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我が社の留学生雇用に入管法違反の疑惑浮上

2016年02月02日 01時33分49秒 | 職場人権レポートVol.3


 私の勤務先で、また新たな問題が浮上しました。それが表題の内容です。
 私の勤務先は大阪市××区にある××××物流センターで、私はそこで構内作業に従事している請負企業、(株)××産業の契約社員です。
 そこでも最近は、他の物流センターと同様に、多くの外国人労働者が人員不足の穴埋めとして働かされるようになりました。その外国人労働者の多くは、社外のあっせん機関から派遣された留学生です。
 外国人労働者は、入管法(出入国管理及び難民認定法)の規定により、単純労働に従事させる事は出来ませんが、技能実習生や留学生に限り、訓練や学業に支障を来さない範囲で、単純労働に従事させる事が出来ます。その範囲の上限が、週28時間(訓練機関や学校が長期の休みに入る間については1日8時間)です。

 その留学生も、今まではピンチヒッターみたいな扱いで働いてもらっていましたが、次第にその人数が増えるに従い、私たち日本人のバイトも、彼らの勤務シフトを把握する必要に迫られるようになりました。そこで、社員に頼んで、今年からは私にも外国人留学生の勤務シフトを配布してもらうようにしました。
 もちろん、留学生10名全員が私の担当する作業場に配属される訳ではありません。せいぜい多くても3名までです。しかし、配属される顔ぶれやシフトも大体固定されているので、全体のシフト表があれば、当日配属される人数やメンバーもおのずから分かり、作業の段取りも立てやすくなります。

 そこで、先日、上記の2月分の勤務シフトを社員からもらったのですが、色々と不備な点が見つかりました。
 まず第一に、留学生の一人グェン・ヴァン・チュー君(仮名)がきゅうきょ母国のベトナムに約18日間帰省する事になり(2月4日~21日)、その間、非常に人員が手薄になります。2月3日、10日、17日、24日に至っては、14時から16時まで、留学生バイトが誰もいなくなります(上記勤務シフト表の赤枠部分)。その他の日も、女性の留学生が1人だけの日が大半を占めるようになります。一応は、他にも遅番(16時ないし18時始業)のバイトや日本人の応援バイトもいますので、彼らの手を借りて何とかしのぐ形にはなると思いますが、それでも仕事が非常にきつくなるのは確実です。

 でも、それだけなら、まだ他の職場でもよくある話です。
 問題は第二です。これが表題の入管法違反疑惑です。
 上記の勤務シフト表に、全く同じ名前で、女性と男性の形で、それぞれ別のシフトが記載されている箇所があります。※印の箇所です。
 そこには、グェン・ティ・ビン(仮名)の名前で、ある日は14時からのシフトに女性として、また別の日には18時半からのシフトに男性として記載されています。私は最初、これは同姓同名の別人物かと思っていましたが、社員に聞くと、何と両方とも、私もよく知っているベトナム人女性留学生のビンさんでした。この両方のシフトを合計すると、週当たりの労働時間は28時間を軽く超えてしまいます。

 なぜ、こんなおかしなシフトが組まれてしまったのか。ただの単純ミスだけなら、どんなにいい加減な会社でも、数ヶ月もこんな誤った表記が是正もされずに今まで放置されるはずはありません。当のビンさん本人から、必ず是正依頼が出されるはずですし、他の留学生バイトからも、不正確なシフトのままでは作業に穴が開きますから、必ず抗議の申し入れがあるはずです。それがなぜ、今まで放置されていたのか。実際は週28時間を超えて労働させなければ仕事が回らなかったり、当人がどうしてもお金が欲しいなどの理由で、違法状態が見逃されてきたのではないか。

 他にも、定休(公休)ばかりで全然、有給休暇取得の実績がないなど、おかしな点がありますが、それを言い出せばキリがないので、とりあえずは、第一と第二の点に絞って、明日にでも社員に問いただしてみたいと思います。
 そこで、もし週28時間超がビンさん自身の意向でもあるなら、違法ではあってもそれなりに事情もあるだろうから、私も多少は目をつむろうと思っています。ただし、その労働時間超過が会社都合によるもので、当人に無理やり長時間労働を強いた結果であるなら、私も見て見ぬふりは出来ません。外国人留学生に対する違法労働や搾取を見逃していると、私たち日本人バイトも、いつ何時、同じような扱いをされないとも限りませんから。

(参考記事)

不法就労助長 留学生就労先50社 日本語学校会長ら容疑逮捕 福岡(毎日新聞2016年1月24日 東京朝刊)

