ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

林業の商機・クラウドによる見える化・針広混交林 アイデア三題噺239

2019-05-30 22:56:15 | 日記

 日本は、国土の約7割を森林が占めています。先進国では珍しい光景なのです。高度成長期に大量に植林された人工林が、伐採期になっています。果実を取り入れる時期になっているのですが、思うように進んでいないのです。欲しい木材がどこにあって、いつ手に入るかが分からないのです。そこで、確実に手に入る輸入木材が多く使われてきた事情があります。日本の弱点は、森林資源に関する情報開示が遅れていることです。でも、いつまでもこの宝の山を眺めている日本ではありません。国土の約7割を占める森林に、商機を見いだそうと各企業か知恵を絞っています。
 そこで、日本の林業における商機を考えてみました。欧州では機械化を進め、効率を上げるとともに、作業を安全にするスマート林業が進んでいます。日本は急峻な山が多く、地権者が細かく分かれるため、林業の機械化や大規模化が遅れました。2024年度から森林環境税が導入され、森林の整備などに毎年600億円が使われます。この環境税が機械化や情報技術の導入が進む契機になると期待されているのです。この流れで、コマツは取引価格参考に高く売れるように木を自動で切断する重機を開発しています。コマツの重機(ハーべスター)は、あらゆるモノがネットにつながるIoTが組み入れられています。伐採する木を選らび、木材が高く売れる長さに切断していくのです。材木の取引価格を参考にし、どう木を切断すれば高く売れるかを自動で判別して、切っていくわけです。このハーベスターの開発を見ると、国内でも高値で売れる木材が育ってきたことが一つの要因です。
 日本の木材市場の弱点は、伐採する企業と製材工場、材木店の間で情報が分断されていたことです。富士通は小売業界のサプライチェーン(供給網)管理のノウハウを、林業に応用することを考えました。どういう木材が、伐採され、現在どういう木材が入手できるかをクラウドシステムで見える化をするわけです。木材の情報を林業生産者、木材会社、運送会社、製材所などと共有し、在庫管理の手間を省く仕組みができつつあるようです。これに、コマツが開発した伐採機と連動すれば、伐採した木材データが自動的に収集でき、見える化が可能になります。木材の伐採が効率化し、木材の情報の見える化ができても、日本の林業には弱点が残ります。木材を育てるまでの経費が、諸外国に比べコスト高なのです。
 日本の林業経営戦略は、植栽、下刈りの初期保育経費をいかに小さくするかにあるようです。適切な間伐を進めていけば、50年生以下の若齢林よりも、100年生の森林の方が利益の上げることができます。さらに、植栽、下刈りの初期保育経費を軽減する仕組みは、針広混交林の施業が有利になります。広葉樹の森では、短伐期でも伐った後は自然と元のような森になっていくのです。コナラやクヌギのような広葉樹は萌芽更新し、それらの種子からも次世代の木が育っていきます。植栽をする必要がないわけです。スギやヒノキは植栽に多くの費用と労力が必要になります。
 スギやヒノキは、大径材の無垢の木材が高い価格で取引されます。神社仏閣の改修のおりには、大径の良質木材が使用されます。世界的にこの種の木材は少なくなっています。これらの大径材の無垢の木を育てながら、間伐を行う林業経営行うことになります。その中で、広葉樹を資源として利用していく針広混交林の施業がこれからの林業となるようです。一度形成された森林生態系のストックを大事に生かしてそこから適度な収穫を続けていくわけです。森林生態系を把握した上で、製材所がクラてウド上に入力した需要データをもとに、林業会社が目的の木を伐採することになります。木材が自給できる日本になって欲しいものです。そして、それを支える人材も合わせて育つことを願っています。


