大きな声を出して看護師に詰め寄る患者が続出した時期がありました。通常でもそういった類はあるんですが、今回の入院の際には連日続いてあったんです。
看護師はそうしたクレームに丁寧に忍耐強く説明します。同じようなことを言葉を変え、相手にわかりやすく説明します。医療スタッフはそれを“説得”と呼んでいました。説得は簡単に成功するものではありません。多くは患者の納得を得られず紛糾するのです。
そんな状況でも看護師の説得は続きます。患者が根負けして収まる場合がありますが、納得が得られず1時間以上も続くこともあるんです。
一度などはその説得が深夜に及び、他の病室の患者から「うるさくて眠れない。明日にしろ!」って罵声が飛んでいたことがありました。
また、納得のいかない患者が夜にタクシーで自宅に帰ったこともありました。
そんな状況の中、医療スタッフの毅然とした態度に感心することしきりです。さもすれば、途中で妥協する安易な方策を選び、患者の我儘(わがまま)を通してしまうことがあります。でもそうすると悪い前例を作る結果になって、後で苦労することになるのを知っているんです。
医療スタッフの忙しすぎは、病棟全体の空気を変えてしまったように感じます。このようなクレームは、ただでさえ忙しい医療スタッフにならなる負担をかけることになるのです。
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さらに看護師など医療スタッフに負担をかける事態を見せつけられました。
昨年から気づいていたことですが、患者の高齢化によるモーロク老人患者の存在です。せき損センターは脊髄に係る手術を主に行うかなり特殊な病院です。脊髄に係る手術って患者にとって結構大変な治療なもんだから、年寄はなるべく避ける傾向だったはずなんです。多少の痛みや不自由があっても、家や施設で寝たきりを続け、お迎えを待つ、ってのが通常だったように思います。
でも今は違うようです。80歳代の患者はたくさんいて、中には90歳代の患者もいるんです。日本人の高齢化の影響なんでしょうけど、あと20年は生きていれる!って思いがあるのかも知れません。
ボクもモーロクしてますが、まだ軟弱なモーロク老人です。次回は筋金入りのモーロク老人を紹介し、看護師の苦労ブリを記しましょう。