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「江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか」 その10

2017年10月28日 00時11分54秒 | 本の紹介(こんな本がある)
 「江戸っ子はなぜこんなに遊び上手なのか」 その10 中江 克己 青春出版社 2016年

 歌舞伎から生まれた流行色 その2

 瀬川菊之丞の二代目は美貌で知られ、女形(おやま)としてたいへんな人気を集めていた。代々「路孝(ろこう)」の俳号を使っていたが、明和3年(1766)、中村座で上演された『八百屋お七恋の江戸染』のなかで、菊之丞が下女お杉に扮したとき、やや緑みのある茶色だったが、女性のあいだで評判となって流行、「路孝茶」と呼ばれた。

 初代尾上菊五郎が使った茶色も人気になった。濁った緑系の色だが、灰みの萌黄色にも見える。これは「梅幸茶」と呼ばれたが、梅幸は菊五郎の俳号だった。

 四代目松本幸四郎が鈴ヶ森の長兵衛の合羽に、灰みのある暗い納戸色(灰みがかった藍色)を使い、評判に成った。屋号を「高麗屋」と称したことから、色名は「高麗納戸」といわれた。