ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

奈々ちゃん子育てを語る

2016-06-28 16:18:22 | 日記
奈々ちゃん子育てを語る

 スーパーやコンビニで、お金を払う前にお菓子を食べている子どもがいます。お母さんもお父さんも見て見ぬふりをしている姿を、時たま見かけます。小さいことですが、何となく腑に落ちない光景です。今回は、乳幼児教育について見識のある奈々ちゃんに、最近の子育てについて、トット記者がインタビューをしました。

記者「スーパーやコンビニでの光景について、どう思いますか」
奈々「最近は、減っている光景だと思いますね。乳幼児は、自分の行為が他人に迷惑をかけているかどうかという自覚も判断もできないのです。子どもに判断力や理解力がないうちは、『悪いことをしないように』もしくは『迷惑をかけないように』に親が配慮しなければなりません。買い物中は、お菓子を子どもに持たせない決まりを家族の中で作って、守らせることも一つの方法です」

記者「いわゆる『しつけ』を厳しくするということですか」
奈々「はい、一定の我慢は覚えさせなければなりません。親の愛情は、当たり前に存在するものではなく、相当な努力を積み重ねながら構築されるものです。しつけも努力の積み重ねに入ります。子どもが成長しているスピードに、親がついて行けないこともあります。経験にのみ頼る子育てだけでは、対応が難しいこともあるのです。子育てには、愛情だけでなく『スキル』も必要です」

記者「スキルというと、どんなことですか」
奈々「たとえば、子どもはほめられれば嬉しくなり、ほめられた行動を多く取るようになります。子どもは自分自身の内面をよく分かっていませんし、表現できないことが多いのです。ほめられれば、大人の喜ぶ姿を見て、それを繰り返します。でもほめるという行為には、ほめる人とほめられる人の間に上下関係をつくります。ほめることを使いすぎると、良くない効果が出ることもあります。子どもが自分で考え、答えが出す時間を待つことが大事になる時期や場面も出てきます。成長を見守る時期には、ほめたり叱ったりすることよりも、口出しをしないでじっと待つ時間が増えてくるものです」

記者「子どもの成長に合わせて、ほめたり、叱ったり、待ったりというスキルを状況に合わせて使うということですね」
奈々「そうなります。子どもは自分が発見したワクワク感やドキドキ感を成就したとき、好奇心は飛躍的に育ちます。自分で考えたことが上手くいけば、自信もやる気もますます出てきます。子どもが自分からその気になるまで、待つことも大切なスキルなのです。子どもが遊びの中で何かを発見し、次の一歩に進む姿に出会えることは親にとって何ものにも代えがたい感動になりますよ」

記者「親の養育態度が、子どもの性格形成に重要な影響を与えるいわれています。どんな点に配慮すればよいのでしょうか」
奈々「親の明確な意識が、子どもの行動面や情緒面に確実な影響となって現れてきます。親が大切にしなければならないことは、何が大切で何が大切でないのかという優先順位を持つことです。一緒にいる時間を十分に持っている両親は多くありません。限られた時間を上手に利用することになります」

記者「優先事項というと、正しいか間違っているかという二分法のようなものですか」
奈々「違います。優先事項の判断を、『正しいか間違っているか』とか『良いか悪いか』といったことに二極化するのは危険なことです。子育ての優先事項は、正しいとか間違っているという尺度では計れません。『みんながしているから』という安易な理由で、判断してはいけません。みんなは結果に責任を取ってくれませんから。判断の基準は、他人と比べるのではなく、子どもの過去と比べて進歩や成長を見ることです。行為の結果に注目するのではなく、子どもの努力や過程を重視するのです」

記者「お爺さんやお婆さんの甘い誘惑にはどのようにするのですか」
奈々「お父さんもお母さんも『子育ては自分たちの責任で行う』ことを自覚することです。世の中は山あり谷ありです。そこを乗り切る教育をしていくことになります。ときには、泣いてもわめいても、しつけるべきことは身につけさせなければなりません。でも、ときにはお爺さんやお婆さんの甘い誘惑を体験させることも、人生の幅を広げることになるかもしれません。私は、甘いお爺さんやお婆さんが大好きですね」

記者「子育てとは、なかなか複雑なものだとわかりました。最も気をつけたいことはどんなことでしょうか」
奈々「子どもは生まれたときから、一人の人格を持った人間です。親とは別の人間だという認識を持つことです。親も祖父母も子どもを全面的に応援し、味方になって上げることです」
記者「今日はありがとうございました」



注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




キンさん高齢者の生き方を語る

2016-06-24 13:27:23 | 日記
キンさん高齢者の生き方を語る

 少子高齢化の先端を走る日本には、高齢者にまつわる多くの話題が語られています。それらの話題について、高齢者の生き方に熟知しているキンさんに、トット記者がインタビューしました。

記者「孫に、大甘なお爺さんやお婆さんが増えました。その孫が大きくなると、お爺さんやお婆さんに暴言を浴びせたり、暴力を振るったりすることが起きています。恩を仇で返すこのような事件をどう思いますか」
キン「家庭内暴力の相手が祖父母に移行しつつあることは、心理臨床家の間では周知の事実となっています。今の社会における一つの問題は、甘やかされた子どもと硬直した高齢者の存在なのです」

記者「確かに、お孫さんへのご機嫌取りが、とてもしやすくなっている社会環境がありますね。そして、高齢者の方はお孫さんの希望は全てかなえてしまう経済力も持っています」
キン「経済力で、孫の関心を引き寄せてはいけません。お爺さんやお婆さんは、孫のこれからの人生に責任を持つのは両親だということを肝に銘ずることです。孫がある程度の年齢になったら、ご機嫌取りは避け、孫の成長発達に冷静で的確な目を持つことです。必要以上に世話を焼かないことも、孫と末永く良好な関係を保つために必要なことです。」