 外国人留学生に法で定められた制限時間(週28時間)を超えて働かせた疑いが強まり、福岡県警は23日、日本語学校「JAPAN国際教育学院」(福岡県直方(のおがた)市)の会長で実質経営者の上野末次(すえつぐ)容疑者(57)=直方市古町=ら3人を出入国管理法違反(不法就労助長)容疑で逮捕した。3人があっせんした就労先は約50社に及び、複数の場所で働かせて長時間労働を可能にしていた。県警は学校を家宅捜索するなどしてシステムの解明を進めている。
 他に逮捕されたのは、理事長の有村ひとみ(52)=同市感田=と副理事長で上野容疑者の妻さとみ(47)=同市古町=の両容疑者。県警によると、3人は容疑を否認している。
 逮捕容疑は、3人は2015年4月下旬~11月中旬ごろ、ベトナム人留学生4人に複数のアルバイト先を紹介し、週28時間を超え就労させたとしている。県警は19~24歳の留学生の男4人についても同法違反(資格外活動)容疑で逮捕した。4人は容疑を認めている。
 留学生の就労は原則として禁止されているが、学費などをまかなう目的のアルバイトは入管当局の許可を得れば、週28時間まで可能だ。
 捜査関係者によると、4人も許可を取り、地元の食品加工工場などで働いていた。個々の就労先でのアルバイトの時間は週28時間以内だが、複数のアルバイトを掛け持ちし、上限を超える週31~72時間就労していた。学校には現在、ベトナム人やネパール人ら約180人が在籍しており、県警はほとんどが制限時間を超えて働いていたとみて捜査する。【吉住遊、菅野蘭】
http://mainichi.jp/articles/20160124/ddm/041/040/111000c
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4 コメント

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その後の経過 (プレカリアート)
2016-02-03 07:55:52
 あれから、うちの会社の副所長に、この留学生バイトの勤務シフトの件で、女性なのに遅番シフトの方の性別が男性になっている点と、早番の方と両方合わせれば週28時間の労働時間制限を超えてしまう点について指摘しました。そうしたら、早速、所長が留学生の派遣元に電話して、「入管法を逸脱するような勤務シフトは認められない。すぐにシフトを組み直すように」と、釘を刺してくれました。そして、「シフトの不備を見つけてくれて有難う」と、所長からも感謝されました。

 ただ、私の心境は少しばかり複雑です。
 本当に派遣元がこの留学生に長時間労働を強いていたら、こうするしかなかったのでしょうが、もし、この留学生もお金を稼ぎたくて、派遣元に頼んでこんな形にしてもらっていたのであれば、何もわざわざ、それを部外者の私がぶち壊すような事をしなくても良かったのではないか、という気持ちもあるのです。
 いくら入管法に違反しているからと言っても、別に誰にも迷惑をかけていないのだから、これ位、見逃してあげても良かったかも。それを、いくら現実にそぐわない、不備のある法律であっても、「悪法も法なり」の一言で片づけて良かったのか。今でも疑問に思います。

 でも、その一方で、もし、ここで私が見て見ぬふりをしていたら、この留学生自身も、いつか入管当局に逮捕されて、強制送還の憂き目に遭うのは確実ですし、下手すれば派遣元だけでなく、うちの会社や私自身も不当就労ほう助の疑いで逮捕されないとも限らない。
 そもそも、同姓同名の名前が二つ勤務シフトに並んでいて、片方が女性で片方を男性にしただけで、入管当局の目を逃れられると思っていたら、余りにも発想が安易です。相手はプロなのですから。そんな子供だましみたいな事をしても、余計に当局の心証を悪くするだけです。そう思うと、やはりこうするしか仕方がなかったのかなあと思います。
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Unknown (バッジ@ネオ・トロツキスト)
2016-02-03 11:53:17
うむ、違法性の摘発か、それとも善意の押し売りか、オレもむかしアメリカで潜りバイトしていた経験あるからビミョーwww

善意の押しつけも、「不法滞在」や「不法就労」の密告に過ぎなかったりすると・・・・・

この世は難しいね。
返信する
清濁併せ呑む (プレカリアート)
2016-02-05 19:21:32
 この件で、所長が私に「シフトの不備を見つけてくれて有難う」なんて言ってくれても、やはり裏では「まさか、バイト風情に、入管法違反の事実を指摘されるとは思ってもみなかった」としか思っていなかったのではないかと、今は少々疑心暗鬼になっています。
 その理由は、私が副所長に「留学生の勤務シフトの訂正版を早く下さい」と催促した時に、副所長から「なるべく早めに出してもらうようにするけど、派遣元に確認したら、別に就労時間が週28時間を超えてもOKみたいだよ」という返事が返ってきた事と、それに続いて「××さん(私の本名)、いつもマニュアルとか作ってくれて有難う。もし××さんの作ったマニュアル集のファイルをUSBメモリに入れて渡してくれたら、会社の方で印刷してパウチ加工して現場に掲示しますよ」と言ったからです。

