ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

空き家の有効活用

2016-11-29 16:13:39 | 日記
空き家の有効活用

 現在日本には、空き家が800万軒ほどあります。7軒に1軒が空き家ということなります。空き家が増えると、ゴミが放置され悪臭や害虫の発生の原因にもなります。このような家に不審者が住み着き、犯罪を誘発することもあります。空き家が増えると共に、これに対する対策が地方自治体に求められるようになってきました。今日は、空き家対策に詳しい藤堂さんから、トット記者がお話しを伺いしました。

記者「最近、空き家に関する報道が頻繁になされています。なぜか報道は、突出した話題だけ採り上げているように思います。でも、本当のところはどうなのでしょうか」
藤堂「家は人が住まなくなると、建物は加速度的に劣化します。空き家はできるだけ長く借りてもらうほうが、家の傷みも軽減され、利益もでるものなのです。特に問題になるのは、所有者不明の空き家です。空き家は、景観を壊し、地域に外部不経済のマイナス要因を持ち込みます。犯罪の温床になったり、感染症が広がるような状況になれば、強制的除去という手段を用いることにもなります」

記者「いわゆる行政代執行ですね。これの問題点はどんなところですか」
藤堂「行政代執行に至るの前に、自治体は除去費の補助金を出して、自主的対応を促すことが多いのです。たとえば、呉市では2015年までに、補助金を455件で1億3000万円を使っています。空き家の除去の方法には、アメとムチがあります。アメは補助金で除去を促す方法です。ムチは、行政代執行になります。強制執行にかかった費用は、空き家の所有者から徴収することになります。でも、徴収には、応じない人もいるなど、いろいろ問題も出てきます。訴訟になり、撤去費用より多くの税金を裁判費用に使うこともあるのです」

記者「何か良いアイデアはないのですか」
藤堂「はい、自動車のリサイクル法と同じ仕組みを導入すれば、良いのです。自動車の場合、リサイクルに必要なる費用をあらかじめ購入者に負担をして頂いています。家の場合も、所有者に除去の費用を負担する仕組みをつくっておくのです。事前に徴収すれば、相続放棄や所有者不明でも、除去の費用は心配しなくともよくなります。除去費用を事前に徴収して、プールしておくことは自動車リサイクル法と同じです。今から導入する場合、毎年の固定資産税に除去費用が少しずつ上乗せする仕組みが考えられます」

記者「確かに、800万軒の空き家が出てくると、リサイクル法のような手法が考えられますね。ところで、空き家を有効利用する方法はないのでしょうか」
藤堂「空き家は、宝の山ともいえます。高齢者社会が進み、介護施設や福祉施設の需要が急増しています。施設をつくっても追いつかず、建てるお金もないのが実情です。空き家が活用できれば、出費を抑えつつ福祉のニーズを満たすことが容易になります。東京都内で人気の世田谷区でさえ、5万戸以上の空き家があるのです。この地区で活動する市民団体は、安い料金で空き家を借りて、活動拠点にしています。変わったところでは、アーティストが東京都心の廃校を、年間80万人を集めるアートの拠点に変えてしまいました。有効利用の最たるモノでしょう。また、地方都市の空き家や空きビルを低家賃で借りて、スモールビジネスで成功した事例もあります。この成功を見ていた人達が、次々と移住してきています。5年ほどで80以上のスモールビジネスの拠点地域が生まれているのです」

記者「空き家は、無限といえるほどあるのですから、やり方しだいでは『金の卵』になるということですね」
藤堂「はい、経済苦境といっても、現在の日本では命まで奪われるわけではありません。生活ができ、人間関係ができ、情報がまわり始めれば、多くの問題は解決の方向に向かうものです。狭い地域でお金が継続的に回る仕組みをつくれば、街は活性化します。空き家の個別性とその長所や短所を明確にし、その地域にあった解決策を図ることです。人口が減り空き家が増える時代では、身の丈に合わせた街づくりも考慮に入れておくことです」

記者「時代により、住む人の要望も変わると思うのですが。その辺の事情を教えて下さい」
藤堂「そうですね、バブルの頃は、広い家が好まれていました。蛇足ですが、バブルの前後、郊外には多くの住宅が建てられました。これらの住宅は、19世紀の植民地における居住地建設と似ています。建設文化の成立していない未開発地に、人を住まわせるために立てられたものと同じです。未開人と同じために、簡素で清潔な住宅を、未熟練な技能でも迅速に建設できる仕様だったのです。今は、それよりも高級感があるものが求められています。部屋は狭くとも良いが、風呂やトイレが充実している家が好まれます。

記者「確かに、一軒家よりも、ワンルームのほうが人気があるといわれていますね。広いほうが良いと思うのですが」
藤堂「独身時代は、ワンルームで気楽に暮らしたいのでしょう。子供のいる時代は、広い1戸建てのほうが、子育ては円滑にいきます。住宅ローン組んで自分の家になるころには、老齢期になっています。老齢期は、大きな家は必要ありません。この時期になれば、介護のことを考えて、福祉施設の入居を考えるようになります。ライフスタイルの観点から、家を考えていきたいですね。独身時代は、ワンルームでも良いでしょう。子供のいる時期は、空き家の一軒家を借りたほうが経済的です。老後は、充実した生活を送るために、バリアフリー化した家を求めるべきでしょう」

記者「空き家を有効に利用しながら、ライフスタイルの充実を図るという考えですね」
藤堂「はい、800万軒を超す空き家の問題は、一筋縄では解決しません。この問題は個別性が高く、何か一つの施策で全て氷解するものではありません。空き家の利用は、行政と民間、住宅政策と福祉政策、宅地と農地の連携などが必要になります。空き家問題の解決は、多くの人の協力が必要になることを理解して下さい」
記者「空き家問題の難しさが少しわかりました。ありがとうございました」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。


スポーツの話 箱根駅伝 その6 ハングリー精神が求められるチームワーク

2016-11-25 16:05:23 | 日記
スポーツの話 箱根駅伝 その6 ハングリー精神が求められるチームワーク

 箱根駅伝は、チームワークといわれています。でも、チームワークにいくまでに厳しい選抜が待っています。それに勝ち抜いた選手が初めて、チームワークに入れるわけです。今回は、箱根駅伝のチームワークについて、嘉納さんに話していただきました。聞き手はトット記者です。

記者「強い組織をつくるにはチームワークに加えて、闘争心やハングリー精神も必要だといわれています。本当に強いチームを作るにはどうすれば良いのでしょうか」
嘉納「箱根駅伝に出場するようなチームは、個々の選手の走力を検討しながら、能力に応じてAチーム、Bチーム、Cチームに分けて練習します。選手の走力を伸ばす場合、二つの練習方法があります。集団全体の底上げをする練習と個々の能力を伸ばす練習です。午後の本練習は、Aチーム、Bチーム、Cチームに分けたポイント練習を行います。朝練習は、Aチーム、Bチーム、Cチームの合同練習を行うわけです。このようにして、集団全体と個々の選手を伸ばすわけです」