コンビニ復権の妙手  アイデア広場 その470

2019-05-29 21:27:15 | 日記

 コンビニが、24時間営業の押しつけや食品ロスの問題で、世間から批判をあびています。でも、冷静に考えれば、コンビニは日本の重要なインフラです。この店がなくなった日本は、想像もできません。ベターな選択は、お互いの批判よりもオーナーも本部も適度な収益を上げながら、末永く社会に貢献でいる道を模索することでしょう。特に、食品ロスの問題については、社会的関心が高い話題になっています。もし、この問題を上手に対処すれば、批判をチャンスに変える妙手になる可能性があります。
 そこで、コンビニの復権を促す妙手を考えてみました。イギリスの食品廃棄量は、毎年720万トンを排出し、生ごみの処理に数十億ドルを使っています。包装容器に入ったケニア産のエンドウ豆、フィリピン産のマンゴー、トルコ産のトマトなどが次々に廃棄の順番を待っています。過剰な食料生産や食料の焼却処理は、エネルギーを消費し、二酸化炭素を排出します。生ごみの処理には、世界の温室効果ガス排出量の10%を占めているのです。
 エンドウ豆を輸出するケニアでは、何百万という人々が飢えに苦しんでいます。世界の食料廃棄が、年間13億トンを上回ります。一方、8億人を超える人々が栄養不足に苦しむ現実もあります。日本の年間廃棄量は、600万トン台で高止まりしています。食品ロスは国内の課題にとどまらず、国際的な環境や貧困問題ともつながっているのです。まだ食べられる食品が大量に廃棄される社会の仕組みを、見直す機運が高まってきました。世界各国から届いたトマトなどが、十分食べられるのに、もうすぐごみ箱行きになります。これと同じことが、コンビニ弁当にも見られます。弁当も、廃棄される時間が迫っているというわけです。
 食品ロスが起きる根は、深いものがあります。農家は販売する作物がなくなると困るので、どうしても過剰に生産します。消費者は消費者で、作物の見てくれを重視します。多くの農家が、見た目が悪くて出荷できない作物を安く販売することになります。アメリカでは、全作物の4分の1以上が、見た目のせいで廃棄されています。このような無駄に、世界の視線が集まるようになってきています。セブンイレブンやローソンが、弁当の値引き販売にかじを切りつつあります。この値引きには、加盟店のオーナーからの要請もありました。コンビニの食品ロスの処分費用は、相当部分が加盟店の負担になります。安くしても売れれば、加盟店の利益が確保できます。処分費用が、少なくなるからです。
 コンビニなどの小売業が廃棄する食品は、66万トンと全体の1割程度にすぎません。製造業は、137万トンで、外食は133万トンになります。さらに、それ以上の存在が、家庭から出る食べ残しで、291万トンと4割超を占めているのです。政府は、食品ロス半減の目標を掲げています。でも、家庭から出る廃棄量が、最近は逆に微増傾向をたどっているのです。もし、この増加傾向をコンビニの妙手で、減らすことができれば、コンビニの評価は高まるでしょう。
 妙手の仕組みのお話になります。食品の流れは、トレーサビリティーでたどることができるようになりつつあります。消費者の健康意識の高まりから、食品の安全性,栽培や飼育から加工・製造・流通などの過程が明確になっています。流れが分かれば、その食品がどのような経路をたどるかが分かります。廃棄されるはずのものが、再利用させていることもわかります。再利用するという手法は、いろいろあります。消費期限の近づいた弁当などを実質値引きし、売れ残りを減らすことも一つの方法です。安い果物や野菜が、高級ジャムの素材として利用されることもあります。子ども食堂に配布することも、一案でしょう。過剰生産した野菜も、ジュースにする加工工場があれば、有効利用できます。このジュースを、優先的にコンビニ店が購入することも一案でしょう。本部が、工場建設の資金を農家に支援する方法も考えられます。
 食品の流れは、ゲームに使えます。例えば、4つ大手コンビニチェーンが、各々10万個の弁当を作ったとします。そのうち何個あまり、何個廃棄したかがスマホで見える化するわけです。余りが少なく、廃棄物を有効利用したコンビニチェーンが、高く評価されるゲーミフィケーションを作ります。コンビニの廃棄物をどのように処理しているのかを、消費者が見て評価するわけです。評価は、最適個数を作っているかどうか、廃棄の量が少なくなっているかどうか、廃棄を少なくする工夫をしているかどうか、環境に対する影響はどうなっているかなどの点から見ていきます。評価に参加する人は、廃棄物の減量に賛同する100万人の消費者にお願いします。100万人が参加するゲーミフィケーションを、毎日行うわけです。消費者の意識を変えたコンビニチェーンの工夫や取り組みも、評価の対象になります。ゲームに参加している間に、食品ロスへの意識が高まり、社会全体としてロスが減少すれば楽しい試みになります。そして、コンビニの挑戦が、社会の課題を解決することに繋がってほしいものです。


