宮崎では、多くのバームクーヘンを見てきた。
と言っても、お菓子のバームクーヘンではない。木材の木口の年輪を見て、「バームクーヘンみたいだ」という感想が出たことに由来する。年輪幅が広い点が、バームクーヘンのように見えるからだ。もちろん悪口である。
悪口と言ったとおり、年輪幅が広いのは、一般的には嫌われる。密な年輪がびっしり詰まっている木材ほど美しく、強度も強いとされるからだ。そして値も高い。一方で年輪が詰まっていないのは、早く生長している証拠だから、材質は柔らかい。
宮崎は湿潤温暖でスギがよく育つ。だから太るのが早くて年輪幅が広い。奈良では60年70年ものの木が、こちらでは樹齢40年だったりする。それだけに短伐期に向いていると思えるが、それ以上に思ったのは、
「年輪幅が広い方が美しいのではないか」
ということだ。木目とは、年輪の妙なる曲線で描かれるが、びっしり詰まった幾何学文様よりも、ゆらゆら揺れている年輪の方が自然な感じがする。
加えて、柔らかい材質ということは、湿気をよく吸収するだろう。肌触りもよい。
研究施設では、圧密処理で柔らかいスギ材を固くする研究をしていたが、柔らかいことを売り物にしなさい(^o^)。年輪幅の広がっていることを美しいと宣伝しなさい。