万葉短歌1503 我妹子が1369
我妹子が 家の垣内の さ百合花
ゆりと言へるは いなと言ふに似る 紀豊河
1369 万葉短歌1503 ShuD548 2014-0929-man1503
□わぎもこが いへのかきつの さゆりばな
ゆりといへるは いなといふににる
○紀豊河(きの とよかは)=原文では「紀朝臣(あそみ)豊河」。「天平十一年(739)正月十三日、正六位上から外(げ)従五位下になった人。歌はこの一首のみ。」
【編者注】題詞は「紀朝臣豊河歌一首」。「夏相聞」十三首(1498~1510)の第6首。
【訓注】我妹子(わぎもこ=吾妹児)。垣内(かきつ)。さ百合(さゆり=佐由理)。ゆり(由利)[下記注]。いな(不欲)。
【編者注-ゆり】花ではない訓読「ゆり」。「ゆり(名)≪上代語≫のち。後日。将来。」(旺文社『全訳古語辞典』)用例は以下のとおり。
11-2467 路の辺の草深百合のゆり(後)もと言ふ 妹が命を我れ知らめやも 柿本人麻呂
18-4087 灯火の光に見ゆるさ百合花(左由理婆奈) ゆり(由利)も逢はむと思ひそめてき 内蔵伊美吉縄麻呂
18-4088 さ百合花(左由理婆奈)ゆり(由里)も逢はむと思へこそ 今のまさかもうるはしみすれ 大伴家持