昨日予算委員会質問を行いました。アベノミクスにより、株式が上がり、為替が円安になり、日本経済に明るさが戻ったという意見がよく聞かれます。勿論、株が上がり、不動産価格が上がっていくことは、企業、特に金融機関にとり大変いいことです。しかし物事には、表の華やかさに隠された裏の面を正しく理解して、その悪影響に備えることが必要です。このような観点から、質問しました。
2%に物価上昇が続くことにより、現在の年金制度では、年金受給者の生活は苦しくなり、預金金利が超金融緩和政策下では限りなくゼロとなり国民の持つ純預金1150兆円は毎年20兆円以上実質的に目減りするはずです。20%の円安により、十兆円以上輸入コストが上がっており、それを価格転嫁できない輸入会社、輸入材料加工業者、ガソリン価格・電力価格上昇を転嫁できない多くの中小企業者がこのコストを知らず知らずに負担している事実があります。これらの不都合な真実に対して、安倍政権は語りたがりませんし、マスコミもあまり報道しません。数年後アベノミクスが完成した時、こんなこと聞いていない、思っていたことと違うということが多く出てくる可能性があります。
資産バブル等による貧富の差の拡大、企業間格差の拡大が、日本社会に階層間の断層を作り、社会的な安定を損なうことになれば、そうならないように早め早めの政策を打つことが必要です。今週FED理事出身である有名なコンサルタントと議論する機会がありましたが、このような問題があることで一致しました。現在の量的、質的超金融緩和は、マイナスの金利を作っているもので、借金を株や実物資産を買うなどレバレッジを上げることができる人は、数年後多大な富を発生します。このようなハイレバレッジを行うことができるのは、彼によれば上位1%の人が中心で、その人達に富みがさらに集中するというのが彼の分析です。日米を問わず、超金融緩和、2%インフレ目標による過剰流動性と資産バブルの発生によるマイナスの側面を認識することが為政者にとり必要です。私は、このことを全く否定するものではありません。デフレから脱却し、景気が良くなることを望んでいますが、それば実現した場合の負の側面も確り認識して、負の側面があまり過剰にならないように政策を打っていく慎重さが必要であることを強調します。
安倍総理や経済閣僚と議論して感じたことは、アベノミクスの最初の成功に酔っていて、不都合な真実に耳を傾けず、負の影響に対する備えをしていないことです。詳しくは、ここ(アベノミクスの負の影響)をクリックしてください。