世界遺産トロイツェ・セルギエフ大修道院
16世紀に築かれた城壁の向こうに広がる教会群
途中、全景を見晴らせる場所でバスを降り、記念写真を撮りました
■2014年3月27日
ロシアの旅行はもう五日目になります。今日は、モスクワから北東へ約70キロ、門前町セルギエフ・ポサードへ行きました。この町に世界遺産に登録された大修道院があるのです。といっても、今日の今日までこの町も修道院の存在も私は全く知りませんでした。
入場のチケットを購入します
一人100ルーブル
日本円にしたら330円くらいか
ペラペラの切符と共に聖歌を収録したCDも頂きました
ちょっとお得感あり
この町は、ロシア正教の聖地として栄えて来たのですが、1345年、聖人に列せられているセルギーが後に修道院となる僧庵を建てたのが始まりでした。ちょうどこの時期、モンゴルに攻められていたロシアの人々を精神的に救いロシアに勝利をもたらせたのが、セルギーだったのです。
ロシアのガイドさんとこの町の案内人の女性(赤い服の人)
ツアー旅行では、必ず現地のガイドさんや案内人が付くことが決められています
やがて、修道院も建てられて、この地には皇帝もたびたび訪れ祈りを捧げるようになります。政敵から身を隠したこともあったというから、後にはその功績は大きく評価されただろうと思います。沢山の戦いの中でも、この教会群は破壊を免れたのだそうで、後世神の加護があったという伝えはますます大きく人々に伝承されたことでしょう。
まだまだ寒いロシアですが、それでも沢山の見学者が来ていました。
ウスペンスキー大聖堂
青色と金色の丸い屋根が青空に映えてとても綺麗でした
何だかお伽の国に迷いこんだよう
ロシアのこの時期の天候は、実はとても不安定で、雨が降ったりみぞれが降ったりするのだそうですが、そんな中、連日いいお天気に恵まれています。それも今日は雲一つ無い青空です。日本晴れ、いやロシア晴れでほんとに幸運でした。
建てられた時代が異なると、こんなにも形が違う…
どんな変遷があったのか、興味が沸いてきます
ロシアにキリスト教が入ってきたのはもう1000年も前のこと。西欧に広まったローマ教会の教えとは一線を画して、ロシア正教は少し違った教義を持ちますが、その一番の相違を今日はまざまざと知ることになりました。
この教会群の中で最も神聖なトロイツキー聖堂
質素でたたずまいは静かでした
この教会はいわゆる遠近法が用いられていて、離れてみると大きく見える
実はこの日、トロイツキー聖堂でミサが行われていました。この聖堂は創始者のセルギィの遺体を収めた棺が安置されているため、とても重要な場所で、私たちも中へ入りましたが、男性は帽子を取り、女性は逆にスカーフか帽子で頭を覆う必要がありました。
5日間も一緒に行動していると、人数が少ないこともあって、ツアーの人たちとすっかり打ち解けています。かぶり物を持っていない私に一人のご婦人が帽子を貸して下さいました。それを被って中へ入りましたが、なんと信者さん達は全員立って祈りを捧げていました。時々床に跪き(ひざまづき)頭を床に付けています。
教会に入るのに、男性は帽子を脱ぎ、女性は帽子や
スカーフで頭を覆う
私はスカーフも帽子も持って無くてツアーでご一緒の方からお借りしました
帽子が必要なこと、事前に教えてくれないと困るなぁ…
イタリアではどの教会にも椅子が置いてあるので、ちょっとびっくりしました。聞けば、立っている形が最も復活を表す姿なのだそうで、ロシア正教では何時間でも立ち姿で祈りを捧げるのだそうです。お年寄りや足の悪い人はどうするのだろ…素朴な疑問でした。
高さ88メートルの鐘楼も見事でした
ここには全ロシアの修道院の最高峰なのだそうで、現在男性の修道僧が300人登録されているのだとか。宗教大学も併設されていて800名の学生が居住しています。今日も時折修道僧たちに会いました。
そうそう、ローマの教会と違うことをもう一つ、建物のてっぺんにタマネギのようなクーポラがどの教会にも付いていますが、私は何かの本で、天使が空に舞い上がるためだと読んだことがありました。今日は思い切ってガイドさんに聞いてみると、あの形はロウソクを表しているのだとか。神様にお祈りのロウソクを捧げているイメージだそう。天使が空に上がるのなら、天井は突き抜けた方がいいのになぁと思っていたので、やっとまん丸い可愛い形の屋根の意味が腑に落ちたのでした。
余談
大聖堂をあとにして、もう一つの修道院へ行きました。ここは女子の修道院で「ノヴォデヴィッチ修道院」といいます。目の前の小さな湖は、一部が凍っていて、厳しい季節の名残がありました。水鳥や鳩も沢山居て、ちょっとした憩いの公園にもなっています。
バツを抱きしめて
ムチムチマッチョでした
男の子だと直感したけど、やっぱり…
片足上げてマーキングしてました(^^)
そこで一頭の野良犬と会いました。先年愛犬を亡くしている私は、人なつこくて、頭をなでてやると身体を押しつけてきた野良犬に愛犬の面影をつい探してしまっていました。なんでもこの犬は名前を「バツ」というそうで、公園に住み着いているのだとか。大人しくて賢そう。散歩中の他の犬が吠えかかっても平然としています。近隣の人々が何気に世話をしているそうで、首輪のみならずダニ取りのわっかもはめて貰っていました。もう少し暖かくなったら、この湖で泳ぎもするそうで幸せそうでした。「一緒に日本へ行く?」と言ったら、バツはそっぽを向いてしまった^^;そうよね、ご近所さんにこんなに大切にして貰っているのだものね。
ロシアの人は、身体も大きいし、雰囲気も取っつきにくいのだけれど、こんな優しさも持っているのだとちょっと見直したのでした。