記者「選手の走力を伸ばす練習内容は、同じようなものなのですか」
嘉納「いいえ、エースクラスの能力を引き上げる練習内容と、全体を底上げする練習内容は違います。Aチームの選手は、マラソンに近い練習をさせた上で、箱根の本番に臨ませる場合もあります。また、10マイルの練習だけで、箱根を使う事もあります。強い選手は、得がたいのです」

記者「選手の体調管理は、どのようにするのですか」
嘉納「難しい課題です。監督の手腕によるところでもあります。箱根駅伝の選手として走りたいという願望は、どの選手も非常に強いのです。そのために、体の限界まで練習をして、本番を迎えます。真面目に練習を追い込んできた選手ほど、ケガに見舞われます。ケガの痛みには、走れる痛みと走れない痛みがあります。軽い筋肉痛なら大丈夫ですが、骨に痛みがあるような場合は困難です。選手は、ケガを隠してでも出ようとしますね」

記者「監督も決断が辛いでしょうね。ところで、骨の痛みはどうして出るのですか」
嘉納「長距離の練習は、筋収縮の連続です。筋収縮を続けるときには、カルシウムやタンパク質を大量に使います。もちろんビタミンB₁も使います。これらを練習の強度に合わせて、適切に取っていれば良いのです。でも、オーバーワークになったような場合、不足することがあります。特に、カルシウムが不足した場合、自分の骨や歯からカルシウムを使う事になります。すると、骨密度の低下が起こり、骨粗しょう症を引き起こし、疲労骨折となるわけです」

記者「選手は箱根に出るためには、必死です。そのためにケガを隠した状態でレースに臨もうとするわけですね」
嘉納「はい、レース前に選手のほうから、ケガのことをいってくることはないので、監督はケガを見抜く眼力が必要になります。Aチーム、Bチーム、Cチームは合計60人以上になることがあります。この選手の状態を監督一人で把握することは、事実上不可能です。Aチームの選手を中心に見ることになります。」

記者「他に気をつけることはありますか」
嘉納「駅伝が近づいて来ると、インフルエンザも流行してきます。痛みは我慢して走れますが、インフルエンザは、体力を奪い、走る能力を低下させます。この時期になると、部員全体が最も気をつけることになります。手洗いやうがいは、子供以上に励行を義務付けられることが多いのです。あるチームでは、寝ている選手の口に体温計を入れて計るところもあると聞いています。それほど、インフルエンザには、気を使っているのです」

記者「長距離選手は、グリコーゲンの貯蔵量が大切だと聞いたのですが、どういうことなのですか」
嘉納「長距離を走る場合、体脂肪をエネルギーとして使います。この際、体脂肪をエネルギーとして燃やすためには、グリコーゲンを火種としてしばらく燃やし続けることが必要なのです。よく『最初の3kmは慎重に入れ』とかの指示がでます。これは、体脂肪に火種が確実に点火するのを待つ時間なのです。糖質の少ない食事をしていると、グリコーゲンの貯蔵が少なくなり、体脂肪への点火が不十分になり、走力が低下することになります」

記者「栄養の補給は、難しいものですね」
嘉納「練習の強度により、栄養の補給を適切にしていく能力は、学年が進むにつれて上手くなっていきます。箱根駅伝に出るチーム編成は、『4.3.2.1』と呼ばれる黄金比率があります。4年生が4人、3年生が3人、2年生が2人、1年生が1人というチーム編成です。信頼できる4年生が4人いるチームは、強いのです。1年生の多いチームは、いくら走力のタイムで上回っていても、不確定要素が多くなります。箱根駅伝は、4年生が中心にならないと、信頼できるチームにはならないのです」

記者「チームワークの意味が、少し分かったように思いました」
嘉納「はい、『思いやりがある』とか、『仲良く頑張る』とかは聞こえは良いのですが、自分たちを甘やかす逃げ道になってしまうことがあります。練習はもちろんですが、睡眠時間や食事にいたるまで、仲間同士が質の高い練習に耐えれる生活を維持する集団が、強くなるということです。」
記者「今回は、『4.3.2.1』の黄金比率の観点から駅伝を観戦してみます。楽しみです」


いじめと塾と勉強

2016-11-22 17:00:07 | 日記
いじめと塾と勉強

 いじめの問題は、なかなかなくなりません。そんな中でファンタジア塾に通っている子供は、いじめにあわないと評判になっています。塾の運営にノウハウが隠されているとトット記者は、推理しました。塾を運営する奈々ちゃんに、どうしていじめにあわないかをインタビューしました。

記者「いじめの認知件数が、平成27年は18万件以上」となっています。最初に、いじめの実情を教えて下さい」
奈々「はい、いじめには、排除する形式と拘束する形式があります。排除の形式は分かりやすいと思いますが、仲間に入れないものです。もう一つの拘束するいじめは、仲良しグループをつくり、その中の一人をいじめの標的にしている場合です。初期のいじめは、ものを取ったり、隠したりすることが多いようです。徐々にエスカレートし、悪口やからかいになり、殴る蹴るになり、脅しやパシリというような行為になっていきます」

記者「最近のいじめは巧妙になり、表面からはなかなか把握しにくいと言われています。どうすれば分わかるのでしょうか」
奈々「いじめられている子にとって、学校は勉強するところではなくなります。成績が低下して行くことになります。小学校では、国語や算数が顕著に低下してきます。食欲がなくなり、不眠が続くようになってきます。これらは、初期においては、判定が難しい点になります。でも、早いうちに気がつけば、大事に至らないことが多いのです。時間の経過と共にいじめは、エスカレートしていきます。状況が悪化すれば、不登校を選択する子どもが出てくることになります」

記者「ファンタジア塾は、いじめにあわない子供がほとんどだと聞いています。どうしてそのことが、可能なのですか」
奈々「本塾の方針は、子供と会話し、子供の要望を聞き、親の要望を聞き、その要望に応えることを目指しています。子ども達の悩みや親の希望も、それなりにケーススタディの形で蓄積しています。悩みや要望に対する処方箋も整備しているのです。たとえば、算数の成績が低下したり、計算に対する集中力がなくなったりしたときは、悩みがあることが多いという事例になります。すぐに、親に報告し、その事情を聞くことにしています」

