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●いらつく韓国、歓ぶ日本人 but「日米蜜月に楔の機会睨む中国 」
以下は韓国・中央日報:日本語版の、「日米関係の蜜月演出」に苛立ちを隠さない心情を表した記事だ。これを読んだ日本人読者の多くが、この記事への感想を求められて「すっきり」に2114人(全投票数2318票時点で)が投票している。つまり、9割の日本人が韓国の焦りを“いい気味”だと、評価している。評価と云うよりも、溜飲を下げているというのが正しい表現だろうが(笑)。まあ、このような感情の劣化が、日本人に多くなりつつある現状は、まったくもって情けないわけである。武士道の欠けらもなくなった人々である。先ずは、政権維持も怪しくなってきたパク・クネ大統領を戴いているだけに、気分が優れないのは判るが、韓国が日本に嫉妬するほど良い思いを、日本がするわけではない事を、冷静に分析しておくべきだが、ダボハゼを喰いつかせる為に、意図して流した記事かもしれない。先ずは、一読して貰おう。
≪ ホワイトハウス「日本がアジア政策の中心」…ワシントンに日章旗を設置して歓迎
安倍晋三首相の訪米を契機に、米国が日本との最高の関係を誇示している。ホワイトハウスは 24日(現地時間)、安倍首相の訪米日程を伝えながら「日本がアジア政策の中心」と明らかにし、安倍政権をアジア同盟のトップに格上げした。国家安全保障 会議(NSC)のメデイロス・アジア上級部長は「安倍首相の訪問は我々のアジア政策で日本が中心であることを断言するものだ」と強調した。
ローズ米大統領副補佐官も「日米同盟はアジア・太平洋地域の韓国の同盟・友好国ネットワークで明確に中心にある」と明らかにした。その理由も説明した。メデイロス補佐官は「我々は今回の訪問をアジア・太平洋再均衡(リバランス)政策のための広範囲な努力の観点で見ている」と明らかにした。
オバマ大統領が在任中の業績として推進する再均衡政策は、軍事的にはこの地域で米国の代理人を作り、経済的には中国に対応した米国主導の経済圏を構成する環太平洋経済連携協定(TPP)が核心となる。ともに日本が軸だ。メデイロス部長は「27日のニューヨークの両国閣僚会談の時、日米同盟関係で歴史的な変化が発表される」とし「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)改定は、同盟で日本の役割を大きく拡大し、日本が広範囲に米軍を支援するメカニズムを提供する」と説明した。
ローズ副補佐官はTPPについて「数週間以内に(両国間の)残りのイシューに結論を出すことを希望する」と明らかにした。今回の首脳会談では交渉妥結の発表は出ないだろうが、両首脳が進行状況を点検する、と予告した。オバマ政権が共和党の反発にもかかわらず推進する気候変動対策をめぐっても、ホワイトハウスは日本が友軍だと宣言した。28日の日米首脳会談で気候変動などの国際懸案が反映された共同声明が出てくると予告した。
この日、メデイロス部長は韓日間の歴史問題に関する質問を受け、「ともに建設的かつ未来志向的に、最終解決を追求するという観点で過去の問題を扱うべき」と明らかにした。両国ともに言及し、韓国も動くべきだという点を示唆したという解釈が出てくる。米国が安倍首相の“贈り物”を意識し、歴史問題に消極的な立場を見せるのではという懸念が出てくる背景だ。
米国政府は安倍首相を破格的にもてなす。「公式訪問」ではあるが、実際にはこれより格が高い「国賓訪問」だ。安倍首相夫妻はアンドリュー空軍基地に到着すれば儀仗隊の栄誉礼を受け、ホワイトハウス「サウスローン」でオバマ大統領夫妻の公式歓迎を受ける。これに先立ちケリー国務長官が ボストンの自宅に安倍首相を招待して夕食会を開くのも最高の待遇だ。また安倍首相はオバマ大統領との首脳会談はもちろん、バイデン副大統領とも別に会う。ミシェル・オバマ大統領夫人は安倍昭恵首相夫人とともにバージニアの小学校を訪問する。公式晩餐会ではミッシェル夫人がデザインに参加した食器が提供され る。公式晩餐会はオバマ大統領の就任後、今回が8回目だ。安倍首相の訪米を翌日に控えた25日、ワシントンのホワイトハウス周辺道路には日章旗と星条旗が並べて設置された。 ≫(中央日報)
