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とつぜんコラム №149 日本が「あの方向」に行っていいのかな

昨年、2013年は日本がはっきりと、「あの方向」に向いた年だった。私たちの父母祖父祖母たちがいた日本の方へ。21世紀の日本が。20世紀の日本の方へ向いた年だった。
 だれが日本をその方に向けたか。いうまでもなく宰相安倍晋三氏である。その安倍氏にこの日本を託したのはだれか。私たちである。私たち日本の国民が安倍晋三氏に日本の舵取りを任せたのだ。安倍氏が党首を務める自由民主党に、与党の座を与え、国会で過半数の議席を与えたのは私たちなのだ。他のだれでもない。私たち日本の有権者だ。だから、その結果どうなろうと、責任は私たち日本の有権者が負わなければならないだろう。
 私たちは誰に対して責任を負うべきか。この国の未来の人たちに対してだ。では、どうして責任を取る。不始末をしでかし「責任を取る」というと、その職を辞することだが、自民党を与党に復帰させ安倍氏に内閣を任せたことによって得る結果の責任と取って、私たちは日本人を辞めることはできない。日本を捨て海外に移住して外国の国籍を取得することも不可能ではないが、ほとんどの人にとっては非現実的だろう。
 では、どうする。小松左京「日本沈没」の山本首相の言ではないが「このままなにもせんほうがええ」確かにそれも選択肢の一つだ。ただ、20世紀の日本がいかなる国で、世界にいかなる影響を与えたかは諸賢のご存知の通り。またその件についての評価は、21世紀の現時点では否定的な評価なのもご存じの通りである。もっともっと長い目で見て、遠い未来から20世紀の日本を俯瞰すれば、いかなる評価であるかは、21世紀人たる私たちにはうかがい知ることはできない。
 ただ、21世紀日本人の価値観で観れば、20世紀日本は自身が不幸な国で、他国にまで不幸を伝染させたことは、事実であることは間違いないだろう。その日本の不幸が身から出た錆なのか、外に要因があり、やむを得ず取った手段の結果なのかは判らない。身から出た錆であり、20世紀の世界の災厄の要因の一つとなった、との断罪を下され、その断罪を受け入れたことは事実だ。だから、昨年末の安倍氏の靖国参拝に対して関係諸国が遺憾の意を表明するのは理解できる。
 ともあれ、これから21世紀後半、そして22世紀に向かう日本が、20世紀の日本となるのか。私個人的にはNOといいたい。昨年、秘密保護法案成立、靖国参拝を実現した安倍首相。昨年2013年は「助走」の年だった。今年、2014年は憲法改正、そして「あの方向」に日本の舳先を向けるだろう。
 景気回復を一番の目標にかかげ、事実各種数字指標の類は確かに結果が出つつある。企業の業績も上がっている。その反映として、この春の春闘で、企業が上げた利潤が、ある程度労働者に分配されれば、自民党安倍政権の支持率はさらに上がるだろう。そして、日本の「あの方向」への船足はますます加速するだろう。で、考えたい。景気さえ良くなればいいのか。「あの方向」へ進んでいいのか。

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