郷土史家?を訪れた。
そこでいろいろ資料を提供していただいたのだが、話を聞くと、彼自身の家もかつての名家で山林地主だったらしい。ただし、3代前に逼塞(没落)したという。
その彼がいうのだが、「山林所有者なんて、どんどん変わっているで」
つまり、よく先祖代々の土地という言い方するが、結構いい加減なのだ。山林も農地も昔からわりと簡単に取引対象になっていて、持ち主が変わっている。それも何代目が女に博打に放蕩して家財を失ったという話はごまんとあるそうだ。逆に何か商売で当てて、その金で山林や農地を買うケースも少なくない。
何も推測で言っているのではない。「家の古文書見ていたら、江戸時代初期の山林の取引なんぞが出てきた」と現物の古文書を山ほど広げて見せてくれる。
「先祖代々受け継いだ」土地が、たった3代前のものだったりするのだ。
山村・農村は、人の出入りが少ないというのもウソ。かなり入れ代わっている。ある村の過去帳を調べたら、江戸時代から続いている家は一軒もなかったそうだ。昔からIターンも受け入れている。分家と入れ代わったりすることもある。
そろそろ土地神話を打ち破って、山林・農地の流動化を進めるべきではないか。
ちなみに、この郷土史家は、宝の山の文献を、「もう捨てる」という。