韓国国民に向かって、このような記事を中央日報がそっくりそのまま流してはいないに違いない。この記事のままでは、中央日報は韓国での読者を失ってしまう(笑)。おそらく、安倍政権が、このような言質をアメリカ政府から引き出すために、どれだけの代償を支払っているか、そのことにも留意しなければならない。韓国は、米中と云う大国の間で、外交の修羅場を体験している最中だが、日本は早々に白旗を挙げ、国民そっちのけの属国政策に、自ら歓んで飛び込んでいる。そのくらいの解説がオマケでついていると、推量すべきだ。
フィナンシャルタイムズは、27日の社説で反中国同盟の危うさに言及している。つまり、今回の安倍訪米による日米蜜月の演出は、旨く行けばいくほど、対中関係において、日米は苦境に立たされる。するべきことは、中国に参加させる考えを持つべきだろうと警鐘を鳴らしている。以上の社説を訳すのは面倒なので、上述の解説で飛ばすとして、“JB PRESS”が4月24日の紹介した同紙の「絶対に沈まない日米太平洋同盟」と云う記事を紹介しておく。このDavid Pilling氏による記事は極めて示唆的だ。社説は、このことを踏まえた上で、調子に乗らない方が、日米双方の為だよと言っているのだろう。
おそらく、オバマ政権は、日米安保についても、アベノミクスについても、日米外交関係に巣食っている、「日米外交防衛マフィア」の捏造情報に踊らされている面があるようだ。アメリカと雖も、一定の外交部分は官僚的であり、日本の外務省は属国の鏡のような官僚機構なのだから、マフィア達にとって不都合な問題は矮小化するか、抹消して、物事を進めて行くのだろう。そうして、ある時点で、中国が楔を打ちに来るのだろうが、その時、米国の態度如何で、日本人は驚愕的に気づくのかもしれない。今までの貢物は、「どこに行ったのですか?」それでは、すべてが手遅れになる、そういう事だろう。
≪ 絶対に沈まない日米太平洋同盟 戦後70年続く緊密な関係、中国の台頭が与える影響は?
米国人と日本人にそんな嗜好があったとすれば、自分たちの関係を唇と歯のように近いと表現するかもしれない。実際には、唇と歯というのは、中国と北朝鮮が伝統的に両国関係を分類して使う表現だ。 米国政府と日本政府は生真面目に、仲間の民主主義国、市場経済国として両国が「共有する価値観」について語ることを好む。
だが、面白い言葉遣いがないにもかかわらず、日米関係は戦後の国家間関係として最も緊密で最も永続する関係の1つだ。
両国はテロリズムから知的財産に至るまで、大半の問題について一致協力している。
第2次世界大戦の灰の中で築かれたその親密さは、イデオロギーの枠にとどまらない。両国は具体的な形で互いに大きく依存している。
■注目される安倍首相の米議会演説
米国は日本のことをアジアにおける自国の代理人と見なしている。債務を賄ううえでも日本を頼りにしている。米国債を最も多く保有している国は、僅差とはいえ、中国ではなく日本だ。日本は、お金、そして次第に後方支援の形で米国の軍事介入を支援してきた。
日本は米国の核の傘と日本に駐留する3万5000人の米軍部隊が与えてくれる保護に依存している。1980年代半ばに首相を務めた中曽根康弘氏は日米関係を率直に描写し、日本のことを太平洋における米国の不沈空母と呼んだ。
中曽根氏以来、最も強い日本の指導者かもしれない安倍晋三首相は来週、めったにない米議会上下両院合同会議での演説で70年間にわたるこの関係を称える。首相は自国経済を復活させるための日本の協調的な取り組みを強調するだろう。 米議会に対しては、バラク・オバマ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)を締結させるために必要なファストトラック権限を与えるよう要請する。 一部の米国議員の好みからすれば不十分かもしれないが、戦争に対する一定の悔悟の念を表すだろう。
