goo

好きもんの矜持

 東京都が大金を使ったにもかかわらず、オリンピック誘致合戦に負けたのは記憶に新しい。石原知事はこれに懲りていないらしく、次ぎの機会にまた立候補する気だ。東京とは別に、広島もオリンピックを開催したいらしい、また、オリンピック以外にも、サッカーのワールドカップを日本で開催しようという動きもある。
 大変に結構なことだ。オリンピックでもワールドカップでもどんどん日本でやればいい。ただしお金はそういうことに興味がある人だけで負担してもらいたい。小生は、そんなもんには興味はないから、サッカーファンには悪いがお金を出すつもりはない。ところが、オリンピックや、サッカーのワールドカップの招致活動には、さすがに大きなイベントだけに税金が使われるのだろう。小生も貧乏人ながらも税金は納めている。サラリーマンの源泉徴収だからごまかしようがない。正直にきちんと納めているわけだ、だから、オリンピックやワールドカップに興味がないから金は出さん、といっても無理やり小生の納めた税金の一部がそんなことに使われているわけだ。そのぶん税金をまけろといっても無理だろう。
 癌の研究に税金を投入するというのなら納得がいく。癌はだれでも罹るかもしれない。だれにでも当てはまる問題だ。ところがワールドカップは、サッカー好きや、それに関わってお金をもうけている人だけに関係することで、小生のごときサッカーに興味がない人間にはまったく無関係だ。
 小生はSF者である。SFが大好きだ。SF者はSFを読むだけで満足できず、SFに関わる様々な活動を行う。同人誌を発行し、イベントを開催する。国内で最大のイベントは年次日本SF大会だ。小生も開催に関わったことがある。日本各地回り持ちで今年は東京で49回目が開催される。
 世界大会もある。アメリカで開催されることが多く。アメリカ以外でも英語圏での開催だった。この世界SF大会を日本に呼ぼうと、前世紀から、先日亡くなった柴野拓美氏をはじめ、多くのSF者たちが活動してきた。そして2007年横浜にて第65回世界SF大会が開催され成功を治めた。長年の悲願が実現したわけだ。これはアジア初であり、また始めての非英語圏での世界SF大会となった。
 もちろんこれはSF者たちが手弁当で活動した結果である。あたりまえのことだが、世界SF大会誘致に公的なお金は一銭も使っていない。また、関わったSF者たちも、そんなことは意識もしていなかっただろう。
 SFとサッカーをいっしょにはできないだろう。しかし、好きでやっているという一点は同じだろう。好きだからこそ、自分たち自身の力だけで事を成し遂げようと思うのが自然ではないのか。無関係の人のお金まで当てにせず自分たちでやる。それが好きもんの矜持というものではないか。
コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )