ITAがローマ-羽田間に導入予定のエアバスA350-900型
■2022年7月2日/2022.10.4更新情報有
コロナ禍になって2年余りが過ぎました。敷かれていた規制は徐々に緩和され、少しずつ客足も伸び始めた空の旅…とはいうものの、まだまだ海外旅行のハードルは高いです。例えば、イタリアへ向けての往時は、グリーンバスの提示もなくなって飛行機に乗りさえすればいいものの、現時点で、復路には日本に入国の為のPCR検査が未だ必須です。
これは現地の病院かクリニック、あるいはそれに準ずる専門施設で陰性証明をもらわないといけない訳ですが、日本政府が認定する方式に則った検査でなければなりません。任意ながら証明書の書式まで指定があって、個人の旅行では当然のことながら自分でその検査機関を探し、検査方法を指定して予約する必要があります。しかも帰国の72時間前に検査を受けて陰性証明書を貰わねばならないから、旅行中これまでのようにそうそうお気楽気分では居られません…そうして不運にも陽性と判定されたならば即隔離。その折にも、自分で隔離可能なホテルを探してetc。(考えるだけで頭から煙が出る)
日本に帰国するには、↑こんな「陰性証明書」が必要
※2022年9月7日、日本入国時の上記「陰性証明」は不要になりました(但し要3回のワクチン接種)
※2022年10月1日から、イタリアでは医療機関以外ではマスク着用も不要になりました。
そうしてもう一つ、飛行機代が高騰しているのもハードルが上がる要因です。2022年の年明けから、羽田-ローマ間の飛行機料金を眺めていましたが、2月までは10万円台の安いチケットがあったのに、3、4月あたりになるとポンと値上がって、更に原油高の影響を受け、6月に入った途端その価格が一気に3~4万円も上昇。あれよあれよという間の出来事でした。円安もこれ以上進むと「イタリア」は更に遠のくことに。
そのような渡伊したい者には芳しくない諸事情をよそに、イタリアからのお誘いはひっきりなしにやってきます。かつて宿泊したリグーリア・カモッリのホテルからは、クリスマスカードが送られてきて、又是非お越しくださいとありました。イタリアの交通機関からも会員登録をしているからでしょう、値引きをするからいらっしゃいな、乗って下さいなとイタロに至っては、毎日の様のディスカウントのお知らせメールが入って来ます。
「Hotel Cenobio Dei Dogi」から送られてきたクリスマスカード
こうしたことを踏まえると、イタリアの国内では、コロナ禍による生活基準はその規制が随分と緩くなり、いや相当元通りになっているのだろうと思います。マスクをするのも決められた場所でのみ、国内行く先々で提示を求められていたグリーンパスも不要になって、欧州各地からは観光客が押し寄せていると聞き及びます。タクシーは大行列だし、コロナ禍で人出が足りなくなったあちこちで、観光地は大混乱しているとも。
そうそうベネチアは、町に入る人数を制限する為に予約制にして有料になるらしい。といっても、当初は2022年7月から施行予定だったのが延期になり2023年1月10日から。日によってこの入場税は変わるようで、町に宿泊しない観光客は 1人あたり3ユーロから10ユーロ支払うことになりそうです。
イタリアの私鉄イタロからディスカウントのお知らせ
こうして状況は刻一刻と変わるけれど、それでも、イタリアの誘惑は絶大で、今にも負けそうです。
余談
アリタリアを受け継いだ「イタ・エアウェイズ」、当初羽田-ローマの就航が6月の予定でしたが8月に変更になりました。と同時に、イタを管轄していたイタリア政府は、当イタ・エアウェイズを民間に売却することを決定し、もうすぐその売却先が決まる見込みです。売却先にはルフトハンザやデルタ航空などが名乗りを上げていますが、アリタリアの時代と同じく、イタリアにおいて最大の運航規模を誇るイタ・エアウェイズへの関心は高く、どの企業も食指が伸びている様子です。日本から唯一の直行便。良い落とし所に着地出来ればいいなと思います。
※2022年7月、イタの日本への就航は更に延びています。予定では10月からになっているようです。
※2022年7月28日時点で、羽田-ローマのイタの就航は、日本発が「月・木・土」、現地発は「水・金・日」。10月31日以降就航予定(HISより)
※2022年9月21日時点で、羽田-ローマのイタの就航は、日本発が「水・金・日」、現地発は「火・木・土」、期間は2022年11月6日~(HISより)
※2022年10月4日時点で、羽田-ローマのイタの就航は、日本発が「水・金・日」、現地発は「火・木・土」、期間は2022年11月6日~2023年3月24日(HISより)
現在、現地の新聞「La repubburica」によると、イタの民営化も暗礁に乗り上げているようです。その背景には、マリオ・ドラギ首相の辞任によって議会が解散したことによる政権の崩壊があります。その引き金になったのは、連立与党各党の造反。素人の推測ですが、例の市民政党「五つ星運動」あたりが、ドラギ氏のインフレ政策に賛同せず(
小さな声でヒソヒソ…支持率のため?人気取りのため?)、それまで均衡を保っていた与党の連携が崩れたのでしょう。その影響は、政府経済財務省の元にあるイタ・エアウエイズの民営化に及ぶのは当然のことで、これも素人考えですが、これを機に国営フラッグキャリアとしてのイタの存続を唱える人々もまたまた出てくるのかもしれません。そうなればイタの民営化は更に混とんとして…いずれにしても今後の行く末は、9月の総選挙の結果待ちか、ということで、(´イタリアの誘惑´に負けて、ITAのチケットを持ってしまった身は)ざわつく気持ちを抑えることにしています。
9月25日、右翼政党の政権が樹立。イタリア初の女性首相が誕生しました。コロナ禍や戦禍による社会不安を背景に、イタリアの人々の不満を大いに吸収したのは、そんな素地が既に出来ていたからだという気がします。様々な動揺がこうして広がれば右翼支持に傾くのは自然の流れなのかも。それにしても、当初予定していた年末のイタの日本路線が二度も欠航しました。手元のチケットは未だ代替便に変更されないまま…イタは日本に飛ばさなーい、ということではないと思うのだけど。