「本屋さんで待ちあわせ」 その12 三浦 しをん 大和書房 2012年
言語を超えた芸の天才 その2
『人生、成り行き 談志一代記』立川談志・著/吉川潮(よしかわうしお)(新潮社) P-104
前人未到の境地を、そこには至れないものにも感じ取らせてくれるひと。人間の心の謎に迫り、まったく見たことのなかった風景を垣間見させてくれるひと。その力のあるひとこそを、天才と呼ぶのだろう。
立川談志の高座を聞くと、脳髄が熱くしびれる。異次元に連れ去られてしまったような浮遊感がある。言語で構成された芸のはずなのに、言語では把握できない「なにか」が凄みとともに立ち現れる感覚。
でも、その「なにか」は、私たちの内側にもとからあったものなのだ。それはいつも人間の心のなかで、ひっそりととぐろを巻いている。
落語とは、落語を生み出し享受してきた人間という生き物とは、なんて楽しくおそろしいんだろう。だれの胸にもある沃野(よくや)(荒野かもしれない)の存在に改めて気づかされ、読んでいてなんだか震えがくる一冊だ。
言語を超えた芸の天才 その2
『人生、成り行き 談志一代記』立川談志・著/吉川潮(よしかわうしお)(新潮社) P-104
前人未到の境地を、そこには至れないものにも感じ取らせてくれるひと。人間の心の謎に迫り、まったく見たことのなかった風景を垣間見させてくれるひと。その力のあるひとこそを、天才と呼ぶのだろう。
立川談志の高座を聞くと、脳髄が熱くしびれる。異次元に連れ去られてしまったような浮遊感がある。言語で構成された芸のはずなのに、言語では把握できない「なにか」が凄みとともに立ち現れる感覚。
でも、その「なにか」は、私たちの内側にもとからあったものなのだ。それはいつも人間の心のなかで、ひっそりととぐろを巻いている。
落語とは、落語を生み出し享受してきた人間という生き物とは、なんて楽しくおそろしいんだろう。だれの胸にもある沃野(よくや)(荒野かもしれない)の存在に改めて気づかされ、読んでいてなんだか震えがくる一冊だ。