時代の変化・社会の変化・異端の存在  アイデア三題噺 238

2019-05-28 21:52:53 | 日記

 一つの出来事が、時代を変える流れをもたらすようです。350万年前ごろ、パナマ海峡は、大西洋と太平洋がつながっていました。この海峡の隙間によって、双方の海からの海獣は自由に交じりあって交流していたのです。太平洋と大西洋の生き物は、同じような進化を遂げていったわけです。一方、パナマ海峡によって陸上の動物同士の往来は遮断され、南北は孤立したまま動物の進化を遂げてきました。ところが現在ようにパナマ海峡が閉鎖されると、太平洋と大西洋が分断され、お互いの生き物は独自の進化を遂げることになります。この変化により、南北アメリカは陸続きになり合体してしまいました。このことがもたらした陸上の変化は、北アメリカにいた小型の哺乳類が南へ侵入したことです。南へ侵入するルートの成立は、南アメリカの驚くほど多様であった動物相が大きく破壊していったのです。
 そこで、世の中の変化やものの見方が変わったときに何が起こるのかを考えてみました。南北アメリカの合体や離反が、この地域に大きな生態系の変化をもたらしたことは分かりました。ものの見方も、変わると面白いことが起きます。スカトールは、哺乳類の糞が放つ悪臭の主成分で、いわゆるウンコの匂いがします。ジャスミンやオレンジの花には、低濃度のスカトールが含まれています。この匂いを薄めていくと、甘い花の香りに変わるのです。この性質を利用して、微量のスカトールが配合されている香水も数多くつくられています。薄めたり濃くしたり、量を多くしたり少なくしたりする工夫が、優れたものを生み出しているようです。例えば、グーグルには、量が質に転換するという言葉があります。データの量を増やしていくと、いずれ質的に転換する時期がくるというものです。ビックデータは、このような発想から生まれました。現在では、ビックデータを制するものは時代を制するといわれています。その意味で、グーグルは時代の変化を盗み取っていた会社なのかもしれません。
 人は保守的な動物ですが、知識を獲得しようとする動物でもあります。人は知識を獲得するだけでなく、別の形に加工して発信することも行っています。面白いことに、知識の獲得量や発信量で他人と比較する性癖があるのです。人間は社会的動物のためか、他人と比較されることに敏感です。多くの人は、比較されたり、比較することにより、利己的傾向を強めていくようです。でも、ここにも異端の人はいるのです。他人と比較してしまうことで、利他性に目覚める人もいるのです。
 この異端の人の中には、自分にとって不愉快な情報を探索する人がいます。自分の生活や能力を削っても、自分の生き方を選ぶ人もいます。嫌な情報には触れたくないということが、普通の人です。自分の好みの情報を集めることが、一般的な流れになります。それに逆らいながら、他人に対してあえて尽くそうとする人達です。この異端の行動を追跡していくと、面白いことに気がつきます。彼らは、いつまでも成長を続けていくのです。この成長を続けていくヒントが、筋肉のトレーニングにありました。筋肉が発達するためには、一度筋繊維を傷つけるというトレーニングを経なければなりません。傷ついてた筋繊維を修復しようと人間の持つ再生作用が働くわけです。再生が終了すると、以前よりも強固な筋繊維が作られ、より高い筋力が出せるようになっています。一つのの試練が、より高いレベルに人を押し上げていくのです。地質時代からの動物を見ていると、時代の変化に見事に対応してい動物は、少数派に属するものです。いわゆる異端といわれる種は、変化する環境や社会を乗り越えてきたことを、過去の歴史が示しています。

三世代住居の復活の知恵  スモールアイデアNO 290

2019-05-27 19:37:22 | 日記

 経済協力開発機構(OECD)の中で、日本は小学校から大学への公的支出(2015年)は、最低になっています。日本の親が子どもを大学まで行かせるとなると、1人1000万円は必要と言われています。子供の教育費は、各家庭で用意することが求められているわけです。子ども教育も大切ですが、働く人の老後にも目配りをしなければなりません。ご夫婦2人がともに働いていれば、厚生年金をもらえます。定年後、ご夫婦の場合月々の年金額は約20万円というのが平均的なところになります。現在、40~50歳の方は2人で月15~18万円くらいの生活を考えておくことが現実的かもしれません。
 最近になって、世帯の収入が減ったために共働きが増えるようになりました。収入が減り、子育てにも不都合が出てきています。保育所の定員が思うように増加しないために、年老いた親を頼る若い夫婦も出てきています。子育ての支援を、高齢者世代に求めて近居を志向する傾向が強まったともいえます。確かに、子どもが育つ環境は、老若男女、さまざまな人に子どもたちが接することが、子どもの可能性を伸ばすことは経験的に知られています。また、住み慣れた地域が重要であることは、多くの震災の事例で証明されています。例えば、東日本大震災のときに1万5千人以上の方が亡くなりました。でも、避難された方がその数年後には、二次被害と言うことで1万6千人以上の方が亡くなっているのです。住み慣れた地域が、いろいろな問題を解決する「引き出し」を持っていたのです。夫婦だけの世帯より、祖父母と父母、そして子どもの世帯のほうが、いろいろな引き出しを持つことができるようです。
 そこで、3世代の生活について考えて見ました。3世代住居では、介護の問題が生じます。祖母の終末期には、家族全体が心身ともに疲労が蓄積して、苦労する姿が見られました。健康に動ける平均的な年齢は、男性72歳、女性75歳と言われています。いわゆる健康寿命です。でも、最近の介護保険制度は上手くできているようです。普通は、要介護5の寝たきりの方は、月36万円かかります。でも、介護保険を使えば、1割の自己負担で済むのです。この制度を使えば、1年間で43万2千円になります。10年間、寝込んでも432万円で済むということになります。もちろん終末期は、金銭的問題以外にもご家族にとっても大変なことがでてきます。でも、2人で1000万円程度老後に準備しておけば、金銭面で子ども達に迷惑をかけないという心の余裕が生まれます。3世代で過ごせば、家賃や食事など、家全体の家計では節約が可能です。これからの安定成長では、3世代の生活も一つの選択肢になるでしょう。蛇足ですが、若夫婦が独立して家を建てれば、数千万円のお金を使うことになります。3世代住居になれば、1000万円の教育費と老後の介護費用は簡単に準備できるわけです。
 問題は、古今東西人類が難儀し続けている嫁姑の葛藤になります。若い人と年寄りでは、食べる物寝る時間、起きる時間も違います。この両者の関係で隠居というタイプの部屋が生まれるようになったとも言えます。嫁と姑の間には、他人としての「壁」を1枚立てておくほうが良いようです。隠居という住居の棲み分けは、長年をかけた知恵の結晶のようです。
嫁と姑がお互いに高く評価すべき存在だと思えば、自然と人間関係は豊かになることも、経験的に知られていることでもあります。
 3世代の生活は住居内の人間関係が円滑にいけば、ある面でこれからの社会では有効に機能する生活形態になります。血圧やコレステロール値を下げると、寿命はだいたい4年ぐらい延びます。年を取ることに良いイメージを持っていた人達は、平均して7.5年程度長生きしているのです。体を節制する以上に、良いイメージのほうが健康には効果的のようです。住居内で良いイメージで過ごせるようになれば、1世代住居より経済的にも社会的にも優れた面が出てきます。世の中は、どうしたら施設を減らしたり、行政をコンパクトにするかという時代です。家庭においても、この流れ推進する人達が出てきています。節約し、子どもの教育費や老後の備えをしようとしているのです。
 一国には一国の、一家には一家の分限があります。分限を定めてそれに応じた暮らしをすることが望ましいわけです。分限を定めなければ、たとえ世界中の富を所有しても不満が噴出してしまうでしょう。自分を他人と比較ばかりしていると、自尊心が傷つき自分自身を見失います。ほどほどに満足する生活習慣をつけることが、大切な知恵になります。3世代住居の中では、嫁と姑の問題の克服や子育ての問題を解決する中で、ほどほどに満足する仕方ややり方を学んでいくことです。これができれば、多様なニーズや変化に対応する経験を積んで、引き出しの多い人材になっていくことができるようです。3世代は、課題も多く出てきます。でも、この古くて新しい3世代の生活は、楽しいことも、役立つことも次々生まれてくるようです。



