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●1%対99%の闘いが世界を揺るがす グローバルから極端極地への流れ
今夜の体調はすぐれず、死にそうではないが、復調までには、いささか時間が必要なようだ(笑)。気になっていた、辺野古に基地を造るな国会包囲のデモは無事に終了したようだ。会を重ねるごとに参加人数が増えている事は心強い。今回は2万人近くが集まったようだ。安保法案、戦争させないデモに比べると、幾分参加者が少ないのが寂しいが、総論的デモと各論的デモの違いが、まだあるのだろう。まだまだ、沖縄問題が日本国民レベルにまで、思いが浸透していない点は、残念であるが、現状では、これからという部分もあるだろう。それに、幾分、デモ疲れも出てくる事だろうから、この1週間が勝負どころだけに、もうひと踏ん張り頑張って貰いたい。
≪【電子号外】「辺野古に造るな」 新基地建設阻止で国会包囲開始
【東京】米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設断念を求めるため、首都圏の県出身者や市民団体、学生らが東京・国会議事堂周辺を取り囲む抗議行動「止めよう!辺野古埋め立て9・12国会包囲」が12日午後2時、始まった。参加者は「基地を造るな。辺野古に造るな」「埋め立てやめろ。ボーリング調査やめろ」と声を上げ、辺野古新基地建設反対の運動を県民と連動して取り組んでいく決意を新たにした。
辺野古新基地建設に反対する国会包囲 行動は1月25日の第1回約7千人(主催者発表)、5月24日の第2回約1万5千人(同)に続き3回目。辺野古をめぐる県と政府の集中協議が決裂し、翁長雄志知事が埋め立て承認取り消しにかじを切り、政府が埋め立てに向けた作業を再開する中、初の包囲行動となった。回を重ねるごとに参加者が増えており、辺野古新基地建設に反対する民意が広がりを見せている。 ≫(琉球新報電子版)
次に気になった記事は、以下のイギリス労働党の党首選だ。急進左派のコービン氏有利は、事前に伝わっていたが、本当に勝利したのだ、という印象だ。拙コラム15.08.30付「世界は1%対99%の対立 イデオロギーの極端化加速中」
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/90f82e323ca589fe2ffb11109018efa5
で書いたとおりに事は進んでいる。米大統領選出馬において、著名なハーバード大学教授の哲学者ローレンス・レッシグ教授の出馬話題同様、グローバル世界への挑戦が、世界の多くの政治シーンで目立つようになってきた。ピケティの21世紀の資本主義もそうだ。このような傾向が続くと云うことは、米英覇権主義の限界と凋落が鮮明になってきた証左なのだと、筆者は解釈している。
≪ 英労働党首に「反緊縮」急進左派 EU離脱に傾く可能性
英国の最大野党・労働党の党首選で12日、急進左派のジェレミー・コービン氏(66)が新党首に選ばれた。保守党のキャメロン政権は2017年末までにEUからの離脱の是非を問う国民投票をする構え。コービン氏は候補者の中でただ一人、労働党の親EU路線の踏襲を明言しなかったため、EU離脱の可能性が高まるとの見方も出ている。
党首選は、5月の総選挙大敗を受けてミリバンド氏が党首を辞任したことに伴うもの。「影の内閣」の閣僚3人も立候補するなか、コービン氏は有効投票数の過半数を得た。知名度が低かったコービン氏が支持を集めた背景には、キャメロン政権が進めてきた緊縮策に対する反発がある。投票できる党員や登録サポーターら約55万4千人のうち、総選挙後に加わった人の多くがコービン氏を推す左派支持者とみられている。
EUは加盟国に対し、財政危機を脱するため、厳しい緊縮策を促している。コービン氏は、最大労組ユナイトの支援を受けている事情もあり、労働者の処遇が後退したり、財政難のギリシャ政府にさらなる緊縮を求めるようなEUの「経済ありきの姿勢」が続いたりすれば、離脱支持も辞さない構えをみせている。
