雑誌「演劇界」の2月号は山城屋さんの追悼号です。読むところ多そうだし、先月の南座顔見世の舞台写真もあるので、久しぶりに買いました。
山城屋さんの「追悼」ページの内容です。
◎追悼 坂田藤十郎
多彩な当り役撰
坂田藤十郎の芸 文=渡辺 保
藤十郎と「近松座」 文=水落 潔
坂田藤十郎丈を偲ぶ
尾上菊五郎 松本白鸚 中村吉右衛門 片岡仁左衛門
中村梅玉 坂東玉三郎 片岡秀太郎 片岡孝太郎
片岡愛之助 中村亀鶴 松本幸四郎 市川猿之助
師として、父として、祖父として
中村鴈治郎 中村扇雀 中村壱太郎 中村虎之介
一門が語る旦那の姿
寿治郎 鴈童 鴈乃助 扇乃丞 鴈成 鴈洋 鴈大
芸と人
山田庄一 廓 正子 亀岡典子
映画時代を辿る 文=児玉竜一
『演劇界』で綴るバイオグラフィー
山城屋さんと言えば、↑表紙になっている「曽根崎心中」のお初や「吉田屋」の夕霧、「先代萩」の政岡など女形のイメージが強く、立役と言っても忠兵衛とか「雁のたより」とか柔らかい立役の印象しかないのですが、「夏祭」の団七、「熊谷陣屋」の熊谷、「盛綱陣屋」の盛綱、「忠臣蔵」の大星や師直、平右衛門もなさっています。舞踊だと「道成寺」「藤娘」「隅田川」も。これまでのお役の舞台写真がたっぷり載っているのですが、本当に多彩なお役をお勤めになっています。
少し前まで山城屋さんは苦手で避けていたところがありましたが、最近になってようやく「見よう」と思うようになってきたところでした。歌舞伎座新開場で見た「先代萩」の政岡はすごかったなと思います。何とも濃ゆいのですが、それが山城屋さんの魅力なんでしょうね。
保っちゃんの文章を読むと、山城屋さんのすごさは武智鉄二の教育の賜物、原作第一主義・本文第一主義からくるものだそうです。次男の現・扇雀さんも義太夫狂言の時はまず文楽の台本を読み、文楽の太夫のお師匠さんにお稽古してもらうといつもブログに書いていらっしゃいます。そのわりに、お父様のような濃ゆさがないのですが。「言葉」なんでしょうかね? 以前、住太夫師匠の本でご子息二人がいずれも東京生まれの東京育ちで“訛り”があるので「お家でお父さんとお母さんともっとしゃべればいいのに」みたいなことを書いていらっしゃったような…。これってタカタロさんにも言えるんですよね。上方歌舞伎のお家なのに、訛ってるんです。
スミマセン、話がそれました。いろいろな舞台写真を見ていると、見てみたかったなと思います。今なら、ちゃんと見られると思うのですが。玉手御前とか定高とか、濃密な空間が出来上がったんだろうなと思います。
役者さんたちの追悼文、聞き書きなんですが、ライターさんたちがそれぞれの特徴?をよく捉えた書きぶりで、とても興味深いものでした。愛之助さんによると、2019年の永楽館歌舞伎にもご夫婦で見に来られたそうで、東京からだと本当に“遠路はるばる”だと思うのですが、ずっと通っているファンとしては「山城屋さんにも認めてもらえたのかな」と何だか嬉しくなりました。幸四郎さんと猿之助さんが結構しっかりと山城屋さんの芸を受け継いでいらっしゃるようで、ちょっと頼もしく思いました。猿之助さん、玉手御前を習っていらっしゃるのですが、それぜひ見てみたいです。「鳥辺山心中」のお染も習われたとか、「鳥辺山心中」って何度も見ているわりに「これっ!」っていうのにまだ当たったことがないので、そちらもヨロシクでございます。
こうやって読むと、偉大な歌舞伎役者さんを亡くしたのだなと改めて思いました。ご冥福をお祈りいたします。
後半の「2020年の歌舞伎界」というところも読み応えがありました。「最悪の1年」と書いてありましたが、こうやってまとめたものを読むと本当に大変な1年だったなと思いました。今年の年末には「復活した1年」と書かれるようにと祈ります。
山城屋さんの「追悼」ページの内容です。
◎追悼 坂田藤十郎
多彩な当り役撰
坂田藤十郎の芸 文=渡辺 保
藤十郎と「近松座」 文=水落 潔
坂田藤十郎丈を偲ぶ
尾上菊五郎 松本白鸚 中村吉右衛門 片岡仁左衛門
