イタリアより

滞在日記

ホテルでの禅問答

2020年04月08日 | パレルモ

ホテルの朝食会場から見える景観


■2019年12月29日

一人の旅行では何もかも自己責任で手配をする訳ですが、中でもホテル選びにはいつも頭を悩ませます。私の旅の鉄則に則って、ホテルは安全・安心・清潔、そうして翌日の動作を考えて選択する、のですが、今回最も迷ったのがパレルモのホテルでした。実はカターニアからパレルモに移動する日を12月25日のナターレ(クリスマス)当日に設定したために、パレルモ到着後の交通機関が心配でした。


テラスから臨むパレルモの町


イタリアでは、クリスマスは特別の日。店のみならず、交通機関や切符売り場、タクシーまでもが、一斉に休業してしまう、そんな町は、今でも結構あって毎年この時期に渡伊しているので、クリスマスの前後はこうして気をもむことになります。もっとも、その日を避けて移動すればいいのですが、町の見どころも閉じられてしまうので、この日を旅行中の休息日にするか移動日に当てる、といつもそんな計画にしています。


ホテルの朝食


パレルモの町もその心配があって、カターニアからバスが到着する駅のターミナルから、徒歩圏内にあるホテルを選ぶことにしました。これで市内バスが運休していても、タクシーが休業していても大丈夫。駅前の大通りを直進するだけなので迷いようもありません。大きなスーツケースを引きずって、石畳の道路を歩くのはちょっとやっかいですが、それでも10分もかからずホテルに着くのは魅力でした。


夜の雰囲気


このホテルは、宿泊者のレビューも上々で、朝食会場のテラスからはパレルモの素晴らしい景観も臨めるらしい…、とはいっても、実際はどうなのかは分からないけれど、それでも少しの期待と安心感を持ってチェックインをしたのでした。が、前述もしましたが、マイナス評価としては、エレベーターがなかなか降りて来ないこと。一機しかない上に、従業員や納入業者までこの小さなエレベーターを使うので、不便なこと、この上ない。荷物を携えるチェックインとチェックアウト以外、何度も階段を上がり降りしました。それでも、ホテルステイはまずまずで、ここを拠点に沢山の見どころを回れたのは前述のとおりです。


一機しかないエレベーター

階段を利用する方が早い


そうして、帰国当日のことでした。朝8時の空港行きのリムジンに乗るために、早めにホテルを出ようとしましたが、受付には、滞在中、毎朝挨拶を交わした女性のスタッフの姿がありません。その代わりというか、恐らく、何かの用事で席を外したか、その女性に替わって、男性がチェックアウトの手続きをしてくれるようでした。けれど、その風体に、少しの違和感を覚えたのは、幸運といえば幸運だったかも知れません。きっと私の頭の中の要注意アンテナが一つ立ったのだと思います。


ホテルの玄関ドア
目の前はパレルモのメイン道路が走る


私:Buongiorno.Check out per favore./お早うございます。チェックアウトをお願いします。
彼:Ok~。Allora…la camera e…/いーよ。えーと部屋は…
私:Ecco la chiave, è la camera numero 310./これ部屋の鍵です。310号室。
彼:Va bene.Perfetto, /オーケー完璧だ!
私:Pago il conto/はい、お支払いします。
彼:Allora… Esattamente…arrivederci~/うーと…ちょうどだね。バイバイ

と、ここまでは良かったのです。このホテルの朝食時間が7時半からだったので、今朝は間に合わず、空港で何か食べるかなぁ~などと思案をしながら居たのですが、支払いを終えホテルを出ようとしてはっと気が付きました。そういえば、領収書を貰っていない。ここから禅問答が始まりました。そうです。たった一言の単語をど忘れしたために・・・


禅問答を展開したホテルのフロント


私:Scusi .Adesso ho pagato le spese di soggiorno/あのぉ…私は今宿泊費を払いました。
彼:Si Si , hai pagato/うん、そうだね。君は払ったよ。
私:E Allora…che cosa farmi ? /じゃあ あなたは私に何をしますか?
彼:?
私:Deve quarcosa farmi! /あなたは、何かしなければなりません。
彼:??
私:Allora ho pagato in contanti, Cosa fai? /あのね私は現金で払ったのよ。あなたは何をするの?
彼:Oh。una ricevuta !si si, Un momento/おっー領収書だね!そうだそうだちょっと待って。



そう言って彼は、やっと領収書を渡してくれました。彼の風体に違和感を持ったと書きましたが、例えば、受付の交代をする正規のスタッフならば、それなりの格好はしているはずなのに、彼はジャケットさえも羽織っていない、多分、担当の女性スタッフから、席を外すから、ちょっと見ててね、くらいに頼まれたホテルの従業員だろうし、彼に悪気はなかったと思うけれど、それにしては、パソコンを操作して領収書を印字する手際の良さを見ると、客が宿泊費を支払った後の一連の手続きを知らなかったはずはないよね・・・。カード決済であればともかくも、現金で支払ったなら、ホテル側が出す領収書でしか支払い済みの証明はできないし、後日トラブルにも成りかねない。たった一言、「ricevuta」(領収書)という単語が出て来なかった為に、こんな珍問答をするはめになったのでした。

コメント (10)
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