進化する介護施設の経営   アイデア広場 その469

2019-05-26 20:27:35 | 日記
 介護施設に閉じこもっているだけでは、脳の老化が加速していく現実を介護施設側は憂慮していました。でも、危ないとか心配だという理由で、大事にし過ぎる施設もあるようです。このよう施設内で生活する要介護の人達は、リハビリに対して消極的になる傾向があるようです。介護を受けている人から全ての役割を取り上げてしまうと、認知症の症状は進行してしまうことが分かっています。
 そこで、要支援や要介護の方達の機能低下を防ぐ方法を考えてみました。介護には、要支援の段階と要介護の段階があります。要介護の段階は、5段階があります。ここでは、食事や排泄がある程度自分でできるが、介護も必要な要介護2までの人達を念頭にお話を進めていきます。
 あるスーパーは、介護や福祉施設と手を組み、要介護者の運動量を増やす仕組みを工夫をしています。専用のショッピングカートで、買い物をする仕組みを作ったのです。要介護者を、スーパーに解き放ったわけです。要介護の方は、不自由な施設より、自由に買い物ができるスーパーの楽しさを覚えてしまったのです。店内を専用カートで動き回り、欲しいものを手に入れようとする強い意欲が現れはじめたのです。施設でも、施設内を専用カートで動き回るトレーニング取り入れました。すると、リハビリに取り組む姿勢に変化が現れ、より積極的にリハビリに取り組み、機能の向上が見られるようになったのです。より自由に、広範囲に店を見て回り、品物を選ぶという意欲が、リハビリに取り組む姿勢を向上させたようです。要支援の方はもちろん、要介護の方の体の動きも、脳の活力も良い方向に向かいました。スーパーも利益をあげ、要介護者も元気になり、介護施設は入居者の機能向上計るという「三方良し」を実現したわけです。
 また最近、料理療法を取り入れている介護施設が出てきました。介護関連会社が運営するデイサービスで、料理療法を取り入れる動きが広がっています。料理療法は楽しいうえに、達成感が味わえると好評のようです。料理の段取りを考えると、計画力が向上します。煮焼などの複数作業を同時に行うと、さらに脳も体も活性化に向かうようです。献立を考える、包丁で切る、いためる、盛りつけるのいずれの場面でも、脳と体は活性化します。料理は、五感のすべてを刺激するわけです。
 認知症で当初は包丁の刃を反対に持っていた人も、継続的に行うことで、今では手際よく何でも切るまでになっています。ある女性は何かにつかまらないと歩けなかったのに、平気で調理場を歩き回っている姿があります。料理後の感想文を、当初はほとんど書けない人もいました。しばらく料理教室に通ううちに難しい漢字を使い、理路整然と書くようになったということです。様子を見に来た家族が、以前との違う姿ににビックリすることもあるようです。食材を切ったり盛りつけをしたりすることが、脳を活性化し認知症予防や心身機能の改善に効果あることを示すケースです。
 もう一つ介護施設が、面白い試みしている事例があります。化粧を用いる化粧セラピーを取り入れているのです。化粧を行う中で、高齢者の日常生活にメリハリをつけ、女性であることを意識させるわけです。化粧は、社会のなかで生きていく意欲を持ち続け、活き活き暮らすための原動力になります。美を求めることは、年齢に関係ないようです。美は、主観的と思われがちです。よく見ていくと、美には一定の様式があるようです。この様式の捉え方は、本人の意思を尊重することが大切になります。
 結論ですが、介護の方法は進化しています。ケアマネジャーの方は、これらの流れを把握していることでしょう。いずれ介護をお願いする高齢者は、最近の介護の流れや将来の流れを想定しながら施設を選ぶことになります。新しい流れから読み取れる近未来の介護施設は、要支援者や要介護者が持っている身体機能維持することが第一でしょう。その上で、欲求を充足させる施設運営や人材を確保することが条件になります。リハビリもスーパーと協力し、料理教室も取り入れ、そして、化粧セラピーを取り入れるなど、娯楽性を取り入れた施設がモデルになるようです。未来の施設は、複合的な処方箋を備えたものになるようです。
 蛇足ですが、要支援や要介護の方々に喜ばれる料理のプロを、講師として招くことも面白いかもしれません。もちろん、化粧セラピーには男性の専門家を抜擢して、楽しい時と空間を提供することも考えられます。




