民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

語り手のわたしと聞き手のあなたが
一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「ガマの油」 英語バージョン

2013年04月22日 00時16分01秒 | 大道芸
 「書いた落語傑作選 1」 所載  立川 談志 著

 話は変わるが、この「ガマの油」を私の惚れたコメディアン泉和助が演った。
コントの舞台で、油売りの扮装で、この時履いていた足駄が一本歯か、
忘れたが、タップを踏んだような記憶もある。
つまり、歌舞伎の「高杯(たかつき)」みたいなもんだが、結構な芸であったっけ。

 で、このガマの油、売れないもんで、ダレて蠅を追いながら演ってた。
これもいい。で、このガマの油売りをだ、英語訳で演るこの凄さ、嬉しさ。
で、それを基に、和っちゃん先生に捧げる「ガマの油」の鎮魂歌。

 レディース、エンド、ジェントルメン
お父(とっ)つぁん、AND、おっ母(か)さん
セニョール、セニョリータ、タワリシチ
エブリボディ、ヨーカム、コイコイ、珍来来(ちんらいらい)
アイ・アム・ナンバーワン・ストリート・ドラッグセールスマン
マイ・セールスポイント、ジス・イズ・エボフロッグオイル
エブリボディ、ヘーイ、グッド・ルッキン
ジス・フロッグ、フロントフィンガー4(フォー)、バックフィンガー6(シックス)
ジス・エボフロッグ、ライフエリア、ロングロング・フエラァウエイ、
ノースサイド・マウンティン TSUKUBA
ヒズONBAKOグラス、イート イート
エボフロッグ、キャッチングスタイル、メーキング、スモールハウス、
ジス・ルーム、インテリア 東南西北(トンナンシャーペイ)
スタンダップミラー、アンダー・ザ・アイアンクロスネット

 「ヘーイ、カム・オン、エボフロッグ」
カモンナ・マイハウス、マイハウス、カモン
エボフロッグ、ハウス、イン、シャット・ザ・ドア、
エボフロッグ、ミラー・ルッキン、
ジス・スタイル、グロテスク、ビッグショック、ヒズ・ハート、GO TO ヘブン
ローリング ローリング、オイルスエット、オーバー・ザ・フェイス
エボフロッグオイル、アイアンクロスネット、キャッチング
ジス・イズ・TAX スタイル、セーム・セーム、OK?
3(スリー)× 7(セブン)ランニング(つまり3×の×だからランニング)
イコール、21(トエンティワン)デイズ、タラーリタラーリ、ボイル・エンド・ボイル

 和っちゃん先生からの記憶との合作で、「エボフロッグ」だの、
「東南西北、スタンダップミラー」だの、「ヒズ・ハート、GO TO ヘブン」
「ローリング ローリング、オイルスエット、オーバー・ザ・フェイス」等、傑作である。
天才的である。何とも素晴らしき、「英訳」だ。
3(スリー)× 7(セブン)ランニングはたいしたことはないが、
和っちゃん先生、ダジャレが好きだし、受けるので、こういうのをよく演った。
 日本中にまだ英語が定着しておらず、
ほんの片言がしゃべれるだけでインテリと思えた昭和二十年代のことであった。
何せ、芸人がアメリカ人の真似をする時、英語を音で表現したのだから・・・・・
理解(わか)るかな、この表現で・・・・・。

「大道芸口上集」 久保田 尚(ひさし)

2013年04月20日 00時32分21秒 | 大道芸
 「大道芸口上集」 久保田 尚(ひさし) 昭和61年 発行

 前口上

 さァてお立ち合い。
ご用とお急ぎでない方は、ほんのしばらくの間わたしの話を聞いていただきたい。
手前とり出しましたるこの本は、文部省や学校にある本と違いまして、
大和の国は昔より伝わる大道芸口上集だ。

 大道芸といっても二通りある。
一つは江戸中期乞胸頭(ごうむねかしら)仁太夫によって支配されていた、門付け放浪芸。
一つは香具師(やし)の組織下に置かれていた物売り口上芸だ。

 この二つどこが違うかというと、乞胸芸はもっぱら投げ銭、放り銭をあてにし、
香具師芸は商いの手段として演じられれいたところが違う。
よって手前未熟な渡世を致しておるといえども投げ銭、放り銭はお断りだよ。

 さァてお立ち合い。
ではその大道芸。今はどうなったか。
これより遥か、北は筑波山の彼方へと消え去り、とんと我々の前から姿を消してしまった。

 古(いにしえ)は奈良の都より、悠久千百年連綿と語り継がれてきたこれらもろもろ芸が、
いま雲か霞と消え行くはこれ大和民族の損失、神農さまに対しても申し訳がない。

 さればこの大道芸、再び天下に残す手だてはないか。
手前三七、二十一ヶ月の間、練りに練りあわせて創り出したものが「大道芸研究会」だ。

 さァてお立ち合い。
さればこの研究会なにをする。
日本古来の大道芸のその伝承を目的とする。
だが一口に伝承といっても簡単ではない。
水の流れと人の世は伝えても、風俗、言葉の違いはいかんともし難い。

