ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

アジアのネット通販や配車アプリが面白い  アイデア広場 その457

2019-03-31 17:21:05 | 日記

 アマゾンは、1997年の時点で250万タイトルものオンライン書籍コーナーを提供し始めました。数百万何もの書籍があるのに、書店は、それら書籍をすべて棚に並べることは不可能でした。でも、アマゾンのシステムは、書店が提供できるよりはるかに多くの書籍にアクセスできるようになったのです。消費者は、250万タイトルの書籍を簡単に購入できるようになりました。アマゾンの初期の方針は、合理的なものでした。現在、アマゾンは世界15カ国で通販サイトを展開していいます。世界で年300億のアクセスの集客力で、200万以上の出品企業にビジネスチャンスを与えたのです。アマゾンは、規模と利便性のあるこのモデルを他生活商品にも適用するようになります。アマゾンのシステムは、圧倒的な強さを発揮するようになりました。一方、あまりにも強すぎる1強多弱の支配構造の負の側面に、注目が集まるようにもなっています。このアマゾンが、アジアのネット通販で苦戦しているのです。
 そこで、ネット通販業界において、圧倒的強さを持つアマゾンが、なぜアジアで苦戦をしているのか、その理由を考えてみました。ある小さな企業が、5年以上前から中古アップル製品をアマゾンを通して販売をしていました。年間で約1億1千万円を稼ぐ良いビジネスだったのです。そのビジネスが、アマゾンの突然の通告の一言でなくなってしまったのです。蛇足ですが、現在、GAFAの中では、熾烈な争いが始まっています。お互いの領域に入り込んで、利益を上げようとしているのです。アマゾンは予告なく、規約改定することがあります。便利なシステムでもありますが、不具合もあるようです。この背景にあるのは、データ独占の仕組みになります。アマゾンは、中小企業にも取引の門戸を開き、出荷や配送、在庫管理の面倒もみます。でも、出品企業が商品を多く売っても、顧客の性別や年齢、過去の購買履歴など詳細データはアマゾンのものになるのです。アマゾンへの出品企業は、商品別の売上高など限定的な情報しか受け取れません。一方、「現代の米」であるデータは、アマゾンに蓄積されていきます。このデータを使って、ネット通販の巨人が顧客分析や販促ノウハウを積み上げていくわけです。
 アマゾンは2009年以降、蓄積した情報から、売れ筋を分析してプライべートブランド商品(PB)も開発していきます。おむつやビタミン剤、シャンプーなど100種類以上のPB商品を販売しています。出品企業がもたらしたデータは、競合商品の形に変えてアマゾンから販売されているのです。アメリカの雑貨大手は2018年末、自社の椅子がアマゾンに模倣されたと訴えを起こしています。この雑貨大手も、アマゾンを通して販売を行っていました。アマゾンは、この会社の購入者志向を分析していったのでしょう。好みに合わせて製品を開発したという経緯が透けて見えてきます。顧客と接するプラットフォーマーが、データを掌握して支配を強める構図ができたわけです。勢力が拡大して、1強多弱の支配構造の負の面が現れているということです。このアマゾンが、アジアで苦戦しているのです。
 中国が強大市場であることは、誰しも認めるところです。そこで、アマゾンは市場の1%も確保できていない現状があります。中国では、アリババやテンセントが幅広いサービス市場を押さえています。その基本にあるのは、強力なアプリです。このアプリは、中国にはあるが、アメリカにはあまりないものです。スマホを便った決済や生鮮品の宅配などが、庶民の生活全般に取り込まれているのです。アリババとテンセントによるサービス寡占化が、進んでいるのです。中国は、スマホを指で操るだけで生活に必要なものはほは全て入る状況になっています。アマゾンは、単品の販売では優れています。でも、生活全般に及ぶサービスは、まだ準備ができていないのかもしれません。
 中国への進出が難しいアマゾンは、東南アジアでも苦戦しています。ラストワンマイルの確保がままならないのです。ネット通販は、ラストワンマイルがネックになりつつあります。アジアの強みは、このネックを克服する多数のドライバーと交通手段を持っていることです。シンガポールに本拠地を置く「グラブ」という会社が、注目を集めています。この会社は、優れた配車アプリを使って、消費者を囲みつつあります。二輪車や三輪車、そして四輪車の運転手と消費者を、スマホで橋渡しする配車サービスが主要な事業です。この地域の生活は、二輪運転手や屋台などを利用しながら成り立っています。二輪タクシーや三輪タクシーが、地元に深く根ざしているのです。二輪車の運転手が宅配を担ったり、屋台の料理を出前したりするサービスは日常的に行われていました。このサービスにスマホアプリが加わることにより、より効率的になったということです。
 このアプリには、人の移動や宅配、そして屋台の出前に加えて、次々にサービスが付け加えられているのです。2018年からは、ビデオ配信サービスも始まりました。2019年からは、ネットでの健康相談や診療予約できる医療サービスを東南アジア全域で始めようとしています。アメリカでも、動画配信、配車サービス、そしてネット通販などの巨大企業を生み出しました。でも、それは単体の商品サービスでした。アジアのネット通販や配車アプリは、生活を支えるサービス全般を囲い込むのが特徴になっています。医療や娯楽サービスも含めた配車サービスは、アメリカにはない強力なアプリになります。
アジア独自のネット経済圏が、力を増していることがわかります。
 余談ですが、ビジネスチャンスあるとことに、人もお金も集まってきます。先見の明がある企業は、「グラブ」に出資する体制を取っています。中国では「滴滴」などが、この企業に出資しています。日本の企業では、ソフトバンクやトヨタ自動車なども出資者として名を連ねているのです。グラブは、配車だけでなく、アプリ決済や食事の宅配事業でも東南アジア首位を目指しています。市場で勝者になるためには、一気に消費者を取り組むことが大切になります。そのためには初期投資が莫大になります。その流れで、外国の資本を入れているのでしょう。日本の企業も資本投資だけでは、面白くないでしょう。サービスの質上げるためには、カイゼンや現場重視といった日本の経営の要素も必要になります。車を使うのであれば、自動車会社の車両の管理のノウハウも必要です。金融ノウハウもいずれ重要になります。パイの増大が見こまれる企業とパイの縮小している日本企業とは、相互補完的な関係が築ける条件が整っているようです。アジアの新しい企業が、消費者の生活を支援する有益なサービスを提供していってほしいものです。

