b411 ハプスブルク家の人々 菊地良生 新人物文庫 2009 /2016.3読
スペインでハプスブルク家が台頭するのは、カルロス1世=カール5世からである。
カルロスの母はカステーリャ女王となるフアナで、父はハプスブルク家のフィリップである。二人が結婚し、カルロスが生まれたころは、ハプスブルク家の領主はフィリップの父マクシミリアン1世だった。
フアナの母はカステーリャ女王イサベル1世、父はアラゴン王フェルナンド2世で、フアナには姉も兄もいたが、二人とも亡くなり、イサベル1世はカステーリャ王国の後継者にフアナを指名した。
フアナが女王なら、夫フィリップは王となるはずだが、病死?する。
マクシミリアン1世は息を引き取るとき後継者に孫のカルロスを指名し、カルロスは神聖ローマ皇帝カール5世となる。
フアナは精神を患ったため、父フェルナンド2世によって幽閉され、孫のカルロスをカステーリャ王国の名代とする。
フェルナンド2世が息を引き取るとき、カルロスをアラゴン王国の後継者に指名する。
こうしてカルロス1世=カール5世は、スペイン+ハプスブルク領の広大な領土に君臨することになる。
といった表舞台で華々しく活躍する人々の陰には、日の当たらない人々もたくさんいた。
ドイツ・オーストリア文化史に造詣の深い著者菊池氏は、あえて、日の当たらない人々を取り上げて紹介したのがこの本である。
ハプスブルク家の世界史での活躍は、13世紀に始まり20世紀まで続くから、ヨーロッパ史、世界史に大きく影響した。ヨーロッパ史、世界史に登場するのは本流の人々であり、多くの本、資料で取り上げられているので、亜流の人々を取り上げたこの本は異色であろう。
それぞれのエピソードは短いし、著者は資料を基にしながら軽やかなエッセー調で書き上げているので読みやすい。
ただし、多少なりともヨーロッパ史とハプスブルク家の流れと功績が分からないと、登場人物とエピソードがどんな意味合いなのか理解しにくくなる。
本流で活躍した人の本とあわせ読みするといいかもしれない。
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