アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

清貧でも営利主義でもなく人間らしい生き方を

2007年06月22日 23時43分08秒 | 一人も自殺者の出ない世の中を
 コムスンの介護報酬不正請求問題に端を発して、親会社グッドウィルの阿漕な商法が世間の指弾を浴びています。このグッドウィルという会社ですが、元来はあの有名な人材派遣企業で、偽装請負やデータ装備費名目での派遣給与ピンハネでも悪名をとどろかせています(詳細はグッドウィル・ユニオンのブログを参照)。

 まあ「労働者、とりわけワーキング・プアの敵」ともいうべき企業です。オリエモンこと折口会長の「ズルやピンハネで得た」自家用機・プール付豪邸を見るにつけても、「偽善的な中庸論など有害無益、水に落ちた犬は徹底的に叩け」・・・と最初は私も思っていました。これは世間もそう思っていた訳で、かくして誰も彼もがコムスン・グッドウィル・オリエモンを叩き始め、非常に分りやすい悪役叩きの構図が出来上がりました。そんな中でふと目に付いたのが、下記の記事でした。

・現場から:「清貧」の押しつけ/神奈川(毎日新聞)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kanagawa/news/20070620ddlk14070491000c.html
・あえぐ福祉:福祉の担い手不足解消には…日浦・訪問の家理事長に聞く/神奈川(同上)
 http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/kanagawa/news/20070620ddlk14040485000c.html

 コムスン・グッドウィル・オリエモンが悪いのは当然ですが、これらだけをスケープゴートに仕立て上げて、それで溜飲を下げさせて一件落着を図り、その背景にある介護報酬の引き下げ問題や、今の介護保険の貧困な実態や、その下で蔓延する3K労働の問題までは言及しない。
 大きな需要があるにも関わらず、「保険あって給付なし」の抜け穴だらけの保険制度の所為で利用が伸びず、採算割れの施設が続出。介護という専門職かつ重労働を担いながら、完全歩合制で移動・待機時間も全て無給、月の手取りは僅か10万円少しにしかならないという現実。それらの問題を全て等閑にしたまま、コムスンの問題を徒に経営者個人の道徳や倫理観の問題に矮小化してしまい、最後には「介護・福祉はかくあるべき」という一種の「聖職論」に流し込んでしまう。なまじっか相手が弱肉強食の新自由主義の権化であるが故に、ついついそういう陥穽にはまり込んでしまう所でした。

 そういう意味では、下記の提起は重要だと思います。特に「風の旅人」さんのブログで取り上げている、「散歩の付き添い」など現在では無報酬とされているサービスに対する適正評価の問題や、そういうサービスも含めて、余裕のある介護が出来るような労働・生活をどうしたら作り出していけるか、という、ディーセント・ワーク(人間らしい働き方・生き方)とも関わる問題については。

・コムスン(グッドウィル)叩きに狂奔するのでは無く、介護・福祉分野全般に目を向けた議論を(ある国際人権派の雑食系ブログ。(仮))
 http://blog.livedoor.jp/zatsu_blog/archives/51509241.html
・コムスンの問題(風の旅人 編集便り)
 http://d.hatena.ne.jp/kazetabi/20070613/1181731805
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1 コメント

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ただ難しいのは… (まこと)
2007-06-23 06:49:24
ただ「聖職論」で難しいのは、介護ワーカーの人達自身の中には「介護の世界で賃金のことを言うのは余り良くないこと」「自分は介護が本当に大好きでやっている、カネのためじゃない」と考える人がいて、介護労働の待遇是正を叫ぶ人の声を当の介護ワーカーが押さえ込んでしまう「空気」があることなんですよね。

ただ、現状の介護ワーカーの待遇が介護の人材不足・質の悪化(すぐに辞めてしまう人が多くて人材が育たない)の原因のひとつだとは思いますし、やはり「聖職論」に流し込むのは良くないと思いますね。
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