記者「お爺さんやお婆さんが孫以外の分野に、関心を向けるにはどうすればよいのでしょうか」
キン「硬直した高齢者の精神を解きほぐすには、遊び心が一番です。自分が楽しいなと思うことをボチボチ増やしていきます。楽しめる趣味には、ちゃんとお金を使うのです。倹約だけで、人生が終わったら寂しすぎますよね。趣味は人生を楽しくしますが、それ相応の精進もお金も必要です。楽しさは、小さな感動や嬉しさが少しずつ積み重なってできていくんですよ。年寄りは厳しく自分を律する健康優等生よりも、この世を楽しむ道楽人間になることです」

記者「確かに、良い老人を演じし過ぎると、ストレスをためてしまいますね。でも、自分の気持ちに正直になって『やりたくない』と断るには勇気がいります」
キン「大切でない人に気を遣いすぎないこと、大切でないことに時間を使いすぎないこと、大切でないことにエネルギーをかけないこと、以上の3点が大切です。『やりたくない』ことをお願いしてくる人は、大切な人ではないのです。自分がやりたいことを実現するためには、優先順位を決めておくことが大切です。優先順位が、一つの道しるべになりますよ」

記者「自分で好きなことをやれる高齢者がうらやましくなってきました。でもそんな自由な生活が可能なのでしょうか」
キン「衣食住が、ある程度確保できれば可能ですよ。私は、米と味噌があれば食生活ができます。米は90kgあれば1年間は飢え死にしません。米は安くなったので3万円で済みます。趣味は、好きになれば上手になります。公民館で始めた趣味には、仲間も付いてきます。無理のないお付き合いをすれば、末永くお付き合いが出来ます。好きであれば情報や知識が自然と集まってきます。力が付いてくると、一見価値のない情報でも、プラスαをつけて、自分独自の優れた情報にしてしまうことも出来ます。優れた情報を持つ同士が集まれば、より高い位置から趣味も出発できることになりますよ。健康な生活を厳しく律しながら過ごすより、好きなことに精進しながら過ごすことのほうが自由な生活だと思うようになりました」

記者「私の場合、いわれた仕事とか後手の仕事は、ストレスがたまる要因になります。仕事を後から追いかけていくと、振り回されるのです。むしろ、条件が厳しくても自分から取り組んだ仕事に、充実感を味わうことが多いのです。これは趣味にも通じるのでしょうか」
キン「仕事が楽しくなれば、仕事が趣味になりますよ。もしその境地に達すれば、その人は幸せでしょうね。私の知っている職人には、趣味が仕事という人もいます。仕事に妥協しないところが、頑固という不評を買う場合もありますが。でも、作品は素晴らしいものです。あいつにはこの仕事を任すとか、あいつのやり方でやるしかないと言わしめれば、自由な仕事ができます。でも、期限を守り利益を上げる仕事でなければ、信用はなくなります。長期的に連続的に成功を収めようとすれば、小さな工夫を加えた努力を積み重ねていくことになりますよ」

記者「高齢者が家族の中で、充実した生活を送るにはどうすれば良いのでしょうか」
キン「毎日の生活を笑って過ごす時間が増えると、家庭の雰囲気が明るくなります。家庭が明るくなると、多少の失敗も家族同士が許せるような雰囲気になります。笑いは、人間の免疫力を高めてくれます。孫との会話も増えていきます。親子三代の会話が増えると、家庭内で話される言葉にもユーモアが含まれ、笑いも多くなります。人間関係も円滑になるようです」

記者「家庭内の良好な会話は、どんな影響を与えるものなのですか」
キン「ある研究では、専門職の子どもは1時間に2100語を耳にして育ちます。労働者では1300語、生活保護世帯では600語になります。この時、3歳児の語彙は専門職の家庭で1100語、労働者で750語、生活保護世帯で500語です。幼少期における家庭と子どもの関わりは、脳の発達に大きな影響を与えるのです。今、子どもの教育格差が問題になっていますが、家庭と子どもの会話の関わりにその原因があります。経済格差が、教育格差に繋がるといわれていますが、それは間違いです。生活保護世帯でも、子どもと親密な触れ合いをし会話をすることにより、教育格差は阻止できることは明らかになっています」

記者「会話が円滑にいけば、親子よりも親子三代の大家族の方が豊かな言語環境を、確保できることが分かりました。今日はありがとうございました」
キン「また、来て下さい」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



コンパクトシティは高齢者に優しい  

2016-06-21 18:24:51 | 日記
コンパクトシティは高齢者に優しい  

車社会の進展と共に、車での移動を基本とする郊外型の生活が定着しました。これらの郊外化の現象は、高齢者の移動を制限しています。さらに、道路や下水道の公共投資の効率を悪化させてもいます。成長ばかりを目指してきた既存の都市政策は、限界を露呈し始めています。拡張が財政的に困難であれば、縮小することになります。縮小することを逆手に取って、新しい手法にもとづくコンパクトな都市づくりが求められています。コンパクトシティにおいては、徒歩や自転車で移動できる範囲に、生活圏が築かれています。この町で暮らす人々の様子を、藤堂さんとトット記者がお伝えします。

記者「コンパクトシティというと、財政力がない自治体や高齢者の多い町を想像していました。でも、この町の皆さんは元気に歩いたり、自転車に乗っています。車イスの方も自分で移動して、食事や買い物を普通に行っています。どうして、こんなに元気なんですか」
藤堂「移動しやすい環境づくりが成功しました。最も移動に困難をきたす車イスを使用している人を基準に、道路や施設をつくりました。車イスの移動には、段差の解消が不可欠です。この町は無電柱化をいち早く進めました。小江戸と呼ばれる川越の無電柱化は有名ですね。車イスで自由に動ける通路の幅の確保と段差の解消は、皆さんに喜ばれました。買い物や文化施設巡りが、気の向いたときにできるのが良いようですね」