戦後の憲法の縛りから解かれた日本が、米国が世界を安全で法律が守られる場所にしておく手助けをするうえで、より積極的な役割を担える将来を描いてみせるだろう。
安倍氏は恐らく中国には言及しない。だが、首相が意味することは誰もが分かる。
安倍氏は概ね、温かく受け入れられるだろう。ワシントンはアベノミクスがうまくいくことを望んでおり、もしそれが強い指導者の代償であるのだとすれば、多少の「Abenesia*1」――日本の戦歴を軽く扱うこと――は容認する用意がある。実際、ワシントンの多くの人は安倍氏のことを、この20~30年で最高の日本国首相と見なしている。
*1=安倍首相と「amnesia(記憶喪失、健忘症の意)」をかけた造語かと思われます(JBpress編集)
■日米関係の基盤に脆いところも
ある意味では、これらはすべて額面通りに受け止めるべきだ。日米が70年前に互いと戦った際の敵意を考えると、この関係は驚くべきものだ。ただ、 別の意味では、日米関係は両国が認める以上に脆い基盤の上に成り立っている。ピュー・リサーチ・センターの最近の調査は、一部の問題については日米の態度が大きくかけ離れていることを示している。
確かに、どちらも互いに大きな信頼を置き、どちらも中国に不信感を抱いている。中国を信頼すると答えた人は、米国では30%、日本ではわずか7% だ。だが、大きな違いもある。日本に対する原爆の使用が正当だったと考える人は日本には14%しかいないが、米国人の56%は正当だったと思っている。
この歴史的な年に、安倍氏がパールハーバーを訪れ、オバマ氏が広島を訪れるかもしれないという望みは結局かなわなかった。この2つの出来事が意味することについて、双方が完全には同意できないからだ。 戦争の記憶にもかかわらず、米国人の47%が日本は地域問題についてより積極的な軍事的役割を果たすべきだと話している。日本を「普通」の国にしたいと思っている安倍氏にとっては残念な結果だろうが、日本政府が軍事外交を強化するという考えをすんなり受け入れる日本人は23%しかいない。 ピューの調査以外にも摩擦はある。日本の右派は、日米同盟の確固たる支持者だが、日本を一意的に悪として描き、「属国」として扱う戦後処理に憤慨している。
こうした相違点は誇張され得る。大部分において、日本は米国の忠実な友人だ。
両国が合意に至ることができないことは、普天間飛行場の移設を巡る15年間の論争など、稀にしかない。
どちらかと言えば、中国の台頭は日米を一段と接近させている。自衛隊を強化し、TPPに参加しようとする安倍氏の取り組みは、中国の脅威と認識されるものに対する直接的な対応だ。
■中国が日米間に楔を打ち込む日
それでも、中国の台頭は対立を招く可能性もある。もし日本が、例えば中国と争う島を巡って米国が日本の利益を守っていないと感じたら、恨みが募るかもしれない。米大統領から言質を得ているにもかかわらず、日本政府の一部の人は、米国が日本を防衛することを疑っている。
時機が来たら、中国政府は恐らく日米間に楔を打ち込もうとするだろう。その時になって初めて、日米関係があと70年続くかどうかが明らかになる。 By David Pilling
© The Financial Times Limited 2015. All Rights Reserved. Please do not cut and paste FT articles and redistribute by email or post to the web ≫(JB PRESS)
もう一つ気になった記事をふたつ紹介しておく。時事通信が、通信社とは思えない、「社説」紛いの記事を流している。どういう理由か判らないが、日本のマスメディアが、急に官邸に対して異議を唱える姿勢を見せはじめた。この一連の流れを分析するには、もう少しマスメディアの一連の流れをウォッチしたうえで、追加コラムを書くことにする。
≪ 際限なき対米協力の恐れ=安保法案、慎重審議を