キャメロン首相はEUにとどまる方策を練っているとされるが、保守党内でも移民・難民問題の深刻化に伴い、離脱容認派が勢いづいている。また、即時離脱を掲げる英国独立党(UKIP)が、総選挙で得票率13%に迫るなど存在感を増している。さらに労働党が離脱に傾けば、国民投票で離脱が多数となる可能性が高まりかねない。
コービン氏勝利の背景を、ストラスクライド大学のジョン・カーティス教授(政治学)は、「格差が広がり、ブレア労働党政権が掲げた『グローバル経済を利用して公平な社会をつくる』という中道路線を、労働党左派の多くが失敗したと見限ったからだ」と説明する。
ギリシャのチプラス前政権を支えた急進左翼進歩連合(シリザ)や、スペインで勢力を伸ばす新党ポデモスといった反緊縮政党が台頭する流れに乗じた動きとも受け止められている。 ≫(朝日新聞デジタル:ロンドン=渡辺志帆)
≪ ハーバード大教授、出馬の意向 米大統領選、民主6人目
来年11月にある米大統領選の民主党候補者指名争いに向け、ハーバード大のローレンス・レッシグ教授(54)が6日、出馬の意向を表明した。民主党としてはヒラリー・クリントン前国務長官らがすでに立候補を表明しており、6人目の候補となる。 レッシグ氏は米ABCの番組で「我々は政府が機能していないことを認識すべきだ」と強調。選挙資金や選挙権などの政治改革の実現を目指すとし、大統領になって関連法が実現すれば大統領職を副大統領に譲ると表明した。ただ、副大統領にだれを指名するかについては言及しなかった。 ≫(朝日新聞デジタル:ワシントン=佐藤武嗣)
注:偶然だが上記ローレンス・レッシグ教授の名前を冠する賞を受賞している長谷川宏氏が、以下の自著に関するエッセーを書いているのも、何かの巡り合わせだろう。
まったく話は前述に関わりないのだが、以下の長谷川宏氏の著書『日本の精神史』について、自ら語っているエッセーが興味深かった。長谷川氏の日本の精神史の捉え方はユニークで興味深い。少々高価な価格の本(上下で5600円税別)なので、不用意には買えないが、筆者は本は日本を知るためにも購入してみたいと思う本だった。そのエッセー風記事を引用して寝ることにする。
≪ 縄文の三内丸山遺跡から江戸の四谷怪談まで、日本の「精神」の流れをたった一人で描いたとてつもない大作が現れた!
『日本精神史』を書き終えて 文/長谷川宏(哲学者)
■奈良へ
初めて奈良の仏寺・仏像を見に行ったのは、1974年、34歳の春のことだ。それまでどうして奈良に足が向かなかったのか、振り返っても確たる理由が見つからず、そういうめぐり合わせだったと思うしかない。
前の年にわたしの塾に通う中学3年の男子2人が、卒業記念にと奈良を旅行し、それがなんともすてきな旅だったから今年は是非いっしょに、と強く誘ってくれたのがきっかけの古都訪問だった。
最初に訪れたのが西の京の薬師寺だった。金堂が工事中で、薬師三尊像は入口近くの仮りのお堂に安置されていた。がらんとした空間に無造作に置かれた黒光りする三体の仏像。思いがけぬ出会いに衝撃を受けた。
圧倒的な力強さと安定感と精神性を具えた像を目の前にして、その場を動けなくなった。右に左に移動しつつ1時間ばかり三体と向き合い、目を凝らし思いにふけり、ようやくそこを立ち去る心の落ち着きが得られた。
4、5日の奈良旅行だったが、薬師寺のあとも溢れるほどの仏寺と仏像の魅力を身に浴びて、奈良は、もう一つの古都・京都と並んで、わたしの美意識の 核心をなす場所となった。その年以降、いまに至る41年間、春先に欠かさず奈良を訪れることになったのも、美意識の自然な導きによるものだった。
こんどの『日本精神史』 では、奈良の寺では飛鳥寺、法隆寺、興福寺、東大寺などを、仏像では百済観音像、(中宮寺)半跏思惟像、阿修羅像、鑑真和上像、東大寺南大門金剛力士像、 無著・世親像などを取り上げることになったが、それらを論じる際に自分の思考がある種の安定感とゆとりをもって前へと進むことに、わたしは長年の旅の経験 が確かに生きていると感じることができた。