記者「自由に買い物や外出ができたことで、波及効果が何かあったのですか」
藤堂「車イスの方だけでなく、徒歩やジョギング、そして自転車など交通手段が、能動的な移動スタイルになりました。歩きたくなる歩道や自転車専用道路など、低酸素社会に向けた環境を整えていたのです。自分で立って歩くことが、自立した生活をおくる基盤になります。住民の移動スタイルは、思わぬ結果をもたらしました。町の全体のマスとしての運動量が増えたのです。そして、健康指数が高くなりました。健康指数の上昇と共に、医療費や介護費が減少しつつあります。」

記者「健康を確保しながら、支出を抑える生活は、これからモデルになりますね」
藤堂「化石燃料を使えば使うほど、地域からお金は外国に出ていきます。地域で生まれたお金を地域内で回せば、地域内に落ちるお金は増えることになります。地域内でお金が循環すれば、地域は豊かになるわけです。地域内の資源を利用し、化石燃料の使用量を減らすことは、地域内の経済に良い影響を与えます」

記者「この町は、バイオマス燃料で火力発電をしていますね。それを売電し、そこで発生する温水を病院や温泉施設に供給しています。その効果は、どのようになっていますか」
藤堂「エネルギーを地域で生み出していく事業は、経済的にも公共的にも優れた面を持っています。このコンパクトシティは、町の主要機能を1キロ平方メートル内に集約しました。バイオマス発電だけでなく、廃棄物の焼却からも電力や温水を得て利益を出しています。温水を病院やマンションに供給し、集中暖房を行っているからです。水道事業でも小水力発電を行うことで利益を出しています。小さな事業を積み重ねていくことで、住民の仕事を確保し、納税者としての誇りを持ってもらっています」

記者「高齢者が多いようですが、町の財政状況はどうなのですか」
藤堂「はい、良く用いられる自治体の財政状況を測る指数に、財政力指数があります。都道府県では、1位が愛知県で0.93、2位が神奈川県で0.90、3位が東京都で0.86です。私たちの町は、0.85でかなり良い状態を保っています。無理をしないで、身の丈にあった行政を行っているからでしょう」

記者「大きな工場や大会社がなくとも、財政状況が良いというのは驚きですね」
藤堂「日本では高齢者が、一番お金を持っています。その老後を安全に、快適に、豊かにそして幸福に暮らせることを望んでいるのも彼らです。医療が充実し、住むところが整備され、良い食材が流通していれば、人は集まります。人が集まれば、知恵も増えて、必要なものは後からついてきます。町の内外を問わず、マンションの空きを待つ人が多く、何棟かの増設を計画しているところです。マンションを計画通り建てれば、地価は上がり、税収は増えます」

記者「前にも聞いたように思うのですが、医療体制はどのようになっているのですか」
藤堂「たとえば、高層マンションの1階は、お医者さんの病院と住居です。2階は理学療法室や運動療法のリハビリ施設、そして介護施設があります。その上に高齢者が多く住む住居があります。体調が悪くなれば、救急車を呼ぶまでもなく、日頃お世話になっているかかりつけのお医者さんが下から駆けつけます。手に負えない患者の場合、提携している大学病院に搬送し見てもらいます。大学病院で手術が行われ、集中治療施設から出れば、すぐにマンションに帰ります。リハビリは2階の施設で行えば良いのです」

記者「高齢者が自立して動くことができる町、高齢者を支える町の様子が分かったように思います。支援だけではダメで、生きがいを誘発させるような環境の重要性を知りました。今日はありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。



熟年老人の旅行術 その4 赤帽の復活

2016-06-17 22:15:57 | 日記
熟年老人の旅行術 その4 赤帽の復活

 旅行の流れは、働く世代中心からお金も自由時間もある高齢者へ、さらに健常者から障害者に移行しつつあります。あらゆる産業にいえることですが、通常の生産では利益が上がりません。工程を複雑化することで付加価値をつけ、利益を上げていくのです。リオデジャネイロオリンピックの障害者向けの旅行代金は、250万円です。障害者への配慮を加えたサービスが、健常者対象の旅行よりも多くの利益をもたらしています。60歳代に多かった旅行に比べ70歳代の旅行回数は減少します。もし、この減少を抑えることが出来れば、新しい需要を生み出すことと同様と見なされます。高齢者と障害者の立場から、旅行を考えて見ました。講師は菅江さんで、聞き手はトット記者です。

記者「体力は衰えたが、旅行に意欲を持つシニア層は健在です。彼らは中流階層を自認していて、お金も時間もあります。どのようにすれば、彼らの考える理想の旅行が可能なのでしょうか」
菅江「はい、もちろん各旅行会社は、シニア層や障害者を対象にした旅行計画を数多く企画しています。彼らが乗りやすいバスも増やしています。座席の間隔を広めに取り、広いトイレや化粧台付きのバスも用意し始めました。乗降リストを備え、車イスごと乗車できる観光バスも増え始めています。現在は、障害者が参加しやすい旅行のノウハウを蓄積している段階といえます。」

記者「なぜ、多いシニア層ではなく、障害者なのですか」
菅江「シニア層よりも、障害者の方のほうが、旅行が困難な条件が多いからです。もし、障害者の方が、困難な条件をスムーズに乗り越えて旅行が出来る環境やノウハウがそろえば、シニア層はよりスムーズに旅行を楽しむことが出来るようになります。でも、問題もあります。最近はシニア層も障害者も、一人旅を求める嗜好が強いのです。これに対応する旅行業者は大変でしょうね」

