民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「若者と沢庵」 リメイク by akira

2012年01月19日 00時25分40秒 | 民話(リメイク by akira)
 きょうは オレが(おめーらくらい)ちっちゃい時に、
じいちゃんから聞いたハナシをすっかんな。
 ほんとかうそか わかんねーハナシだけど、
まぁ、ほんとのことだと思って 聞いてくれや。)


 むかし、みんなでお茶を飲んでた時にな、
お茶が熱くて 「フーフー」して、なかなか飲めねぇでいる 若いモンがいたと。

 それを見ていたじいさまが、
「今の若いモンは なーんにも知らねぇんだな。そういう時は こうすんだ。」
って 言ってな、
沢庵を一切れ 箸でつかむと お茶ん中に入れて 箸でかんまわして見せたと。

 (むかしは お茶菓子なんて気の利いたモンはねぇ、
たいがい 沢庵ぐれぇなモンだったな。)


 若いモンが 言われたように お茶ん中に 沢庵を入れてかんまわすとな、
いい具合に冷(さ)めて、飲めるようになったんだと。

 (むかしのじいさまは いろんなことを教えてくれたな。
オレなんかも いろいろ教わったもんだ。
知識じゃねぇ、知恵っていうモンをな。)


 さて、その夜 その若いモンが 風呂に入ろうとしたら、
「アッチッ、アッチッ!」 熱くて とても入(はい)れねぇんだと。

 そんで その若いモン 昼間 じいさまに言われたことを思い出してな、
大きい声で、

 「おーい、おっかあ!・・・沢庵 持ってきてくんねぇか!」

って、言ったとさ。

 おしまい(お後がよろしいようで)


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