人口減や消費者の節水意識で水道利用は減り、事業継続が全国で厳しくなっています。日本の水道利用量は、2000年を境に年々減少、2050年には4割近く減るといわれています。高度経済成長時に敷設した管路の老朽化も深刻で、水道インフラの維持と修理費用は増加の一途をたどっています。でも、水道インフラは鉄道などと異なり住民がいる限り撤退はできない事情もあります。
そこで、水道事業の赤字を少しでも減らす方法を考えてみました。KDDIは各家庭の水道メーターに専用の発信器(センサー)を併設し、検針の無人化の事業を進めています。大都市で検針員は、1ヶ月平均4000世帯の検針をしています。もし、検針の無人化が実現すれば、検針作業のコスト削減に繋がります。無人検針が実現すれば、リアルタイムで水の使用量の把握できるようになります。その上、水道管や設備の老巧化や故障による漏水も即座に把握できるメリットも生じます。センサーから集まるデータを分析することで、破損箇所を予測し、漏水の予兆を察知し、その保守に先手を打ちながら、水道事業を停滞させることなく運営できるようになるわけです。
KDDIの事業は、水道使用量のデータを自動的に携帯基地局を活用して専用のサーバーに送る仕組みのようです。送られたデータは、1人分の量は少なくとも、何百万人分が集まるとビッグデータになります。この膨大なデータを分析することで、今何が起きているのか、今後何が起こるかを予想するが可能になります。集積したデータを分析することで、「トイレ回数が増加しているので糖尿病が疑わしい」とか、「1日に何度も入浴しているので認知症が疑わしい」という情報が把握できます。ライフラインである水道の利用量から、高齢者の安否を含めた生活リズムを把握することが容易になります。利用状況から高齢者の安否を含めた生活リズムを把握し、見守りのシステムを構築していくことが可能になるわけです。
最後に、この見守りのデータをどのように活用するかを述べたいと思います。民間で見守りのビジネスとして開発することも可能です。でも、この情報を各地区で活動している民生委員の方に回して欲しいのです。「いつ・誰が・何を」のデータは、地域の見守りの最前線で活動している民生委員の方には必要な情報になります。民生委員の見守る範囲は、急増しているともいわれています。一人当たりの方が対応する人数が増えて、加重負担になっている状況が生じています。見守りの優先順位を図る上でも、情報を見える化をして、必要な情報を把握することは大切になります。事前に問題が見えていれば、対処もしやすくなります。民生委員の方一人で手に余るときは、事前に行政と相談しながら個々人の状況に応じて対処できる場合もあります。民生委員の方が働きやすい環境を水道の自動検針を通して構築して、地域の絆が深め過ごしやすい地域にしていきたいものです。