記者「たとえば、JRで一人旅をするとどんな問題がでてきますか」
菅江「JRを利用して、障害者の方が一人で旅行する環境は整いつつあります。エレベータの設置などその萌芽です。でも障害者の方は、駅構内の移動に不自由を感じているようです。バリアフリー化が進み、車いすで構内を自由に移動できれば、よりスムーズな旅行が出来ます」

記者「家から駅までは、タクシーでいけば問題はありません。でも、駅構内は大丈夫なのでしょうか」
菅江「はい、全国というわけではないのですが、首都圏や近畿圏ではかなり充実しています。でも、車イスで、東京駅の人々の流れについていくことは困難です。車イスの周りに渋滞ができます。いわゆるボトルネックですが、これができると不測の事態や事故が起きる可能性が増えます。」

記者「それでは、充実したことにならないのではないですか」
菅江「はい、そこで『赤帽』を復活させました。赤帽の仕事は、以前のように駅構内で乗客の手荷物を運んだりする他に、車イスに乗客を乗せたまま、改札口から乗車する列車まで案内する業務です。複雑な駅構内を、他の乗客の流れを停滞させないように、安全に列車に乗車していただくわけです。赤帽は駅構内を熟知してします。ロンドンのタクシー運転手のように、障害者の方を安全に効率的に改札口から列車まで案内しています。最近は、タクシー乗降口から列車まで、その業務を広げています。」

記者「赤帽は障害者の方には利用価値があると思いますが、他に何かありますか」
菅江「訪日外人旅行客の人数は、毎年伸びています。この急増には、日本の観光経験の良さが、フェイスブックなどのSNSによって拡散されていることが大きな理由です。日本を訪れるビジターの増加は、身体的にハンディを持つ観光客の増加を意味します。これらの人々を受け入れるハードとソフトの環境が必要なのです。赤帽は、新幹線のブランドになっている「お掃除スタッフ」と同じように一つのモデルになっています」

記者「障害者や高齢者に優しい旅行スタイルが、外国人旅行客の誘致にも良い影響を与えているとは知りませんでした。今日はありがとうございました」
菅江「どういたしまして、また来て下さい」



注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




人材確保と育成 その1 AI技術者 編

2016-06-15 07:18:17 | 日記
人材確保と育成 その1 AI技術者 編

 AI(人工知能)に関する技術は、多様です。グーグルのアルファ碁は、プロ棋士が予測していなかったアイデアを惜しげもなく出してきました。ディープラーニング(深層学習)に代表されるAIの手法は、大きな潜在力を発揮しつつあります。日本の得意芸でもある新素材の分野でも、AIは注目されています。高い耐熱性や伝導性を持つ材料の組成や構造をAIで割り出していくのです。10年はかかる新素材の実用化を、5年に短縮できるようにしています。技術者の試行錯誤を、AIが代わろうとしているのです。今回はAI技術に詳しい平賀さんと蒲生さんに、最近のAI技術について説明をしていただきます。

蒲生「グーグルのアルファ碁は、強かったですね。碁の専門家などの前評判では、あと10年は人間が有利と言われていたのですが!」
平賀「韓国のイ・セドル九段は、誰しも認める最強の棋士です。彼が1勝4敗で負けたことは、AIの技術が急速に進歩していると考えても良いと思います。アルファ碁には、弱点があるのですが、弱点を見せないように打てるほど、実力差があったようです。プロの棋士からは悪い手とみられる手を繰り出しながら、勝っています。人間の経験や勘に基づく分析とは違う手法で、勝機を生み出しているようです」

蒲生「今回AIは、中演算処理装置(CPU)1202台、画像処理装置176台で対応しました。これだけ高い性能を持っていたにもかかわらず、AIを円滑に動かすには各種の資源が足りなくなることを心配をしていたようです。この対局は、持ち時間が2時間でした。アルファ碁は、1手に掛ける時間を制限していたようです。一般に盤面が狭いと考える手数が伸びます。アルファ碁は、手数が伸びると、各種のリソースが足りなくなる可能性があったようです。プログラマー達は、どのように考えていたのでしょうか」
平賀「グーグルの技術陣は、秘密にしています。でも、4局で局面を変えたイ・セドル九段の78手目を見て、初めてプログラマーが真剣な顔になりました。終局後、行われたの解説で、その日だけプロ棋士にどう打てば良かったのか聞いていた姿が印象的でした。これまでの囲碁ソフトは、部分的なパターンを覚えさせ、そのパターンを全局に当てはめるものでした。今度のアルファ碁は部分的ではなく全局的パターンを覚えさせています。全局的パターンをディープラーニングによって学習させているのです。また、人間が打つ手の確率をはじき出して、次の着手を選んでいるともいわれています。1手ごとに形勢判断をしながら局面を進めていきます。今回、プログラマーが困惑したのは、形勢がそれほど悪くないにもかかわらず、78手目からアルファ碁は形勢が悪いと間違った判断をくだしていたことなのです。プログラマーの態度を見ていると、次はこの点を改良していくという姿勢が見えました。さらに、この78手目からアルファ碁のリソースをオーバーワーク気味に使っているが兆候が見られました」

蒲生「以前より、AIは常識に弱いとわれてきました。大学入試の問題を、AIに行わせる研究は始まっています。2013年のセンター試験の模試の偏差値は45.0で、今年度は57.8で受験生の平均点を超えました。順調にAIの学習能力は伸びています。でも、深刻な問題も生じています。設問に書かれていない人間に取っては自明のことを、AIに理解させることは非常に難しいことが分かってきたのです。AIの技術者の確保と育成はどのようになされていくのでしょうか」
平賀「AIは不確実性や感性力が求められる分野ではまだ活躍できません。この不確実性や感性の世界は、人間の方が優れていると思われていました。ところが、この分野において人間のお粗末な点が如実になってきています。今は、中学段階の教科書を正確に読みこなすことをできるようにすることです。大学教育は、自分で教科書を読んで自学自習できることが最低条件です。教科書も読めないのに、プログラミング教育とかいっている場合ではありません」