 この副所長の言を素直に取れば、私が今までボランティアでやっていた仕事を、会社が引き継いで正規に業務としてやってくれるという事ですから、まさに願ったり叶ったりです。しかし、この言をひねくれて捉えると、暗に「バイト風情がそこまで出しゃばるな」と言っているに過ぎないのではないか。
 もちろん、これはあくまで私の推測です。何の根拠もありません。余りにもひねくれた捉え方ではないかと、自分でも思います。しかし、その場の雰囲気で、それを何となく感じました。

 でも、私は「もうそれでも良いのではないか」と、今では思い始めています。もし、これが公害垂れ流しや粉飾決算、食品偽装、サービス残業・過労死・パワハラなどの隠ぺい事件であるなら、迷うことなく告発するのが正義です。しかし、こと、今回の件に限っては、別に留学生のうちの一人の就労時間が週28時間を超えても、入管法に違反するというだけで、別に誰に迷惑をかける訳でも、誰かの人権を侵害する訳でもありません。ブログで紹介した福岡の事件も、あれは学校ぐるみでやっていたから事件になったのであって、一人や二人ならそんなに問題にはならなかったのではないでしょうか。

 実際、このコメント欄以外でも、読者の方からメールで今回の件に対する感想をいただいたりしています。その方は難民救援のボランティア活動に携わっておられる方ですが、「難民に職をあっせんしようにも、残念ながら、ブラック企業みたいな働き口しかないのが現状だ。でも、そこをブラックだからと言って断ってしまうと、もう後がない。たとえ労働基準法に違反しているような職場でも、その人が取りあえず生きていく為には紹介せざるを得ない」という事をおっしゃっていました。

 この論理は確かに「諸刃の刃」となる危険性があります。この論理で行くと、貧困ビジネスも「必要悪」として許容されかねません。でも、時と場合によっては、そういう「清濁併せ呑む」選択を迫られる場合もあるという事を、今回の件から学びました。 
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バイト風情の力 (プレカリアート)
2016-02-06 12:26:33
 でも、それでも今回、留学生の勤務シフトの不備を会社に指摘してあげて良かったと思っています。前にも言いましたが、会社からすれば、まさかバイト風情から入管法違反の事実を指摘されるとは思ってもみなかったでしょうから。

 この外国人雇用の件一つとっても、会社の仕事に対する姿勢は余りにも安易です。朝礼で連絡一つせず、いきなり外国人バイトを現場に投入しだすわ、日本語もろくにしゃべれない人を、いきなり私たち日本人のバイトに押し付けて、「後はよろしく」とばかりに遁走(とんそう)するわ、日本語もろくにしゃべれない人に、「あれ」や「それ」の説明もろくにせずに、「あれやれ、これやれ」と、ただ命令するだけで、自分からは何もしないわ、相手にあれこれ偉そうに命令するだけで、全然、相手の事も相手の国の事も学ぼうとしないわ・・・。

 外国人ともコミュニケーション取ろうと努力している社員も中にはいますが、そんな人はホンの少数で、ほとんどは前述のような社員ばかり。その中で、私が、外国人留学生の勤務シフトの不備を突いた事で、一石を投じる結果になれば、今回の事も無駄ではなかったのかなと思っています。

 だから、副所長から、暗に「バイト風情が出しゃばるな」と言われたように感じた時も、「せっかく会社の方で外国人向けの作業マニュアルを作って下さるのでしたら、私のような素人が作った、ただ漢字にルビを振っただけのマニュアルではなく、ベトナム語やアラビア語も併記した、完璧なものを作って下さいね」と返してやりました。そうしたら、副所長、頭を抱えていたww。
 そりゃあ、そうでしょう。外国人留学生の中には、ベトナム人だけでなく、サウジアラビア出身のアラブ人女性もいるのですから。今や、街中のコンビニや、大阪・難波の黒門市場で角刈りのアンちゃんがたこ焼き焼いているような屋台でも、ちゃんと外人観光客向けに中国語の案内板やメニューを用意しておかなければやっていけない時代なのですから。
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