記者「学校にきちんと通い、勉強ばかりしている子供は、いじめにあわないと聞きますが、どうなんでしょうか」
奈々「残念ながら、優秀な子供でも仲間はずれになるケースはあります。なれ合い型のクラスでも、管理型のクラスでもいじめは起こりますよ」

記者「いじめられる時に、どのように対処すれば良いのですか」
奈々「まず『されて嫌なことは、嫌』と言えるようにすることです。『聞いて嫌なことは、嫌』と言います。『嫌』と言っても、やめない人とは距離を取るようにします。無理に誰とでも仲良しにならなくても良いのです」

記者「子供がクラスの中で、心理的物理的攻撃を受けたときには、大きなストレスや危険を感じると思うのですが」
奈々「身体的に危険が及ぶ恐れのある場合、すぐに安全な場所に親が保護します。学校や教育委員会のいじめ認定を待つ必要はありません。本当に大切なものは何か、優先順位をつけなくてならないのです。『みんながしているから』という理由で、判断したり行動したりしてはいけないのです。『みんな』は、結果に責任を取ってくれません。私どもが提供していることは、『されて嫌なことは、嫌』と言っても、繰り返される場合です。同じような状況で『嫌なことをされたとき』に、具体的にどのような行動を取るか決めて置くことです。自分で対処することもあるでしょうし、親に言う場合もあるでしょうし、担任に言う場合もあるでしょう」

記者「子供のストレスに対する耐性が低下しているという説があるのですが」
奈々「はい、二つの面から低下が考えられています。一つは、現代社会が過剰消費社会になっていることです。この生活様式を身につけた子ども達は、慢性的に欲求不満の状態にあり、攻撃性が高まっています。ところが、攻撃を抑える訓練がなされていないことです。もう一つは、仲間集団の問題です。仲間集団は、小学校3~4年生頃から組織化してきます。ここに上級生や下級生が混じっていないのです。異質集団で鍛えられることなく、同じ学年の同質集団だけで生活します。同質集団だけでは、ストレス耐性が十分に身に付かないのです」

記者「いじめは、なくならないものとして対処していくような気持ちになってきました。どうなんでしょう」
奈々「素晴らしい直感です。いつの時代でも、どの国の子供も大人もいじめたり、いじめられたりして育ったのです。日本では同級生の間でのいじめが多いのです。ノルウェーのいじめは、上級生が下級生をいじめる構造になっています。戦時中の日本の軍隊では、臆病者とレッテル貼られたら自殺を強要されたともいわれています」

記者「村八分などは、何となく理解していましたが、そんなこともあったのですか」
奈々「いじめは不祥事ではなく、克服する課題なのです。いじめをされたりしたりしながら、子ども達は人間関係を築いていくともいえます。弱い立場のいじめられていた立場の子供が、強い立場になりいじめる側になることは良くあります。いじめの問題は、具体的な対応を積み重ねていくほかありません。再度いいますが、いじめの中に危険な場面も出てきます。その時は、理屈ではなく、周りが察知して保護することが最優先です。」

記者「『学校にいじめがあってはならない』という理念で、いじめの実態を隠す傾向が見られました。学校が組織としていじめの事実を隠す行為は、これからもなくならないのでしょうか」
奈々「新しいいじめは、観察だけで理解することが難しいのです。担任だけでは、把握が困難なのです。いじめの問題を解決するためには、学校の担任との相談が不可欠になります。担任による適切な指導がなければ、いじめは長期にわたり続くことになります。PTAなどを通じて、親同士が仲良くなるといじめにあう可能性が低くなるという報告があります。大人は、子ども達の仲間集団が円滑にいくように、条件整備を工夫することになるようです。ファンタジア塾は、いじめに関して蓄積して事例を子供や大人に適時流しているわけです。結果として、評判が良くなったようです」
記者「いじめが、根深い問題であることがわかりました。今日はありがとうございました」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



高齢者のケアを保障する地域 秋田市

2016-11-19 07:23:25 | 日記
高齢者のケアを保障する地域 秋田市

 日本は、世界の最先端を走る高齢化社会の処方箋を数多く持つ国です。その処方箋にCCRC があります。CCRCとは、継続的なケアを受けられる高齢者居住地域をいいます。CCRCは、秋田市が先進地域です。秋田に詳しい菅江さんに、このことについてお話しを伺いました。聞き手は、トット記者です。

記者「2015年度に医療費は、41兆5千億円になりました。前年度に比べ3.8%の増加になっています。医療費と同じように、介護費も増加しています。ある視点から見れば医療・介護事業は、素晴らしい成長産業でもあります。この産業を育てるには、どうすればよいのでしょうか」
菅江「モデルケースが、秋田市にあります。市中心部に、高齢者が数多く移住し、自立して暮らす施設があるのです。秋田駅西口から約300mの場所に建てられています。1階には金融機関や店舗が入り、上層階が高齢者の居住部分となっています。中心市街地の強みを生かし、秋田大学や周辺の医療機関などと連携した生活しやすい環境を整えました。JR東日本は、秋田駅東口に「スポーツと健康」をテーマにした施設をつくり運営しています。これらの相乗効果もあり、秋田の健康産業は、現在は上手く運営されていますよ」

記者「市の中心部は、インフラが整備されており、生活に便利な地域ですね。ところで、秋田市で行っている事業は、米国で1970年代に始まり、約2000カ所に計75万人が暮らすとされるCCRCと類似したものですか」
菅江「はい、そのように考えて頂いて良いと思います。秋田県は、年間医療費が3500億円になります。秋田市は、そのうち1050億円を使っています。国の特例で、1050億円の医療費のうち節約できた金額の50%は自由に使えるという法律ができました。もちろん節約した50%は国に返還することになります。例えば50億円を節約すれば、秋田市に25億円が入るということになります。秋田市は、その一部を使って医療介護の制度を充実していったわけです」

記者「なぜ秋田市で、CCRCが可能になったのですか」
菅江「医療や介護において高齢者を受け入れる余裕のある地域は、全国で41地域あります。東北では、青森、弘前、秋田、山形、盛岡の5つの市です。秋田は、以前より医療関係の目的でインバウンドを誘致してきた実績があります。人間ドックと観光を組みあわせた先進的取り組みを続けていたのです。人材も豊富です。小中学校の全国テストでは、常に上位の成績を収めています。教育関係者が評価することは、短期間でこの成果を上げている教員組織です。医療介護の分野にこれらの人材を大量に送り込むことができれば、秋田は医療介護の人材の供給基地になることができます。実績と可能性を併せ持った地域なのです」
記者「医療費はどうすれば、減らすことができるのですか。どの市町村も苦しんでいる課題ですが」
菅江「はい、秋田市の場合、医療費が1050億円かかります。医療が高額になるのは、手術をすることや、高額な薬を使うとか、終末医療にお金がかかることが主な原因です。もし手術を減らすことができれば、医療費は減ります。手術より検診やドックのほうが経費はかかりませんから。検診を受けて、健康な人達には、『健康利益配当金』を配付しています」

