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「中高年のための文章読本」その9 梅田 卓夫

2014年11月07日 00時57分51秒 | 文章読本(作法)
 「中高年のための文章読本」その9 梅田 卓夫 著  ちくま学芸文庫 書き下ろし 2003年

 「<まっさらな自分>からの出発」 P-144

 <メモ>はまっさらな自分を回復するための場でもあります。
文章を書こうとして、実際にメモをとってみるとわかることですが、最初は既成の知識とか、以前から持っていた考えが頭に浮かんできます。
それらは、いわば他人の考え、出来合いのことば、一般常識といってもようようなことがらです。
わざわざ自分が書かなくても、すでにわかっていることがアイディアの顔をして浮かんでくるのです。
他人のことばや、他人の考えに汚染されている自分を知る―――これもメモの効用の一つといえるでしょう。

 そういった自分を一度「無」にして、新たにスタートし直す。
白紙のメモ用紙をひろげることは、その意志を自分自身に対して表明することでもあるのです。
メモ用紙をひろげることは、文章表現を創造的に進めようとする意志を行動に移すことです。

 といっても、むつかしいことを書けといっているわけではありません。
日常の惰性のように流れている自分を、いったん否定して<まっさらな自分>を回復するところから始めるのです。