芸術作品とのつき合いは親炙こそが王道だとつねづね思っているわたしは、その実感を心底うれしく思った。
■三内丸山遺跡から『東海道四谷怪談』まで
とはいえ、こんどの本のめざすところが、美術、文学、思想の三領域を相手としつつ、縄文の三内丸山遺跡、火炎土器、土偶から江戸晩期の『東海道四谷 怪談』に至る精神の流れを大きく展望することにあるとすれば、慣れ親しんだ文物や文献のあいだをめぐり歩いて、それで事が片付くわけにはとうてい行かな い。
必要とあらば、なじみの薄い分野に乗り出し、不慣れな対象に向き合わねばならない。例を挙げれば、写経や『今昔物語集』や「蒙古襲来絵詞」などがそうで、おのれの知識不足と思考の不如意を思い知らされて、なんども原資料に当たり、構想の組み変えを図ったりもした。
その一方、もともと関心があり、折に触れて思いをめぐらしてきた作品について、いざ論の対象として本腰を入れて取り組んでみると、いままで気づかなかったおもしろさや深さが見えてくる、という幸運な例も少なくなかった。
絵でいえば「一遍聖絵」や与謝蕪村の南画がそうだし、文学でいえば『伊勢物語』や世阿弥の能楽論が、思想でいえば「御成敗式目」や伊藤仁斎の『童子問』がそうだった。
そうした魅力の発見は一通り原稿を書き上げたあとも続いて、校正の仕事といえば神経の尖るしんどい作業となるのが通例だが、「一遍聖絵」を扱った 22章や、能楽論を扱った25章では、初校ゲラでも再校ゲラでも、もとになる絵や文章に改めて当たり直す作業にしばしば心楽しさや新鮮さを覚えたのだっ た。
■日本の精神の流れをたどる
さて、わたしの採用した精神史の方法について述べておかねばならない。 日本史上に名の残る美術品、文学作品、思想書を大きく見わたし、そのなかから、作品としてすぐれた出来栄えを示していること、時代を語るにふさわし い内容を具えていること、という二つの条件を満たすものを厳選し、その一つ一つをおおむね年代順に論じつつ精神の流れをたどる、という方策を取った。
取り上げた文物・文献は百数十点に及ぶが、大切なのは、それらを相手とするとき、時代の精神を体現する史料として対峙する、という姿勢と、作り手の思いのこもった完成度の高いすぐれた作品として鑑賞する、という姿勢とをともども堅持することだった。
一方の面を文物・文献の史料性と名づけ、他方の面を作品性と名づけるとすれば、自分の対象との向き合いかたが作品性に傾きやすいことが執筆途中から意識され、史料性に意を用いるようあえて自分に言いきかせる場面が一再ならずあった。
ともあれ、十数年の労苦がこうして一つの形を取ったことをいまは素直に喜びたい。場面場面で自分一個の作品評価や社会的・文化的価値判断の表明を辞さなかったから、読者の側に異見や異論も多いことと思う。
執筆中も、原稿の一部を読んでくれた友人・知人の異見・異論が考えを進める上で大きな刺激となった。異見や異論の喚起をもふくめて、この本が精神のゆたかさへと人びとを導くものとなってくれたらと思う。 読書人の雑誌「本」2015年9月号より
*長谷川宏(はせがわ・ひろし) 1940年生まれ。
東京大学大学院哲学科博士課程修了。大学闘争に参加後アカデミズムを離れ、学習塾を開くかたわら、在野の哲学者として活躍。とくにヘー ゲルの明快な翻訳で高く評価される。主な著書に、『ヘーゲルの歴史意識』(紀伊國屋新書)、『同時代人サルトル』『ことばへの道』(以上、講談社学術文 庫)、『新しいヘーゲル』『丸山眞男をどう読むか』(以上、講談社現代新書)、『初期マルクスを読む』(岩波書店)など。またヘーゲルの翻訳として、『哲学史講義』(河出書房)、『美学講義』『精神現象学』(レッシング翻訳賞、日本翻訳大賞)『法哲学講義』(以上、作品社)などがある。
≫(現代ビジネス:メディアと教養・読書人の雑誌「本」より)
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