空き家の有効活用
現在日本には、空き家が800万軒ほどあります。7軒に1軒が空き家ということなります。空き家が増えると、ゴミが放置され悪臭や害虫の発生の原因にもなります。このような家に不審者が住み着き、犯罪を誘発することもあります。空き家が増えると共に、これに対する対策が地方自治体に求められるようになってきました。今日は、空き家対策に詳しい藤堂さんから、トット記者がお話しを伺いしました。
記者「最近、空き家に関する報道が頻繁になされています。なぜか報道は、突出した話題だけ採り上げているように思います。でも、本当のところはどうなのでしょうか」
藤堂「家は人が住まなくなると、建物は加速度的に劣化します。空き家はできるだけ長く借りてもらうほうが、家の傷みも軽減され、利益もでるものなのです。特に問題になるのは、所有者不明の空き家です。空き家は、景観を壊し、地域に外部不経済のマイナス要因を持ち込みます。犯罪の温床になったり、感染症が広がるような状況になれば、強制的除去という手段を用いることにもなります」
記者「いわゆる行政代執行ですね。これの問題点はどんなところですか」
藤堂「行政代執行に至るの前に、自治体は除去費の補助金を出して、自主的対応を促すことが多いのです。たとえば、呉市では2015年までに、補助金を455件で1億3000万円を使っています。空き家の除去の方法には、アメとムチがあります。アメは補助金で除去を促す方法です。ムチは、行政代執行になります。強制執行にかかった費用は、空き家の所有者から徴収することになります。でも、徴収には、応じない人もいるなど、いろいろ問題も出てきます。訴訟になり、撤去費用より多くの税金を裁判費用に使うこともあるのです」
記者「何か良いアイデアはないのですか」
藤堂「はい、自動車のリサイクル法と同じ仕組みを導入すれば、良いのです。自動車の場合、リサイクルに必要なる費用をあらかじめ購入者に負担をして頂いています。家の場合も、所有者に除去の費用を負担する仕組みをつくっておくのです。事前に徴収すれば、相続放棄や所有者不明でも、除去の費用は心配しなくともよくなります。除去費用を事前に徴収して、プールしておくことは自動車リサイクル法と同じです。今から導入する場合、毎年の固定資産税に除去費用が少しずつ上乗せする仕組みが考えられます」
記者「確かに、800万軒の空き家が出てくると、リサイクル法のような手法が考えられますね。ところで、空き家を有効利用する方法はないのでしょうか」
藤堂「空き家は、宝の山ともいえます。高齢者社会が進み、介護施設や福祉施設の需要が急増しています。施設をつくっても追いつかず、建てるお金もないのが実情です。空き家が活用できれば、出費を抑えつつ福祉のニーズを満たすことが容易になります。東京都内で人気の世田谷区でさえ、5万戸以上の空き家があるのです。この地区で活動する市民団体は、安い料金で空き家を借りて、活動拠点にしています。変わったところでは、アーティストが東京都心の廃校を、年間80万人を集めるアートの拠点に変えてしまいました。有効利用の最たるモノでしょう。また、地方都市の空き家や空きビルを低家賃で借りて、スモールビジネスで成功した事例もあります。この成功を見ていた人達が、次々と移住してきています。5年ほどで80以上のスモールビジネスの拠点地域が生まれているのです」
記者「空き家は、無限といえるほどあるのですから、やり方しだいでは『金の卵』になるということですね」
藤堂「はい、経済苦境といっても、現在の日本では命まで奪われるわけではありません。生活ができ、人間関係ができ、情報がまわり始めれば、多くの問題は解決の方向に向かうものです。狭い地域でお金が継続的に回る仕組みをつくれば、街は活性化します。空き家の個別性とその長所や短所を明確にし、その地域にあった解決策を図ることです。人口が減り空き家が増える時代では、身の丈に合わせた街づくりも考慮に入れておくことです」
記者「時代により、住む人の要望も変わると思うのですが。その辺の事情を教えて下さい」
藤堂「そうですね、バブルの頃は、広い家が好まれていました。蛇足ですが、バブルの前後、郊外には多くの住宅が建てられました。これらの住宅は、19世紀の植民地における居住地建設と似ています。建設文化の成立していない未開発地に、人を住まわせるために立てられたものと同じです。未開人と同じために、簡素で清潔な住宅を、未熟練な技能でも迅速に建設できる仕様だったのです。今は、それよりも高級感があるものが求められています。部屋は狭くとも良いが、風呂やトイレが充実している家が好まれます。
記者「確かに、一軒家よりも、ワンルームのほうが人気があるといわれていますね。広いほうが良いと思うのですが」
藤堂「独身時代は、ワンルームで気楽に暮らしたいのでしょう。子供のいる時代は、広い1戸建てのほうが、子育ては円滑にいきます。住宅ローン組んで自分の家になるころには、老齢期になっています。老齢期は、大きな家は必要ありません。この時期になれば、介護のことを考えて、福祉施設の入居を考えるようになります。ライフスタイルの観点から、家を考えていきたいですね。独身時代は、ワンルームでも良いでしょう。子供のいる時期は、空き家の一軒家を借りたほうが経済的です。老後は、充実した生活を送るために、バリアフリー化した家を求めるべきでしょう」
記者「空き家を有効に利用しながら、ライフスタイルの充実を図るという考えですね」
藤堂「はい、800万軒を超す空き家の問題は、一筋縄では解決しません。この問題は個別性が高く、何か一つの施策で全て氷解するものではありません。空き家の利用は、行政と民間、住宅政策と福祉政策、宅地と農地の連携などが必要になります。空き家問題の解決は、多くの人の協力が必要になることを理解して下さい」
記者「空き家問題の難しさが少しわかりました。ありがとうございました」
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。