記者「病気にならない人や疾病率が平均以下の人には、現金がキックバックされるわけですか。健康に対して前向きになりますね」
菅江「はい、1050億円を節約して1000億円になったとします。すると節約できた50億円の半分の25億円が秋田市に入り、そのうちの10億円が健康な人々に配付される仕組みです。健康な人は健康寿命を享受し、なおかつ現金を得ることができます。国民の皆さんは、年間20兆円の保険料を払っています。蛇足ですが、個人負担は5兆円で、残りが税金です。全国民が健康であれば、保険料は貯まって増えていくだけです。保険料は払うけど、病気になる人がいないという状態が理想的な社会です」

記者「でも、病人がいなければ、医者は商売になりませんよ」
菅江「そのとおりですね。でも秋田市では、医者が患者を減らしたらボーナスを出しています。さらに薬を減らしたら同じようにボーナスを出しています。80歳以上の高齢者は、いくつもの病気を患っています。超高齢者は、多くの薬を服用しています。一般に、5種類以上の薬を服用している患者は、副作用で苦しんでいるといわれています。今の医療は、副作用があってもその分野の専門医の判断で薬を処方していきます。70歳の高齢者が、20歳の若者の10倍の医療費を使っている一つの原因はここにあります。部分最適全体最悪のケースです。同じ痛みなら、多くの薬の副作用で苦しむより、少ない薬で苦しむほうが良いと思いませんか」

記者「そうですね。今の国の借金は私たちの子供や孫に負担になります。それを考えると同じ苦しみなら、お金のかからないほうを選びます。ところで、保険料は払うけど、病気になる人がいないという状態にするには、どうすれば良いのですか」
菅江「予防医学に力を入れるのです。検診やドックの充実を図るのです。秋田市に長く住んでいる人は、検診やドックを継続して受けています。電子カルテが整備されており、秋田在住の医者は同じ資料で医療行為を行うことができるのです。同じ検査の重複や無駄も発生しません。副作用のある複数の薬を、同時に処方することもありません」

記者「医療や介護に関して、高齢者を受け入れる余力のない自治体が増えています。でも、東京1362万人の8%に当たる100万人は、5年以内に他県に移住したいと思っています。受け入れ体制は、どうなのでしょうか」
菅江「都会の移住希望者が高齢になればなるほど、医療や福祉の充実した地域を希望しています。この条件を満たす受け入れ体制がある地域は、限られてきます。東京、大阪、名古屋には、残念ながらありません。秋田県は人口減対策で、高齢者居住地域を県内7カ所に整備を進めてきました。さらに首都圏などから活動的な「アクティブシニア」層の移住も募っています。医療介護事業は、人材確保の難しさがあります。でも、秋田はこの面でも先進的な施策を行っており、有利な位置にあるようです」

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



地方自治体が生き残る知恵

2016-11-15 21:23:46 | 日記
地方自治体が生き残る知恵

 地方の衰退が、話題になっています。活性化に成功している自治体も、結構あるのです。最終的には、より多くの国民が成功している自治体に移住し、全員が成功の流れに乗れば良いわけです。ファンタジアランドでは、土地の所有権と利用権を分離し、土地の有効利用を積極的に行っています。人口動態の大きな変化を、新しいビジネスのチャンスと捉えているのです。今日は藤堂さんに地方の生き残りについて、トット記者がインタビューしました。

記者「地方の人口減少や税収の減少が、頻繁に話題になっています。財政破綻に追い込まれた夕張市は、11校あった小中学校が1校ずつに統合されました。さらに水道料金は全国有数の高さになっています。これから、どうなるのでしょうか」
藤堂「過疎化の進んだ地域には、学校や上下水道や道路などのインフラを、大都市圏と同じように維持していくことはできないということです。日本の国民総生産は、ここ数年500兆円で推移しています。国家予算は100兆円になりましたが、その50兆円は借金です。人の道理からいえば、返さなければならないお金です。その借金の総額は1000兆円になっています。トットさんのお子さんは1歳ですが、75歳になる頃には、5000兆円の借金になるのです。国からの交付金や助成金を湯水のように使う仕組みを、変換する時期にきているのです」

記者「節約とか『もったない』という思考が進み、町をコンパクト化しなければならないという認識が広まっています。私たちは、どのように行動すれば良いのですか」
藤堂「人口の減少や税収の減少という制約から、町をコンパクト化することは正しい選択です。予算が10億円の町であれば、10億円の税収がなければなりません。たとえば、地方活性化の手法としてB級グルメを起爆剤にしようとして税金を投入しています。何万人の人を地元に呼び込んで、B級グルメの試食や販売を行っています。でも、ここで税金を投入した以上の見返りがなければ、意味のない企画になります。ある事例では、業者の計画では、1000万円投入した場合の経済効果が2000万円とされていました。事業終了後の発表では、経済効果の金額は発表されずに、『住民の絆が深まった』とか、『地元を知ってもらった』とかの抽象的なものです。この報告は、節約とか『もったいない』とかと相反するものです。1000万円投入し、2000万円の売上げを実現できたかどうかを報告すべきなのです」

記者「確かに、過疎化が進んでいる地域に、何10年以上も前の道路計画を粛々と進めている自治体もありますね。使う人のいない道路ならば中止するほうが良いと思うのですが」
藤堂「各自治体には、必然的に行う建設計画が、10年以上も順番待ちになっています。計画を実行する業者とも契約を交わしているのです。もし、中止になれば違約金を払うことになります。払うくらいなら、作ったほうが良いとなるわけです。計画した事業は、後で不合理なものだと分かっても、粛々と行われて行くことになります。もう一つ、顕著になったことがあります。東日本大震災では、政府は復興資金を調達するために臨時の増税を行いました。その額、19兆円です。ところが、このお金は使い切れずに、震災復興とは関係ない事業にたくさん使われました。会計検査院でも、これを指摘し2000億円程度の過ちが指摘され、返金しています。余談ですが、この臨時増税の19兆円は数年でなくなりました。でも皆さんからの特別税という形で、今も給料から引かれ続けています」

記者「そうすると、これからもムダな事業が続くということですか」
藤堂「何もしなければ、そうなります。でも、熱心な職員を抱える自治体では、改革の動きも出始めています。公務員の場合、1割は頑張って働き、3割は普通に働き、6割はほとんど働かないといわれてきました。6割の人達の生き方は、欠勤しない、遅刻しない、働かないです。この6割の人達を前提に、地方のトップは行政という組織を運営してきたわけです。それが熱心なトップや熱心な1割の行政マンやウーマンの感化により、6割の職員が働く集団に変わり、成果を上げている自治体も出てきているのです」

