goo

■ フェンダー・ローズとAOR

先ほどのNHK『うたコン』で、今回も尾崎亜美が「フェンダー・ローズ」を弾いていた。

■ マイ・ピュア・レディ - 尾崎亜美

やっぱりこの音色、たまらん。

1980年代後半にいともあっさりとAORがジャンル崩壊したひとつの理由に、この「フェンダー・ローズ」の動向はぜったい絡んでいると思う。


Fender Rhodes(Piano)とは、1940年代にHarold Rhodes氏によって前線の兵士たちを慰安する目的で発明された楽器です。

1959年、Harold Rhodes氏は楽器メーカーのFender社と合弁事業を開始し、1974年頃までは"Fender Rhodes"(フェンダー・ローズ)の商号で製品が販売されていました。
1975年頃、商号から"Fender"の文字が消え"Rhodes"に変更されたものの、以降も「フェンダー・ローズ」と総称され、主にクロスオーバー(フュージョン)、ソウル(BCM)、AORなどのジャンルで広く使われました。

1980年代中盤にヤマハからデジタルシンセサイザー「DX7」が発売され「フェンダー・ローズ」に近い音色が出せるようになると、1台ごとの音色のぶれが大きい「フェンダー・ローズ」はまたたく間に駆逐されていきました。

しかし、聴き手の情感に訴えかけるような「フェンダー・ローズ」の音色の人気は根強く、日本では2009年9月からMark 7の輸入販売を開始、輸入一号機のオーナーは山下達郎氏であったことは音楽通のあいだではよく知られているようです。

「フェンダー・ローズ」の原理は金属製の音叉をハンマーで叩き、電磁ピックアップして電気信号に変換するというもので、音色はある意味オルゴールに近いかもしれません。

■ 栄冠は君に輝く NHK学校紹介 ふるさと紹介 オルゴールバージョン カバー 

↑ これって、オルゴールじゃなくてRhodes Pianoだったと思うけどね・・・。

バックミュージシャンのクレジットのなかでも、Rhodes PianoはKeyboardに括られるので、ほとんど音色で聴き分けるしかありません。
しかも、この時代(1980年前後)のピアノやエレピは、やわらかい音色のものが多く、Rhodes Pianoとの聴き分けはなかなかやっかいです。
(ピアノとRhodes Pianoが混在しているテイクも多い。)

なので、「フェンダー・ローズの名曲」でググっても、評価の定まった同じような顔ぶれが並びます。

たとえば、こういうの ↓
■ Just The Two Of Us - Grover Washington Jr. (feat. Bill Withers)


■ Just The Way You Are(素顔のままで) - Billy Joel


邦楽だとこういうの ↓
■ 中央フリーウェイ - 荒井由実


そこで、これからじっくりと「フェンダー・ローズ識別プロジェクト」を立ち上げようかとも思いますが、まずは、明らかにフェンダーローズ使用と思われるAOR系の名バラードを3曲ご紹介します。
AORにとって、フェンダーローズの音色がいかに重要であったか、これを聴いていただければわかるかと思います。

1.Whatever We Imagine - David Foster 〔 From 『The Best Of Me』(1983)〕

おそらく主メロがピアノとシンセ、裏メロがフェンダー・ローズ。
イントロは間違いなくフェンダー・ローズだと思う。

2.It's Only Love - Marc Jordan 〔 From 『A Hole In The Wall』(1983)〕

AOR屈指の名バラード。
フェンダー・ローズの音色はサックスとも相性ばっちりだった。

3.The Fool Is All Alone - Bill Champlin 〔 From 『Runaway』(1981)〕

名手Bill ChamplinによるこちらもAOR全盛期の名バラード。
フェンダー・ローズ&ストリングスによる怒濤のサポート。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ■ 伊香保温泉... ■ 「鎌倉殿の1... »