現在日本には、空き家が800万軒ほどあります。7軒に1軒が空き家ということなります。空き家が増えると、ゴミが放置され悪臭や害虫の発生の原因にもなります。このような家に不審者が住み着き、犯罪を誘発することもあります。空き家が増えると共に、これに対する対策が地方自治体に求められるようになってきました。今日は、空き家対策に詳しい藤堂さんから、トット記者がお話しを伺いしました。
記者「最近、空き家に関する報道が頻繁になされています。なぜか報道は、突出した話題だけ採り上げているように思います。でも、本当のところはどうなのでしょうか」
藤堂「家は人が住まなくなると、建物は加速度的に劣化します。空き家はできるだけ長く借りてもらうほうが、家の傷みも軽減され、利益もでるものなのです。特に問題になるのは、所有者不明の空き家です。空き家は、景観を壊し、地域に外部不経済のマイナス要因を持ち込みます。犯罪の温床になったり、感染症が広がるような状況になれば、強制的除去という手段を用いることにもなります」
記者「いわゆる行政代執行ですね。これの問題点はどんなところですか」
藤堂「行政代執行に至るの前に、自治体は除去費の補助金を出して、自主的対応を促すことが多いのです。たとえば、呉市では2015年までに、補助金を455件で1億3000万円を使っています。空き家の除去の方法には、アメとムチがあります。アメは補助金で除去を促す方法です。ムチは、行政代執行になります。強制執行にかかった費用は、空き家の所有者から徴収することになります。でも、徴収には、応じない人もいるなど、いろいろ問題も出てきます。訴訟になり、撤去費用より多くの税金を裁判費用に使うこともあるのです」
記者「何か良いアイデアはないのですか」
藤堂「はい、自動車のリサイクル法と同じ仕組みを導入すれば、良いのです。自動車の場合、リサイクルに必要なる費用をあらかじめ購入者に負担をして頂いています。家の場合も、所有者に除去の費用を負担する仕組みをつくっておくのです。事前に徴収すれば、相続放棄や所有者不明でも、除去の費用は心配しなくともよくなります。除去費用を事前に徴収して、プールしておくことは自動車リサイクル法と同じです。今から導入する場合、毎年の固定資産税に除去費用が少しずつ上乗せする仕組みが考えられます」
記者「確かに、800万軒の空き家が出てくると、リサイクル法のような手法が考えられますね。ところで、空き家を有効利用する方法はないのでしょうか」
藤堂「空き家は、宝の山ともいえます。高齢者社会が進み、介護施設や福祉施設の需要が急増しています。施設をつくっても追いつかず、建てるお金もないのが実情です。空き家が活用できれば、出費を抑えつつ福祉のニーズを満たすことが容易になります。東京都内で人気の世田谷区でさえ、5万戸以上の空き家があるのです。この地区で活動する市民団体は、安い料金で空き家を借りて、活動拠点にしています。変わったところでは、アーティストが東京都心の廃校を、年間80万人を集めるアートの拠点に変えてしまいました。有効利用の最たるモノでしょう。また、地方都市の空き家や空きビルを低家賃で借りて、スモールビジネスで成功した事例もあります。この成功を見ていた人達が、次々と移住してきています。5年ほどで80以上のスモールビジネスの拠点地域が生まれているのです」
記者「空き家は、無限といえるほどあるのですから、やり方しだいでは『金の卵』になるということですね」
藤堂「はい、経済苦境といっても、現在の日本では命まで奪われるわけではありません。生活ができ、人間関係ができ、情報がまわり始めれば、多くの問題は解決の方向に向かうものです。狭い地域でお金が継続的に回る仕組みをつくれば、街は活性化します。空き家の個別性とその長所や短所を明確にし、その地域にあった解決策を図ることです。人口が減り空き家が増える時代では、身の丈に合わせた街づくりも考慮に入れておくことです」
記者「時代により、住む人の要望も変わると思うのですが。その辺の事情を教えて下さい」
藤堂「そうですね、バブルの頃は、広い家が好まれていました。蛇足ですが、バブルの前後、郊外には多くの住宅が建てられました。これらの住宅は、19世紀の植民地における居住地建設と似ています。建設文化の成立していない未開発地に、人を住まわせるために立てられたものと同じです。未開人と同じために、簡素で清潔な住宅を、未熟練な技能でも迅速に建設できる仕様だったのです。今は、それよりも高級感があるものが求められています。部屋は狭くとも良いが、風呂やトイレが充実している家が好まれます。
記者「確かに、一軒家よりも、ワンルームのほうが人気があるといわれていますね。広いほうが良いと思うのですが」
藤堂「独身時代は、ワンルームで気楽に暮らしたいのでしょう。子供のいる時代は、広い1戸建てのほうが、子育ては円滑にいきます。住宅ローン組んで自分の家になるころには、老齢期になっています。老齢期は、大きな家は必要ありません。この時期になれば、介護のことを考えて、福祉施設の入居を考えるようになります。ライフスタイルの観点から、家を考えていきたいですね。独身時代は、ワンルームでも良いでしょう。子供のいる時期は、空き家の一軒家を借りたほうが経済的です。老後は、充実した生活を送るために、バリアフリー化した家を求めるべきでしょう」
記者「空き家を有効に利用しながら、ライフスタイルの充実を図るという考えですね」
藤堂「はい、800万軒を超す空き家の問題は、一筋縄では解決しません。この問題は個別性が高く、何か一つの施策で全て氷解するものではありません。空き家の利用は、行政と民間、住宅政策と福祉政策、宅地と農地の連携などが必要になります。空き家問題の解決は、多くの人の協力が必要になることを理解して下さい」
記者「空き家問題の難しさが少しわかりました。ありがとうございました」
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。