進化する介護施設の経営   アイデア広場 その469

2019-05-26 20:27:35 | 日記
 介護施設に閉じこもっているだけでは、脳の老化が加速していく現実を介護施設側は憂慮していました。でも、危ないとか心配だという理由で、大事にし過ぎる施設もあるようです。このよう施設内で生活する要介護の人達は、リハビリに対して消極的になる傾向があるようです。介護を受けている人から全ての役割を取り上げてしまうと、認知症の症状は進行してしまうことが分かっています。
 そこで、要支援や要介護の方達の機能低下を防ぐ方法を考えてみました。介護には、要支援の段階と要介護の段階があります。要介護の段階は、5段階があります。ここでは、食事や排泄がある程度自分でできるが、介護も必要な要介護2までの人達を念頭にお話を進めていきます。
 あるスーパーは、介護や福祉施設と手を組み、要介護者の運動量を増やす仕組みを工夫をしています。専用のショッピングカートで、買い物をする仕組みを作ったのです。要介護者を、スーパーに解き放ったわけです。要介護の方は、不自由な施設より、自由に買い物ができるスーパーの楽しさを覚えてしまったのです。店内を専用カートで動き回り、欲しいものを手に入れようとする強い意欲が現れはじめたのです。施設でも、施設内を専用カートで動き回るトレーニング取り入れました。すると、リハビリに取り組む姿勢に変化が現れ、より積極的にリハビリに取り組み、機能の向上が見られるようになったのです。より自由に、広範囲に店を見て回り、品物を選ぶという意欲が、リハビリに取り組む姿勢を向上させたようです。要支援の方はもちろん、要介護の方の体の動きも、脳の活力も良い方向に向かいました。スーパーも利益をあげ、要介護者も元気になり、介護施設は入居者の機能向上計るという「三方良し」を実現したわけです。
 また最近、料理療法を取り入れている介護施設が出てきました。介護関連会社が運営するデイサービスで、料理療法を取り入れる動きが広がっています。料理療法は楽しいうえに、達成感が味わえると好評のようです。料理の段取りを考えると、計画力が向上します。煮焼などの複数作業を同時に行うと、さらに脳も体も活性化に向かうようです。献立を考える、包丁で切る、いためる、盛りつけるのいずれの場面でも、脳と体は活性化します。料理は、五感のすべてを刺激するわけです。
 認知症で当初は包丁の刃を反対に持っていた人も、継続的に行うことで、今では手際よく何でも切るまでになっています。ある女性は何かにつかまらないと歩けなかったのに、平気で調理場を歩き回っている姿があります。料理後の感想文を、当初はほとんど書けない人もいました。しばらく料理教室に通ううちに難しい漢字を使い、理路整然と書くようになったということです。様子を見に来た家族が、以前との違う姿ににビックリすることもあるようです。食材を切ったり盛りつけをしたりすることが、脳を活性化し認知症予防や心身機能の改善に効果あることを示すケースです。
 もう一つ介護施設が、面白い試みしている事例があります。化粧を用いる化粧セラピーを取り入れているのです。化粧を行う中で、高齢者の日常生活にメリハリをつけ、女性であることを意識させるわけです。化粧は、社会のなかで生きていく意欲を持ち続け、活き活き暮らすための原動力になります。美を求めることは、年齢に関係ないようです。美は、主観的と思われがちです。よく見ていくと、美には一定の様式があるようです。この様式の捉え方は、本人の意思を尊重することが大切になります。
 結論ですが、介護の方法は進化しています。ケアマネジャーの方は、これらの流れを把握していることでしょう。いずれ介護をお願いする高齢者は、最近の介護の流れや将来の流れを想定しながら施設を選ぶことになります。新しい流れから読み取れる近未来の介護施設は、要支援者や要介護者が持っている身体機能維持することが第一でしょう。その上で、欲求を充足させる施設運営や人材を確保することが条件になります。リハビリもスーパーと協力し、料理教室も取り入れ、そして、化粧セラピーを取り入れるなど、娯楽性を取り入れた施設がモデルになるようです。未来の施設は、複合的な処方箋を備えたものになるようです。
 蛇足ですが、要支援や要介護の方々に喜ばれる料理のプロを、講師として招くことも面白いかもしれません。もちろん、化粧セラピーには男性の専門家を抜擢して、楽しい時と空間を提供することも考えられます。




