世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●翁長捨て身、アイデンティティ勝負 安倍失墜の引き金にも

2015年04月18日 | 日記
沖縄文化論―忘れられた日本 (中公文庫)
クリエーター情報なし
中央公論社


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●翁長捨て身、アイデンティティ勝負 安倍失墜の引き金にも

裏切り知事・仲井真弘多を破って沖縄県知事になった翁長雄志知事の辺野古新基地移設に関する動きに対して、様々な勢力から、様々な攻撃が加えられている。本土のお利口さんな人々は、“見ざる聞かざる言わざる”のポジションをキープしておくのが賢明と云う態度に終始している。あからさまにバカで愚かな行為をしているのは、在特会はじめとする旭日旗振りまわし、翁長知事に向かった「売国奴」と叫んでいた右翼の連中だ。「琉球処分」否、それ以前の琉球民族の歴史を踏まえよ、と言っても日本語さえ十分理解出来ない輩だから、捨て置いて晒しておくしかないだろう(笑)。

次に馬鹿と云うか、陰湿で卑怯なのは安倍官邸である。「翁長沖縄知事は中国の手先」との情報工作(週刊ポスト)であり、「週刊文春」「週刊新潮」などの保守メディアは官邸からの依頼を受けたの如く、バッシングの動きを見せている。「翁長知事を暴走させる中国・過激派・美人弁護士」(週刊文春)文春系は、今や官邸を情報源として、特捜検察のリーク報道紛いの勢いで、内部情報を特集化させ、特ダネ風味の官邸広報活動の一翼を担っている。「文春」は官邸の謀略機関に成り下がったと言えば、今始まったことのようだが、文春とは、立花隆の田中角栄ロッキード以来CIAの機関紙化しているのだろう。

 ≪ 安倍政権 「翁長沖縄知事は中国の手先」との情報工作進める
普天間飛行場の辺野古移設に反対する翁長雄志(おなが・たけし)・沖縄県知事に対し、徹底した会談拒否方針を貫いてきた安倍政権だったが、急遽、方 針を一転させて菅義偉・官房長官が沖縄を訪問。翁長知事と会談した。基地移設について「粛々と進めていく」と語る菅官房長官に対し、翁長知事が「上から目 線」だと批判をすると、菅氏はすぐに「粛々と」は封印すると語った。
 宥和姿勢を装う裏で、政府側は翁長知事に対する情報工作を進めている。本誌が昨年12月、沖縄知事選の情勢を取材していると、複数の公安や内閣情報調査室(内調)の関係者から「翁長の疑惑を何か掴んでいないか」という探りが入った。同時期、別の情報機関の関係者が沖縄県に入り、翁長氏の当選を阻むための スキャンダルを探し回っていたという証言もある。
 結局、翁長氏は仲井眞弘多(なかいま・ひろかず)氏に大差をつけて勝利したが、辺野古移設問題が暗礁に乗り上げるやいなや、虚実ないまぜのネガティブキャンペーンが展開された。「翁長は中国と近すぎる危険人物」という情報である。
 一つが、那覇市の若狭緑地に建設中の中国風のモニュメント「龍柱」をめぐるものだ。市の都市計画マスタープランでは、那覇西地域で「中国とのゆかりが深い歴史性を生かしたまちづくり」を推進。
 福建省・福州市との友好都市締結30年を記念し、「那覇の新しい玄関口としての魅力を高めたい」と龍柱建設を計画した。それは翁長市長時代に決められた プランであり、「翁長氏に中国側から賄賂が流れた」という怪情報が地元で流されているのである。加えて「龍柱が完成したら、龍の目は上海を向く」というイチャモンのような話も広められた。
 菅官房長官の沖縄入りと前後して、情報工作はさらに熱を帯びた。 「翁長知事の娘は長く中国に留学していた」 「娘は、上海市政府に勤める中国人と結婚している。相手は習近平人脈に連なるエリート共産党員だ。中国に行ったままなかなか帰国を認めてもらえない。人質に取られているも同然だから、基地問題で中国寄りの姿勢をとらざるを得ない」
 そんな内容で、一部のネットメディアにリークされ、同じタイミングで自民党議員や番記者たちも噂を広めていた。それがネトウヨたちに転載されて一気に広がった。
 しかし実際は、娘は結婚も留学もしていない。「龍の目が上海を向く」も、単に空港からの車の流れや港に着く船からの人の動線を考慮して「海側に向けられただけ」だった。
 さらに、翁長知事が福州市から「名誉市民賞」を受けているとする情報も広がっている。だから「中国寄り」というわけで、やはりこれもネットで「売国奴 だ」と批判の対象になった。名誉市民賞は事実だが、実態は友好都市として歴代那覇市長と福州市幹部が「名誉市民」の称号を交換してきた歴史があるだけだ。
 安倍政権は「情報収集能力強化」を謳うが、この程度のお粗末な情報工作に手を染めているようなら、児童会選挙のスパイごっこレベルである。何より、沖縄の市民感情も日本の国防も本気で考えていない証左になる。 ≫(週刊ポスト)