記者「どうすれば、ムダをなくし、経済活動を活発にできるのですか」
藤堂「既存のインフラを、最大限に利用することです。鉄道駅前とか、市役所や裁判所のある中心市街には、もともと道路、上下水道、電気ガスなどのインフラが整備されています。これらが整備されていれば、税金を使わずに経済活動の集積度を高めることができます。集積度の高い町は、人口密度は高く、面積当たりの消費需要は多くなります。消費者が狭い地域に多数いれば、販売する立場からは有利な市場になります。市場の近場には、町の内外に製造販売施設ができ、流通網も確立されます。」

記者「確かに、郊外の過疎化した地域にインフラ整備のための税金を投入することは、効率的ではありませんね。年間500万円の給料を払いながら、200万円しか稼がない社員のようになってしまいます。ところで、どうすれば郊外の高齢者を中心部に誘導できるのですか」
藤堂「はい、高齢者の方が困っていることは、日常の買い物と医療機関へ通うことです。経済活動の集積度が上がれば、小売業や外食の各種サービス業などの産業も集積してきます。もちろん、医療・介護関係の分野の進出も進みます。ヘルパーさんが、過疎地域を10軒回るより、町の中心部を10軒回ったほうがはるかに効率が良いからです。効率が良いということは、所得も増えるということです。高い所得が得られると分かれば、若者は町に移住してきます。高齢者にしても、いつでも見てくれる医療・介護関係者が身近にいれば安心です。活性化した中心部には、周辺の中山間部や郊外から高齢者が移住するようになります」

記者「確かに便利で安心な町の中心部に高齢者はやってくると思います。でも、町の中心部に、広い土地をどのように確保するのですか」
藤堂「周辺の中山間部や郊外の土地は、地域の共通資本です。これを『所有』から『利用』に変えていくのです。地方でも、高度成長期に商売をやってきた人達は資産を持っています。店にお客が来なくても、中心部や郊外にある不動産からの家賃収入があり、生活が困らない人が多いのです。彼らにとってシャッター通りは、それほど困った問題ではありません。ファンタジアランドでは、町の活性化のために、休眠中の事業資産に課税を強化し、資産の有効活用を図る施策を用いました。休眠中の事業資産が町の中心部で虫食い状態になっていました。これを税金の未払いで接収したり、『所有』は認め利用権を町が獲得する方式で、利用できる広い土地を確保したのです」

記者「なるほど、それで広い土地を確保し、中心部にマンションを建てることができたわけですね」
藤堂「中心部に移住された高齢者の方が使用していた家や農地は、市が所有し、民間にその利用を任せています。詳しいことは、おいおい話していきたいと思います。」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



スポーツの話 箱根駅伝 その5 箱根を全国の大学に解放する

2016-11-11 21:15:07 | 日記
スポーツの話 箱根駅伝 その5 箱根を全国の大学に解放する

 箱根駅伝は、国民的スポーツイベントに成長しました。世界が驚くのは、一級国道120㎞を10時間以上も交通規制し、なおかつ沿道は応援で人が溢れていながら、事故も混乱もなく整然と進められている運営能力です。巨大スポーツイベントを、誘致しようとする国や都市は数多くあります。インバウンドの経済効果が、大きく見込まれるからです。でも、運営能力がないために、断念せざるを得ない都市が多いのです。箱根駅伝の運営能力は、日本の財産ともいえるものです。今回は、箱根駅伝の未来について、嘉納さんに話していただきました。聞き手はトット記者です。

記者「各大学は、クロスカントリーコースや低酸素トレーニング室をつくってまで、なぜ駅伝チームを強化しているのですか。優勝タイムが年々新記録になっているように思えるのですが」
嘉納「はい、箱根駅伝で好成績を収めると、受験者が劇的に増えるのです。受験料による大学の収入は、10億円ともいわれています」

記者「なるほど、10億円ビジネスなら、駅伝強化費に1億円投入しても安い買い物ですね。でも、簡単に上位校に入るのは難しいのでしょう」
嘉納「2000年代になると、箱根駅伝も競争が激化して、本戦に出るまで4~5年を必要とするようになりました。予選会をパスして本戦に出るシード校に到達するまで10年、優勝を狙うチームを作るには10年以上かかるようになっています」

記者「大学が1990年前半以降、長距離の強化に力を入れる大学が増えた理由に、テレビで箱根駅伝の全区間中継が放映されためと聞いています。その当たりの真偽はどうなのですか」
嘉納「全区間中継が、箱根駅伝の隆盛に繋がったことは間違いありません。それまでは、本当に関東学連陸上の一つのイベントに過ぎないものでした。現代のマスコミは、競技力だけでなく、選手のキャラクターを重視します。宮城や東北の選手であれば、東日本大震災と絡めて放送します。今回も熊本地震に関連して、熊本出身の選手を取り上げるでしょう」

記者「確かに、家族が亡くなったとか、震災がどうかなど、競技と関係ない話題を多く入れていますね。その効果はどうなのですか」
嘉納「はい、日本のマスコミも、経営的思惑を絡めて報道します。前にも申し上げたように、箱根の競技レベルは元旦に行われる実業団駅伝より格下です。にも関わらず、テレビ視聴率や全国的関心が高い理由は、92回の歴史や沿道の皆さんから愛されてきたからです。アメリカのスポーツは、予算管理を重視します。選手やチームの費用対効果を逐一吟味していくわけです。以前の日本のスポーツマスコミは、経済的視点が抜け落ちることが多かったのです。現在の箱根駅伝の中継では、経営的視点は入るようになってきました。でも、視聴率を獲得するために、選手を実力以上に伝えたり、地域の惨状と絡めた情緒に訴える報道もあるようです」

記者「選手の心情や可能性を伝えることは、良いことではないのですか。選手の励みになると思うのですが。でも、やり過ぎはまずいですか。ところで、箱根駅伝は、今後どのように発展していくのでしょうか」
嘉納「はい、いくつかの問題や課題も出てきています。箱根駅伝の隆盛は、長距離選手の関東圏への集中という事態をもたらしています。主催の関東学連が、既得権を守りすぎている部分もあります。全国レベルで考えると、予選会を通過した全国のどの大学でも参加出来るように、箱根駅伝を開放するべきだと考える人達もいます」

記者「全国の大学に開放すると、どんなメリットがありますか」
嘉納「たとえば、予選会に出場する選手が、全国から集まります。交通費や宿泊費が、地元に落ちます。もちろん、これは東京と神奈川の大会運営能力があって可能になることです」