外国人労働者のモチベーションを高める工夫  スモールアイデアNO 288

2019-05-25 21:34:42 | 日記
 
 人手不足が、多くの産業で深刻な問題になっています。特に、生産年齢人口(15歳以上で65歳未満)の人手不足が深刻です。でも、生産年齢人口が減り出したのは、1996年から始まっていたのです。もう20年以上も前から進行していたことになります。この20年間は、働く高齢者の増加や女性の労働力の増加で何とかカバーしてきたわけです。でも、高齢者や女性の労働力に頼ることも、限界に近づいているといわれています。日本人がダメなら、外国人労働の利用や機械化の促進といった手法が取り入れられています。
 そこで、外国人の労働利用について考えてみました。長野県は、キノコの生産では日本一と言われています。キノコ工場で働く技能実習生がいます。培養室で育った真っ白なエノキダケが、ローラーコンべヤーで運ばれてきます。培養室からは、1日82000袋のエノキダケが生産されます。彼らの仕事は、手作業でこのエノキダケを一つ一つ確かめて、機械で梱包し出荷用の段ボールに入れていくことです。この会社では、エリンギやプナシメジも生産しており、60人の中国人実習生が働いています。
 日本の外国人労働者は、2018年10月で前年同月比14%増の約146万人と過去最高になっています。この最高になったことで、日本の労働事情は良くなったかというとそうでもないのです。2012年から2017年までの5年間で、労働者数は約300万人も増えました。この300万人の労働力は、高齢者や女性の労働力だったのです。それでも、人手不足は続いています。理由は、2012年から2017年までの5年間で生産年齢人口は540万人も減少していることにあります。日本は、生産年齢人口減少を、高齢者や女性労働力、そして外国人労働力でカバーしてきたともいえます。
 企業側も、防衛体制に入ることになります。求人を出しても、日本人からの応募は非常に少ない事情があります。長野のキノコ工場が、外国人を雇い始めれたのは十数年前からだったといいます。以前は、日本で働けるというだけで、外国人労働者が確保できました。でも、現在は事情が違っています。この会社は、相部屋から個室に改修しています。その数は、50室に及びます。個室の建築費用と改修費用はあわせて、1億8千万円ほどかかったといいます。「実習生も相部屋ではストレスもかたまる」との配慮からの改修でした。意欲的に働いてもらうには、貴重な人材として待遇を改善していくことが現実的選択になっているようです。
 100万人から200万人の外国人労働者に働いてもらうようになり、日本企業も学習するようになりました。給料や施設の改善だけでは、彼らのモチベーションが維持できないことが分かってきたのです。給料に、魅力を感じる人材も必要です。でも、むしろ日本文化に関心のある人材に働いてもらう方が、長続きするようです。日本文化が好きな外国人従業員は、仕事に取り組むモチベーションが高いのです。一般的に、実習生は「仕事もできるし、毎日働き、勤務態度もとても良い」という評価を得ています。実習生に行われる調査では、従業員の満足度は90%に近い水準を保っています。異なる文化への適応能力、積極的な姿勢、外国への理解などは、日本人も常日頃から蓄積していくことが必要になるようです。
 余談ですが、理工系のスキルが高い人材の方が、人文社会系の人達より日本の仕事に早く適応するそうです。理工系は、高い言語能力や社社会的文脈に関する知識を前提としない仕事があります。日本の職場も、外国人労働者が言語の問題を容易にクリアできる環境を整えることが、これからの課題になるかもしれません。


