昭和のマンガベスト２０

　５月３０日の朝日新聞土曜別刷版beに「もう一度読みたい昭和のマンガ」という記事が掲載されていた。読者にアンケートした結果で、ベスト50が発表されていた。ちなみにベスト20までをここで紹介しよう。

　１位　あしたのジョー　高森朝雄　ちばてつや
　２位　サザエさん　長谷川町子
　３位　いじわるばあさん　長谷川町子
　４位　巨人の星　梶原一騎　川崎のぼる
　５位　鉄腕アトム　手塚治虫
　６位　宇宙戦艦ヤマト　松本零士
　７位　カムイ伝　白土三平
　８位　赤胴鈴之助　福井英一　武内つなよし
　９位　ブラック・ジャック　手塚治虫
　10位　タッチ　あだち充
　11位　ベルサイユのばら　池田理代子
　12位　火の鳥　手塚治虫
　13位　ゴルゴ１３　さいとうたかお
　14位　美味しんぼ　雁屋哲　花咲アキラ
　15位　エースをねらえ　山本鈴美香
　16位　風の谷のナウシカ　宮崎駿
　17位　おそ松くん　赤塚不二夫
　18位　ドラえもん　藤子不二雄
　19位　ルパン三世　モンキーパンチ
　20位　銀河鉄道999　松本零士

　かようなアンケートの結果を発表しても、絶対に読者全員が納得する結果は出ない。なぜこの作品がこんな上位に来るのだ。なぜあの作品がランクインしていないのだ。不満不平不評不信が渦巻くことだろう。現にこのブログを読んでいるあなた。あなたは納得しますか。たぶん納得していないでしょう。
　もちろん小生も納得していない。そこで小生も昭和のマンガベスト20を考えてみた。ちなみに小生は少女マンガはほとんど読んでいない。そのことをご承知の上、以下をお読みいただきたい。

　1位　鉄腕アトム
　2位　ドラえもん
　3位　サザエさん
　4位　あしたのジョー
　5位　ハレンチ学園　永井豪
　6位　ゴルゴ１３
　7位　忍者武芸帳　白土三平
　8位　男一匹ガキ大将　本宮ひろ志
　9位　巨人の星
10位　火の鳥　
11位　天才バカボン　赤塚不二夫
12位　オーム伝　関一彦
13位　鉄人28号　横山光輝
14位　ゲゲゲの鬼太郎　水木しげる
15位　光る風　山上たつひこ
16位　伊賀の影丸　横山光輝
17位　サイボーグ009　石ノ森章太郎
18位　バイトくん　いしいひさいち
19位　猿飛佐助　杉浦茂
20位　ルパン三世

　以上、もちろん、このベスト20に賛成してくれる人は少ないと思う。マンガの読者100人いれば100のベスト20ができるだろう。マンガファンとして高名な麻生太郎さんはどういうベスト20を上げられるだろうか興味のあるところだ。麻生さん、もしこのブログをご覧になっているのならコメントください。
　さて、小生は「鉄腕アトム」を1位に上げていた。確かに「あしたのジョー」も名作マンガではあるが、ベスト１かと聞かれると、小生はうんといいかねる。幅広い層に親しまれ愛されたことを考えるとアトムだ。
　媒体が朝日で、アンケート対象が比較的高年齢ではないか。だから長谷川町子が2作もランクインしたのだろう。「サザエさん」の上位は納得いくが「いじわるばあさん」の3位というのはいかがなものか。
　永井豪は50位にも入っていなかった。おかしい。「ハレンチ学園」はぜひ上位に上げなくてはいけない。エロと暴力という「良い子」が見てはいけない世界。しかし「良い子」だって男の子だ。気に食わんやつはどつきたい。女の子のスカートはめくりたい。してはいけないけれど、したい。男の子の本音を満足させたという意味で、このマンガの登場によって、マンガは真に男の子のものとなった。
「男一匹ガキ大将」は、ケンカして倒した相手を手下にして、手下を増やし、村→町→市→県→地方→日本、と、だんだん縄張りを拡大していって自他ともに認める大番長となる。少年漫画の重要なジャンル「番長」ものを確立させた作品。
「オーム伝」ご存知の人は少ないと思う。実は小生もよく覚えていない。ただ、「虐げられた民衆が立ち上がって権力者を倒す」という小生の好きなシチュエーションに初めて接したマンガがこれだ。感動したことだけは覚えている。オームとは民衆のリーダー。そして、オームとは電気抵抗の単位Ωのこと。権力に「抵抗」するのだ。
　いしいひさいちの「バイトくん」を上げた。「がんばれタブチくん」でもいいが、長谷川町子以降の日本の四コマ漫画の表現の可能性を押し広げたのはいしいだと思う。
「猿飛佐助」杉浦茂の奇想は尋常じゃない。考えてみれば、昭和のマンガの奇想の路線をたどって行けば、源流に杉浦茂がいるのではないか。