中村梅玉 坂東玉三郎 片岡秀太郎 片岡孝太郎
片岡愛之助 中村亀鶴 松本幸四郎 市川猿之助
師として、父として、祖父として
中村鴈治郎 中村扇雀 中村壱太郎 中村虎之介
一門が語る旦那の姿
寿治郎 鴈童 鴈乃助 扇乃丞 鴈成 鴈洋 鴈大
芸と人
山田庄一 廓 正子 亀岡典子
映画時代を辿る 文=児玉竜一
『演劇界』で綴るバイオグラフィー
山城屋さんと言えば、↑表紙になっている「曽根崎心中」のお初や「吉田屋」の夕霧、「先代萩」の政岡など女形のイメージが強く、立役と言っても忠兵衛とか「雁のたより」とか柔らかい立役の印象しかないのですが、「夏祭」の団七、「熊谷陣屋」の熊谷、「盛綱陣屋」の盛綱、「忠臣蔵」の大星や師直、平右衛門もなさっています。舞踊だと「道成寺」「藤娘」「隅田川」も。これまでのお役の舞台写真がたっぷり載っているのですが、本当に多彩なお役をお勤めになっています。
少し前まで山城屋さんは苦手で避けていたところがありましたが、最近になってようやく「見よう」と思うようになってきたところでした。歌舞伎座新開場で見た「先代萩」の政岡はすごかったなと思います。何とも濃ゆいのですが、それが山城屋さんの魅力なんでしょうね。
保っちゃんの文章を読むと、山城屋さんのすごさは武智鉄二の教育の賜物、原作第一主義・本文第一主義からくるものだそうです。次男の現・扇雀さんも義太夫狂言の時はまず文楽の台本を読み、文楽の太夫のお師匠さんにお稽古してもらうといつもブログに書いていらっしゃいます。そのわりに、お父様のような濃ゆさがないのですが。「言葉」なんでしょうかね? 以前、住太夫師匠の本でご子息二人がいずれも東京生まれの東京育ちで“訛り”があるので「お家でお父さんとお母さんともっとしゃべればいいのに」みたいなことを書いていらっしゃったような…。これってタカタロさんにも言えるんですよね。上方歌舞伎のお家なのに、訛ってるんです。
スミマセン、話がそれました。いろいろな舞台写真を見ていると、見てみたかったなと思います。今なら、ちゃんと見られると思うのですが。玉手御前とか定高とか、濃密な空間が出来上がったんだろうなと思います。
役者さんたちの追悼文、聞き書きなんですが、ライターさんたちがそれぞれの特徴?をよく捉えた書きぶりで、とても興味深いものでした。愛之助さんによると、2019年の永楽館歌舞伎にもご夫婦で見に来られたそうで、東京からだと本当に“遠路はるばる”だと思うのですが、ずっと通っているファンとしては「山城屋さんにも認めてもらえたのかな」と何だか嬉しくなりました。幸四郎さんと猿之助さんが結構しっかりと山城屋さんの芸を受け継いでいらっしゃるようで、ちょっと頼もしく思いました。猿之助さん、玉手御前を習っていらっしゃるのですが、それぜひ見てみたいです。「鳥辺山心中」のお染も習われたとか、「鳥辺山心中」って何度も見ているわりに「これっ!」っていうのにまだ当たったことがないので、そちらもヨロシクでございます。
こうやって読むと、偉大な歌舞伎役者さんを亡くしたのだなと改めて思いました。ご冥福をお祈りいたします。
後半の「2020年の歌舞伎界」というところも読み応えがありました。「最悪の1年」と書いてありましたが、こうやってまとめたものを読むと本当に大変な1年だったなと思いました。今年の年末には「復活した1年」と書かれるようにと祈ります。
お弟子さんも全員登場です。がんじろはんや壱太郎さんは藤十郎さんのことを「教えてくれない」といつもおっしゃっていますが、お弟子さんたちには手取り足取り指導される場面もあったようです。あの柔らかい上方言葉でおっしゃるんでしょうね。ちょっと見て(聞いて)みたいと思いました。
購入することにしました。
わたしもしばらくは「濃ゆい」のが苦手でしたが、だんだん慣れてきて、特に近松ものは、忠兵衛さんと藤十郎さんがピッタリ重なります。
とはいえ、選んで行くほどではないのですが、この号は読みでがありそうで、一門のお弟子さんを知るいい機会かもとも思っています。