記者「他には、ありませんか」
嘉納「予選会に一般市民の参加も認めるアイデアも面白いですね。箱根駅伝がこれだけ有名になると、見るだけなく実際の距離を走ってみたいという愛好家がでてきても不思議ではありません。サブスリー(3時間以内)やサブフォー(4時間以内)という愛好家は、20kmを走る能力は持っていますから。敷居の高い箱根駅伝の予選会に参加出来るとなれば、参加者は増えるでしょう。一般の参加者からは、少し多目の参加料をとるのです。それを、学連の経費に回すことも可能でしょう」

記者「箱根駅伝ネームバリューの高さを利用する方法ですね。市民ランナーも楽しむ場であっても良いと思います」
嘉納「日本ではマラソン大会が200近く、毎年実施されています。それだけの数を運営する数多くの地域があるわけです。関東に近い地域で、予選会を買って出る市町村があっても良いと思います。運営のノウハウがあれば、経営的にも収支はプラスになるでしょう。箱根駅伝の距離で、愛好家がチームを作って、駅伝を実施することも可能です。」

記者「箱根駅伝の隆盛があるから出てくるアイデアですね。最後に、箱根駅伝に希望することはどんなことですか」
嘉納「今の関東には、日本を代表する長距離ランナーが集まっています。世界で戦うためには、マラソンで2時間4分が目標になります。1kmを2分58秒で走りきるわけです。スピードがなければ世界で戦えません。箱根の指導者の皆さんには、箱根が最終目的ではなく、その先にも繋がる指導をしてほしいと願っています」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



刑務所の明と暗

2016-11-08 21:10:22 | 日記
刑務所の明と暗

 ここ10数年、日本の犯罪は減少しています。減少を支えているのは、検察と裁判所の基本システムが機能しているからです。でも、刑務所にも、高齢社会の影響が出てきたようです。高齢者の窃盗が、増えているのです。今回は、高齢者と窃盗、そして福祉の問題を遠山さんに、トット記者がインタビューしました。

記者「窃盗事件で執行猶予のついた犯罪者の3割が、4年以内に再犯を繰り返すということは本当なのですか」
遠山「はい、再犯率が高い犯罪は、窃盗が1番で、覚醒剤が2番がです。窃盗は、万引きなどに代表されるように軽い犯罪とみられがちです。でも、万引きによる被害は、4000億円を超えます。このお金が順調に流通すれば、お店はよりスムーズに資金を運用できるのです。近年日本の刑事事件は、若年層の凶悪犯罪が著しく減少していることが特徴です。問題は、障害者や高齢者による窃盗が増えている点です。余談ですが、窃盗より悪質な強盗は、住宅強盗が減り、コンビニ強盗が急増していることです。これからも、コンビニ強盗のニュースは増えることになりますよ」

記者「生活基盤を失った高齢者や障害者にとって、刑務所は衣食住や病気には困らない施設だと聞いています。高齢者や障害者が増えると、どんなことが起きるのですか」
遠山「刑務所の運営は、刑務官だけでは賄いきれないのです。経理夫と呼ばれる受刑者が、刑務官の補助的仕事をします。食事を運んだり、体の不自由な受刑者を世話するなどの仕事をするわけです。最近、刑務所にとってはなくてはならないこの経理夫が、どこでも不足しているのです。受刑者全体の能力が低下してきたため、経理夫のなり手が減少しているわけです」

記者「障害者が多いということは、初めてわかりました。でも、脳性麻痺やダウン症の障害者は、犯罪を起こさないということを聞きましたが」
遠山「はい、特別支援学校に通う子ども達は、丁寧に社会のルールを教えられるために、非行に走ることはないのです。問題は、親が障害を認めたがらない子ども達が犯罪を繰り返すことなのです。知能指数の低い受刑者の中には、親が障害を認めないために、障害認定を受けていない者もいます。親に障害の存在を否定され、支援の機会を逸した子ども達です。このような子どもは、非行に走りやすいのです。犯罪を繰り返すごとに刑は重くなり、長期受刑者になってしまいます」

記者「親が子どもの将来を見通して、福祉機関と相談しながら進路を考えて欲しいものですね」
遠山「はい、そういう配慮があれば、障害者の受刑者は減少すると思います」

記者「刑務所の暗い面だけを見てきたようですが、明るい面はないのですか」
遠山「はい、先ほど経理夫が不足して困っていると話をしました。人手不足は、イノベーションの最良の機会という言葉あります。島根県の刑務所では、通常経理夫が運ぶ食事を自動搬送システムで行っています。このシステムのおかげで、短時間で配食が済み、皆さんが暖かい食事をしているようです。このシステムをつくった会社にも、見返りがあったようです。受刑者の中で刑が短く、能力の高い人達をスーパーAといいます。彼らの中で特にITスキルを持った受刑者は、プログラミング開発などに従事しています。受注会社から依頼を受けて、プログラミングを開発するするわけです。彼らは出所後、すぐにIT企業から採用されています」

記者「7万人の受刑者の中には、優れた方もいるのですね。地域に貢献するような事例はないのですか」
遠山「刑務所は優良企業で、不況はないといわれています。塀の中にも、人間の暮らしがあります。そのために、刑務所全体では、衣食に年間2000億円を使っています。使うべき2000億円の衣類や食糧を地元から、調達しています。地域の農業や商業に貢献しているわけです。ある地区では、30%の食料は刑務所のある地区から購入し、残りは刑務所のある県内で購入し、地産地消のモデルとなっています。刑務所の年間メニューは決まっており、どの期間にどの食材を使うか分かるようになっています。食材の種類と納入単価も分かります。農家はこのメニューに合わせて、作物を作ることも可能です。作っても売れないということはなくなり、決まった量を決まった日時に納入すれば良いことになります」

記者「合理的ですね。地域に対して、人的な面での貢献はないのですか」
遠山「雪国の高齢者が困っている事は、通院、買い物、そして雪下ろしです。この雪下ろしに、受刑者が関わるようになりました。スーパーAの受刑者が、山形や秋田の雪国で、雪下ろしの作業を行っています。雪下ろしの作業・動作の分析をし、そのノウハウを蓄積しています。刑務所のITチームが雪下ろしのプロジェクトを立ち上げたのです。蓄積した情報を雪下ろしの最適な動作になるようにし、最終的には、ロボットに雪下ろしをさせることになります。山形の雪と新潟の雪は、違います。含水率などにより変化します。これらの条件にも対応できるロボットを開発しています。それには、何といっても人間の動きが参考になります。今は、人的作業のお手伝いです。でも、将来は刑務所が、地方自治体から有料で請け負う雪下ろし事業になるかもしれません」

