5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

修能と共通

2019-11-14 22:01:51 | 学習

今年最初に寒波注意報が出た今日の韓国。ソウルは日中も気温はあがらず寒さが続いたという。

タイムラインには「修能寒波だ」「寒さに屈せず頑張れ」というツイートが多い。今日は「韓国人の人生を決める運命の日」ともいわれる大学修学能力試験、いわゆる共通テストの当日なのだ。英語でいえば CSAT(college scholastic aptitude test)である。

この日は例年寒い一日になるというジンクスがあるそうだが、今年もその通りになったようだ。54.8万人の受験は過去最低。1999年には87万人の受験があったものが、50万台にまで落ち込んだわけだが、これは少子化進行を如実にあらわしているという新聞報道もあった。

それでも全国1100以上の試験会場で、国語、数学、英語、など5科目の試験が午前8時40分から午後5時40分まで行われた。高学歴最優先の社会事情を強く反映して、家族総出で試験に臨む受験生たちの為に、サラリーマンたちは通勤時間を遅らし、株式市場も1時間遅れで始まり、英語のヒアリング試験中は上空の飛行制限も行われるといった、いわば国家行事といえるほどの受験協力体制を敷くという大騒ぎがあったというわけだ。開始20分前にエレベーターに閉じ込められた受験生をパトーカーが搬送して試験時間に間に合わせたというニュースも読めた。

ウイキによると、この修学能力試験は、大学共通の入学試験で、韓国教育課程評価院(試験開発を目的とする政府出資の非営利団体)がその実施と管理を行っている。大学教育に適した能力を受験者が有しているかを高校のカリキュラムに沿って測定する「修能」は、4年制大学の志願者のほとんどに受験の義務が課せられる。希望大学の二次試験や内申書の評価もあるが、この「修能」が入学判定の最大比重を占めているから、その結果に受験生たちが一喜一憂する理由である。

韓国の「修能」は日本でいえば「大学入学共通テスト」だが、その発展形として文部科学省が進めようとしている英語試験の民間委託とスピーチ力判定や国語と数学試験の記述式設問には、さまざまな問題がありそうだと、その採用に反対する声が大きくなっている。ならば「集能」はどんな形態をとっているのだろうか。

ウイキにはこうあった。

教育課程評価院が委託した問題作成委員(大学教授、高校の教員も一部参加)が試験問題の作成にあたり、試験前1ヶ月程で作題から検討、印刷、実施までの工程を網羅するのは、機密保持の為だ。民間業者が参入する機会はないわけだ。

数学(30問)も国語(40問)も記述を求める設問はない。英語(45問)には聞き取り(17問)が含まれるが、会話力の設問はない。

解答は全てマークシート方式で、指定されたペンで塗り潰して解答する。

要するにすべてが答えはひとつの「客観回答」を求めるのが韓国の修能なのだろう。一方で、個人の幅広い能力を試す為にと「主観回答」を入れようとするのが文科省の入試共通テストの改革案なわけだ。一見すると韓国が古くて日本が新しいようにも思えるが、実際はそうではなさそうだ。

個人能力の評価というのは云うほど簡単なことではない。表現力の差というのも人によって様々なわけだから、英語を話す表現力にせよ、数学論や文学を書き表す表現力にせよ、それを点数評価することは実際不可能ではないのだろうか。評価を下す側の能力差もあるわけだから、公平性を確保することは不可能に近い。

韓国の修能が無事に終わったというツイートを読みながら、何かに急かされているように見える日本の大学教育改革、不安定さの見える入学共通テストの行方とその対策に頭を痛める日本の高校生の不安な心情を想像している。





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