経済の時代の終焉 (シリーズ 現代経済の展望) | |
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●好事魔多し 安倍内閣の支持率が大きく下がらないのだが……
見出し程ではないが、想像したよりも、安倍内閣支持率は大きく下がっていない。株価ではないが、既に織り込み済みと云う点が表面化したのだろう。安倍は今度は「経済だ」と言ったそうだが、冗談じゃない。あのゴールドマン・サックスが、以下のようなお触れを流している。ブラックマンデーとITバブル崩壊が一度に押し寄せる世界経済危機さえ危ぶまれている。官製相場で太刀打ちなど出来るさざ波ではないのだ。
≪ ゴールドマンがアクティブ運用者に伝える「悪い知らせ」
(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループによれば、米S&P500種株価指数に非常に珍しいことが起きたため、アクティブ運用で市場全体を上回る成績を上げようとするのは年内かなり厳しくなる。
ゴールドマンの米株ストラテジスト、デービッド・コスティン氏とチームはリポートで、銘柄によるリターンのばらつきが8月の劇的な売りの後に小さくなった と指摘。リポートによると、一斉売りとばらつき縮小が同時に起こるのは珍しいという。同氏によれば、1981年以降では2回だけ。87年のブラックマン デーとハイテク株バブルの終わりの時期のみだという。
これは売りが企業のファンダメンタルズ(基礎的諸条件)の変化によるのではなく、もっと一般的な一連のマクロ経済的イベントによって引き起こされたことを 意味すると、コスティン氏は指摘した。市場の不透明感からみて、こうした状況が近い将来に変わるとは考えにくいとも同氏のチームは分析。2015年はベン チマークを上回るリターンを挙げていわゆる「アルファ」を生み出すのは難しいだろうと結論付けている。
では運用担当者はどうしたらいいのか。ゴールドマンには提案がある。コスティン氏らはマクロ経済イベントよりも企業の個別ニュースで動きそうな銘柄を選択し、業績がアナリスト予想を上回りそうな25銘柄と、下回りそうな10銘柄に分けた。
上振れしそうな銘柄はウィン・リゾーツやダラー・ツリー、サウスウエスト航空、ネットフリックスなど。下振れの公算が大きいとみられるのはトランスオーシャンやエクスペディアなどだ。 原題:Goldman Sachs Has Some Bad News for Investors Who Like to Pick Stocks ≫(ブルームバーグ)
安倍政権のクーデターにより、「戦争国家」か「徹底平和国家」かと云うフレーズで、国が二分していると評する論者が多い。しかし、筆者は、そういった情緒的レベルだけではない、論理的レベルにおける、日本人の意識の変化があるのだと思う。具体的には、日米関係における根本的疑問である。このまま、アメリカに追随するだけの国で良いのだろうか?何か、もう少し違う道も考えた方が良くはないか?そう云う重大な問題を突きつけてしまったのが、安倍政権だと認識している。アメリカと云う国家のことも視野に入れながら、米国との距離をどのように位置づけるか、それが最終的に問われるのだと思う。ただ、アメリカと云う国は、二枚どころか5,6枚の岩が重なって出来ている国なので、かなり、本当の意識が判りにくい国でもある。
この辺は、世界の歴史観と我が国歴史観の双方からのアプローチが必要であり、その結論も、様々な選択肢が結論づけられるのだろうと考えている。無論、考えることはないさ、行けるところまで、対米依存以外考えられないと云う考える前から、結論を持つ人もいるだろう。ただ、今回の安倍自民党公明党政権の暴挙は、火事が起きてもいないのに、火事だ火事だと騒ぎ立て、今にも中国や北朝鮮が、ミサイルでも打ち込んでいるような危険性を暗に示しているが、まだボヤにもなっていない。大量の怪しい漁船団が尖閣の周りをうろついたと言っても、軍艦でない装いに、中国の意図をどのように感じるかだが、覇権を虎視眈々と狙う中国、と云うフレーズは、中国と云う国を買被りすぎたプロパガンダ都市伝説である。フォーリン・アフェアーズで常連の外交問題評議会(CFR)のシーラ・スミス上級研究員が様々なメディアに語っている。幾つか、参考に拾っておこう。
≪ 日本の「共同防衛」 米国は安心できるのか
民衆の反対の声の中、安倍氏の推し進める安保法案は予想通り参院本会議で可決された。日本が軍国主義の覆轍を踏むことを国際社会が懸念する中、米国 は「日本が地域と国際社会の安全保障において一層積極的な役割を発揮することを歓迎する」と表明した。歴史問題において大きな問題を抱え続けてきた日本 が、「鎖」を解かれ後に米国の戦略設計に従って前進するのかどうかは疑問だ。人民日報が伝えた。
■米国の「曖昧」
