マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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都祁相河観音寺の寺会式

2010年10月26日 07時27分50秒 | 奈良市(旧都祁村)へ
祭壇にずらりと並べられた野菜で作ったオソナエ。

ところは都祁相河の観音寺。

日が落ちる頃に当番の人たちが供えていく。

キュウリやナス、ピーマン、ジャガイモ、ウリ、タマネギ、トウガラシ、ゴーヤはいずれも自家栽培された野菜だ。

夏野菜が終わるころなので集めるのに苦労したという当番。

以前は朝から本堂に集まって作っていた5人の当番。

一挙に作るのが難しくなって現在は各家で作っている。

何体を作るかは特段決まっていない。

前日から思い思いに思考して作った野菜の御供は精進供(しょうじんく)と呼ばれている。

奥さんや子どもたちが手伝って作るというから当番家の共同作業だ。

相河は18軒の村。

家の並びの順になる5人の当番は3、4年に一度やってくる。

夜八時には小山戸から住職を迎えて法要が営まれる。



風呂敷を手にした男性たちは本堂にあがって持参した寿司を祭壇に置く。

以前は各家で作っていた巻き寿司。

面倒になってきたことから寿司屋で買ったものをお重に詰め替えている。

フルーツなども入れたお重もある。



灯明に火を点けて始まった寺会式。

住職の読経が静かな堂内を包み込む。

ご本尊が観音さんであることから観音会式とも呼ばれている寺会式を終えた後は総代や会計の報告の場となる。

寺会式は地区の会合でもある。

食事はといえば頼んでいたパック詰め料理。

お下がりの酒とともに飲食を共にする男性陣。

出席は家長と決まっている。

総代など役員を勤めた後は引退して長男に継ぐ。

30歳代になった接待当番は始めての接待に忙しく振る舞われた。

12日に行われたのは薬師こもり。

村外れの薬師さんに婦人たちだけが集まって寿司などのご馳走をよばれる。

その際には持ってきた寿司を少しずつ薬師さんに供えて残りを食べるのだが、寺会式では供えた寿司は手をつけずに持って帰る。

多生異なる作法だが、両日は女性と男性は別々に行われる行事だ。

どちらが先にされ始められたのか判らない。

野菜御供もさることながら相河の行事は妙味がある。

(H22. 9.18 EOS40D撮影)