リストラされる弁護士の新しい役割  スモールアイデアNO 265

2019-03-30 17:50:17 | 日記
 法律の世界でも、人工知能(Al)が実用化されている時代になってきました。ITなどによる法律分野の技術革新は、「リーガルテツク」と呼ばれ、注目を集めています。アメリカの大手法律事務所では、人工知能を導入するようになってきました。このリーガルテックにより、法律事務所では弁護士やリーガルスタッフ、そして法律に精通している事務員を含む職員達が、徐々にリストラされるという現実が生じています。アメリカの法律分野では、人員のリストラが始まっているのです。いずれ、この流れは日本にも来ることが予想されます。
 そこで、この法律関係者のリストラの原因とAIの関係について調べてみました。さらに、リストラされた弁護士の方は、どのような独創性を発揮していくのかも推測してみました。司法の分野では、過去の判例が山のように蓄積されています。裁判官も検事も、そして弁護士もこの判例の知識を持たなければなりません。裁判においては、膨大な過去の判例から、現在の案件に何を適用するのが最適かを判断していくわけです。裁判の進行が遅いことが話題になります。その理由は、裁判官の裁定に時間がかかることです。裁判官の負担の大きな部分は判決書の作成にあるといわれています。
 たとえば、殺人事件の裁判で、1人を殺して死刑宣告される割合は、約0.2%程度になります。3名以上を殺せば、約95%が死刑を宣告されています。2名を殺した場合は、状況によっていろいろな判決が下されます。蛇足ですが、日本の殺人事件は、50%近くが親族間で起きていいます。親族間では、厳罰を求めることは稀であり寛大な刑を望むことが多くなります。これらの状況を加味しながら、判決文は書かれているわけです。時間がかかることも、やむを得ないことなのかもしれません。ここに、登場するお助けマンが、AIなのです。
 データ化が可能で、そのデータの収集が容易であれば、AIはそれを取り込んで学習できます。プロ棋士がAIに負けた理由は、AIに学習できる質の高い棋譜(教師用データ)があったからです。AIは教師用データ使って学習をし、人間の脳よりも早く正確に形勢判断をしたともいえます。一定のルールの下で闘うのであれば、AIは素晴らしい力を発揮します
 同じことは、裁判についてもいえることです。過去の判例をAIに教師用データとして、インプットして、これで訓練をするわけです。プロの棋士を負かしたように、人間の弁護士より優位に闘うことができます。過去の判例や関連する法律文献などの情報は、データ化が進められています。2人の殺人事件を起こした複雑な判例の場合でも、最適なものを選び出すことをAIはやってくれるでしょう。法律に関するデータは、飛躍的に増大しています。AIがそれを分析し、その結果を利用することができます。人間の分析よりも、AIによる分析のほうがはるかに正確で迅速です。
 人間の仕事が奪われるのは、避けられないようです。でも、困った時に知恵を出すのが人間です。弁護士の仕事は、AIをどう使いこなすかということになります。使い方を工夫したり、応用したりすることになります。囲碁や将棋の世界では、AI同士を戦わせてより良い戦術を創り上げています。その戦術をプロ棋士は、自分の対局に利用しています。新たな時代において、弁護士の仕事のやり方そのものが大きく変わります。棋士とアマチュアには、理解の深さに乖離があります。AIの高度な戦術をアマチュアは理解できないのです。ここに、弁護士の仕事が見えてきます。トラブルを抱えているクライアントにわかりやすく説明できるスキルが必要になります。クライアントに対して、いかに安心感を与えるかというコミュニケーション能力が求められます。弁護士は、従来の無味乾燥な法律の説明よりも、分かりやすい説明を求めるということになりなります。従来とは異なるビジネスモデルを生み出した弁護士が、生き残るという図式になるようです。ここ20年間を俯瞰すると、修習生の志望者は、すぐれた者ほど弁護士になる傾向が強まっています。優秀な方が、新しい弁護士のモデルを作ってほしいものです。


アフリカ脱出・安定社会・好奇心  アイデア三題噺 218

2019-03-29 18:13:23 | 日記

 生物が海から陸上に進出するとき、もっとも障害になったものが紫外線でした。この問題は、毛皮を捨てた人類に対しても試練となってきました。紫外線から身を守る解決法は、紫外線を通さない黒い皮膚をもつことでした。人類が獲得した黒い皮膚は、現在のアフリカ人に引き継がれています。メラニン色素の密度が高いほど、皮膚は濃色になり、紫外線から身を守るわけです。5~7万年前に、人類(ホモサピエンス)はアフリカを出て世界に拡散していったのです。拡散していった人類の中には、ヨーロッパを目指した集団もしました。彼らは、アフリカで進化したメラニン色素生成能力を失っていったのです。
 アフリカを出た人類は、比較的少人数で5000人程度といわれています。この集団は、石器や火の使用と好奇心や想像力といった能力を発達させていきました。アフリカを出た人びとは、アフリカ以外の地域で著しい多様性をもたらしました。蛇足ですが、4万年前にヨーロッパに達した人類のクロマニヨン人は、ネアンデルタール人と出会い、数千年間、両者は居住圏を共有していたのです。最近のゲノム研究で、ヒトのDNAの数%はネアンデルタール人由来であると推定されています。クロマニヨン人が造ったマンモスの牙や皮で造った住居が、ヨーロッパで発見されています。人類がアフリカを出てから、5~7万年になります。その間に、人類はメラニン色素を作る能力を失った集団もあります。一方で、好奇心を駆使しながら、急速な発展を遂げた集団もあったわけです。
 そこで、人類の進化を促してきた好奇心について考えてみました。アフリカを出た5000人の人類は、世界各地に移動していきます。そして4~6年の潜伏期を経て、文明が1万年前ぐらいから文明が発祥しました。この潜伏期から文明の初期は、狩猟採集時代といわれています。この時代は、危険な環境でなんとか生きていければ幸福だったようです。時代がさらに進むと、生きるだけでなく衣食住が満たされることで幸福になるとなったようです。人間の文明は、その後急激に発展していきます。
 狩猟採集時代の次に来る農業の時代は、家族的な繋がりができれば幸福でした。そして、集団に貢献し賞賛されれば幸福な時代になったのです。個々人が多くの集団に所属し、緩急の繋がりを構築し、農業生産を高めていきました。農業生産は、人びとが組織的に繋がり、集団から逸脱する行動をとらないことがルールになりました。生産が上がり人びとが豊かになると、幸福が訪れます。でも、幸福感は飽和しやすく、日常的な幸福は持続しにくいという傾向があります。農業社会のように安定化を優先すると、安全なことを優先して行うことになります。失敗を恐れる姿勢は、すぐに成果の出る事柄が優先されてしまいます。でも、人類には、好奇心の遺伝情報があります。旺盛な好奇心を、安定社会で発揮しようとする挑戦者が出てきます。危険な事に挑戦する少数の人がいる一方、安定を望む多数の人びとがいたわけです。先見性のある組織は、好奇心の旺盛な人を大切にしてきました。今までは、保守的な集団に有利な状況が続いていました。急激に自然環境や社会環境が変わる現在においては、好奇心のある人材を積極的に登用する時代になっているようです。