蒲生「とはいっても、アルファ碁の快挙で、企業もAIの技術開発に力を入れて来ています。そして、技術者が世界的に不足している現実もあります。日本だけ遅れるわけにもいかないと思うのですが」
平賀「そうですね、大手企業によるAI技術者の採用意欲は高まっています。電気や自動車を中心に数学や機械工学の専攻者の中から、プログラム言語やデータ分析のできる人材を集めています。でも、これでは不足しているのが実情です。新しい仕組みをつくる必要があります。たとえばベネッセとか公文とかには100万人から300万人会員がいます。毎日勉強しているわけです。この中には、抽象的な概念や架空の事象についても論理的思考ができる子どもがいます。具体的には数列や微分積分に興味を持ち短時間で修得する子ども達です。これらのご両親と本人の同意を得た上でAIに関する教材や学習方法を提供していくのです」

蒲生「確かに、AI技術者の卵の裾野は広がりますね。具体的にどのように選抜して教えていくのですか」
平賀「eラーニングを通じて、学習段階に応じた学習方法も提示していきます。リクルートなどでは140万人の学習履歴データを蓄積し、学習方法の助言をしています。AIに必要な人材は、少なくとも微分積分やプログラミングに興味を持ち、一定の能力を持つ子ども達になります。学習の到達度を測る技術も環境も整っています。しかも、結果やその応答も高速フィードバックできる環境です。より高度な微分やプログラミングを学びたい子どもには、必要な講義画面を見せながら助言していけば良いのです」

蒲生「ところで、アルファ碁の弱点があると言われましたが、どんな点なのですか」
平賀「長く正確に読むことは、無理のようです。最終局に出現した石塔シボリのような手は読めないようです。5番勝負の中で、アルファ碁の悪手は、ほとんどが盤面の1線と2線でした。1線と2線はヨセで重要な場所です。今回アルファ碁は、強くてヨセの段階に行くまでに勝負が決まってしまいました。もし、終盤まで接戦で行けば、どうなるか楽しみです」

蒲生「AIは、ブラックボックスともいわれています。ディープラーニングでどんな特徴を取り出したのか、後から解析することが難しいのです。人間が何かコツをつかんでも、無意識に脳が処理しているので説明ができないことと同じだという人もいます。このことについて、どうお考えになりますか」
平賀「取材陣が『ミスのでるAIで信頼できる医療や自動運転ができるのですか』などと厳しい質問をしていました。弱点が内在したまま、医療などの分野に使用するのは時期尚早でしょう。でも、違うタイプのプロ棋士やアルファ碁と同等のソフトと対局してほしいと思います。そうすれば、AIの弱点が明確になり、改良すべき所も可能になります。囲碁の世界には、すさまじいインパクトを与えたAIです。是非対局を実現して、もう一度興奮を味あわせて欲しいものです」

蒲生「AIが進歩すると、仕事を失う人々が出てくると思います。たとえば、銀行窓口、レジ係、弁理士、司法書士などは、機械にとって代わられる可能性が高いようです。今までの生活水準を高めるためには、今まで以上の労働効率を求められます。AIの進出が確実であれば、私たちの生活はどうなるのでしょうか」
平賀「不安ですよね、日本の労働人口の50%は、10~20年後にAIやロボットに代替されるという説もあります。人間が取るべき戦略は、AIの不得意分野に進出することです。教員、医師、デザイナー、癒やし系のサービス、そして協調や説得を伴う業務などは、AIが不得意とする分野になります。強みと弱みを見極め、人とAIの生産性のベストミックスを探ることが大切です。人材を生かす環境を整えれば、日本の労働生産性は高まりますよ。それから、AI(人工知能)のゴールは、人間の知能とは違うモノだと考えていますよ」

注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




コンパクトシティは「現代版姥捨て山」か その3

2016-06-10 22:27:47 | 日記
コンパクトシティは「現代版姥捨て山」か その3

今回の話題は、コンパクトシティ内の高齢者と乳幼児の触れ合いについてです。北欧では、町づくりにおいて高齢者の住まいと幼稚園を近づける仕組みが取られています。経験法則的に知られていることですが、この仕組みは高齢者の健康指数を高めているといわれています。でもその因果関係は、まだ明確ではありません。藤堂さんと奈々ちゃんで、この因果関係の解明にせまって欲しいものです。

藤堂「わざわざコンパクトシティに来ていただきありがとうございます。この町は見ていただいたように、保育園の運動場と高齢者散歩コース、園児の遊戯室と高齢者のスポーツジムを隣り合わせにつくりました。おかげさまで、高齢者の方には良い刺激となっています。また、園児達も高齢者のボランティアの方の『読み聞かせ』などの活動で、言語能力の発達も順調です。奈々ちゃんから見てどう思われましたか」
奈々「保育園と高齢者の施設がこれほど接近してつくられた上に、保育園内でボランティア活動を受け入れている仕組みに驚きました。『読み聞かせ』も単に絵本や物語を読むのではなく、ポイントポイントで園児に質問をしてる方式は、質の高いものだと感心しました。『お母さんはなぜ泣いたのかな』とか『お友達の春男君は、どうして怒った顔が笑顔になったのかな!』などの問いかけは、子どもの感情を揺さぶり、自分の考えを構築していく契機になるものです」

藤堂「ところで、保育園で良い子と言われる園児の特徴はどんなものですか」
奈々「友達が持っているオモチャで遊びたいけど、我慢できる子ですね。どうして取り返さないのと聞くと『だって友達が先に使っているから』と答えます。自分の要求を周囲の関係を見ながら、調整したり我慢したり出来る子は、将来の伸びしろが大きくなります。もちろん、自分の好きなことは、どろんこだらけになってもやる子ですよ。ところで、この町で暮らす良い老人は、どんな人達ですか」