共同通信社の20日付け報道によると、米シンクタンク、外交問題評議会のシーラ・スミス上級研究員は安保法案の成立を評価する一方で、「日本国内には米国に対して誤解がある。米国は日本に海外での武力行使を求めていない」と指摘した。
同法案の登場以来、日本国内では大きな反対のうねりが起き、民衆による大規模な抗議が相次いだ。朝日新聞や東京新聞など大手メディアも安倍政権の強権的「違憲」を批判した。
交戦権を獲得するこの行為に対して、国際社会も懸念を表明した。
韓国政府報道官は「安倍政権が80%の国民が反対する中で同法案を可決したことに、北東アジアの多くの国々および民衆は日本軍国主義の復活を懸念している」と述べた。
ブラジル紙「ジョルナル・ド・ブラジル」は、平和憲法の定める「平和主義、武力の不使用」を無視するものだと直言した。
だが米国は逆の動きを見せてきた。法案採決前、米国務省のカービー報道官は記者会見で「日本が地域と国際社会の安全保障において一層積極的な役割を発揮することを歓迎する」と表明した。 米国防総省高官も公聴会に事前に提出した文書で、日本の協力の範囲は「平時の海洋監視から広範囲な突発的事態への対処にまで拡大される」と強調。日本の協力拡大に「期待」を表明した。
■やむを得ない戦略設計
日本の挙動が戦後国際秩序を破壊する可能性に国際社会が懸念を抱く中、米国はなぜ歓迎を表明するのか。
毎日新聞の19日付記事「安保法、日米軍事同盟一体化を促進」によると、日本による集団的自衛権の行使容認や自衛隊を海外に随時派遣できる恒久法の制定は、米国側が長年求めてきたものだ。
これは嘘ではない。学者によると日米防衛指針のキーワードは次のように変化してきた。1978年のキーワードは「専守防衛=米日同盟」。すなわち当時の防衛範囲は日本本土に限られ、米国が一方的に日本に安全保障を提供するだけだった。1997年の改定後、キーワードは「周辺事態」に変化。米国の安全保障のコミットメントの範囲は日本本土だけでなく、日本周辺、さらには釣魚島(日本名・尖閣諸島)など争いのある地帯にまで拡大された。そして今年4月にキー ワードは「切れ目のない日米協力」へと変化した。これは日本の防衛に一層大きな要求を課すものだ。
だが実際には米国は1950年以来一貫して日本の再軍事化を催促してきた。米国は力の下降に伴い、「アジア太平洋リバランス戦略」の実施にあたり同盟国との協力を一層必要とするようになった。
長年日本はこの圧力に抵抗してきた。だが安倍氏が就任すると、抵抗は「順応」へと変わった。平和憲法第9条を覆すことについては、個人の信念上の動機もあれば、地政学上の口実もある。
■日本のあくなき野心
米国の戦略リスクアナリストは、米国は「石を金に変える」戦略を取るべきだと指摘する。つまり自らの力が足りない中、鍵を握る地域で的確に戦略的投入を行うというものだ。アジア太平洋はまさに鍵を握る地域の1つだ。
だが日本がどの程度おとなしく従うか、多くのアナリストは疑問を呈している。
2013年末に安倍氏は米国の意向を無視して靖国神社を参拝した。これは日本が永遠に米国の命令に従うわけにはいかないというメッセージだ。
米国による対日拘束を確保する制度は大き3つある。第1に平和憲法、第2に日米安保条約、第3に米国主導の国際体制への参加だ。だが現在、この3大制度はすでに穴だらけだ。
日本の鎖を解いて、米国は安心できるのか?(編集NA) ≫(「人民網日本語版」2015年9月22日)
国内における、安倍の壊憲への反対論と、幾分異なった見方をしている。日本と云う国への警戒心が、このような論旨になったのか疑問だが、安倍の米国追随を疑惑の目で観察している。或る日突然、安倍自民党のような政権は、間違いなく、アメリカ様の命令に従うと、思い込むのはアメリカにとっても、中国にとっても、序でにアジア諸国にとっても、将来的リスクを抱え込んでしまった、と主張している。まさに、日本会議的な日本人の心がある限り、日本はアメリカであっても裏切るかもしれないと疑心暗鬼になっている。まあ、このような疑心を抱くのは、日本会議的人々の発言を聞きすぎた側の、考え過ぎと云うこともいえる。しかし、人民日報の考えなのだから、こういう見方もあることを念頭に置いておいても良いだろう。
≪ 「国粋主義」こそ危険 シーラ・スミス氏(米・研究員)
尖閣諸島の領有をめぐり沖縄周辺で日中間の緊張状態が続いている。米国との同盟関係を外交の基軸と強調する日本政府は、尖閣問題で米政府の支持を取り付けようと懸命だが、韓国とも竹島をめぐって関係悪化が続いている。米ワシントンの有力シンクタンク、外交問題評議会(CFR)のシーラ・スミス上級研究員に 米国から見た東アジア情勢について聞いた。
―領有権問題をめぐり周辺国との対立が続く。