福島県の健康指標を上げるアイデア   アイデア広場 その456

2019-03-28 21:05:13 | 日記

 東日本大震災と原発事故から8年を迎えるなか、福島県民の健康悪化が問題になっています。メタボリック症候群の割合の増加や介護保険料の増額などの問題点が、数値で顕著に表れているのです。福島県全体のメタボ率は、全国ワースト3位になってしまいました。
国民健康保険加入者のメタボ率は、福島県の浜通り側が22%ともっとも高く、震災後も上昇傾向が続いているのです。特に多くの避難住民を抱える双葉郡の町村では、健康指標の悪化が顕在化しています。福島県の住民の生活習慣病対策が、急務となっているわけです。
 ちなみに福島県は地理的に3つの地域(浜通り、中通り、会津)に分けて天気予報や地域のニュースを流します。東側の海岸の面する浜通りは、震災における津波や原発事故のあった地区になります。中通りは国道4号線や東北新幹線が通っている福島県の中央部に位置する地域です。会津は会津磐梯山や会津若松城が全国的に知られている地区で、福島県の西側に位置しています。
介護保険料の高い全国の自治体の上位10位に、福島県内7町村が入っているのです。介護保険料の高い自治体の1位と2位は福島の町村で、3位は東京の離島の村になります。
次に4位が福島で5位に秋田の町と福島が入り、7位に青森の町という順位です。そして8位から10位までが福島の町村となります。あまり名誉なことではありません。65歳以上の介護保険料が、福島県内59市町村のうち55市町村で上昇しています。この保険料が高いということは、介護を受ける方が多いということを意味しています。介護を受ける方が少なければ、保険料は安くなるわけです。そして、健康な生活を送っている証でもあります。残念な事に、その逆の状況になっているわけです。福島県の行政は、要支援・要介護認定者の重症化を防ぐ施策を検討しているところです。
 メタボ率全国ワースト3ということから、生活習慣病の危険性があるメタボ対策も急務になっています。居住地で健康づくりに取り組める体制整備が、大切との声も上がり始めました。福島県は行政と民間を含めた新たな推進組織を設立し、健康意識の普及拡大を図ろうとしています。すでに、スパリゾートハワイアンズのあるいわき市などでは、メタボを改善する長期的な健康教室の開催を検討しています。福島県は県内の市町村との連携を強めて、効果的な施策を新年度から行っていくようです。
 効果的施策のヒントになる事例は、新潟県にあります。2004年10月に、発生した新潟県中越地震の時のことです。この地震後には、高齢者の30%の方が地震前よりも歩くことが難しくなっていたのです。歩行以外にも、身の回りのことを行うといった生活動作にも低下がみられました。要介護認定の人や障害のある人では、元気な高齢者以上に歩行困難な状態に陥っていました。新潟県中越地震の6カ月後でも、高齢者全体の約10%の方が回復していませんでした。要介護の方にいたっては、40%の方が6カ月後にいたってもまだ回復していなかったのです。健康指数が、悪化していただろうことは容易に推測できます。
この現象は東日本大震災後に、被害のあった各地で起きています。災害後に生活する上で、歩行困難などの生活動作の低下は、日中に動くことが少なくなったために起きたことでした。地震前よりも、高齢者の方が動くことが少なくなり、活動量を低下させていったのです。この現象は、仮設住宅で起きただけでなく、自宅で生活している人にも起きていました。避難所や仮設住宅を利用した人だけでなく、在宅生活を送っていた被災者にも起きていたということです。
 東日本大震災の7カ月後の時点よりも1年7ケ月経った状況は、驚くべきことにさらに生活動作が悪化していたのです。地震前には介護保険の要介護認定を受けていなかった元気な高齢者が、歩けなくなるという新たな状況も生まれてきたのです。要介護認定を受けていた高齢者は、3分の2の方が震災前より歩くことが困難になっていました。災害から7カ月の悪化は、ある程度理解できます。でもその後は生活も落ちついた1年間になります。生活動作がさらに悪化するとは考えられないことでした。でも、現実には1年間にあらたな低下が見られる高齢者が多数発生していたのです。この現象は、津波の直接的な被害のなかった場所でも起こっていました。
 災害後に起きる生活動作の低下に対して、上手に対応した自治体がありました。新潟県中越地震の3年後の2007年に、能登半島地震が発生しました。新潟県中越地震の影響もあり、多くのボランティアの方が、輪島市に駆けつけてくれました。ボランティアの手厚い奉仕活動に、輪島の市長さんは危惧を抱きました。「こんなに手厚い上げ膳据え膳では、せっかく元気な輪島の年寄りがだめになってしまう」と考えたのです。これは、卓見でした。高齢者の歩行困難や生活動作の低下は、高齢者が「すること」がなくなったことから起きていたのです。できることは自分でやるということが、生活動作の低下を予防することだったのです。避難所でも、お年寄りにできることをしてもらいました。子どもたちの世話をしてもらうとか、食事の配膳をするとか、できることを少しでもしていく避難生活の仕組みをつくったのです。輪島市では、地震発生3日目から生活動作の低下を防ぐ予防策の取り組みを順調に開始できました。被害を、最小限に抑えることができたともいえます。
 障害者と接するときに、「善意の無視」という行為があります。過剰な善意がかえって、障害者の方に負の要因を引き起こすことがあるのです。「善意の無視」は、障害者の生活能力を奪わない知恵なのです。生活動作の低下の理由は、家の外で「すること」がなくなったことや家の中で「すること」がなくなったことにありました。せっかく、災害を逃れた元気な高齢者が、避難場所や自宅でダメになっていく姿が次々に現れてきました。でも、ダメにならなかった地域もあったことを理解することも大切です。そこに、福島の健康指標を上げるヒントがあるわけですから。
 せっかく生き残った人生を、できるだけ幸せな充実したものにしていくことは誰しもが願うことです。余談ですが、ある戦争体験をした方は、鹿児島を訪れると必ず知覧を訪れていました。特攻隊員の方が残した遺書を、見るのだそうです。この方達が生きていれば自分たちより日本の復興に尽力したという思いを新たにするためだそうです。戦後の復興は、彼らの犠牲の上に成り立ってきたという強い思いです。震災で亡くなった方は、生き残った方達に対して、自分の分も頑張って幸せな人生を送ってほしいと願っていることでしょう。その願いに、せっかく生き残ったにもかかわらず、思うように動かない身体になっていくことでは、たええられないでしょう。
