おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

「その名を暴け」「日本の中絶」「キリスト教美術史」

2023-01-14 22:39:35 | 読んだもの
 長らく中断しております「読んだもの」です。何度も書いておりますが、拙ブログ、そもそも“読書日記”をつけたくて始めたはずなんですが…

「その名を暴け #Me Tooに火をつけたジャーナリストたちの闘い」
 
 【内容紹介】
2017年、ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された記事が世界を変えた。映画界で権力を誇る有名プロデューサーが、女優や従業員らに性的虐待を行ってきた衝撃の事実。報道の背景には、二人の記者による被害者への丹念な取材や加害者側との駆け引きがあった。その日を境に、女性たちは声を上げ始めた――。#MeToo運動を拡げたピュリッツァー賞受賞記事の内幕を描く調査報道ノンフィクション。

 #Me Too運動のことは見聞きしたけれど、詳しくは知らなかったので、ちょっと読んでみようかと。映画を見ない人なので、加害者の有名プロデューサーも被害者の女優さんたちも全く存じ上げず、「あぁ、あの人ね」ってわかればもうちょっと面白いのかなぁと思って読み始めましたが、読み進むうちにそういうことは気にならなくなりました。何となく、アメリカならもっと開けてて、すいすい取材が進むのかしらと思っていたのですが、男性中心社会であることに変わりないんですね。取材がなかなか前に進まず「う~ん」ってなったり、露骨に妨害してくる相手に「もうっ」ってなったり、記事発表にこぎつけた瞬間は「やったー!」ってなったり…。トランプさんのことも出てきて、ずっと下品でヤな奴だとは思っていましたが、本当に酷い奴でした。次の大統領選に出ようとしてるけれど、絶対ダメだと思いました。

 「日本の中絶」
 
 【内容紹介】
日本では10人にひとりが経験者といわれる中絶。経口中絶薬の承認から中絶のスティグマ、配偶者同意要件まで、中絶問題の研究家が、世界の動向に照らして日本における中絶の問題点と展望を示す。

 なかなか重いテーマでした。著者の塚原久美さんが21歳の時に中絶と自然流産を経験されており、その罪悪感に長年苦しめられ、中絶問題を研究されることになりました。結婚も妊娠も出産も経験していない身にはちょっとしんどいところもあったけれど、中絶医療や行政、中絶薬のことや避妊、性教育のこと、現在の日本の置かれている状況がよくわかりました。行政も政治も男性だけが牛耳ってて、自分たちの都合の良いように誘導してるってわかってたことではありますが、本当に酷いものですね。バイアグラがソッコー承認されたのに、避妊薬や中絶薬がなかなか承認されません。しかも、もし承認されて売るとしたら、すごい高額になる予定で、これは産婦人科が今の中絶手術で稼いでいる分をそのままスライドさせようとしているからだそうで、久しぶりに「医は算術」って言葉を思い出しました。「水子供養」ってどこかのお寺が1970年代に考え出した“商売”だそうです。「中絶=悪」と刷り込まれている女性の心理につけこんでます。この前どこかのお寺で水子供養のお地蔵さんってあったのですが、「嘘っぱちやん」って思ってしまいました。最初から最後まで重くて、全然ホッとするところはなく、何とも言えない読後感でしたが、読んでよかったと思いました。男性にもぜひ読んでほしい本だと思いました。

 「キリスト教美術史 東方正教会とカトリックの二大潮流」
 
 【内容紹介】
ローマ帝国時代、信仰表明や葬礼を目的として成立したキリスト教美術。四世紀末に帝国は東西分裂し、やがて二つの大きな潮流が生まれる。一方は、1000年にわたって不変の様式美を誇ったビザンティン美術。他方は、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックと変革を続けたローマ・カトリックの美術である。本書は、壮大なキリスト教美術の歴史を一望。100点以上のカラー図版と共に、その特徴と魅力を解説する。 

 西洋絵画の展覧会に行くと、絶対にこのキリスト教美術って出てくるので、勉強しておいた方が面白く見られるかしらと思い手に取りました。カラー図版もあるし、何とかなるかしらと思ったのですが、全然何ともなりませんでした。一応、最後のページまでは進みましたが、読んでる途中「何で、この本買ったんやろうか?」ってページを開けるたびに思ってました。そもそもの問題として、西洋史が苦手でほとんどわからない、キリスト教がよくわからないので、絵の背景となる説明がほぼ意味不明で字を見てるけど頭に入ってこなくて…。アマゾンのレビューを見ると、皆さん「入門書としてよい」と高評価なんですけどね。作者が知らない人だらけっていうのもあったのかもしれません。最後のほうの「ルネッサンス」と「バロック」でようやくボッティチェリ、ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ルーベンス、レンブラントと知ってる名前が出てきてちょっとホッとしました。入門書を読むための入門書、みたいなのがあればいいのに、って勝手なことを思ってしまいました。
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4 コメント

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Unknown (ヨセフ)
2023-01-16 06:43:22
おとら様
ブログの更新ありがとうございます。楽しく読ませて頂いています。
三月も定額制観劇があるのですね、悩みます。演目を見ると第三部のみの注目(ごめんなさい)。三月は大きな上演が別にあるので、仕方ないのかしら?

西洋宗教画は、私達アジア系には本当によく分からないのが多いですよね。せっかくヨーロッパまで行っても、?マーク脳内点滅だったりします。旧約聖書は面白いので、ダイジェストでも良いのでお時間のある時にでも………。
勉強家のおとら様、見習いたいです。
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定額制 (おとら)
2023-01-16 23:06:09
ヨセフ様
先日、二月の歌舞伎座の予約をしたら、仁左さまを一等で、それ以外を3階にしたら、結構いいお値段になったので、これなら定額制にしたほうがよかったのかしらとチラと思いましたが、遠征自体ができなくなる可能性もあるので、難しいです。

宗教画は苦手で避けているのですが、たまにNHKの日曜美術館で見ると、やっぱり背景を知ってると面白く見られるものだと思うのですが。
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分野の広さ (まるこ)
2023-01-17 20:08:47
相変わらずいろいろな分野の本を読破していらっしゃいます。
ちょぼちょぼ読書の私とは大違いです。
お仕事もしていらっしゃるのに、本当にすごいと思います。
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電車 (おとら)
2023-01-17 23:35:05
基本、通勤の電車の中が私の読書の場所です。家にいるとほとんどインターネットをして遊んでしまうので。会社に行かなくなったら、読書をしなくなるかもしれません。

新聞の書評を見て、いろいろ手を出しますが、「これ、なんで読んでるんやろうか?」って思うこともしばしばで、字を見てる読書?です。
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