前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

前参議院議員大久保勉の主張や活動を伝えるBLOGです。

世界的な金融危機に対して外為特会の積極活用を!

2008年10月02日 | Weblog
 本日菅直人民主党代表代行及び民主党金融対策チームで財務省国際局為替資金課に視察して、外為特別会計の運用状況をヒアリングしました。視察の模様は、一部テレビや新聞等で報道されましたので、詳しいことは省略します。
 金融対策チーム事務局長として、今回の目的はGDPの20%に上る巨額の外為特別会計の状況を把握して、その運用のあり方を議論する契機になればと考えました。
 外為特会は、過去の円高対策として円売り・ドル買い介入の結果1兆ドルのポジションが積みあがっています。そのため政府短期証券(FB)で約100兆円を調達し、為替のドル買いで得た1兆ドルの外貨資金を米国債、ユーロ建て国債、米国機関債(ファニーメイ債、フレディマック債等)、市中金融機関へのドル・ユーロ預金で運用しております。また円調達金利と外貨運用の金利差の約3%(年により当然変動)が、毎年剰余金(100兆円×3%=3兆円)として積みあがります。現在その金額が積みあがって、約20兆円になっております。しかしドル買いの平均持値は、推計では120円位ですので、為替が円高に行けば行くほど為替評価差損が生じます。為替相場が、100円近辺で剰余金と為替評価損が相殺されて、損益はほぼゼロと予想されています。
 このことを前提に、政治的にいくつかの論点があると思います。一点目は、100兆円と巨額に積みあがった外為特会の中身の情報公開が役所だけの判断でほとんどされなく、また1兆ドルの運用が僅か18名の担当者で行われており運用体制やリスク管理が脆弱な点です。二点目は、この100兆円のポジションを縮小させることは、ドル売りを意味するために、ドルの信認が疑われている時には事実上不可能であるということです。この政治的意味は、政府与党が国民に十分な説明もすることなくドルの信認を維持することが国益であるという状態にしたということです。最後の点は、外為特会の毎年稼ぎ出す剰余金(円と外貨の金利差)の半分が一般会計に繰り入れされており、歳入欠陥を補ってきていることです。どうして半分であるかの合理的な意味は全くありません。(金融理論では、過去の平均的な為替変動を参考にして将来の為替変動に必要な剰余金を決定して、余った分を一般会計に繰り入れることになります。)
 外為特会に関して思うことは、財務省国際局の局益が優先して、国益のための議論が全くなされていないということです。100兆円の資金を有効に活用したら、世界の金融危機に日本のより強いリーダシップを示すことが可能になります。
 例えば、30兆円相当のドル資金を一定期間日本銀行に預けて、日銀がその資金を担保見合いに市中銀行に放出すれば、日銀はわざわざ米国連銀からスワップ協定でドルを借りてくる必要はありません。
 また外為特会が、ゆうちょ銀行、DBJや邦銀と通貨スワップを25兆円締結するとすれば、外為特会のドル運用・円調達のポジションをゆうちょ銀、邦銀等に渡して上げることができます(この通貨スワップにおいては、外為特会は一方的に与信管理上必要な金額の国債を担保としてもらうことが前提です。)。この取引でゆうちょ銀、DBJや邦銀は、外銀等へのドル資金供給したり割安で安全なドル資産を購入することが可能になる一方、国際的なドル資金逼迫の解消にもなります。一方外為特会は、通貨スワップ利用により、100兆円の資産・負債規模を75兆円に縮小することができます。このことは、FB発行金額の縮小にもつながり、国債発行残高の圧縮に寄与するはずです。この一連の取引において、為替のポジションは発生せず、為替相場への影響はありません。
 更には、外為特会が持っている米ドル債を適格担保突きで市中金融機関に貸し出したり、現在のほとんど翌日物で行われているMOF預託を1ヶ月から3ヶ月ものに一部切り替えることも信用収縮対策としては有効です。
 以上、長々と記入しましたが、このような議論が盛り上がることを期待します。