 福島県のメタボや介護保険の問題は、浜通りの多く地域で発生しています。特に高齢者にその兆候が、顕著に起きているのです。福島県でこの種の情報を発信している係は、健康増進課のようです。健康という立場から、高齢者の体操教室や職場の健康を対象に、これらの課題解決に邁進することになります。高齢者の「すること」を増やす施策が、必要になります。高齢者に家の外に出てもらう、人と話してもらう、仕事をしてもらうことが、メタボを減らし、介護保険料を減らし、そして、高齢者の生活動作を改善することになります。これらのことがができなくなった理由は、地域での付き合いがなくなり、趣味の仲間がいなくなり、仕事がなくなったためです。この3つを充足すれば、2つの課題は解決に向かいます。
 この課題に立ち向かうためには、健康増進課だけでは難しいかもしれません。高齢者を取り巻く地域活動の中に、「すること」の機会を増やす施策や工夫が必要になります。たとえば、災害時の支援は、医療や保健分野、そして介護や福祉分野の仕事だと思われがちです。でも、災害が落ちつけば、生活する糧を稼ぐ仕事に関する支援が必要になります。住民の仕事を増やす行政分野の協力が必要になります。高齢者が適度な刺激を伴いながら働ける仕事を用意できれば、素晴らしい施策になります。その用意された仕事が自分に取ってやりがいがあり、社会に貢献できていると分かれば、さらにやる気が出てきます。福島県が直面しているメタボと介護保険の問題はさまざまな行政分野全体の関与が必要になります。
 問題点を指摘するだけでは、解決が遠のいていきます。メタボと介護の問題を解決する方法は、高齢者の方が持っている能力で、働ける場を用意することです。高齢者が、参加できる農業や観光、そして復興事業などの産業のなかに、生きがいを持って働ける仕事づくりを準備することになります。福島には、まだ使われていない災害復興費が残っています。除染の必要な地域が、広く残っているのです。この除染作業が外国人労働者を使って違法に行われていたことが、報道されていました。地域住民の方は、違法に行われた除染作業で整地された土地に愛着を持つものでしょうか。自分の故郷は、自分たちで整地する気持ちを持っているのではないでしょうか。特に、避難解除された地域に戻っている方は、高齢者が多いという現実があります。この方達に、除染をお願いしてはどうでしょうか。故郷に住みたいという思いが強い故に、この地域に帰還して住むという決意を持っておられる方も多いようです。
 余談ですが、2017年6月に除染作業をしていた建設会社準大手の安藤ハザマが、東京地検の家宅捜査を受けました。福島の除染作業をしていたときに、宿泊費5000円のところを7500円として請求していたという事件です。宿泊費に限らず、大手建築会社は、元請け、一次下請け、二次下請け、三次下請け、四次下請けと重層的に作業員を送り込んできました。その各下請けから、いわゆるピンハネをしていったわけです。ちなみに1日の労賃は1万円以上でした。それでも足りずに、不正請求をして利益を上げていたのです。県外の業者に除染をお願いすることには、いくつかの問題が生じているいるようです。この除染の処理作業は、これから30年以上かかります。ちなみに汚染土壌を運び入れる中間貯蔵施設は、敷地面積が16平方キロメートル、2200万立方メートルの容積を計画しています。6年近く経った時点では、中間貯蔵施設は2.8平方キロメートルしか確保できていないのです。今後、除染と除染廃棄物を運ぶ費用は、2兆円とも3兆円ともいわれています。
 これからの除染作業は、福島市を始め11市町村から除染で出た汚染土壌や草木を、中間貯蔵施設に運び込む仕事になります。この作業を、浜通りの高齢者にお願いしてはどうでしょうか。急ぐ必要はないのです。30年以上かかる作業です。避難されている住民の方も、すぐには戻らないことが分かってきました。帰還することが決まってから、その方の住む周辺の除染を地区の住民の方達がしていけば良いのです。正規の作業員のように、効率良く働く必要はありません。除染の作業を、住民がシェアで行えばよいのです。除染作業のシェアにもいろいろあります。8時間を、2人で分けて4時間ずつ行う方法もあります。1週間のうち3日間だけ、働くこともありでしょう。1ヶ月間で10日間だけ、働くこともありでしょう。上げ膳据え膳の生活は、生活動作の低下を招きました。このことが、要介護者を増やしていきました。生活動作の低下は、外出の機会が減ったことがきっかけになっています。外出を増やし、働くことのできる場を設けることが大切になります。要は高齢者の方が、外に出て、身体を動かす場を設ければ良いわけです。その時に、生活費の幾分かを稼げれば、生活動作の低下を予防ができて、一挙両得ということです。
 江戸時代に浜通りの北部は、相馬野馬追で有名な相馬藩が治めていました。この藩は困窮し、二宮尊徳に改革を願ったことがあります。その改革の名残がこの地区の各所に残っています。尊徳の教えに、「荒地を開くに荒地の力をもってし、衰貧を救うに衰貧の力をもってする」という言葉があります。かれはこの言葉の通りに、いくつかの復興のモデル地区をつくりだしました。相馬藩もその1つでした。荒れ果ててしまっている農村であっても、生産能力と利潤獲得能力は潜在しているという意味があります。過去の成功事例を、現代の浜通りに実現させたいものです。
 最初の目的は、福島県民の健康指数を上げることでした。そのためには、災害にあった被災者の健康指数を上げることが喫緊の課題になります。特に低下の著しい浜通りの高齢者の健康指数を改善することが、課題達成の近道になります。その課題解決には、高齢者が働ける場を設けることにです。「すること」を増やすのです。除染の作業は、今後30年続くことになります。作業の場は、永続的に続くのです。この作業場で働くことにより、生活動作の低下を予防することは可能です。もちろん、除染の作業だけでは、楽しくありません。除染の仕事を副業として、本業の農業や漁業に従事できれば、より充実した生活が可能でしょう。
 健康指数を上げる基礎にあるのものは、生活の安定です。生活の安定の基礎は、現金収入です。住民が除染作業をしていれば、1人につき15000円以上の労賃が落ちていたかもしれません。高齢者は、これほど稼ぐ必要はないでしょう。身体を壊してまで、働くことはありません。正規の従業員の仕事を2~4人の高齢者がシェアで行えば良いのです。地元にお金が落ちて、地元にお金が回る仕組みを、今からでもゆっくり進めてはどうでしょうか。地元にお金が落ちて、まわり始めれば、地域は豊かになります。豊かな地域には、人が集まります。産業も自然と興るようになります。豊かな地域で適度に働けば、メタボの指数は悪化しません。除染の仕事をすれば、30年間は安定した副収入が入ります。「すること」は、与えられるものではなく、復興の主体となる被災者本人が、見つけて活動するものです。息の長い復興作業を続けながら、福島県民の健康指数を上げていきたいものです。