西欧流教育の弊害・BOP・人材の見極め アイデア三題噺 237

2019-05-24 23:20:56 | 日記

 今世界の市場では、BOP ( Base of theEconomic Pyramid)ビジネスが、注目を集めています。BOPは、一人当たり年間所得3000ドル以下の人びとで、全世界の人口の40億人を占めています。数が多ければ、ビッグデータとして利用できるのかもしれません。これらの人びとの大部分は、途上国に住んでおり経済成長の渦中の中にいます。40億人という人びとは、確実な購買層として途上国の経済を支えているわけです。経済を成長する中で、いつまでも3000ドル以下の生活に甘んじるわけにもいかないのでしょう。持続可能な経済の成長は、教育と連動しているものなのです。正規の教育ではなくとも、読み書きそろばんを教えることが出来れば、BOP層の所得はより向上します。
 そこで、BOP層の所得を向上させる教育について考えてみました。アフリカ全体の就学率は、70%程度まで向上しています。アフリカでは、西欧流の高等教育を受けた人がエリートとして活躍しています。植民地として独立した国は、西欧流の教育を下地に行われてきました。この教育を使って成果を上げるためには、時間と労力がかかります。英語やポルトガルの教育システムは、外国語を介して行うので、スムーズに浸透しなかったのです。でも、母国語による教育になれば、この壁は容易に乗り越えられるようです。蛇足ですが、日本の自動車企業が南アメリカに進出したとき、工員の識字率が低いために、絵文字を使いながら教育したことは有名な話です。絵文字で学習した工員は、立派に成長していったのです。
 アフリカ系のアメリカ人で巧みに言葉を操り弁の立つ男子は、集団のリーダーになることが知られています。このリーダーの目安は、100以上の昔話を話せる人物だそうです。彼は、仲間をまとめる力を持っているというのです。アフリカでは、絵本を何度か読んですぐに覚えてしまう子どもがいます。すぐに覚えてしまう子どもの中には、貧しく学校になかなかいけない子どももいます。学校にいけない子どもの中にも、能力は十分にあり、リーダーの素質を持っている子もいると言うことなのです。
 アフリカの場合、都会における貧困層の教育に遅れが見られます。この貧困層の中に、磨けば立派なダイヤになる原石も多いということです。アフリカのBOPの中から、原石が清水のように湧き出てくるかもしれません。現地の習慣や文化の中で優秀と認められた人材を、見つけて育てる仕組みが出来れば、継続的に原石を見いだし、磨くことが出来ることになります。リーダーの素質は十分にある子ども達を集め、リーダーを養成する仕組みをつくることは、これからの課題になるでしょう。余談ですが、日本の人手不足は深刻です。フィリピンやインドネシアから、技能実習生として入国を認めてきました。でも、東南アジアの市場では、日本や韓国、そして台湾などから人材の争奪戦が始まってます。過去の条件では、日本に来てくれる外国人労働者がいなくなっている状況になりつつあります。アフリカなどにも、労働者確保のルートを構築する時期かもしれません。


水道事業の赤字を軽減する方法  スモールアイデアNO 289

2019-05-23 04:22:04 | 日記

 「蛇口をひねっても何も出てこないんだもの、びっくりしちゃった」と、3月19日北海道積丹半島にある人口約3千人の古平町の全域で、水道が使えなくなりました。川の取水口と浄水場を結ぶ管が、故障したのです。断水の原因となった浄水場の設備更新は、億単位の費用がかかり、順延を繰り返していたのです。古平町が今の水道網を整備したのは、1970年代でした。水道は、9日後には無事復旧しました。
 水道の漏水や破損は全国で、年間2万件以上になっています。高度経済成長時に、敷設した水道管の老朽化も深刻になっているのです。水道設備の法定耐用年数である40年間を過ぎ、全国の水道インフラの老朽化が加速しています。水道インフラの維持費と修理費用は、増加の一途をたどっています。日本の水道が劣化した背景には、人口の減少にあります。このまま減少が続けば、日本の水道利用量は、2050年には4割近く減るとされています。実際、水道水の利用者が減って料金収入が目減りし、30%以上のの市町村の水道事業が実質的な赤字に陥っています。水道事業を民間へ委託する方式もあるのですが、この方式をとった市町村では、年々料金が上がるという不満が出るケースが出てくるのです。水道先進国のフランスのパリなどでも、民間委託が行われました。でも、水道料金が値上がりして不評を買っているようです。日本の水道事業は、経費を料金収入で賄う独立採算が原則になっています。水道インフラは、鉄道などと異なり住民がいる限り撤退はできない事情があります。
 そこで、水道事業の赤字を少しでも減らす方法を考えてみました。耐用年数が過ぎた設備が、増加しているのです。でも、市町村の予算が足りないために、インフラの更新が思うように更新できないのです。現在の方式を続ける限り、水道事業だけでは、経営を黒字にすることが難しいようです。水道単体の事業では黒字にならないとすれば、複数の事業を組み合わせて黒字にしていく手法が浮かび上がってきます。
大都市では、水道検針員は、1ケ月平均4000世帯の検針をしています。これを電力使用を計測するスマートメーターのように、自動化する動きがあります。KDDIは各家庭の水道メーターに専用の発信器を併設し、検針の無人化の事業を進めています。検針の無人化が実現すれば、検針作業のコスト削減に繋がります。それ以上に、期待されることが個人情報を得ることができる点です。水道使用量の検針の無人化は、自動的に収集したデータを携帯基地局を通して、専用のサーバーに送る仕組みになっています。この無人検針が実現すれば、リフルタイムで水の使用量の把握できるようになります。送られたデータは、1人分の量は少なくとも、何百万人分が集まるとビッグデータになるわけです。膨大なデータを分析することで、今何が起きているのか、今後何が起こるかを予想することが可能になります。集積したデータを分析することで、「トイレ回数が増加しているので、糖尿病が疑わしい」とか、「1日に何度も入浴しているので認知症が疑わしい」などの情報が得られます。ライフラインである水道の利用量から、高齢者の安否を含めた生活リズムを把握することが可能になるわけです。
 さらに、水道管の各所にセンサーを設置して老巧化の度合や漏水箇所を把握できれば、古平町のような悲劇を防げるかもしれません。センサーから集まるデータを分析することで、破損箇所を予測し、漏水の予兆を察知することは技術的に可能になっています。水道管や設備の老巧化、そして故障による漏水も、即座に把握できるメリットも生じます。破損箇所を予測し、その保守に先手を打ちながら、水道事業を停滞させず運営できます。破損した箇所を修理したり、漏水を止めながら作業をするよりも、破損する前に計画的に修理を済ませれば、維持コストは節約できます。その上、水道の利用状況から健康把握ができれば、医療費や介護費の節約になります。水道の利用から得られるビックデータを活用して、健康維持を図るわけです。このデータを上手に活用できれば、市町村の医療費や介護費を減少させることができます。減少した何割かを水道局に払い戻す仕組みができれば、水道の赤字が縮小することになります。これに電気の使用量を組み合わせれば、より詳しい情報を集めることが可能です。スマートメーターの設置と利用は、すでの始まっています。今ある資源を利用して、利益を上げる仕組みを作るわけです。この仕組みを利用して、高齢者の安否を含めた生活リズムを把握し、見守りのシステムを構築し、市町村の予算を節約する仕組みを作ってほしいものです。



