マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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桐山大久保垣内薬師さんのボタモチ

2014年01月12日 09時16分18秒 | 山添村へ
度々訪れる山添村の桐山。

戸隠神社観音堂の行事は取材していた。

数日前、垣内の婦人が所在地を案内してくださった大久保垣内。

戸隠神社が鎮座するもっと山の上の方にある垣内だ。

大久保垣内は3軒。

かつては10軒もあったのだが、村を出ていった家もあり、数軒になった垣内には、新しく若い夫婦が入植されて4軒になった。

村入り・氏子入りはまだ認められてはいないが、大久保垣内だけで行われている薬師さんは村が容認されて参列することができる。

薬師さんは一年に一度の大久保垣内の行事。

9月の12日に行われている。

夜7時ともなれば薬師堂にあがって、ボタモチを供える。

一升びんのお神酒を供えて、導師がキンをカン、カン、カンと打ってお題目を唱えて終える。

その場で天ぷらなど各家が持ち寄った家のご馳走を肴にしてお神酒をいただく垣内の行事である。

昔は大勢の子供たちがやってきて食べていたそうだ。

そのときにお供えする御供がボタモチである。

午後はボタモチ作りに勤しむ垣内の婦人たち。

一軒あたり一升のウルチ米を寄せてキナコのボタモチを作っていく。

平成23年9月に行われていた大字腰越の観音講の行事。

そこで出合った男性は大久保垣内の生まれ。

「母屋に住んでいる母親は年老いているが、今でも薬師さんのボタモチを作って供えている。できる限り早く取材してほしい」と話していた。

そういうわけがあってやってきた大久保垣内である。



ボタモチ作りの様相を拝見した。

お一人は飯椀によそって、椀を振るう。

そうすればまぁるくなる。

隣の老婦人に渡してオニギリの形にする。

それを手渡してキナコを塗す。

この日に作ったキナコのボタモチは120個だから、一軒あたり30個にもなる量である。



ぷぅんと香るキナコの甘い香りがたまらなく美味しそうだ。

夜の集まりに供えるキナコのボタモチ。小高い丘の上の薬師堂本尊に供える。



傍らに植生する大樹はムクの木、いわゆるムクロジ(無患子)。

実は羽根突きの玉に利用される。

今年は豊作のようでたわわに実っている。

安置している薬師堂は平成10年9月22日にやってきた台風七号で屋根瓦とともに屋根も吹き飛んだ。

建て替えする前までの場は一年交替のヤド家でされていたが、お堂が美しくなったことで、お堂に集まるようにしたと話す。



薬師堂に安置された木彫りの仏像がある。

「何時の製作か、どなたが作ったのやら、判らないがこうして守っている」と話す。

婦人たちが云うには、この夜の行事は「ボタモチのイセキ」と呼んでいた。

「イセキ」はおそらく「会式」が訛ったものであろう。

私が知る範囲、県内数カ所において薬師さんを祭る村の行事がある。

9月12日に行われている地域は、大垣内の薬師さんの他、宇陀市で1カ所<大宇陀本郷>、桜井市<瀧倉・修理枝>は2カ所、旧都祁村<都祁相河・都祁南之庄・都祁白石・都祁藺生町>では4カ所である。

8日にお参りする上北山村、東吉野村、桜井市、天理市、田原本町、大和郡山市、奈良市の旧町村地域もあるようだ。

ボタモチを供える地域も含めて、もっと多くの事例を調べなくてはならないと思った。

(H25. 9.12 EOS40D撮影)


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