データサイエンティストを育成する学校と塾  スモールアイデアNO 264

2019-03-27 18:11:16 | 日記
 ビックデータや人工知能(AI)の長所や短所が、次々と知られるようになってきました。最初のころは、魔法の杖のように、何でもできるオールマイティのように思われていたものです。ビックグデータがもてはやされる時代でも、全てにおいて正確なデータが得られるようになっているわけではないようです。データは万能ではなく、そ の性質を正しく理解しその特徴を引き出す必要があることが分かってきました。データサイエンティストは、データを処理し、分析し、そしてデータから価値を引き出すことのできる技術者です。彼らは、データの性質を正しく理解した上で、有益な情報を引き出すことができます。2016年のイギリスのEU離脱や、アメリカ大統領選挙の世論調査による予測が外れました。この予測を外した原因の一つが、データサイエンティストだったと言われています。彼らには、データに含まれる誤差を正確に捉える技術が求められています。その誤差を捉え切れなかったわけです。。結果として、データサイエンティストが、アメリカ大統領選挙やEU離脱における世論調査の予測に失敗することになったわけです。
 そこで、調査やそれを分析するデータサイエンティストについて考えてみました。アメリカ大統領選挙やイギリスのEU離脱の調査でも、調査される有権者(標本)は、有権者全体(母集団)の一部です。世論調査は、全体の一部を調べて、全体の傾向を調べることになります。このような手法は、調べることによる誤差、すなわち標本誤差が避けられないものです。調査の回答者と実際の投票者の集団には、乖離行動があります。でも、この乖離の理由は、調査からは明らかにならないようです。
 スマホやポイントカードにより、人々の移動や購入行動は機械的に追跡することができます。でも、一人一人がどのような意見を持って購入しているのか、何を考えて商品を購入しているかということまでは、すぐには理解できないのです。意見や特殊な行動の理解には、個々人のデータが必要になります。個々人の詳細なデータが大量に集め、これをビッグデータの手法をで分析すれば、このような行動を理解できるかもしれません。この種のデータを集めるには、大きなコストがかかるという現実もあります。ある程度データがあれば、自由に使えるGoogleなどのオープンソフトウエアを使用して、分析や価値の創造は可能です。クラウドサービスを利用し、導入段階でのテスト利用することも可能です。大事なのは、経済的リターンと社会的リターンの比重を案件ごとに設計することになります。
 日本では、データを処理し分析し、データから価値を引き出すことのできる人材が不足しています。データサイエンティストの不足は、個々の企業や国全体の競争力にも悪い影響を与えています。この技術者の育成が、日本にとって急務であるといわれています。データサイエンティストの育成は、統計教育や数学教育の充実からはじまります。これらの教育は、小学校、中学校、高校からまず入ることになります。そして、中核的な人材の育成は、大学や大学院における組織的な教育が基本になります。数学に関する一貫教育が求められているわけです。でも、中学生の時点で問題が生じています。通学はしているが中学校にいきたくないと感じているた中学生が、33万人もいるのです。いきたくない理由が、家庭や友人関係よりも授業にいついていけないという学業に関するものなのです。具体的な理由は、「小学校の時に比べ、良い成績がとれない」「テストを受けたくない」という回答が多くなります。全国の中学生は約325万人で、10人に1人の割合で学校の授業について行けない実情があります。
 余談ですが、数学を楽しく教えることができる教師が求められています。データサイエンティストの育成は、系統的に数学を教えることのできる教師の育成からになるかもしれません。教師が育成されるまでは、塾の利用などになるでしょう。塾を利用した場合、その塾の善し悪しが問題になります。その塾で学んだ全てのお子さんが、数学を好きになっていれば良い塾です。そんな塾に入れれば、ラッキーです。良い塾が近くになければ、ビデオ教材を利用しながら、個々人の努力で数学のレベルアップの工夫することになります。


