5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

デジタル教科書元年

2019-04-15 21:10:54 | 学習

「本好きには二通りあって、捨てられない派と持たない派だ。前者は、新刊本はもとより、古本や雑誌も含め、ひたすら溜め込む。もっぱら図書館や近年急速に普及した電子書籍を利用して、ほとんど私有しない」

「ヤドカリ」と題した今日の中日夕刊「紙つぶて」コラムで金沢21世美術館館長の島敦彦氏がこう書いている。

島氏本人はどちらかといえば、本のみならず何もかも捨てられない派だったようで、これまでに集めた展覧会図録、DM、チラシ、新聞切り抜き、映画パンフなど、ファイル130冊に整理して手元に残してあるのだという。今でもそれを眺めれば当時の有様が鮮やかに蘇る。生涯に一度も宿替えができないヤドカリの気分だとおっしゃるのだ。

そんな「持たない派の電子書籍」がいよいよ公教育の中でも使われるようになるらしい。NHKが報道している。

この4月からは、タブレット端末を使ったデジタル教科書(検定教科書と同一内容)を学校で子どもたちが使用できるようになったのだという。これが普及していけば、教育現場は大きく変わるだろう。

取材は教育のデジタル化に積極的な埼玉県戸田の小学校。すでに去年から、教科書会社と協力してデジタル教科書の研究を始め、新学期からは4年生と5年生の授業で活用し始めた。国語の授業では新美南吉の物語を素材にし、児童たちは文章のカットペーストからフォントや色の変更までを巧みに行いながら相互学習を行ったという。日頃デジタルゲームで遊ぶ彼らだ。タブレットの利用など朝飯前といったところだろう。

「タブレットがあることで子どもたちの集中力が全然違うなと感じました。教員も説明するだけの授業だけではなく、子どもたちの自主的な力を引き出すような進行役としての役割が求められていると思いました」という教師のコメントは、デジタル教育における彼らの役割を予想させる。

今年は「5G」という新しい高速通信モードの元年でもある。大容量・高画質の情報を高速で配信できる電子技術は教育分野にも展開が期待できる。そのうち、超細密映像をつかってロボットが児童たちに語り掛ける教科書というのも現れそうだ。

自治体の理解と予算化、校内LAN環境の整備、カリキュラム改善など前提条件の充足などを踏まえてデジタル教科書の導入に勢いがつくまでの助走にはしばらく時間がかかるのだろう。デジタルデバイドは生来「持たない派」の多い児童生徒たちより、「捨てられない派」が生き残っている教育委員会や教師たちの間で問題化しそうだ。



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