藤堂「そうですね、人との付き合いは、深すぎず浅すぎず、経済的に負担にならない配慮をしている人です。あと自分の関心のあることに対しては、常に開拓する姿勢を示している人ということになりますか」
奈々「自分の関心のあることに、接近する姿は子ども達も同じです。試してみて間違っていることが分かっても、その子にとっては前進ですから。課題が出来たときの達成感はさらなる前進で、見ていて本当に気持ちが良いものです。これを何度か経験し、成功感が数多くなると、行動に幅がでて深みが増していきます。どこか、老人と子どものやる気には似たようなものがあるように思えてきました」

藤堂「子どものころの無鉄砲さはなくなりますが、楽しみを求める姿勢は貪欲になります。『知らないことが多いほど、死ぬまで楽しみがあるさ』などと、枯れた心境で楽しみを追求してますね。ところでこの地域でも若い人材の確保が、課題になっています。どのように人材を育てて、確保していけば良いのでしょうか」
奈々「世界には技術革新が、次々に起こっています。これに対処するには、過去の知識や技術を持つ人材だけでは対応できません。知識も技術も新たに獲得しなければならないのです。記憶力や事務能力よりも、物事の本質を把握し、課題を提起し、新しい案を作り出す人材が求められます。さらに、この新しい知識や技術を獲得するには、精神的に強い耐性も必要不可欠になります。幼児から小学校そして中学校と学ぶ教材は、一見不連続に見えます。ところが、幼児期と小中学校の学びの中核には、自発性や楽しさ、そして創造性などの連続する要素があるのです。子ども達が学ぶ教材は違いますが、学ぶ中核には連続性があります。これらを身につけようとする人材を育てていくことです。ところで、高齢者の方が陥ると困ることと、楽しみ方にはどのようなものがあるのですか教えて下さい」

藤堂「高齢者の65%以上が疾病を持っています。ここに健康産業やメデイアが、甘い言葉をささやきすり寄ってきます。『健康は大切』とか『健康は必要』というこのフレーズに負けると困ったことが起こります。視野が狭くなり、自分の病状だけを考えてしまうのです。病状に良いとされる薬やサプリメントや食べ物を求め始めます。膨大な病状に対する知識が増え続けます。偏った栄養補給はその病状には効果があるのでしょうが、別の副作用を招いていきます。部分最適、全体最悪という流れになるのです。一方、『年取れば膝が痛くなるのは当たり前』といった達観した方の楽しみ方には、学ぶところがあります。」
奈々「どんな点が、学ぶべき点ですか」

藤堂「楽しさと上手に付き合うには、1年とか5年の年数を掛けて準備していくものだという信念を持っています。『元気な内に楽しまなきゃ』という言葉には、その楽しみが体力を前提にした長続きしない楽しみだというのです。長続きしないものは、本当の楽しみではないと捉えています。彼らは、用意された楽しみを嫌います。用意された商品的楽しさが多すぎるとも言います。自分の楽しみを計画的にタネをまきながら、何年も掛けて上手に成就していくのです」
奈々「『読み聞かせ』をしていた高齢者の方は、かなり講習会などで勉強を積んだ方のように見えました。子ども達にあのような質問をして、即座に数人の子ども達が答えていました。『お母さんはなぜ泣いたのかな』という質問の応答には、両者に信頼関係がなければできません。質問する絵本の場面と子ども達の心理的発達がマッチしていなければなりません。それを的確に捉えた上でなされています。高いスキルを持った方だと思いました。あと、散歩コースに座って園児の動きを見る老人の笑顔が、印象に残っています。転んで手をすりむいた子どもが立ち上がる姿を、笑顔で見ていました。最近は、転ぶと顔をすりむく子どもが多いのです。顔から地面に突っ込むからです。本来なら防御本能で手を先に突くのです。それが健全な成長・発達の証なのです。保育士の方も能力があるから、ここまで子ども達を育ててきたと思いますが、あの老人は知っていました。子どもを身近に見る姿勢が出来ているのでしょうね。高齢者に良い影響を与えていると話されましたが、どんなことですか」

藤堂「コンパクトシティは、施設が1キロ平方メートルに集約されているので、自然と高齢者と子どもの触れあいは多くなります。さらに、高齢者と園児の交流を始めてから、目に見える変化が出ています。1人当たりの医療費が、減り始めたのです。日本の医療費は40兆円を越えました。内訳は、患者負担が5兆円、国と地方が15兆円、国民と企業が払う20兆円です。詳しく見ると、65歳以下の若者が1人当たりの医療費が17万円、65歳以上の高齢者1人当たり72万円です。約4倍になります。コンパクトシティでは、高齢者の医療費が、50万円以下になっています。高齢者と園児の交流を始めたころから徐々に減ってきたので、何らかの因果関係があるのかもしれません。まだ、断言はできませんが」
奈々「私は一番印象に残ったことは、保育士の先生が生き生きと園児と接していたことです。心身に余裕がないと、できないことです。余裕があれば、子ども一人一人を観察し、今何が必要か、そのための支援はどのようにすれば良いか、などの処方を細かに提示できます。支援の効果を判断し、悪ければ次の支援を考えていくことになります。ここの保育園には、その姿がありありと見えました。先生を支援する地域の協力もすばらしいものがありました。また、訪れたいと思います。今日はありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。




コンパクトシティは「現代版姥捨て山」か その2

2016-06-07 22:38:01 | 日記
コンパクトシティは「現代版姥捨て山か」 その2

 日本人の平均寿命は、男性が80歳になり女性が87歳になりました。そして、日常的に介護を必要としないで自立した生活ができる健康寿命が、男性が70歳、女性が74歳です。でも70歳ぐらいから自立度が、徐々に低下しています。70歳で介護を要する男性は19%で、女性が12%になっています。これらの介護を必要する高齢者が過疎地域にいる場合、多くの問題を抱えることになります。インフラを集約し、無駄を無くし、今までのような健康で文化的な生活を送れる仕組みを考えて見ました。説明者は藤堂さんで、聞き手はトット記者です。