ちょっと近未来の医療はどうなるか  スモールアイデアNO 263

2019-03-26 17:41:34 | 日記
 対面指導を義務付けている医薬品医療機器法の改正案が、2019年の国会に提出されることになりました。この法案が通ると、いろいろな面で便利になります。パソコンやスマホを使ってって、薬剤師が離れた場所から薬の飲み方を説明することも可能になります。薬局に行かずに、処方薬を自宅に配送してもらうこともできるかもしれません。さらに、医療特区などで広がる遠隔診療と合わせて使うと、将来的には診察から薬の受け取りまでも自宅に居ながらにして実現するわけです。
 そこで、医療の未来について考えてみました。医療費が42兆円(保険料負担が20兆円強、患者負担5兆円強、税金が16兆円)なりました。国家予算の半分近くに当たる医療費が、使われています。まず、この費用の節約が一つになります。次に、医療従事者の長時間労働を減らすことが重要です。過労で働いている医療従事者が、良い医療ができるはずがありません。患者は診てもらえば良いのではなく、より良い医療を受けたいわけです。この2つの観点を解決する手段は、IT技術の導入にあるようです。この視点から、今後の医療を予測してみました。
 多額の医療費が使われている分野に、ITの技術が導入されることは自然な流れです。金融とテクノロジーが融合したフィンティックが話題になっています。最近では、健康面でもテクノロジーとの融合が進んできており、健康テックという用語も一般的になってきました。健康テックの技術を使えば、従業員の顔の表情や脈拍、血圧、体温の生体情報が得られ、社員の健康管理ができるようになります。過疎化が進む地域においても、安価になった健康機器や映像機器が設置されていれば、健康状態を把握することは可能になりつつあります。
 たとえば、働き盛りの従業員の健康管理は、特定健診(いわゆるメタボ健診)が行われています。従業員の健康状態は、健康診断の時だけでなく、通年にわたって把握することが可能です。彼らの生体情報は、カメラやウェアラブル機器を通してloTで獲得ができ、それをAIで分析することができます。社員の身体的精神的状態を、リアルタイムに測定することが可能なのです。蛇足ですが、社員が作業に集中する姿を測る機器も開発されています。人のまばたきや視線移動から、集中力やリラックス、そして疲労状況を分析することができるのです。企業のなかには、疲労が確認できた従業員には、昼寝を勧めるところもあります。10分の昼寝が、午後の作業効率を飛躍的に高めることを知っているからです。
 これらの生体情報管理サービスを、ビジネスとして行う企業も現れています。健康サービスが、ビジネスとして成立する時代になりました。一企業では、生産から販売、社員の健康管理までは目が行き届かない場合もあります。その場合、専門の企業に外注するという手法は合理的なものです。世界中のカルテや臨床試験の結果が、データとして集積されれば、それは大きな資産になります。そのビックデータをAIが分析し、有用な情報を提供することになります。全国過疎地の住民のカルテが多数集まれば、それもビックデータになります。健康サービス企業は、健康に特化したデータを集めて、それを有効利用することになります。
 生体情報をAIが分析すれば、社員個々人の心身の健康情報を正確に把握できるようになります。健康情報に基づき、社員が医師からの健康改善の提案を受けることができます。逆に、社員は常時オンラインで医師に相談できるようにもなるわけです。これまでは治療を必要とした場合、本人が医療機関などに出向いたり探したりする苦労がありました。それが、画面上で済むことになるのです。医師の方も、患者の生体情報や病歴を理解した上で、治療に当たることができます。画面上でのやり取りであれば、待ち時間や順番は分かりやすくなります。患者に最適な治療法も、AIにより提案されることになります。医師の役割は、患者の性格や体調などに合わせた治療法などを、わかりやすく伝えることになるかもしれません。このようなシステムになれば、医療従事者の負担は軽減され、より良い医療が実現するでしょう。

 

春だ・花粉だ・負けないぞ   三題噺 217

2019-03-25 17:59:42 | 日記

 人びとは冬の間、萎縮していました。でも春は、生命の躍動する季節です。人は、気温が15℃以下の場合、外出を控え、屋内で過ごすことが多くなります。15℃を超えると、低温による羅患のリスクが低くなるために、屋外に出て活発に活動するようになります。この季節は遠出をして、車窓を楽しむ人が多くなるようです。でも、花粉症の方は、花粉が大量に飛散すれば、外出を控えることを選びます。15℃を超えるころが、花粉症の季節でもあるわけです。
 そこで、花粉症の季節を有意義に過ごすことを考えてみました。花粉症は、スギやヒノキなど植物の花粉が原因となって起きるアレルギー症状です。この季節にこのアレルギー症状を起こす患者さんは、全国で2000万人といわれています。花粉が大量に飛べば、外出を控える人が多くなるために、個人消費量が5600億円程度落ち込むといわれています。逆の見方をすると、花粉症は新たな成長市場となっているともいえます。このアレルギー症状を抑える国内の医薬品市場は、2000億円以上とされるています。欧州でも1986 年以降、ブタクサの花粉の飛散が大幅に拡大しています。この花粉によるアレルギー性鼻炎の世界市場は1兆6600億円以上になっているともいわれています。
 この治療は、アレルギー症状を引き起こすヒスタミンを抑える薬で症状を緩和する方法が一般的になっています。でも、「ヒスタミン」抑える薬の効果には限度があり、くしゃみや鼻水で苦しむ人は多いのです。苦しむ人がいれば、それを取り除いて、利益をあげるビジネスが生まれます。花粉症のビジネスが成功すれば、1兆円以上の売上げを達成することも夢ではありません。しかも、他の産業に対しては、消費行動を促すことになる薬として評価されるのです。先端医療の応用で花粉症に治療の道が開ければ、社会的な損失の軽減につながるというわけです。医療技術の進化で、発症自体を抑えられる可能性が出てきたのです。
 花粉症の治療に、がん治療などで使われる先端技術を応用する動きが広がってきました。日本の薬品会社は、免疫療法薬を2018年に投入しています。スイスの会社も、抗体医薬技術を応用した治療薬を2019年秋にも販売する予定です。免疫を強化する方法は、経験的には行われていました。免疫力を高める食品には、ニンジンやほうれん草などの緑黄野菜があります。それに、ヨーグルトなどの発酵食品が加わります。これらの食品を、1ヶ月前から徐々に摂取して、免疫力を高めておくことが、経験的には行われてきたのです。
 簡単にいえば、私たちの身体には、毎日がん細胞が発生します。免疫システムが、発生したがん細胞を破壊しているわけです。一方、がん細胞を攻撃する免疫システムに対して、ブレーキをかけるタンパク質の存在が確認されています。近年のがんの治療薬は、免疫システムに悪影響を与えるタンパク質を除去する方法が取られています。免疫システムを元気にして、再びがんを攻撃できるようにする仕組みになっているわけです。がん免疫薬「オプジーボ」のように、免疫疾患に使われる技術が花粉症に応用され始めるということです。

