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2010年の阪神タイガースをふりかえる

 阪神タイガースの2010年はセリーグ2位という成績で終った。今年のセリーグは優勝した中日と2位阪神とはゲーム差1。3位巨人と2位阪神はゲーム差なし。近来にない接戦だった。
 印象をいうなら、がんばって2位になったというより、せり負けて2位になってしまった、という印象だ。これが阪神3位であっても、なんら不思議ではない。事実阪神が3位になったのは、ひとえにヤクルトのおかげである。
 今年の阪神のウリは打撃だった。シーズン前に真弓監督自身もいっていたし、事実、実に強力な打線であった。チーム打率0.29は12球団1。ホームラン173本は巨人についで2位。確かに「平成のダイナマイト打線」といわれるのは、ある程度は納得できる。しかし、それは、横浜や広島などの投手が弱いチームが相手であって、中日、ヤクルトなどの強力な投手力のチームが相手なら、ダイナマイトどころか、しけった線香花火になる。「ダイナマイト打線」というより「弱い者いじめ打線」といった方が正鵠を得ているだろう。
 これだけ強力(数字上は)な打線を有しながら、優勝できなかったのはなぜか。江本の言い草を思い出した。ベンチがアホだからである。不可解な継投。金本の使い方、打てない時の対応。かようなベンチワークで負けた試合がいくつあったことか。チームがゴンゴン打っている時は、ベンチにぬいぐるみが置いてあっても試合には勝てる。「打て」のサインさえ出しとけば勝てる。打てない時、投手が打たれた時、どうするか。好投していた先発を交代して負けた試合もある。事実9月10日の試合がそうだった。久保を続投させていたら勝ったかも知れない。久保続投がダメで福原が見事おさえたかもしれない。そんなもの結果論やといわれるかも知れない。久保を続投させるさせない、継投に福原をチョイス。この判断を誤って負けたわけだ。
 確かに今年の阪神は逆転勝ちが多かった。見ていて気持ちの良い試合もあることはあった。仔細にデータを分析していないが、逆転負けも多かったのではないか。ということは継投策の失敗が多かったということである。
 小松左京の「日本沈没」の登場人物田所博士によれば、科学者にとって一番大切なのは「直感とイマジネーション」だそうだ。博士は日本海溝の底を観察して「直感とイマジネーション」を得て、日本が沈没することを確信した。これはプロ野球の監督も同じことではないか、データも大切だ。極端なことをいえば、その打者を100打席おさえている投手が101打席目にホームランを打たれるかもしれない。優勝を決める大一番がその101打席目かも知れない。まさに「直感とイマジネーション」である。いわゆる勝負勘といってもいい。真弓監督にはそれがないのではないか。なんでも、1軍は真弓以下コーチ陣全員留任とのこと。大反対である。真弓じゃ優勝できない。コーチも久保と木戸は更迭すべきだ。
 来年もこの時期「2011年の阪神タイガースをふりかえって」という記事を書くつもりだが、そこで真弓さんに謝らせて欲しい。こりゃとんだ見込み違いでした、真弓さん、久保さん、木戸さん、ごめんなさい、と、小生にいわせて欲しい。
 今の阪神に何が無いか。「真の」という言葉がつく存在がない。「真のエース」「真の4番打者」「真の守護神」
 井川がアメリカへ去ってから阪神には「真のエース」はいない。安藤がなんとか「エース」と期待されたが、彼の今年の成績はご存知の通り。久保がエースらしい働きをしたが、この調子が今年限定なのか、本物なのかまだわからない。
 金本の記録が途絶えてから新井がずっと4番を勤めていた。打率0.311打点112本塁打19本。本塁打数が少ないのが不満だが、数字的には合格だろう。しかし、ここ一番で打てない。絶好のチャンスを併殺打を打ってチャンスをつぶす場面が多々あった。新井の一打で、その試合を、そのカードを、ひいてはセリーグの行方を決める、というのがなかった。優勝するチームにはそういう神がかり的一打を打つ打者が必ずいる。金本全盛期はそうだった。
 藤川は「真の守護神」だった。ところが今年は藤川が打たれて逆転負けするケースがあった。「真の」と「神」を外して「守護人」となってしまった。かっての、高めの火の玉ストレートで空振りを取ることが少なくなった。これは藤川本人というより、中継ぎ投手の事情によるものだろう。久保田以下中継ぎ陣が頼りないがために、藤川がイニングまたぎ8回から投げなければならない。また、勝つときは大幅リードで勝って藤川の出番なし。出てもセーブがつかない場面、などなど変則的な使われ方をされた。藤川本人にとっても不本意なシーズンであったろう。これからは、藤川は9回限定を絶対守るべし。