新たな日米防衛協力の指針(ガイドライン)は、日本の集団的自衛権行使を打ち出し、米軍への後方支援の地理的制約を外したことがポイントで、自衛隊活動は大幅に拡大する。日本政府は、台頭する中国を念頭に抑止力強化を狙うが、米国の戦略に組み込まれ、軍事的協力が際限なく広がることへの懸念も根強い。後半国会で焦点の安全保障法制整備と表裏一体の関係にあり、慎重な審議と国民への十分な説明が求められる。
新ガイドラインは、従来の憲法解釈では禁じられてきた集団的自衛権行使を可能とした昨年7月の閣議決定を下敷きにしている。武力行使の具体的ケースとして、米艦艇を含むアセット(装備品)防護や弾道ミサイル迎撃、停戦前の機雷掃海などを盛り込んだ。いずれも安倍晋三首相が実現に意欲を示しているが、機雷掃海には公明党が依然慎重だ。日米合意を法案提出に先行させることで、既成事実化する狙いがあるとみられる。
後方支援の拡充にも憲法解釈変更が効いている。従来は、朝鮮半島有事や中国・台湾紛争を想定した「周辺事態」で、「戦闘が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海、その上空」での支援に限定していた。今回、周辺事態を「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」と置き換えて「地理的に定めることはできない」と明記し、「地球規模」の協力をうたった。対米支援がより前線に近づくことが現実味を帯びる。
安倍首相は「戦闘目的」での自衛隊派遣を否定し、過激派組織「イスラム国」に対する米軍の空爆の後方支援も「政策的に行わない」と明言している。だが、軍事作戦の長期化や財政難に疲弊している米国は、自衛隊の役割拡大を望んでおり、一段と踏み込んだ支援要請も予想される。現時点で派遣を否定しても、将来、空手形となる可能性は否めない。
自衛隊活動の拡大を法的に裏付ける安保関連法案には「歯止めは十分ではない」との見方が野党や識者の間で強く、恣意(しい)的運用をどう防ぐかが、事後も含めた承認権限を持つ国会の大きな課題となる。 ≫(時事通信:ニューヨーク時事)
≪ 平和国家の歩み変わる=柳沢協二元官房副長官補に聞く【戦後70年】
安倍政権による安全保障法制整備にどんな問題点があるのか、防衛省や首相官邸で実務経験を持つ柳沢協二元官房副長官補(68)に聞いた。
-政府・与党は、国の存立が危ぶまれる「新事態」で集団的自衛権行使を可能にする方針だ。
日本への攻撃に至らないが国の存立を脅かすとはどういう事態か、法律できちんと定義しないと政府が恣意(しい)的に判断することになる。米艦への攻撃がわが国の存立にかかわるのなら、日本有事に極めて近い状況であり、個別的自衛権で対処できる。また、米国が攻撃されたら日本が助ける、と絶えず言い続けることによって、日本自身への攻撃を誘発する危険がある。
国会承認は事前が原則だ。情勢が緊迫していく中で事前に行えるはずだ。民主的手続きを経ないまま戦争当事者になるような法律はいけない。
-自衛隊の海外派遣を随時可能にする恒久法制定も検討されている。
個別の状況に応じた立法が筋だ。特別措置法を作ることが最大の国会の関与になる。
-他国軍の後方支援は、活動の地域も内容も拡大される。
「現に戦闘行為を行っている現場」以外ならいいとなると、前線の部隊とのコンタクトがあり得る。相手の射程まで行くことになり、限りなく戦闘に巻き込まれやすくなる。前線部隊に弾薬を持って行くことはものすごく危険だ。軍事的には中断はあり得ない。
-武器使用権限も緩和の方向だ。
今までは攻められたときの最後の手段として認めていたが、今度は武器を使わないとできない国連平和活動(PKO)の治安維持任務や邦人救出を法律に組み込 もうとしている。必ず撃ち合いになり、戦死者が出る確率は跳ね上がる。本来の軍隊と同じような仕事を外地で行うのは憲法の枠内では無理だ。一人も殺してこ なかった日本が殺す軍隊になれば、米国と同じになり、平和国家の歩みは変わってしまう。 ≫(時事通信)
村 百姓たちの近世〈シリーズ 日本近世史 2〉 (岩波新書) | |
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