飛躍する起業の特徴   スモールアイデアNO 262

2019-03-24 20:57:06 | 日記

 大きな化粧品業界は、大量生産とマス広告を前提とした戦略で業績を上げてきました。大企業の会社員は組織内のルールに精通し、今までのやり方を踏襲することを求められてきました。化粧品の品質管理が非常に優れていたために、日本の化粧品は海外でも高い評価を受けてきました。でも、ある面で古い価値観による大量生産とマス広告は、曲がり角に来ているとの観測も流れています。社員7人の会社が、ヒット商品を市場に送り出し、評価を得ているのです。この会社は、日用品市場で花王や資生堂などの大手にせまっています。特に、化粧筆は花王や資生堂をしのぎ、ドラッグストアで約2割のシェアを持つまでになっているのです。既存商品に飽き足らない若年層に、品質や価格でアピールしているようです。
 そこで、起業に成功する会社の特徴を考えてみました。この会社は、広告や宣伝をSNSに絞ることで費用を抑えています。生産は外部に委託して、自らは開発に特化する戦略を取っています。固定費が少ないため、高品質の商品も千円台の手ごろな価格で提供できるのです。面白いことは、化粧筆の開発です。化粧筆の毛先部分に、熊野筆の伝統職人の手もみを使います。熊野筆は、かって日本の書道筆の大部分を生産していたのです。ところが安価な中国の筆が入ってきたために、熊野筆は衰退していきました。この熊野筆は、他の国の職人がまねの出来ない技術の蓄積がありました。この筆先は、型崩れがしないのです。この特徴にに注目したのが、ハリウッドでした。ハリウッドのスターに使われ、今では誰もがその筆を使うようになったのです。スターが好んで使っているわけですから、品質は保証されたようなものです。良い品物が安く手に入るという利点が、SNSで受け入れられていったという経過です。
 生産年齢人口が減少して、経済活動が停滞していくことを人口オーナス(負担) といいます。負担がかかる環境になれば、それを跳ね返す知恵も出てくるものです。この7人の会社も、負担を跳ね返す知恵を出して、成功を修めたわけです。大きな企業は、優れた人材を雇用しますが、同質性の人材に偏るために成長の足かせとなっています。異質の価値観をもつ人が多く集まることは、顧客の変わりやすいニーズに迅速に対応しやすくなります。
成長の鍵は、組織を開放して異質なものを吸収することです。そのことが、新たな価値を生み出すことになるわけです。
 ファストフードが速さという付加価値をアピールすれば、スローフードで付加価値をアピールする立場もあります。時代の流れは、この二つを軸にこれからも進むようです。特に、スローフードに代表される多様性や異質性を具現化した会社組織が高い評価を獲得して行くようです。女性や外国人、そして障害者を積極的に採用する企業は、雇用平等への意識が高いと評価されるようになりました。単に評価されるだけでなく、実績を上げるようになってきてもいます。多様なバックグラウンドや価値観をもつ人が集まることは、企業に新しい発想をもたらします。大企業で求められるのは、上がらの指示を忠実に遂行することであり、考える必要がなかった面があります。多様な人びとを販売対象にする場合、既存の商品とは違う独創性をアピールすることが求められます。この独創性を磨くには、違う常識に接することなのです。
 女性や外国人、そして障害者を積極的に採用する企業は、この違う常識を持つ社員にいつでも接する機会を提供することを行っていることになります。共生社会では、弱者を含めて実績を上げる会社が社会的責任をはたしていると評価されます。日本の雇用社会では、排除されがちだった女性や外国人、そして障害者を積極的に採用する企業は少数派でした。これまでの日本企業はある面で、弱者を採用する対極にいたわけです。同質と異質、男と女、健常者と障害者の採用おいて、同質―男性―健常者を優先してきたのが日本の企業でした。でも、異質には異質の消費形態があります。異質―女性―障害者ーという流れです。女性には女性の消費形態と生活理念があります。障害者には障害者の消費と働き方があります。これらの人が同じ職場で働けば、消費動向を素早く把握できる利点があります。社会的責任をはたしている企業は、イメージを向上させるというメリットがあります。さらにその上で、多様な人びとへの販売を行う武器を手に入れたことになります。従業員の石塚や多様化は、これからの有力な武器になります。