記者「地方自治体から有料で請け負えば、刑務所の経費を節約できますね」
遠山「はい、今の刑務所の刑務作業は、ほとんどが製品の組み立てなどの単純なものです。付加価値が低いのです。それでも、1日につき5000円の作業費を支払います。より付加価値の高い作業をして、利益を出すことも必要です。すでに、ITチームは、多様なプログラミングの開発でかなりの利益を上げています。作業も効率化し、刑務所が金食い虫だといわれないようにしたいのです」
記者「刑務所の興味深いお話をありがとうございました。また機会があったらおねがいします」

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



旅とアイデア  会津只見町で思ったこと

2016-11-04 22:09:09 | 日記
旅とアイデア  会津只見町で思ったこと

 10月の連休日にトット記者が、47都道府県のアンテナショップがあるパスタ新宿を訪れました。熊本の辛子レンコンや岡山のキビダンゴなどを試食しながら、各県の名品を見比べ、食べ比べをしていたのです。その中で特に印象に残ったのが、会津の絵ろうそくでした。早速、絵ろうそくの歴史や製作現場を見たくなったようです。そこでアンテナショップの下にある高速バスターミナルから、会津若松行き、11時10分発の高速バスに乗り込みます。以下は、その旅の様子と感じたことや、会津に詳しい蒲生さんとの話です。

記者「アンテナショップを回っていたら、急に会津の絵ろうそくを見たくなったのです。会津の歴史を見ていたら、蒲生さんのご先祖も関与していることをはじめて知りました」
蒲生「それは、恐れ入ります。会津は、昔から漆塗りが盛んな土地柄でした。蒲生氏郷が会津に入る前から、芦名氏が漆の植樹を奨励していたのです。ご存じのように、漆の実からは『ろう』が採取されたため、漆器とろうそくが会津の特産品になったのです。氏郷は故郷の近江より技術者を呼んで、品質の向上に努めています。その後、松平氏が財源確保のために、これらを日本中に広めていったわけです」

記者「素晴らしい工房も見せていただいて、満足でした。会津若松駅には15時39分についたので、18時発バスタ新宿行きで帰る予定だったのです。でも、只見町にある成法寺のパンフレット見てしまってから、急にその観音堂をみたくなりましてね」
蒲生「すると、会津に一泊して翌日、只見線6時の始発に乗ったわけですね。でも、どうして成法寺だったのですか。確かに国重要文化財ですが、只見駅から20kmもあるところですよ」

記者「はい、只見町は日本でも有数の豪雪地帯です。冬の雪下ろしの欠かせない地域です。
普通なら、豪雪地帯にある観音堂は、雪の重みで潰れてしまうはずです。どうして潰れないのか不思議だったのです。地元の方が、文化庁に無理を言って雪の重みに耐える支柱を取り付けたと聞いたのが動機になりました。支柱を認めてもらったという説明が印象に残ったのです。文化財に後からいろいろなものを加えることはできませんから。『叛骨の観音堂』というイメージを持ったわけです」
蒲生「なるほど、川口駅までは、無事についたわけですね。それから代行バスに乗って、只見駅までいったということですか。只見駅では、観光案内が充実していたでしょう。そこでレンタサイクル借りて、成法寺を目指したということですね」

記者「はい、自然のど真ん中の町でした。快晴に恵まれ、気持ちよいサイクリングを体験した。途中に立派な特別老人ホームや老人保健施設、保健センターや診療所があり、恵まれた地域だと感心しました。予定より早めに、成法寺に到着できました。室町時代の建物で、かやぶき寄せ棟造りの和様と唐様の取り混ぜた荘厳さを持つ観音堂です。確かに、観音堂の四方に支柱があり、雪の重みに耐える工夫がされていました。会津の古刹ということも納得できるものです。でも残念なことに、30年前から住職が不在となっているとのことでした。蒲生さんに教えていただきたいことは、不在の住職の補充についてです」
蒲生「住職の不足は、日本の過疎地域で問題になっています。昔から住職にとって結婚し子供を儲けることは、不邪淫戒を破る行為でした。でも、周囲で結婚して子供を儲けることを問責することは、誰もしませんでした。住職は代々の世襲制で、結婚して子供をもうけることが当然だったわけです。ところが、少子化により跡継ぎがいなくなったり、過疎の地域では檀家が少なくなり、お寺の生計が立てられなくなったのです。それで、住職が不在のお寺が増えているわけです。補充のヒントは、外国人労働者です。日本は、あらゆる産業に外国人労働者を受け入れています。お寺も外国人の住職を受け入れても良い時期かと考えています」

記者「そんなことが可能なのですか」
蒲生「理論的には可能です。鎌倉時代の著名な僧侶には、武士団の出身者が極めて多いのです。東大寺を復興した重源は、紀氏です。西行は佐藤氏、法然は美作国の漆氏、明恵は母方が紀伊国の湯浅氏です。叡尊は源氏で、一遍は伊予国の河野氏の出身です。武士団の内部では、庶子を僧侶とし、一族の菩提を弔わせるという風習がありました。修行者は共同体全体の苦しみを一人で引き受けるという代苦者の役割を請け負っていたのです。代苦者の役割は、外部の保護者から寄付を受け、寺を維持していくことも含まれています。これと類似した事が、仏教国のタイで行われています」

記者「でも、鎌倉時代と現代のタイが似ているということが、信じられないのですが」
蒲生「タイの人々は『タンブン』というものを信じています。タンブンとは、人や動物を助ける行為です。この行為を行った人は、輪廻転生で上位に位置することができるのです。面白いことに、この行為は他人に譲ることができます。僧侶にお布施を多く出すときに、自分の子供や親の名前を言って渡せば、親や子供の幸福に繋がるというのです。鎌倉時代の代苦者と類似している思いませんか」

記者「そう言われると、そうかもしれませんが。納得はできないというのが正直なところです」
蒲生「ここでは、タイでは僧侶が尊敬されているということ、タイには30万人僧侶がいるというだけを理解して下さい。タイの観光客は、日本の冬の景色や雪遊びを求めています。只見町は、雪に関する遊びは何でも可能です。スキー、カマクラ、雪合戦、雪のホテルまで可能になるでしょう。もし尊敬できるタイの僧侶が、成法寺の住職になったとします。タイの観光客は安心して只見町を訪れるでしょう」
記者「そんなことが可能だとはとても思えないのですが」
蒲生「そうですね。日本で宿泊数の最も少ない県は、第一が佐賀県です。二番目が日本中を旅したという水戸黄門様がいた茨城県です。その佐賀県が、2015年の外国人宿泊数が19万人と前年の2倍に増えました。タイで2014年に公開された映画の舞台が、佐賀県の稲荷神社だったのです。ロケ地のこの神社では、タイ語のおみくじを用意するなど受け入れ体制を整えたことが倍増の理由です。佐賀県はタイの番組制作会社に働きかけて、この成功を手に入れたのです」