緑のシェアハウスで林業の再生を目指す スモールアイデアNO 287

2019-05-22 17:08:14 | 日記
  
 福島県のいわき市には、小学校の廃校を利用した施設があります。130年前に立てられた木造校舎を、林業振興に活用しているのです。延べ床面積600平方mの木造学舎を、多くの人に楽しんでもらっています。教室や職員室を木工作業場として活用しています。いつでも、だれでも見学に来ても「ウエルカム」ということのようです。廃校の小学校を、いわき市が払い下げ先を探していたのです。そこに、地元の割り箸製造の社長さんが、名乗りを上げました。この施設は、これからシェアオフィスとしての活用や宿泊できる機能も充実させるとのことです。2024年度から森林環境税として、国民1人あたり年1千円徴収されることになります。森林に関する事業に、年間600億円の税金が使われるということです。おそらく、日本中で林業を振興する事業が、展開されるいくことになるでしょう。事業を行う場合、単に税金が使われるだけでは楽しくありません。その税金を使うことにより、地域に流通するお金が増えて、地域の人びとが豊かになる仕組みができれば楽しくなります。
 そこで、林業を通して地域が豊かになる仕組みを考えてみました。先進国の中で、日本はフィンランドとスウェーデンに次いで3番目に高い森林面積の比率を誇っています。フィンランドは、林業が盛んで国に利益をもたらしています。日本は戦後植林したスギやヒノキが成長して、伐採の時期を迎えています。蛇足ですが、木材は、どの国も不足する傾向が続いています。世界中で不足する中で、木材に余裕のある国はなんと日本なのです。日本は、森林大国です。我が国の森林は、若齢段階と成熟段階のものが最も多いのです。この段階の森林は、生産性がピークにある樹木なのです。自慢話はここまでにして、残念なことがあります。この豊かな森林を、有効に活用できない現状が日本にはあったのです。
 日本は、林業に関する長い伝統と高い技術力に裏打ちされた、数多くのコンテンツが存在していました。その中には、良いものも悪いものもあります。林業は、奈良・平安の時代から、明治・昭和にいたるまで売り手市場でした。江戸時代の風景画を見れば分かるように、裸山が多数ありました。その風景は、木材を極限まで利用した証ともいえるものなのです。木材があれば、町の人は喜んで購入しました。木材がいつ納入されるか、値段はいくらかということは、その時々に決められていました。でも、戦後の高度成長期になると、納入時期や値段が明確でない製材所との取引を、企業は止めていったのです。外国産であれば、安く納期を遵守して納めてくれる仕組みができるようになったからです。1979年17000あった製材所の数は、2009年には7000を切る状態になりました。国産の林業が、衰退する流れができてしまったのです。
 外国産の木材が大量に入り、国産材の利用は減っていきました。それにつれて、林業に従事している人達も山から去って行きました。木材の需要が減り賃金が下ががると、林業従事者の質は落ち、森林が荒廃するという悪循環になったのです。でもここに来て、日本の和風様式が見直されてきました。3000万人という外国人旅行者が、日本文化に関心を示すようになったのです。その一つに、和風旅館や神社仏閣の建物があります。
 そこで使用されている大口径で無垢のスギやヒノキなどが、絶賛の対象になっているわけです。外国人から評価されて、悪い気持ちになるはずがありません。日本人も、日本の暮らしを支えてきた林業や木に触れる暮らしの豊かさを後世に伝えたいという意識が高まります。政府は2024年度から、国民に科します。上手にこの森林環境税を使っていく工夫が必要です。
 いわき市の廃校を利用した施設のように、「緑のシェアハウス」を作る案を考えてみました。ユースホステルを参考にしていただければ分かりやすいでしょう。日本各地にこのシェアハウスを作ります。この施設や周辺には、バイトでもパートでも森林関係の働く場を設けておきます。そこで働きながら、日本全国を巡ることも可能にしておきます。オーストラリアなどで、農場で働きながら食事と泊まる場所を確保して、旅行するする形態と思い出していただければ良いかもしれません。日本人でも良いし、外国人でも、日本を1周したころは、日本の林業についての知識が身に付いているという仕掛けです。森の生産性や環境保全は、そこで働く人たちの知恵によって決まるものです。働く人の姿を少しでも身近に見られる機会を作り、理解者を増やしていくことです。理解者を増やすことで、日本の林業を側面から支援していきたいものです。