世界に通用する英語を簡単に手に入れる  スモールアイデアNO 261

2019-03-23 07:29:21 | 日記
 グローバル化が叫ばれ、英語の必要性が強調されるようになりました。その中で、海外の人達と意思疎通するために、英会話が特に重要視されるようになっています。文科省の学習指導要領などにも、その記載が載るようになっています。また、大学入試などにも、英会話の問題が出題されることも増えています。一方、日常会話というものは、あらたまって「学ぶ」ものではないという識者もいます。日常会話というものは、現地の方々と交流するなかで自然と身についていくものです。会話に必要な英語は、地域や宗教、社会階層、性別、年代などにより極めて多様なものになります。これらを全て覚えて、会話をしようとすれば、自分の時間がなくなってしまいます。会話に必要な英語は、極めて多様なものなので、準備のしようがないのです。会話で必要なことは、中字英語のテキストをよく音読し、暗記することが一番です。それを基礎に、海外の地域で経験を積むことになるというのです。何よりも大事なことは、仕事や研究の現場で困らない語学力をつけることだとも述べています。この相反する英会話論に対して、どう対処すればよいのでしょうか。
 そこで、英語の必要性について考えてみました。このヒントは、韓国にありました。韓国は東アジアで、もっとも早く英語教育を充実させて国として知られています。いち早くグローバル化に目覚め、英語教育を力強く推し進めた国でもあります。そのグローバル化を進めたきっかけは、2002年の日韓合同ワールドカップにありました。サッカー韓国代表は、1998年までにワールドカップに5回出場して0勝10敗4分でした。ヒディンクを韓国代表監督に招き、その外国人監督が韓国代表チームを改革したのです。彼は、選手選考から学閥や地縁を一掃して、実力主義の競争を採用しました。結果として、グローバル基準の代表チームを編成して、世界4強という成果を残したのです。韓国国民は、世界基準で、そして正しいリーダーシップの下で改革をすれば世界でも勝てるという確信を持ったわけです。
 1998年までの韓国の産業界は、外国の大学を出ていれば優遇する組織も多かったのですが、今はなくなりました。語学は、特に英語はグローバル化のスペックとして重要視されていました。近年では、語学だけでは差別化できないと考えるようになってきました。今の企業は、具体的に、法務、国際、国内営業など職種に分けて募集しています。国内営業職であれば、英語のスコアは重視しないなど、採用基準も職種ごとに異なっています。異なる文化への適応能力、積極的な姿勢、そして外国理解などの特性に注目して採用をしてい姿勢は変わっていないようです。でも、英語は重視するが、それだけではないという姿勢が顕著に見られるようになったわけです。
 日本にも、英語に傾斜しすぎることに疑問を持つ日本の識者がいます。可塑的な頭脳を持つ子供時代の学習時間は限られており、その中で英語の順位はそれほど高くないと主張します。確かに、限られている学習時間のなかで、何をどれだけ学ばせるかの優先順位を示すことは大切です。読書量と語彙力、思考能力の基礎がない人材は、いかに揉まれても正しい英語が使えません。どの程度の英語が使えれば、良いのでしょうか。これから、フリーな立場で世界を相手に働くためには、契約書を書いたり読んだりできる能力が必要にになります。メールやシナリオを書く能力よりも、論文や契約書を書く能力が求められられるのです。フリーで働くためには契約リテラシー、法学リテラシー、金融の基礎的ノウハウも必須の能力になります。むしろ、これらの基礎となる母国語の能力を育成することに力を注ぐべきだと述べる識者が多いのです。
 余談を2つ。英語が一番うまい国であるイギリスは、20世紀においてそれほど成長しませんでした。20世紀後半もっとも目覚ましい経済発展を遂げたのは英語が一番下手だった日本でした。だから、どうしたと言われる困るのですが。もう一つは、英語でブログを発信している人のお話です。毎日、日本語でエッセイを書いて、グーグル翻訳アプリで英語にして発信しています。彼の読者は、適当にいるようです。機械翻訳は、徐々に実用化に近づいているようです。おそらく、スマホでの同時通訳も可能になる日は近いと思われます。日常会話のレベルは、機械の慣れでクリアできる環境は整ってきたようです。そんな機械を持って、外国の方と会話をしてみたいものです。将来、機械で会話が可能になるならば、英会話に多くの時間を費やすことは無駄になるのではないかという説に、共感を覚えてしまいます。


緊張を楽しむ・極限状況・ドパミン   アイデア三題噺 216

2019-03-22 18:34:04 | 日記

 スポーツ選手から、楽しむとか、緊張を楽しむという言葉を聞くことが多くなりました。私どもシロウトは楽しんで競技に勝てるのだろうかと心配をしてしまいます。スポーツという闘いの極限状況で楽しむとはどんなことか考えてみました。競技では、コントロールが利かない、頭が真っ白になる、心臓がドキドキするなどのが過緊張の状態になることがあります。こんな時は楽しむ以前に、苦しむ時間になってしまいます。一方、リラックスしすぎの状態は、競技力が高まりません。リラックスしすぎの状態では、闘争心が上がらないものです。競技に臨む意識が強すぎても、弱すぎても競技力は低下します。
 そこで、極限状況で楽しむとはどんなことなのかを調べてみました。地上で最も早い動物は、チーターだといわれています。チーターは、進化して3歩進むだけで時速64kmまで加速して、速く走るようになりました。3歩進むだけで時速64 kmまで加速し、最高速度は時速120kmにまで達するのです。チーターは、その最高速度を600mほどしか持続できません。走る際には、心臓に速く血液を送り込む必要があります。チーターは、最高速度を600m以上走ると、心臓が酷使された状態になるのです。その酷使は、脳を損傷しかねないほどのものです。ですから、チーターは獲物を捕まえると、獲物を食べる前にまず休まなければなりません。ここで余計なことを、2つ考えてしまいました。1つは、この時、ハイエナが来たらどうなるのだろうかというものです。もう一つは、時速64kmは秒速にすると3秒で53.3m走ることができることになります。この走るメカニズムを、人間の短距離に応用できないかということです。この2つのことがふと頭をよぎりました。日本人の短距離ランナーが、後半スピードが落ちることはよく知られています。心臓に多くの血液を送る仕組みが、トレーニングでできるようになれば、この弱点を克服できます。こんなトレーニングが開発されれば、記録はより向上するでしょう。
 生物学的に考えると、空腹になると捕食活動をする必要が出てきます。緊張のレべルを上げて、集中力を高めて、獲物を探し、獲物をとらえる体制に入るわけです。緊張のレベルを上げるためには、交感神経を活性化して、セロトニンの分泌を抑え、アドレナリンの分泌を高くすることになります。動物は、空腹になると捕食活動をする必要があるために身体機能をアップしなければなりません。その時の体内は、興奮をもたらす準備が整っているわけです。
 現在の難病に、パーキンソン病があります。この病気になると、脳の中のドパミンという神経伝達物質が減少します。ドパミンが減少すると、運動の調節がうまくいかなくなるのです。この物質には「からだを動かせ」という脳の指令を、全身の筋肉に伝える役割があります。ドパミンは身体を動かせと強烈な指示をだすと同時に快感ももたらす働きもしているのです。
 競技者は、競技の中で毎回緊張することを体験しています。緊張することが当たり前だと理解しています。むしろ、緊張が必要なものと競技者は熟知しているわけです。緊張が高まれば高まるほど、「来た来た」とパフォーマンスが高待っていくことを実感できるのでしょう。緊張さえコントロールできれば、ここぞという場面で、普段以上の力を発揮できることを体験的に知っているともいえます。獲物を狙う体制ができて、ドパミンという快感物質が分泌されたときに、「楽しさ」を感じるのかもしれません。競技者は、緊張がパフオーマンスを高めることを知っています。「楽しさ」と緊張のコラボが、たまらないのかもしれません。