記者「すばらしいですね」
蒲生「タイでも僧侶の方で、国を離れることに抵抗のある方もいると思います。でも、タイでは僧侶になってもすぐに還俗できるのです。僧侶の経験者を日本に呼んで、事業家として寺の維持や存続をお願いすることも選択肢になります。全ての国に焦点を当てるより、特定の国に絞っていくことも、これからの地域観光産業の狙い目になりますよ」
記者「住職とインバウンドの一石二鳥を狙うアイデアですね。参考になります」


ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




スポーツの話 箱根駅伝 その4 走者は頭を使う

2016-11-01 22:09:06 | 日記
スポーツの話 箱根駅伝 その4 走者は頭を使う

 長距離の選手は、心技体の三拍子がそろっていないと、大成しないといわれています。速く長く走る力さえあれば、良い選手と考えがちです。ところが、各大学の選手を勧誘する基準などを見ると、走力だけではないようなのです。選手が箱根で走りきるために必要なことを、嘉納さんに話していただきました。聞き手はトット記者です。

記者「長距離走はごまかしの効かない競技です。心技体が充実しないと、難しいといわれます。その理由を教えて下さい」
嘉納「はい、生活面と競技面が直結していることが、長距離の特徴なのです。一般に朝4時に起きて、5時から1時間ほど練習をします。練習後、食事をして授業を受けます。午後の4時頃から本練習になります。夏場だと涼しい時間帯からの練習になり、練習が終わると早めに寝なければなりません。このような生活と練習を習慣化していくのです。駅伝においては、いちばん長い時間を費やすのは試合ではなく練習になります。この練習をいかにモチベーションを持って継続できるかが、鍵になります。その鍵が、心技体なのです」
記者「確か、練習は負荷の強いポイント練習と身体を休めるつなぎ練習を週単位で行うということでした。自分の身体を把握していないと、過労になってしまうことはないのですか」
嘉納「そこが、心の問題になります。上へ上へと目標を高くしていくのが選手です。そのための朝練習、本練習と負荷を高めて行きます。高めて行く練習に、落とし穴が待っています。それは休養と栄養の取り方です。向上心の強い選手ほど、これらを疎かにしてしまうのです。」

記者「休養と栄養は、そんなに大事なのですか」
嘉納「大切です。練習をすると成長ホルモンが出ます。成長ホルモンは、練習で傷ついた筋繊維を修復する物質です。タンパク質を使って修復するわけですから、その時、タンパク質を取らないと筋繊維は、傷ついたままになります。傷ついたまま練習をすれば、痛みを引きずったまま練習することになります。続ければ、筋繊維は破壊されてしまいます。さらに、睡眠中にも成長ホルモンは出ます。深い眠りのときに多く分泌します。練習で疲れた身体を休めるながら、筋繊維の修復もするわけです。修復された筋繊維は、以前より丈夫になり力が高まってくることも分かっています。これらの知識は、選手にとって常識です。でも、この常識を、実践できるかどうかは、別ものなのです。蛇足ですが、睡眠不足の場合、皮膚の新陳代謝は遅れます。成長ホルモンが出ないからです」

記者「寝不足だと、化粧ののりが悪いことを知っていました。でも、その理由が睡眠中に分泌する成長ホルモンにあるということまでは、知りませんでした。自分で自分の練習を考え、モチベーションをアップしながら、身体のコンディションを整えていくわけですね」
嘉納「はい、駅伝はチームスポーツである以前に、走っている間は自分一人で戦わなければならないのです。戦う場合、自分で考えて走らなくてはなりません。考える選手、考えることのできる選手が求められるわけです」

記者「求められる選手とは、具体的にどんな人材なのでしょうか」
嘉納「一定の学力があり、適応力のある高校生です。これらをある程度持たないと、練習内容の理解やチーム内のコミュニケーションに問題が生じます。ある大学では、高校時代の『評定3』以下の選手は、どんなに速い選手でも勧誘しなかったといいます。大学生である限り、勉強することは当たり前です。監督やコーチの仕事に、選手の単位獲得状況を確認し、学業に取り組む姿勢をアドバイスすることも入っています。先輩からは、どの講義が単位が取りやすいかという情報が代々伝わっている大学もあるようですよ」

記者「選手は学生でもあり、教室では一般学生との付き合いもあります。そこから幅広い影響を受けて育っていくのでしょう。競技力が高く、企業に入っても活動旺盛な人材に育って欲しいですね」
嘉納「はい、陸上は文武両道がうまくいく競技といわれています。以前は、他の競技では推薦で入った選手が、単位が取れずに留年するという問題もあったようです。近年は、大学や部活動後援会などが学習の援助に動いて留年や怠学の問題は減少しています。」

記者「大学による推薦の基準はどんなものなのですか」
嘉納「千差万別です。ある大学では、推薦枠を3名に限定してところもあります。ある大学は、推薦の枠を監督に数人を委譲している場合もあります。一般に、新興勢力は授業料免除などの枠を設けているといわれています。伝統校は、経済的支援は少ないようです。推薦される高校生は、素直な子で、内面の部分では自分で考える力のある選手が選ばれるようです」

記者「箱根駅伝は、大学の体力の勝負でもあると聞いたのですが、どういうことですか」
嘉納「大学の体力には、伝統、就職力、偏差値などのあらゆる要素が加味されます。選手の勧誘では、学生生活はもちろん、卒業後のセカンドライフを説明した上で、本人や家族に納得してもらうことになります。箱根駅伝に出たからといって、簡単に就職できるわけではありません。就職内定率が高い大学は、経営努力をしています。セカンドライフの保障が、大学の一つの体力になります。箱根駅伝は、私たちが考える以上に、お金がかかるのです。お金の調達を同窓生にお願いし、円滑に集めることも体力です。駅伝は、情報戦という面もあります。当日補助員をどのように配置するか、情報機器をどのように使うかなどが重要になります。これらを監督、コーチ、マネージャー、補助員、選手といった組織で戦うことになります。箱根駅伝は、10人の選手の戦い以前に、大学同士の総力戦という面があるのです」

記者「箱根駅伝の奥深さがよく理解できました。選手の皆さんは、4年間も練習に勉強に大変なことが分かりました。また同じように、監督、コーチ、マネージャー、補助員の方も知恵や努力を出し合わなければ、勝てない勝負なんだという感想を持ちました。ありがとうございました」

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。