戸板康二さんの推理小説「中村雅楽探偵全集」です。戸板康二さんと言えば、歌舞伎や演劇の評論家として、「ちょっといい話」の名エッセイストとして有名ですが、推理小説も書いていらっしゃいます。それも、江戸川乱歩の熱心なお薦めで始められたそうです。「團十郎切腹事件」で直木賞も受賞されています。と、知った風に書いておりますが、↑文庫のあとがきを見て初めて知ったことばかりなんです…。
歌舞伎役者でありながら名探偵「中村雅楽」は、土曜ワイド劇場で十七代目の勘三郎さんが演じていらっしゃるのを見た記憶があります。その後、文庫本も読んで「中村雅楽シリーズは読んだ」と思っておりましたが、どうもそれは傑作選のようなごく一部だったようで、雅楽ものは長編二本、短編八十数本に及ぶそうで、2007年に全作品を収録した「中村雅楽探偵全集」が創元推理文庫から刊行されました。オリジナル単行本では十三巻だったものを五巻にまとめたので1冊辺りがかなり分厚くなっています。
2007年に出たものをなぜ今頃読もうと思ったのか? おそらく“歌舞伎”ってところに惹かれてなんでしょうね。ただ、この本自体どうやって見つけたのか、つい最近のことなのに自分でもナゾなんですが、戸板康二さんの本をネットで見ていて関連で出てきたのかなぁと。そして、雅楽なら昔テレビで見たなぁ、5巻もあれば当分読む本に困らないなぁと思って買ったんだと思います。でも、2007年の本なので、第3巻の「目黒の狂女」は品切れ、getできておりません。古書サイトか何かで探さなければと思っています。基本、読み切りの短編集なのでなくても全然困りはしないのですが、なぜかこういうところ“律儀”な性格?で、揃えなければと思ってしまうんです。
さて、主人公の雅楽さん、勘三郎さんのイメージがあったのでてっきりモデルなのかと思っていたら、一本目の「車引殺人事件」の初出が昭和33年なのでそうではありませんでした。戸板さんご本人が書かれた「作品ノート」によれば、主人公の名前は中村歌右衛門の「歌」を酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)の「雅楽」に変えて軽い気持ちで使い始められたそうです。高松屋という屋号とともに、この後この名前の出てくる小説を延々と書くとは思わなかったとも書いていらっしゃいました。
歌舞伎役者が主人公なので、周りもいろいろな役者さんがとっかえひっかえ登場します。モデルを詮索されないように、ずっと同じ名前で登場することはありません。役者さんの名前を考えるだけでも大変だったのではないかと思います。中には「大塚の料亭の息子で、最近若手女形としてめきめき頭角をあらわし…」ってあって、これって絶対玉ちゃんよね、と思いながら読んでおりました。お古いことをご存じの方であれば、もっと「あ、これって、あの役者さんよね」っていう楽しみ方もできるのではないかと思いました。
歌舞伎の演目も毎回のように出てきますが、ここ7、8年歌舞伎にずぶんと入れ揚げてきたので、結構わかります。自分でもそれが嬉しくて嬉しくて…。これは落語の歌舞伎噺でも同様で、演目とか登場人物とか関係図とかがわかるのでよけい噺が面白く思えるようになりました。
1巻2巻5巻と読んで今は4巻「劇場の迷子」の途中なんですが、飽きることなく順調に読み進んでおります。短編なのですぐ読めるのが通勤のお供にはぴったりです。それにしても、よくこれだけ推理小説のパターンを考えられるものだと、今さらながら感心しながら読んでいます。普通、同じ作家さんの推理小説を読み続けると、その作家さんのクセみたいなものがわかって、結末が想像できるんですが、雅楽さんは毎度毎度文字通り「アッと」思わされることばかりです。読み終わるのがちょっと寂しいです。
歌舞伎役者でありながら名探偵「中村雅楽」は、土曜ワイド劇場で十七代目の勘三郎さんが演じていらっしゃるのを見た記憶があります。その後、文庫本も読んで「中村雅楽シリーズは読んだ」と思っておりましたが、どうもそれは傑作選のようなごく一部だったようで、雅楽ものは長編二本、短編八十数本に及ぶそうで、2007年に全作品を収録した「中村雅楽探偵全集」が創元推理文庫から刊行されました。オリジナル単行本では十三巻だったものを五巻にまとめたので1冊辺りがかなり分厚くなっています。
2007年に出たものをなぜ今頃読もうと思ったのか? おそらく“歌舞伎”ってところに惹かれてなんでしょうね。ただ、この本自体どうやって見つけたのか、つい最近のことなのに自分でもナゾなんですが、戸板康二さんの本をネットで見ていて関連で出てきたのかなぁと。そして、雅楽なら昔テレビで見たなぁ、5巻もあれば当分読む本に困らないなぁと思って買ったんだと思います。でも、2007年の本なので、第3巻の「目黒の狂女」は品切れ、getできておりません。古書サイトか何かで探さなければと思っています。基本、読み切りの短編集なのでなくても全然困りはしないのですが、なぜかこういうところ“律儀”な性格?で、揃えなければと思ってしまうんです。
さて、主人公の雅楽さん、勘三郎さんのイメージがあったのでてっきりモデルなのかと思っていたら、一本目の「車引殺人事件」の初出が昭和33年なのでそうではありませんでした。戸板さんご本人が書かれた「作品ノート」によれば、主人公の名前は中村歌右衛門の「歌」を酒井雅楽頭(さかいうたのかみ)の「雅楽」に変えて軽い気持ちで使い始められたそうです。高松屋という屋号とともに、この後この名前の出てくる小説を延々と書くとは思わなかったとも書いていらっしゃいました。
歌舞伎役者が主人公なので、周りもいろいろな役者さんがとっかえひっかえ登場します。モデルを詮索されないように、ずっと同じ名前で登場することはありません。役者さんの名前を考えるだけでも大変だったのではないかと思います。中には「大塚の料亭の息子で、最近若手女形としてめきめき頭角をあらわし…」ってあって、これって絶対玉ちゃんよね、と思いながら読んでおりました。お古いことをご存じの方であれば、もっと「あ、これって、あの役者さんよね」っていう楽しみ方もできるのではないかと思いました。
歌舞伎の演目も毎回のように出てきますが、ここ7、8年歌舞伎にずぶんと入れ揚げてきたので、結構わかります。自分でもそれが嬉しくて嬉しくて…。これは落語の歌舞伎噺でも同様で、演目とか登場人物とか関係図とかがわかるのでよけい噺が面白く思えるようになりました。
1巻2巻5巻と読んで今は4巻「劇場の迷子」の途中なんですが、飽きることなく順調に読み進んでおります。短編なのですぐ読めるのが通勤のお供にはぴったりです。それにしても、よくこれだけ推理小説のパターンを考えられるものだと、今さらながら感心しながら読んでいます。普通、同じ作家さんの推理小説を読み続けると、その作家さんのクセみたいなものがわかって、結末が想像できるんですが、雅楽さんは毎度毎度文字通り「アッと」思わされることばかりです。読み終わるのがちょっと寂しいです。
「目黒の狂女」が品切れですか?近くならいくらでもお貸しするのですが。
何回読んでも面白いです。^^
もし、今また映像化するなら?と考えるのですが、今の歌舞伎界って大幹部でも皆さん“隠居”って感じではないので、キャスティング難しいです。でも、歌舞伎役者ばかり出演した現代ドラマは見てみたいです。
品切れの巻、本当にお近くなら借りに伺うのですが…。