました。どんな場合も、食事を残すのはどうにも気が引けてならず、でもお腹は限界だし、ここで無理をして失態をおかすよりもと、私も丁寧にお断わりして席を辞しました。

イタリアに来ていつも思うのは、こんな時、同じ料金でいいから女性用に完食できるメニューがあればいいのに…と。周囲を見れば、全ての料理を食べきれないのは私一人ではありませんでした。

とはいうものの、このホテルへの高評価はレストランに関してもこうして納得もでき、私も100点満点を付けたいのだけれど・・・


アックアアルタになったホテルの前

黄色の矢印、わずかな距離でしたが…


26日の朝、ラヴェンナに行くのにホテルを出ようとしましたが、ホテルの前は、上記の写真の青線のところまで運河からあふれた水で浸かっていました。玄関口はアルミ製の専用扉で水は遮られていましたが、せめて橋のたもとまで、パッサレッレ(洪水の時敷かれる戸板)を敷いておいて欲しかった。そうしてくれていれば、あんなに濡れずに済んだのに・・・ジーンズの裾が塩吹くこともなかったのに・・・

ホテルからの出口はここしかないし、すぐそばには運河があって、この時期アックアアルタになる可能性は十分過ぎるくらいあるのに、この点のみがこのホテルの残念なところでした(^^)。

余談
もし、このホテルへ行かれるのであれば・・・


「Merceria due Aprile」(メルチェリア・ドゥェ・アプリーレ)と呼ばれる大通り


リアルト橋から、素直に町の中、サン・マルコ広場から続くメルチェリアの大通りへ出ます。すると目の前にディズニーストア(上記の写真、黄色の矢印)があります。そのすぐ横の小さな通りを青色の矢印のように曲がると、その通りが「カッレ・スタニェリ」になります。人一人が通るくらいの小さな道ですが、ここをまっすぐ行くと橋があって、渡ると「ホテル アイ・レアーリ」です。

私はいい加減な行き方をしたために、カッレ・スタニェリとは違う小道に迷い込んでしまいました。このあたりは知っているつもりになっていたのですが、ベネチアはやはり迷宮都市でした。分かればとって~も簡単(*^_^*)
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ベネチアのホテル「アイ・レアーリ」にて その1

2014年02月03日 | ベネチア

リアルト近くの静かなホテル

「Ai Reali(アイ・レアーリ)」のロビー


■2013年12月24日

今回、私が選んだベネチアのホテルはリアルトの近くなのですが、こんなところから入るん?と思うほど、大通りの脇道から奥へ徒歩を進める場所にありました。リアルト付近のにぎやかさから逃れてぽつんと立つような、そんな静かな環境にあるホテルです。ネットの評価がとても高く、キャンセルは二日前まで無料だったので結構早くに予約を入れました。冬の時期の早割だから三泊も出来るのですが、この円安も相まって観光シーズンになれば結構ハードルの高いホテルになるだろうと思います。


私の部屋の前

正面にあるドアを開けると私の部屋(*^_^*)


建物内に入ると、ぱっと明るいロビーが広がり、良い香りがしています。隅々にまで気が配られていて、清潔で明るく気持ちがいい。スタッフの応対も全て申し分なくて、ネットの高評価も頷けました。


部屋の額縁に入れられたテレビを付けると…

画面にはkazu様、よくいらっしゃいましたとご挨拶が(^^)


部屋はダブルのコンフォートタイプのシングルユースで、小さいけれど室内もシャワーブースも暖かくて快適でした。金色に輝く額縁に入った部屋のテレビを付けると、画面にはVenvenuto Kazu 様(よくおいで下さいました~)とデジタル表示が出てびっくり。「あっどうも~恐れ入ります」と私は思わずテレビに向かって頭を下げたのでした。


部屋の担当者の名前が書かれたカードも置いてありました


実は、このホテルを起点にしてラヴェンナまで日帰り旅行をした日、うかつにも少しまとまった現金を部屋の鍵のないロッカーに置いて出かけてしまいました。現金は日本円と50ユーロ紙幣が混じっていましたが、ホテルに戻ったとき正直ドキッとしました。前日、部屋の掃除は断っていたにもかかわらず、戻ってみるとベッドのシーツは取り替えられているし、タオルも全て新しくなっている、部屋もトイレもシャワーブースもきちんと整頓されて明らかに掃除をしてくれたのが分かったのです。


このホテルも水上タクシーの専用船着き場があってロビーからタクシーに乗船できる


外出時には、貴重品は大抵フロントに預けるのですが、この日は部屋には誰も入らないだろうという意識と共に、私の注意も散漫になっていたのだと思います。恐る恐る開けたサイフには異常はなくてほっとしましたが、一人で旅行していると時として緊張のたがが外れるときもあって、そんなときが何かと危険です。ここだけの話、こんな時、いいホテルで良かったと心底思うのです。


朝食のレストランのテーブルで

窓の外は小運河

ゴンドラのみならず、荷物を積んだ船も行き交います

今朝は向かいの船着き場にビールとワインを下ろしている船を見ました


前述しましたが、このホテルではスタッフの対応も申し分なくて隅々にまで心遣いと目配りが行き届いていました。以前ローマのあるホテルの朝食会場で、日本人客相手に声をひそめながら話をしているカメリエーレ(給仕さん)がいましたが、何気に耳を傾けていると、「自分は、趣味で日本のコインを集めている、持っていないか」と聞いていました。日本人の観光客は、サイフを出して日本の硬貨を探していましたが…う~ん…何とも複雑な気持ちで見た光景…

4つ星のホテルでも従業員の態度ひとつで品格は一気に落ちてしまう。滞在中に観光客とこのカメリエーレが親しくなった上でのことかもしれないけれど、少なくとも、朝食のレストランで交わされるような会話でないことだけは確かですよね。
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