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「中高年のための文章読本」その6 梅田 卓夫 

2014年11月01日 00時09分11秒 | 文章読本(作法)
 「中高年のための文章読本」その6 梅田 卓夫 著  ちくま学芸文庫 書き下ろし 2003年

 「<かたち>より<中身>を」 P-86

 文章というものは、どれだけ「かたち」に気を配って書いても、その成果は結局、他人が見て指摘できるような間違いや不備がなくなるといった程度のことが多いのです。
逆にいえば、「かたち」の不備は、他人でも指摘し、直してやることができるのです。
いわゆる指導者による添削も、このところで止まらざるを得ない。
添削は、書かれたことばを動かしたり、消したりすることができるだけです。
模範解答がある答案の添削ならいざ知らず、創造的な文章では、書かれていないことばを他人が付け加えることはできません。
内容にまで踏み込む添削などというものを、信用しないほうがいいのです。
そんなことをされたら、その作品は、あなたのものであって、あなたのものでなくなってしまうからです。

 文章の内容とは、なにを書こうとしたかという幻想(=願望)ではなくて、目のまえに置かれていることばそのものです。内容を追求するとは、<ことば>を追求することです。
作者としては、その<ことば>(=内容)をしっかり準備することが必要なのであって、容れものとしての「かたち」にばかり目を向けても、よい文章は書けません。