記者「インフラの集約が、難しい点に『高齢者の理解を得ること』がありました。どのようにして理解を得てきたのですか」
藤堂「高齢者はどんなに頑張っても、40~50歳代にはなりません。下り坂に生きていると考える高齢者が、増えてきました。85歳以上の高齢者は、6種類以上の疾患を持ち、7種類の薬を服用しています。一般に5種類の薬を服用すると、副作用の割合も高くなるのです。薬の副作用が、元の病気より病状を悪化させる人もいます。日常的に健康の度合が、低下して生きていることを感じ始めているのです。高齢者にとって、大きな家は必要ありません。大切なことは、医療と食事と住みやすい環境です。安心して暮らせて、歩いて全てが成り立つ老後の環境を求める高齢者が増えているのです」

記者「理解を得るより、高齢者自身が自立度の低下を自覚し、インフラの集約を求めてきているということですか」
藤堂「はい、故郷を思う人達はまだまだいます。でも、確実に老後を安全に暮らせる医・食・住にスタンスを移してきているのです。人口5万人のファンタジアコンパクトシティの成功が引き金になり、多くの方が見学に来ていただいています」

記者「ファンタジアコンパクトシティは、どのようなコンセプトで運営をしているのですか」
藤堂「町全体が病院であり、教育の場であり、職場であるというコンセプトです。1k㎡内に、これらの施設を集約し、工場や農地はその外部に設けました。マンションの1階に病院施設を設け、高度医療も終末医療もマンション内で出来ることが、高い評判を得ています。最も高度医療は、設備の完備した大学病院と連携し、手術が終われば、自宅マンションで医師の手当てを受けるシステムです。マンションの下ですので、24時間診療が可能な体制になっています。理学療法士や作業療法士、そして介護士を2階に配置し、スポーツジムと兼用でリハビリセンターと介護施設を運営しています。」

記者「リハビリセンターを設けたのは、手術後のケアを重視したわけですね。介護施設は、ショートスティや介護とリハビリの連携を考えたものなのですか」
藤堂「はい、そうです。医療と介護を整合的に行うことが、高齢者に充実した生活を送ってもらえることになります。おわかりのように、町の中心部はインフラなどの資本の蓄積があります。そこに新たな資本を集中的に投入しました。郊外には資本を掛けずに、手間と経費を掛けないである程度儲かる産業を配置しました。今は、大きな成功ではなく、新しいコンパクトシティが上手くいっているという小さな成功事例をいくつか作り出している段階です」

記者「成功事例というとどんなものがあるのですか」
藤堂「マンションの固定資産税の評価額は、500万円から4000万円になりました。町の税収に大きな利益もたらしています。これから建てるマンションもありますので、町の税制は以前より余裕が出てきます。郊外の農地も、人手や農薬・肥料を掛けない農法で、経費を50万円ぐらいかけて、400万円の収入を得る新人農家も出てきています」

記者「どうして、こんなに簡単に土地が獲得出来たのですか。マンションを建てるときは、土地の所有者が同意しないために、まとまった一等地はなかなか手に入らないと聞いています」
藤堂「はい、土地の所有には先祖代々の歴史の重みがあります。簡単には、同意できないものです。ファンタジアランドカンパニーでは、土地の所有権と利用権を明確に分離しました。60年契約で、行っています。土地の所有者は、土地をカンパニーに貸しだし、カンパニーはそれを運営するというものです。農地や山林も同じ方式を取りました。カンパニーは、一等地にテナントをつくります。カンパニーはテナントの利益の2%を、土地所有者は8%の配当を受け取る仕組みです。利益の低いテナントは、カンパニーが排除勧告を出して次の希望者を入れます。現在のところ、順調に売上げは伸びています。町に賑わいが出てきたというところでしょう」

記者「先ほど山林も利用権を得ているといいましたが、どういうことなんですか」
藤堂「この町は、郊外はほとんど森林です。高齢化のため、森林の手入れがされていませんでした。この森林を、地域暖房システムに組み込んだのです。1k㎡以内に集約したためこの暖房システムを使う事が可能になりました。このシステムは断熱技術と低温運転により熱損失を低減し、エネルギー効率90%を達成する優れものです。町への熱供給は、化石燃料とバイオマス燃料が利用できる柔軟な技術を導入しました。化石燃料とバイオマス燃料で火力発電を行い、生じた温水をマンション等に供給するシステムです。発電した電気は、売電します。出来るだけ化石燃料を減らし、地元のお金が外に流れない仕組みをつくりたいのです。全ては無理ですが、できるだけ食糧や燃料は、自給率を高めたいという姿勢は持ちたいのです」

記者「これからの課題があればお聞かせ下さい」
藤堂「予防医学の実践です。予防医学が実現できれば、大きな医療費の軽減ができます。健康寿命は、若いときの疾患や生活の不摂生がかなりマイナスに働きます。学齢に遊びと勉強を両立させた子どもの健康指数は、将来にわたって良好というデータもあります。カルテの電子化により、膨大な臨床データが蓄積されてきました。これらのデータを利用し、より良い生活の場を提供したいと考えています」
記者「医療が充実し、住むと場所が整備され、食が美味しければ人は集まり、豊かな町になることがよく分かりました。今日はありがとうございました」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。


