前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

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東芝問題とコーポレートガバナンス・コード実施状況評価

2015年08月19日 | Weblog

 東芝問題を受けて、日本のコーポレートガバナンスの向上に向けた議論を国会で行っています。東芝は、形式上は委員会設置会社で社外取締役もおり、久保東芝監査役委員長が金融庁企業会計審議会・会計部会の臨時委員に就任するほどコーポレートガバナンスの優等生に見えていました。また不適切会計に対する第三者委員会の報告で、「社長の命に逆らえない風土で収益を上げるためにチャレンジをしたことが主な不正会計の要因」という説明は、あまりピンと来るものではありませんでした。(もし社長の命に逆らうことを推奨したり、大きな目標を立てて収益を上げることを問題とするなら、はたしてROEを上げる政府の目標は絵に描いた餅に過ぎないと思えます。)それより、大型M&Aののれん代償却や各種資産評価問題、税務上繰越欠損金処理の問題、世界最大級の原子力発電部門の将来性と資産査定などバランスシートに絡む問題の処理は、現状良くわかりません。バランスシートの評価等は、今後会計士や銀行、証券、株主等の金融関係者に譲るとして、企業統治の問題にここでは言及したいと思います。

 東芝問題は、日本におけるコーポレートガバナンス・コードや日本版スチュワードシップコードの目指すべき目標とそれに対する個別企業の実施状況評価を行うにいい教材になりそうです。そこでこの問題に関して二本の質問主意書を作りました。

 一本目は、西室東芝相談役が、東芝の社長、会長人事に言及したことに関係することです。社長や取締役を指名する指名委員会がある委員会設置会社において、相談役が社長や会長を事実上決めることは、コーポレートガバナンス・コード上どのような意味があるかです。西室相談役の件からは外れて、一般論として株主に対して何の説明責任ももたず、株主代表訴訟からも免れている人が事実上会社を支配するということがあるとすれば問題ではないかとの質問です。(西室相談役は大変立派な人であり、個人的に尊敬をしていますので、あくまで一般論としての質問であります。この問題に関して、海外の経済誌等取り上げられているので、日本企業の良き伝統で風習とみなされた場合には、せっかく国内外で評価されているコーポレートガバナンス改革に水をさすことになるとの危機感があります。) 

 具体的な内容は、取締役会から離れて制度上株主に対する説明責任を免れている社長、会長経験者の顧問等が、事実上重要な経営判断を行っていることに対するコーポレートガバナンスコードの評価と現在の日本株高に対するコーポレートガバナンス改革の貢献に対する政府の認識です。(興味がある方は、ここをクリックしたら、質問主意書の全文が見れます。) この回答は、8月21日に閣議決定の後に明らかにされる予定です。


 更にもう一本は、東証上場企業における社外取締役の兼任です。一人で、5社とか10社とか多くの社外取締役に兼任して、はたして求められるべき仕事ができるかの問題提起です。具体的には、東証上場企業の実態調査のために兼務件数が多い人のトップ10を明らかにし、その氏名、経歴、就任企業の開示を求めるものです。有名な学者評論家や主要国大使であって社外取締役ブランドとしては申し分がないかもしれませんが、あまり企業経営が分からないといった人に人気が集中するようでは、お飾りのガバナンス改革と言えます。やはり開示制度を通じて実際に経営監視できる程度に兼務件数を制限すべきと考えます。このことは、需要と供給の関係で報酬の引上げに繋がりプロの社外取締役が日本にも定着するようになればと思います。こちらは、一本目の質問主意書の回答を待って、来週以降に政府に提出する予定です。

 以上この二つの質問主意書は、委員会設置会社や独立取締役設置は、必要条件であるが十分ではなく、仏を作って魂を入れることが最も重要であることの確認です。長年金融庁の幹部と様々な抵抗がありましたが、このことに取組んで来ました。今秋議論されるコーポレートガバナンスコードの実施状況評価に反映できれば、さらに日本の企業の村社会が変わって行くと思います。

 


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