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神戸文化ホールの落語会に行った

昨日の日曜日、午前中は例によって休日出勤。10時まで会社で仕事。買い物して帰宅。七夕ということで、昼食は七夕そうめん鮎の昆布蒸し。午後は3時まで昼寝。藤浪VSマエケンも気になるが、3時過ぎより家をはい出て外出。行先は大倉山の神戸文化ホール。昨日はここで落語会があった。
 神戸文化ホール。今から38年前1975年に第14回日本SF大会が開かれた会場だ。いまは亡き畏友清水宏祐くんが実行委員長をやって、筒井康隆さんがスポンサーだった。小生よりずっと若い清水くんが先に逝って、ずっと年上の筒井さんが78歳でまだまだ元気で「聖痕」なんて意欲的な新作を出している。人の寿命なんて判らないものだ。桂米朝師匠の「地獄八景亡者戯」を初めて生で観たのも、この時のSF大会だった。
 で、昨日の落語会。「東西吟選落語会 七夕寄席」ということで、東西の噺家6人が出演。東から、柳亭市馬、春風亭一之輔、柳家喬太郎。西から、桂小枝、笑福亭三喬、桂雀々。
 出演者6人はちょっと多いんじゃないかと思っていた。マクラをしゃべっただけでお後と交代となるのではと心配してた。だいたい落語会なんてものは2時間程度だ。心配無用だった。6人ともきっちりまとまったネタを演じてくれた。5時開演で終わったのは8時。3時間の落語会。満足満腹した。
 江戸落語の3人。実は小生、江戸落語はあまり聞かない。ものすごく久しぶりに生で江戸落語を聞く。関西人の小生にとって、アズマエビスの言葉は違和感を感じるが、この3人、噺そのものは上手く面白かった。
 さて、目的の上方の3人。まず、小枝さん。「探偵ナイトスクープ」で、よくお目にかかっていたが、実は小枝さんの落語を聞くのは初めて。マクラはあのねちゃーとしたおしゃべりで家族のことをネタにしてはった。先般、フライデーされた不倫の件はさすがにネタにしてなかった。
 小枝さんの演目は「次の御用日」案外まっとうなネタをやらはった。うん、小枝さん、まっとうな噺もできるやんか。ナイトスクープの局次長で、パラダイスもええけど、小枝落語をもっと聞きたい。
 次に三喬さん。師匠の松喬さんが大病を患い大変なことと同情申し上げる。お大事に。三喬さんの演目は「借家怪談」じつは、三喬さんのこの噺、先日NHKの「上方落語の会」で放送されていた。もちろん観て、DVDに保存もした。テレビで観て、また生で同じ話を聞いたが、なかなか興味深かった。噺の本筋は同じだが、微妙にくすぐりを変えてはったし、それにマクラが違った。
 よく男に裏切られた女が「化けて出てやる」なんていってるが、幽霊にはそんな簡単になれない。幽霊になるには五つの条件をクリアしなくてはならない。
 一つ 美女でないといかん。不細工な女が幽霊になってもいっこも怖くない。
 二つ 色白。アグネス・ラムみたいな健康的な小麦色の女は幽霊になれん。
 三つ スレンダー。ふっくらした幽霊はダメ。
 四つ 小足。幽霊には足がある。円山応挙の絵のイメージが強いが幽霊には足がある。足音もする。裸足だから26.5なんて足だとでかい幽霊だ。
 五つ 無口。おしゃべりな女は幽霊に向かない。皿の枚数不足をとがめられたおきくさんは言い訳や口ごたえをしてはいかん。だまって、井戸に身を投げるべし。
 さて、トリは雀々さん。マクラは枝雀師匠の内弟子時代の話。雀々命名の由来から、春団治師匠の電話の話。いやあ、枝雀のものまねが笑わされる。それに大御所桂春団治をこれだけイジれるのは雀々さんぐらいだろう。大師匠の米朝師匠は、さすがにあまりイジらず、あっさりと触れていた。
 さて演目は「ちょうず回し」か「代書」どっちかだろうと思っていたが、きっちり「代書」をやらはった。雀々さんの「代書」なんども聞いたし、DVDでも持っているが、やっぱり面白い。大笑いする。雀々さんの「代書」は春団治や師匠枝雀の「代書」とは違い、雀々「代書」を完成させたといってもいいだろう。桂米團治さんが、先代米團治創作のこの噺に取り組んでいるとか。5代目米團治の「代書」も聞いてみたい。
 実はこの時の席は、前列から5列目。かなり前だ。その席で聞く雀々さんの「代書」はさすがに迫力。パワーに圧倒された。緞帳が下りた後、隣の席のおっさんが「いやあ、雀々は枝雀に似てきた」といっていたが、違うって、雀々と枝雀は正反対の噺家だ
 大笑いした後は、家族で焼き肉屋。生ビールを2杯飲んで、肉をたらふく食う。いい機嫌で帰宅。ネットを見ると、藤浪がマエケンに勝っとう。じつにめでたい。それから録画しておいた「すずらん本屋堂」を観る。ゲストは筒井康隆さん。38年前は神戸文化ホールの米朝師匠の高座でお茶子やったはった筒井さん。(もちろんシャレで)ずいぶんえらくなったもんだ。「聖痕」のPR。それにこの日記も本になったとか。北原尚彦さんの「東京古本散歩」も見る。このコーナーは毎回観てるが面白い。小生も古いSFもんだが、古本趣味には走らなかった。古本趣味に走っていたらどんな恐ろしいことになっていたか。結婚できなかったかも知れない。
 会社に行って、落語会に行って、焼き肉屋で家族で夕食、藤浪マエケンに勝つ。いやあ、充実した面白い日曜日であった。
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