「昨年は大規模災害や経済問題などで北東アジアで戦略地政学上のバランスに変化が生じた。尖閣と竹島はそれぞれ経緯があり、中韓が協力して日本に圧力をかけたとは言えない」 「韓国の李明博前大統領が昨年竹島に上陸した。国内に1965年の日韓基本条約や従軍慰安婦問題に対する不満があるが、国内政治も背景にある。竹島は60年代の李承晩ラインで韓国の実効支配が始まった。尖閣は昨年、石原慎太郎前東京都知事が購入を宣言してから緊張が高まった。石原氏の動機はよく分からないが、政治的意図があったとのではないか」
―米政府は尖閣について日米安保条約の範囲内との見解を示しているが、竹島には言及していない。
「米政府は領有権について常に中立の立場だ。安保範囲に関する見解は、どちらの施政権下にあるかでおのずと対応は異なる」
―尖閣では中国海軍が海上自衛隊護衛艦に射撃管制レーダーを照射するなど、緊張が高まった。
「自衛隊が冷静さを保ち、中国艦船の司令官は非常に幸運だった。中国政府は照射を否定したが『仮に照射があったのなら危険な行為だ』と認めており、深刻さを認識したはずだ」
―緊張状態は武器輸出にもつながる。米国に利するのではないか。
「米国は中国に武器を売ることはない。日本にも簡単に売っているわけでない。日中対立が米国の利益につながることはない」
―自民党政権は愛国心を強調し、従軍慰安婦で河野談話見直しの動きもある。
「河野談話は戦時中の性被害者に対する深遠な思いを示したもので、見直すことは日本以外では全く受け入れられない」 、「東アジアの安全保障環境に一番危険なのは人気取りのための国粋主義だ。日本の保守層に歴史認識を修正しようとする動きがあるが、沖縄戦がそうであるように全てが記録に残っているわけではない。日本に求められるのは過去の否定ではなく、戦争で犠牲を強いられる子どもや女性など弱者をいかに守るかという議論を国際社会に提供することだ」(聞き手・松堂秀樹) ≫(琉球新報)
琉球新報の記事は2年以上前の記事だが、シーラ・スミス女史が言うところの、日本会議的国粋主義が、日本議会を制圧している事を、アメリカは知っているのか?と云う人民網日本語版のコラムにピッタリ繋がるのだから、国際社会には、このような疑念を未だに抱かれている国だと云う自覚が、国民全体に欠けているとも言えるだろう。殴った方は、三発殴ったのに百発殴り返され、過剰防衛だくらいの受けとめ方に過ぎないのだが、殴り返してその利益を得たのは米国のみで、ロシアも中国も台湾も韓国も、たいして利益は得ていないのが事実だろう。特に、直に殴られた韓国中国の憂さが晴れているとは言えないのが事実だろう。筆者から見る限り、アメリカが利益を独占したことが、諸問題を長々と解決しないものに、わざとしていると見える。
安倍の支持率が大きく下がらない原因は、意外に簡単なことだ。上述の中で、安倍日本会議と云うレッテルを貼られた日本政府が、何をしても、現状はアジア諸国から安心して見られる国ではなくなっただろう。中韓の国や人々に迎合せずとも、正義を遂行していく姿勢が見えてくれば、そのような印象は自ずと消えてゆく。その為には、結論的には「政変」が必要だ。なにも、お下劣なアベノ・クーデターなどしなくても良い。国政選挙で片っ端から勝利すれば良いだけだ。
現状では、共産党の野党協力戦略が功を奏するかどうか、曖昧な状況で流動的だが、方向的には、ワン・イシュー選挙協力が成立しないと、小選挙区制度では勝ち目はない。なぜなら、霞が関と財界が、親自民に拘泥しているので、官僚機構の中、或いはその領域で生きている連中。そして、企業で生きている連中は、自ずと景気が表向き良くなる側につこうとする。株価が2倍以上になったし、為替差益でも儲けさせてもらった以上、その一家が個別には損をしても、稼ぎ頭の旦那の収入が企業利益から出ていると思うと、親自民的になるのも頷ける。
ここで、必要になるのが、冒頭の世界経済の急激な落ち込みである。このゴールドマン・サックスの懸念は、70%の確率で当たるだろう。米FRBが利上げをした瞬間に、この大不況の幕が開く。そうなると、株式市場や為替、商品相場に流れていたマネーの方向転換が起きる。米国債への流れが明確になるのは確実だ。しかし、そのことが中国経済のカンフル剤にもなる。面白いものだが、マネーと云う奴は節操も重荷も背負っていないので、千分の一秒でポジションを変えてしまう怪物だ。そのとき、アベノミクスと及び日銀の経済政策のすべての化けの皮が剥がれる。少なくとも、来年の参議院選の前に起きると読むのが妥当なので、慌てて支持率が大幅下落しなくても良い。40%前後の支持率は、一夜にして20%台まで落ちるのは確実だ。景気の異様な落ち込みは必ず来る。まあ、日本だけじゃなく、先進国すべてが巻き込まれるので、怖くはない。この時が来るまでに、野党は虎視眈々と協力関係のガイドラインを作っておくことだ。
戦争と新聞: メディアはなぜ戦争を煽るのか (ちくま文庫) | |
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