5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

柿渋搾り

2020-09-07 21:24:03 |  文化・芸術

台風10号は九州の西岸を北上、五島、対馬から釜山を抜けて、7日午後6時現在は日本海上にある。最大風速は35m、気圧は970HP、時速45kmとスピードをあげて、韓半島東岸を北北西に向かっている。強風域の外縁がかかった東海地方は強い風雨が間歇的にやってくる蒸し暑い一日になった。

一方、コロナの感染確認は、名古屋市で15人、岡崎市で1人、豊田市で1人、他の市町村で4人の、あわせて21人で、累計では4730人となった。家族と高齢者施設でクラスター発生が確認されている。

昨日は「栗の秋」を書いたが、今日は「柿の秋」はどうだろうか。

中日の福井の地元ニュース欄に「柿渋」に関する記事を見つけた。リードは「昔ながらの装置で柿渋搾り作業再現 鯖江で保存会ら」とある。

柿渋には、防虫効果、防腐効果、防水効果などがあるといわれ、ちょうどいまごろになると、柿渋を家壁の表板に塗って保守をしていた父親のイメージを思い出す。自分自身は、甘柿だと思って齧ったら渋柿で、柿の渋がいつまでも口の中に残っていたあの感覚が戻って来る。

漆塗りの下地に使ったという柿渋。ニュースは、鯖江にあるうるしの里会館で行われた「渋下地」に用いる柿渋を搾る作業について伝えている。

ウイキによると、「柿渋は、渋柿の未熟な果実を粉砕圧搾し、それを発酵・熟成させて得られる抽出液。赤褐色の半透明の液体でタンニンを多量に含む」とある。

越前漆器では、江戸の昔から昭和三十年代ごろまで、下塗りに渋下地が使われていたというが、今では廃れてしまった。見ることのなくなった「渋下地」の伝統技を、後世に伝えようというこの取り組みは、河和田塗り越前漆器保存会が、越前漆器の県無形文化財指定を目指した活動らしい。

参加した保存会メンバーや伝統工芸士たちは、すでに潰して発酵させておいた多種類の渋柿36キロ分を、昔ながらの装置を使って柿渋を搾った。写真でみる木製の搾汁機は、胴に数珠を巻き付けたようなおもしろい形状だ。渋下地はなくなっても、捨てられずに残っていた昭和の遺物というわけか。

搾られた柿渋は、2~3カ月発酵させた後、炭の粉を混ぜて下地用の塗料を作り、椀木地に塗る作業を行うのだという。一連の作業はビデオ動画にして残すというが、これも無形文化財として必要な記録資料であり、未来に遺すべきものだろう。
 


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