ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

林業の商機・クラウドによる見える化・針広混交林 アイデア三題噺239

2019-05-30 22:56:15 | 日記

 日本は、国土の約7割を森林が占めています。先進国では珍しい光景なのです。高度成長期に大量に植林された人工林が、伐採期になっています。果実を取り入れる時期になっているのですが、思うように進んでいないのです。欲しい木材がどこにあって、いつ手に入るかが分からないのです。そこで、確実に手に入る輸入木材が多く使われてきた事情があります。日本の弱点は、森林資源に関する情報開示が遅れていることです。でも、いつまでもこの宝の山を眺めている日本ではありません。国土の約7割を占める森林に、商機を見いだそうと各企業か知恵を絞っています。
 そこで、日本の林業における商機を考えてみました。欧州では機械化を進め、効率を上げるとともに、作業を安全にするスマート林業が進んでいます。日本は急峻な山が多く、地権者が細かく分かれるため、林業の機械化や大規模化が遅れました。2024年度から森林環境税が導入され、森林の整備などに毎年600億円が使われます。この環境税が機械化や情報技術の導入が進む契機になると期待されているのです。この流れで、コマツは取引価格参考に高く売れるように木を自動で切断する重機を開発しています。コマツの重機(ハーべスター)は、あらゆるモノがネットにつながるIoTが組み入れられています。伐採する木を選らび、木材が高く売れる長さに切断していくのです。材木の取引価格を参考にし、どう木を切断すれば高く売れるかを自動で判別して、切っていくわけです。このハーベスターの開発を見ると、国内でも高値で売れる木材が育ってきたことが一つの要因です。
 日本の木材市場の弱点は、伐採する企業と製材工場、材木店の間で情報が分断されていたことです。富士通は小売業界のサプライチェーン(供給網)管理のノウハウを、林業に応用することを考えました。どういう木材が、伐採され、現在どういう木材が入手できるかをクラウドシステムで見える化をするわけです。木材の情報を林業生産者、木材会社、運送会社、製材所などと共有し、在庫管理の手間を省く仕組みができつつあるようです。これに、コマツが開発した伐採機と連動すれば、伐採した木材データが自動的に収集でき、見える化が可能になります。木材の伐採が効率化し、木材の情報の見える化ができても、日本の林業には弱点が残ります。木材を育てるまでの経費が、諸外国に比べコスト高なのです。
 日本の林業経営戦略は、植栽、下刈りの初期保育経費をいかに小さくするかにあるようです。適切な間伐を進めていけば、50年生以下の若齢林よりも、100年生の森林の方が利益の上げることができます。さらに、植栽、下刈りの初期保育経費を軽減する仕組みは、針広混交林の施業が有利になります。広葉樹の森では、短伐期でも伐った後は自然と元のような森になっていくのです。コナラやクヌギのような広葉樹は萌芽更新し、それらの種子からも次世代の木が育っていきます。植栽をする必要がないわけです。スギやヒノキは植栽に多くの費用と労力が必要になります。
 スギやヒノキは、大径材の無垢の木材が高い価格で取引されます。神社仏閣の改修のおりには、大径の良質木材が使用されます。世界的にこの種の木材は少なくなっています。これらの大径材の無垢の木を育てながら、間伐を行う林業経営行うことになります。その中で、広葉樹を資源として利用していく針広混交林の施業がこれからの林業となるようです。一度形成された森林生態系のストックを大事に生かしてそこから適度な収穫を続けていくわけです。森林生態系を把握した上で、製材所がクラてウド上に入力した需要データをもとに、林業会社が目的の木を伐採することになります。木材が自給できる日本になって欲しいものです。そして、それを支える人材も合わせて育つことを願っています。