5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

初夏の青岬

2013-05-31 22:03:41 |  文化・芸術
巨大地震の発生可能性が噂される。

この地方でも大型の地震は1945年の三河地震以来70年近くも発生がないのだから、もはや起きて当然と云えるのかもしれない。

昨日のNHKニュースには、愛知県はM9以上の巨大地震と津波による被害想定を市町村別に試算し中間発表したという報道をしている。死者は県全体で2万3千人。そのうち名古屋市が4600人、豊橋市が2800人、南知多町が2300人など。

南知多は人口比でいくと11.2%になるというから物凄い。次いで美浜町が2.4%、田原市が2.2%と続く。これら3市町はいずれも海沿いだから、津波による被害が大きいということだろう。建物被害は県全体では38万棟、破壊される住宅割合が30%を越える自治体が10あったという。これが何処かが表示されていないが、我が町のリスクも当然ながら高かろう。

話の枕が思い材料になったが、坪内稔典の「季語集」に、夏の季語として《青岬》が上げられていることから、南知多やら美浜やら田原といった知多半島、渥美半島の地名に気持ちが跳んだというわけだ。

青岬とは、青田や青野のように、夏の岬のことで、坪内は《土佐俳句歳時記》にこの季語を見つけたのだというから、全国的なものではないのだろうか。愛媛生まれの坪内はやはり夏の佐田岬のことを頭に描いたようだ。佐多岬も青岬ぶりが良いぞと自慢げである。やはり、佐多岬出身の富沢赤黄男の句を引いている。

「潮すずし 錨は肘をたてて 眠る」

入り江の小さな漁港風景。放置された錨、魚網、貝の殻。そばにはかたばみの黄色や薄紅の花が群がっている。青岬にはかたばみの花がよく似合う、と坪内は書いている。

南海トラフは四国沖まで伸びているのだから、知多や渥美半島と同様、佐田岬も地震や津波の被害が想定される処なのだろう。南知多に住んでいるYさんの顔を思い浮かべた。全国の美しい《青岬》が突然の地震や津波で崩れ落ちることのないように祈るしかないようだ。

「灯台の 白の垂直 青岬」 (田村一翠)








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