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神戸文学館 かんべむさし氏「神戸・人・小松左京」を聞きに行った

 神戸文学館の「小松左京展」の記念講演。前回は眉村卓氏だったが、今回は、かんべむさし氏。
 かんべさんは、小松さんにはずいぶんかわいがられたようだ。その小松さんとのエピソードを交えながらの講演であった。
 この日のために、かんべさん、ずいぶんと神戸の知識を仕入れてこられたようで、神戸人の小生が聞いても興味深い話をされた。江戸時代の北前船をあつかう大店の話。北前船が神戸の港に着くと、ただちに荷作業をしなくてはならない。そのため店には常に、飯とみそ汁、漬物が大量に常備されていて、いつ、だれが来ても食事できるようになっていた。だから当時、神戸ではその大店のハッピが一枚あればメシ食うには困らない。こんなことは、かんべさんは知らなかったとか。小生も知らなかった。
 戦前の鈴木商店。かっては三井三菱を抜いて日本一の、世界に通用する総合商事だった。番頭金子直吉の才覚で大きくなったが、消滅。神戸製鋼、帝人などの鈴木商店の系列の会社が今も生き残っている。このことは小生は知っていた。
 かんべさんは西宮の人。小生も生まれは西宮で神戸育ち。若いころ、三宮、元町、元町高架下、新開地あたりを、よくウロウロされたとか。小生のウロウロテリトリーと完全に重なる。たぶん、かんべさんとすれ違っていただろう。
 ダイエーの中内功氏たち神戸ゆかりの人の話題も。その内の一人。神戸市灘区中郷町3丁目に前田というブリキ屋があった。そこの息子さんで達くんという子がいた。大変にかわいらしい子供だった。のちの桂枝雀師匠である。
 もちろん、小松さんの思いでも語られた。かんべさんは、冒頭に書いたように「かんべちゃん」「かんべちゃん」と大変に小松さんにかわいがられ、引き立てられたとか。ところが小松さんに何かいうと話が大きくなる。
 NHKのアナウンサーだった頼近美津子のことを「かわいい」というと、「かんべちゃん、だったら頼近美津子と見合いするか。ワシが話つけたるで」
「笑い宇宙の旅芸人」を出版した時、「こんなん書けるんやったら、関西大学の教授になったらどうや」
 かんべさんが飛行機模型のマニアだと知った小松さん「どこやらに飛行機の博物館ができるねんて、かんべちゃん、館長になるか。ワシが推薦したるで」
 もし、小松さんが本気で動いていたら、かんべさんは頼近美津子のダンナで、関大の教授で、飛行機博物館の館長だったとか。
 小生も、長年のSFもんで、SF作家の講演もずいぶん聞いたが、きょう、かんべさんの講演を聞いていて、少々違和感を覚えた。なんか、この人、小生たちとは違うんだな。なぜか考えた。
 かんべさんはSFファンを経験せずに作家になった人。ファンダムを通過せずに作家になった人だ。そのあたりの毛色が違うことを、SFもんとして意識してしまうのだ。かんべさんが「決戦、日本シリーズ」でデビューしたころは、すでに小生はファンダムで棲息していた。だから、今までとはちょっと違う新人がデビューしたという認識だった。かんべさん、DAICON3で名誉実行委員長をやったとはいえ、作家になってからもファンダムとは距離をおいてはったのだろう。かんべさん、よそから来はった人、という感じがいまだにする。
 
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コメント
 
 
 
今回も、僕も行ってましたよ (海野久実)
2011-08-28 21:57:53
かんべさんにサインをもらった後、雫石さんを探そうとしました。
どうも、小説を書いてらっしゃる感じの、それらしい人のグループを見つけられずに、適当な人に声をかける勇気もなく、またまた帰って来てしまいました。

講演が始まる前に僕と目が合ってにっこりされた人がいたんですが、まさか顔を知っている人がここにはいないだろうと思って目をそらしてしまいました。
あれはたぶん誰かと間違えただけなんでしょうね。

あの人かな、この人かな、と結構きょろきょろしたので、ひょっとして目にとまったかもしれません。
メガネをかけて、紺色のワンポイントのTシャツを着ていましたよ。

まあ、本気で会おうとするなら、前もって連絡でも取ればいいのでしょうが、そこは持って生まれた引っ込み思案な人間ですからね。
ちょっと怖そうな人だったらどうしよう(笑)なんて考えてしまうんですよね。

また、眉村さんを囲むオープンな集まりでもあれば呼んでいただければと思います。
 
 
 
海野久実さん (雫石鉄也)
2011-08-29 09:37:54
お会いできず、残念でした。
今回も、前回と同じ、かんべさんから見て、左側の席に、友人と二人で座っておりました。
今回は前回ほど、私の知り合いは多くなかったです。
私が次に参加を予定している、SF関係のイベントは10月に行われる、京都SFフェスティバルです。
http://kyo-fes.web.infoseek.co.jp/cgi-bin/Kyo_fes/wiki.cgi
 
 
 
はじめまして (西嬉(女将))
2011-08-29 11:45:11
はじめまして。
講演会の名前で検索していて
こちらのブログにたどり着きました。

私も同じ会場にいました。
作家さんの講演を聞くのは、まだ2回目ですが
自分の慣れ親しんだ神戸という場所とその歴史
そこに生きてきた人たちのお話は
大変興味深く聞くことが出来ました。
こういう機会があれば、是非また参加したいと思います。
 
 
 
西嬉(女将)さん (雫石鉄也)
2011-08-29 13:42:16
こちらこそ、はじめまして。
私は、作家の講演は何度も聞きましたが、私の趣味でSF作家ばかりです。
私も、神戸人です。私も、かんべさんのお話し、興味深く聞きました。かんべさんは、ラジオのパーソナリティをやってはりましたから、おしゃべりは上手ですね。
神戸文学館、去年もSF企画展をやっていました。去年は私は、企画にかんでおりました。この文学館、ちょとスペースは狭いですが、興味を引く企画をやりますね。
 
 
 
SFフェスティバルですかー (海野久実)
2011-08-29 23:31:08
なかなか敷居が高い感じですね(笑)
最近のSF作品はとんとごぶさたですからね。
それに京都でしょ?
大阪ぐらいでも遠いなーと思ってしまう出不精な僕です。
せいぜいがんばって神戸ですね。

ところで、こちらのブログにかんべさんの講演の写真がアップされています。
後ろ姿の雫石さんがひょっとして写っていませんか?
この人の後ろだったんだよなーとか。
もしまともに映ってしまっているならノーコメントでもいいです。

http://blog.goo.ne.jp/achikochitei/e/5bc118b8e23446ca720872ac90eec162

僕はと言うと、この写真の真ん中に、頭がひときわ大きく写っている白いポロシャツの人の左の、髪の毛が黒く服も黒い人の後方に座っていました。
この人の頭が邪魔で、かんべさんの顔が良く見えませんでしたよ。
写真には全く写っていません。
ズボンぐらいは映っていてもいい位置なんですけどね。
 
 
 
海野久実さん (雫石鉄也)
2011-08-30 04:35:05
残念ながら、この写真には私は写ってません。
神戸でのイベントでしたら、SF関連ではなく、少々遠いですが、こういうイベントに参加します。
http://nabariningaikyo.blog.shinobi.jp/Entry/467/
講師の中相作は、私の友人ですが、江戸川乱歩の研究家としては、たぶん日本一でしょう。
 
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