 ではその先どうするか。
古き器に新しき水。若き人々にその美味を、楽しさを伝えねばならぬ。知らしめねばならぬ。
その手はじめがこの本だ。

 さァてお立ち合い。
手前さきほどから偉そうなことを言っているが、何分にも日浅く手さぐり足さぐりの作業なれば、
口に合うか肌に合わぬかはお立ち合い次第。
合えば喝采。合わねばポイ捨て。
いかようにされようととんと構わない。
ただ昔こんなことがあったという位は知っていただきたい。

 さァてお立ち合い。
本来なら直々参上の上ご挨拶申し上げるところだが、本日は略儀をもっての前口上。
持って帰って読んでみようという方がございましたら、わずかの1、500円でおわけする。
はい、ありがとうございます。

 昭和61年丙寅年九月                       久保田 尚

「露店の種類」 大道芸と見世物

2013年04月18日 00時19分17秒 | 大道芸
 「大道芸と見世物」 日本歴史と芸能 第十三巻  (株)平凡社 1991年発行

 <香具師(やし)がやっている露店の種類>

1、コミセ(古店) タンカなし。たとえば、飴を売ってるような、昔からある古い商売。

2、サンズン(三寸) タンカなし。地べたにじかでなく、少し高くなった台を組んでやってる商売。

3、コロビ(転び)タンカバイ。ただし、他の露店と並んで店を張るかたちなので、
それほど多くの人は集められない。各地を渡り歩く。

4、中ジメ タンカバイ。露店の並びから少し離れたところでやる。
コロビよりも、ちょっとよけいに人を集める。各地を渡り歩く。

5、大ジメ タンカバイ。露店の並びからだいぶ離れたところでやる。
「芸」をもって大きく人をシメル。各地を渡り歩く。がまの油売り、など。

「外郎売り」 新発見

2013年04月16日 15時19分13秒 | 大道芸
 今日、散歩しながら、いつものように、外郎売りの練習をしていた。
「かの頼光のひざ元去らず」というヶ所がある。
(頼光とは源頼光のこと)
あれっ、ひざ元→源(みなもと)!?
突然、ひらめいた。
もう何百回と言ってるのに。

 ついでに、これはずいぶん前に気がついたことだけど、
「胃、心、肺、肝がすこやかに成りて」というヶ所がある。
肺と肝を入れ替えれば、「虚心坦懐」になるじゃないか!?
それ以来、「胃、心、肝、肺」と言うようにしてる。

 とにかく、この外郎売りの口上は言葉遊びが満載。
江戸時代に作られた言葉だから、
その当時は常識であったことも、今は知らないこともある。
作者の謎、ひっかけを解明するのも、もうひとつの楽しみ。

「香具師の13の職業」  塩見 鮮一郎

2013年04月16日 00時03分51秒 | 大道芸
 「香具師の13の職業」   「乞胸」 江戸の辻芸人 所載 P-134  塩見 鮮一郎 著

1、居合抜き さまざまな姿勢から一瞬にして刀を抜いて斬る。
反魂丹という腹痛の薬を売る者が始め、松井源水などが有名である。

2、曲鞠(きょくまり) 曲にあわせて、まりで遊び、歯磨きなどを売る。菊川国丸などが知られている。

3、唄廻し 独楽(こま)回しである。

4、軽業(かるわざ) 綱渡りや竿のぼりなどである。

5、見世物 小屋掛けしてめずらしい物や障害者を見せる。
表で歯磨きを売るための興行だから「愛敬見世物」という。

6、覗(のぞ)き 箱の中の絵を穴からのぞかせる大道芸で、「覗きからくり」などという。
のど薬の飴も一緒に売るから香具師がやるという。

7、懐中掛香具 江戸の屋敷に行き、「におい袋」などを売る。

8、諸国弘(ひろめ)商人 大勢で江戸、京、大阪、田舎に売り歩く。

9、辻療治膏薬売 抜歯などもおこなう膏薬売で「辻医者」だと自称する。

10、蜜柑梨子砂糖漬売 みかんは風邪の薬、梨はのどの薬。それだから香具師が砂糖漬けの飴にして売る。

11、小間物売 小間物は化粧品を中心とした日常の小道具のこと。
おしろいはニキビの薬で口紅は口のなかの熱をとるから香具師が売っているという。

12、火打保口(ほくち)売 火打石で出た火をうつし取る物を火口(ホクチ)というが、
それは越前の「よもぎぐさ」が使用されている。
この「もぐさ」は脚気や足裏の豆にも効くので、香具師が売るのだという。

13、諸国妙薬取次売 富山の反魂丹、小田原のういろう、丸薬の万金丹などを売って歩く商人である。