コンパクトシティは「現代版姥捨て山」か その1

2016-06-03 21:27:28 | 日記
コンパクトシティは「現代版姥捨て山」か  その1

 多くの自治体では、道路や橋そして病院や学校など縮小しない限り維持管理費が増え続けています。税収の少ない自治体は赤字になっています。高齢者の多い農村や漁村を多く抱える自治体は、雇用を生み出す力が低下しています。納税人口も減っています。多くの市町村は、現在のインフラを維持管理する体力が急速に低下しているのです。そこで、最近提唱されている政策が、コンパクトシティです。この方面の知見が豊かな藤堂さんにトット記者がインタビューしました。

記者「具体的に、インフラの維持管理費が増えているといいますが、実情はどうなのですか」
藤堂「たとえば、日本全国にある1200の水道事業所のほとんどが赤字です。そのうち600の水道事業所は、30%を越える値上げが必要だといわれています。特に給水人口20万未満で人口密度が低い自治体(限界集落を抱える市町村)が、この危機に直面しています。給水のサービス維持には、人口規模に合わせた規模の適正化と集約化が不可欠なのです」

記者「市町村が、ここまで追い込まれているとは思いませんでした。どうすれば、克服できるのですか」
藤堂「はい、現在までのように政府の交付金や補助金だけの手法では、限界集落が増えていく構造は残念ですが変わりません。経営的視点がなければ、故郷は破産し、なくなっていくのです。自治体は、費用対効果を常に考えて、施策をおこなうことです。経営的視点を持って、行政を行っている市町村では、成功を収めているところもあります」

記者「どこに重点を絞れば良いのでしょうか」
藤堂「基本は、支出を減らし、収入を増やすことです。稼ぐ人口が減り、自治体の税金が減っています。一方、税金の納付以上に支出が増えています。高齢者が増え、医療や介護の費用は増えているのです。さらに、人がほとんど住んでいないところにも、水の供給や医療介護のサービスを提供しなければなりません。まず、医療介護費を少なくし、インフラを集約し、支出を減らすことです。

記者「そうすれば良いと思いますが、なぜできないのですか」
藤堂「憲法は、健康で文化的な生活を保障しています。今の医療介護のサービスやインフラの水準で生活を保障するのが当たり前だと、皆さんが認識しています。でも、これらを保障して行くには、莫大な税金を投入し続けなければならないのです。税金の投入には、あまり深い認識を持っていないのです」

記者「高齢者の健康や文化的生活を保障することは大切です。若者の将来の健康や文化的生活も大事ですよね。でも、国の借金は、1000兆円を越えました。それを返す若者が将来、健康で文化的生活がおくれるのでしょうか。何か割り切れないものがあります。高齢者の病気で、医療費や介護費で減らせるものは何ですか」
藤堂「たとえば、アルツハイマー病があります。日本で約200万人ぐらいの患者がいます。この病気は、5年ぐらい前から軽度の物忘れや認知障害の状態になります。早く気がつけば、一定の治療も可能になってきています。最近はアルツハイマー病の原因物質が、20年ぐらい前から脳内に蓄積していることも分かってきています。早期に発見すれば、重度になることを遅らせることもできるようになってきています。大腿骨頸部骨折も深刻なものです。年間10万人以上の高齢者に起きています。この骨折が原因で、寝たっきりになり社会復帰が困難になるのです。これらの疾病は、早期診断早期治療をおこない、社会で活動できる環境を整えれば、医療介護費の減少を実現できるものです」

記者「これらの疾病にかかった高齢者が、限界集落に住んでいると大変ですね」
藤堂「これが、大きな問題なのです。ちなみに限界集落とは、生活サポート機能を失い、自立が困難になった集落をいいます。これらの集落には遠距離医療が発生します。スーパーもガソリンスタンドも閉鎖に追いやられています。家族だけでは、介護できない状態になってしまうのです。どうしても、町の病院に入院することになります」

記者「どうして便利な町に来て住まないのでしょうか」
藤堂「高齢者は、自分が生まれ育ち働き続けてきた土地に、愛着を持ちます。日本人なら当然持つ感情でしょう。これは経済的合理性で割り切れるものではありません。慣れ親しんだ村や町で、過ごそうという高齢者は多いのです。」

記者「でも、75歳以上の後期高齢者の医療費の大部分は、現役世代の保険料で賄っていますね。今の若者の将来はどうなっても、自分たち高齢者だけが良ければ良いということですか。」
藤堂「世代間論争になるので、正解は出てこないと思います。でも、日本は今まで人類が経験したことがない人口構成を持つ社会になりました。生命科学の観点からは、役割の終えた個体は速やかに死ぬ摂理になっています。速やかな世代交代は、種を維持する戦略ともいえます。組織を活性化させるためには、高齢者が引退し若者を導入して鍛えていくことが取るべき方策です。これには、決断が必要です。現代の政治家は、思い切って決断するべきなのです。しかし、国民が嫌がる政策を、歴代の政権は避けています」

記者「すると、このまま決断が先延ばしになりながら、推移するわけですか」
藤堂「そうはしたくないと考え、コンパクトシティの構想がでてきたわけです。行政や医療介護、教育や生活のサービス機能を一定の地域に集約して、住民の健康や文化的生活の質を確保していくシステムです。集約するため、インフラの維持管理の費用は、節約されます。ただ、高齢者の方の郷土意識をどう納得してもらうかが最大の課題なのです。コンパクトシティは、『現代版姥捨て山だ』という高齢者の声もあります。確かに、希望しない地域に高齢者を集めるだけでは、『姥捨て山』とか『ゲットー』といわれてしまいます。今回は紙面の関係でここまでにします。次回に、稼ぐコンパクトシティの様子を話していきたいと思います」
記者「次を楽しみにしています」


注意
ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。再度申し上げますが、現実の世界ではありません。虚偽の世界のお話の中に、有益だなと思うことがあるかもしれません。虚偽の世界のことを、現実の世界で試してみることは、推奨されることはあっても、禁止されることではありません。ただし、利益をあげても損害を受けても、自己責任ということをおわすれなく。