民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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「間と呼吸」 その2 鴨下 信一

2016年09月25日 00時23分05秒 | 朗読・発声
 「日本語の学校」 声に出して読む<言葉の豊かさ> 鴨下 信一 平凡社新書 2009年

 「間と呼吸」 その2 P-21

 もう一歩、進みます。
 実は通常は「日本語は」の後で、そんなにゆっくり息なんか吸わない。ここでも短く息を吸う、つまり息を継いでいるだけです。それでもやはり「世界一」の後では間(ま)がある。
 それは「もっと短い」間(ま)です。間(ま)というよりは「意識の隙間」といったほうがいい。ここでは「息をほんの少し止めるけれども、吸わない」のです。この「ほんの少し」はほとんど無意識に近い短さで、だから意識のスキマといったのです。――ということは、例文の句読点を、

 日本語は、世界一美しい言葉です。

 としてもいいじゃありませんか。これはA②と同じですね。
 言葉を換えていえば、このいちばん短い間(ま)はこうして隠れていること多いのです。この序章の最初に、読点・区切れの一つもない①の型がありました。

 ①日本語は世界一美しい言葉です。

 もうおわかりでしょう。この①の型にも読点・区切れが隠れているのです。
 以上三つが日本語の間(ま)の<三つのタイプ)<三つの長さ>です。