森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

木材流通の盲点

2006-03-06 14:22:59 | 林業・林産業

最近忘れがちだが、このプログは『だれが日本の「森」を殺すのか』を元にしたものだった(笑)。そこで、例の吉野巡りの際に感じたことを一つ。

これまで国産材の流通の問題点を指摘してきたのだが、それを突き詰めると「在庫がない」という点に集約される。だから注文にすぐ応じられない。安定供給できない。流通コストが割高になり、それが国産材の最終価格も吊り上げる。
そこで私は、巨大な木材ストックヤードを作れないものか、と考えたりもした。

ところが、流通の専門家に言わせると、反対らしい。流通コストのもっとも大きな部分は、決して運搬コストではないそうだ。コストが膨らむ要因は、まずマージンを稼ぐ中間業者が多いことだが、もう一つ在庫コストの問題が大きいらしい。

つまり、いつ売れるかわからない在庫を抱えていることで、コストが引き上げられているのだそうだ。逆に言えば在庫管理によって最小限の在庫で済ませると、コストはぐんと下がる。トヨタの看板方式だって、その考え方だ。

木材の場合は、転売を重ねて所有権の移転を行うため、さらに各所で在庫が行われ、コストが上積みされる。結果、「誰も儲かっていない」状態にある。誰かがごっそり儲けているわけではないのだ。

改めて考えてみると、木を伐ってからそれが建材となるまでに乾燥も含めて約1年見込まなくてはならない。しかし、家づくりも設計から考えると、約1年かかる。つまり、うまくマッチングさえすれば、在庫が少なくても支障なく木材の供給が行えるはずだ。大きな在庫は必要ない。家づくりの計画が持ち上がってから山で木を伐っても間に合うのだ。木材流通に、看板方式を!