民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「日本語の学校」 鴨下 信一 はじめに その2 

2016年09月11日 00時39分02秒 | 朗読・発声
 「日本語の学校」 声に出して読む<言葉の豊かさ> 鴨下 信一 平凡社新書 2009年

 はじめに その2

 間もなく太平洋戦争のはじまる昭和16年に国民学校(小学校がこう変わりました)に入学。ところがこの時の担任の先生、富原先生とおっしゃいましたが、この先生の国語の<読み方>が素晴らしかった。昔はこうした高い能力の先生がしっかりした教育を低学年の生徒にしてくださったものです。先生はまた綴り方(作文)教育の大家で、そちらのほうでも名のあった方です。助詞や何かの使い方にはすごくやかましかった。日本語の基礎をしっかり叩き込んでもらったのです。
 面白かったのは音楽の百瀬先生で、唱歌を教える時に、ます詞のほうを、フシをつけずに声に出して読ませる。こうして詞(詩)の句読法、解釈をちゃんとやってから、メロディにかかる。いま考えても素敵な考え方です。この国民学校はもちろん、後に進んだ中学・高校も、国語以外の科目の先生が皆、綺麗で正しい日本語を使っていたのが印象的です。百瀬先生はたしか後年、合唱指導の専門家として要職を務められました。
 何と恵まれた<声に出す日本語>の環境にいたことか。そればかりではありません。