そして、最後に厄介な連中が、翁長知事の真意への疑念者たちだ。この人たちは、辺野古基地反対の立場は同じなのだが、翁長知事の方法論が気に入らないと云う人々だ。リベラル系な人々に多く見られる困った人たちなのだが、大同団結の妥協と云うものを知らないので基地賛成派の人々以上に厄介だ。今回の安倍晋三との会見も「安倍・翁長会談は安倍訪米のアリバイづくりに協力するだけの意味しかない」と翁長知事への疑心暗鬼を披露するのだが、翁長雄志知事が知事選で勝利した知事なのだから、民意に沿っている。

筆者の見立てでは、単に、基地問題に限らない、沖縄(琉球)のアイデンティティをコアに戦略化された手法を選択しているのが、翁長知事なのである。一見、遠回りな方法論に見えるが、保守としての矜持の道を踏み外さず、目的を達成しようと云う試みは、骨太に見える。ちゃらちゃら世相に簡単に阿らない点で武骨で無口な武者を想起する。

翁長氏がTwitterで呟く言葉には、琉球の魂的言葉が淡々と語られている。黙って読んでやり、本土の日本人が、自らの良心の鏡に照らして、本気で考えてみることだ。日本人は素質があるとか、一流国家だとか言う前に、人の話を聞いてみるものだ。

■翁長氏のつぶやき

翁長「ぼくは自民党県連の幹事長もやった人間です(中略)ただ、自民党でない国民は、沖縄の基地問題に理解があると思っていたんですよ。ところが政権交代して民主党になったら、何のことはない、民主党も全く同じことをする」

翁長「もう折れてしまったんです。何だ、本土の人はみんな一緒じゃないの、と。沖縄の声と合わせるように、鳩山さんが『県外』と言っても一顧だにしない。沖縄で自民党とか民主党とか言っている場合じゃないなという区切りが、鳩山内閣でつきました」

翁長「振興策を利益誘導だというなら、お互い覚悟を決めましょうよ。沖縄に経済援助なんかいらない。税制の優遇措置もなくしてください。そのかわり、基地は返してください。沖縄で在日米軍基地の74%を引き受ける必要は、さらさらない」

翁長「よく聞かれるよ。自民党政権になっても辺野古移設に反対ですかって。反対に決まっている。オール日本が示す基地政策に、オール沖縄が最大公約数の部分でまとまり、対抗していく。これは自民政権だろうが何だろうが変わりませんね」

翁長「沖縄にすべて押しつけておいて、一人前の顔をするなと言いたい。これはもうイデオロギーではなく、民族の問題じゃないかな。ぼくは分かった。ヤマトンチュになろうとしても、本土が寄せ付けないんだ」

翁長「寄せ付けないのに、自分たちの枠から外れると『中国のスパイだ』とかレッテルを貼る。日本の47分の1として認めないんだったら、日本というくびきから外してちょうだいという気持ちだよね」 ≫( 以上翁長知事Twitter抜粋 )


17日、翁長氏と安倍首相が、お互いに仁義を切るような会談をしている頃、BBCのクルーが、辺野古の海上保安庁の暴力的取締りの現状を取材に訪れた。BBCクルーが乗船しているとも知らず安倍政権の犬と化した海保が、当該抗議船に乗り込んできた状況が、つぶさにビデオ撮りされたようだ。安倍が訪米で、オバマに嘘っぱちを言わせない為、オバマに事前に情報を提供するために、近々画像を放映するようである。海外メディアに頼らないと、日本の民主主義らしいものさえ守れないのだから「情けない」のひと言だ。

いずれにしても、翁長知事にしてみれば、問題がこじれれば拗れるほど立場は有利になる。世界の目が、日本の沖縄県の米軍基地問題から、「琉球の領地と民族」を、植民地化政策で掠め取った「日本」と云う構図が浮き彫りになる。辺野古埋め立てに関して、仲井真県政において承認事項に瑕疵があったと指摘、司法の場に持ち込むのが最高のシナリオだ。中国、韓国ロビーストはじめ、欧州勢が加担するのは明らかで、世界のメディアを安倍官邸がコントロールすることは不可能だし、オバマも腰を引くだろう。アメリカのメディアを動かす前に、欧州勢と中国勢に火を着けておくことが肝心だ。そのような展開になれば、安倍官邸に辺野古埋め立て工事を実行する力はなくなる。もしかすると、政権自体の存続にも影響が及ぶだろう。

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