投手たち
 久保だけである。あとはスタンリッジか。この二人で阪神先発陣を支えていたといっても過言ではない。
 中継ぎは左の不在が問題だといえる。江草、筒井あたりががんばらなければいけないのに、2軍に棲息している。ロッテから来た川崎は期待外れであった。左は新人の藤原だけという状態だった時期もある。ウィリアムスを呼び戻すというのはどうだろう。本人も阪神に愛着があるようだし。JFK時代の働きは無理でも左のワンポイントならまだ通用しないだろうか。藤川に関しては上記に書いた通りである。
 ことしの阪神の投手に関しては、先発と中継ぎの問題は多くの人が指摘している。小生はもう一つ問題にしたい。今年の阪神に敗戦処理投手という存在がいなかった。それも優勝しそこねた要因ではないか。
 勝ってる試合でも渡辺、西村、負けてても渡辺、西村。彼らは勝ち試合で出すべき投手だ。確かにあきらめないで、逆転を信じて優秀な中継ぎ投手を投入するのは判る。しかし、プロなら試合の流れ、自分のチーム、相手チームの様子を子細に観察するならば、これは負けだなと、判断することもあるだろう。そういう時に投げさせる投手がいないから、かような投手をつぎ込む。彼らも人間である。疲れる。そして、本当に彼らを必要とする場面で、思うような働きができない。西村なんか前半、あれだけ有能な中継ぎ投手だったのに、後半は完全に息切れ。これは上記のような使い方をしたがためだ。可能な限り良い形で敗戦ができる有能な敗戦処理投手が必要だ。144試合全部勝てない。必ず負け試合がある。そういう試合の後半を見事に負けてみせる投手も大切である。
 
野手たち
 打撃に関しては上記に書いた通り、数字上は不満をいえばバチが当たる。申し分ない数字だ。ただ数字に現れた通りの打撃が、最も必要とされる場面で発揮できなかったのは事実である。どっちでもええ試合で22点も取るくせに、あと1本欲しい場面で出ない。爆発力はあるが、勝負弱い打線だといわれても文句はいえまい。その象徴ともいえる選手が新井だ。肝心のところで打てない。1アウト2,3塁で4番新井。併殺打で、あ~あと、何度ため息をついたことか。やっぱり打線の核である。もうちょっと勝負強い4番になってもらわなくちゃ。
 野手で処遇を考えなくてはいけない選手が二人いる。まず金本。もとのアニキに戻るならそれに越したことはない。4番レフト金本でスタメンで出てもらおう。もとのアニキでない場合が問題だ。肩の故障が癒えたとしても来年43だ。もとのアニキを期待できるか。スタメンで使うか、代打か。大功労者でチームの精神的支柱ともいえる選手である。連続試合出場の記録もある。ただ、金本が試合に出なければ、マートンは不可欠だから、藤川俊介、林威助、桜井、浅井らのベンチということになる。いずれもベンチに置いておくにはもったいない選手だ。金本が代打に不向きなのは今年で判った。果たして、彼らを差し置いてまで金本を使うべきかどうか決断すべきだ。
 次に関本。実にありがたい選手である。守備もうまいし内野ならどこでもこなせる。打順も1番と4番以外はどこでも打てる。代打成功率も非常に高い。代打金本といわれれば、あ~あとため息をついたが、代打関本といわれると期待でわくわくした。バントもうまい。今年は2番は平野固定だったが、平野でなかったら2番2塁は関本だっただろう。彼は12球団№1のひかえ選手だろう。その関本はFAである。なんとしてでも引き止めるべきだ。そして関本をどうつかう。何をやらしてもうまい選手だけに、上手に使えば大きな戦力となる。 
 阪神の外野守備は大きな穴だ。レフト金本、センターマートン、ライト桜井というパターンが今年前半によくあったが、外野に球が飛ぶとヒヤヒヤした。
 赤星の抜けた穴。打つ方に関してはマートンでお釣りが来て余りあるが。こと外野守備に関しては赤星の穴はいまだ開いたまま。ここは藤川俊介の成長に期待しよう。

阪神タイガース2010年MVP

投手 久保康友
   これはどちらさんからも異議は出ないだろう。
   次点
   ジェイソン・スタンリッジ 
   秋山拓巳
   秋山は後半になっての救世主。それに来季への期待も込めて。

野手 マット・マートン
   こちらも異議がないと思う。
   次点
 グレイグ・ブラゼル
 来年こそホームラン王になれ。不器用そうにみえるけど器用である。守備もうまい方ではないか。
 平野恵一
 打撃、守備ともいうことはない。バントの成功数はリーグ1。足が速いのだから盗塁を増やすべし。
 



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