ファンタジアランドのアイデア

ファンタジアランドは、虚偽の世界です。この国のお話をしますが、真実だとは考えないでください。

天然の魚・養殖魚・全自動の養殖   アイデア三題噺 231

2019-05-10 22:01:38 | 日記

 1980年代までは増加してきた漁獲量が、現在では減少しつつあります。海洋漁業の対象魚種の4分の1は、乱礼獲によりすでに資源としては崩壊状態にあるのです。世界の天然物の漁獲量は、2010年に入ってから9000万トン前後で推移しています。代わって、2015年の世界全体の養殖漁の生産量は1億万トンを超え、存在感を増してきています。世界では2013年に養殖量が、天然の漁獲量を上る状況になりました。世界的な人口増で、たんぱく質の需要が膨らんでいます。特に、身体に良いとされる魚類のタンパク質は食材として、世界で人気が急上昇しているのです。天然魚の漁獲量が減る中、需給のギャップを埋める切り札が養殖漁になります。この養殖ビジネスに、企業参入が相次ぐ状態になっているわけです。
 そこで、これからの養殖業を考えてみました。数千匹のトラウトサーモンの群れが、悠々と生け簀を泳いでいます。泳ぐ場所は海ではなく、陸上に作られた養殖場です。これらの魚は、3カ月後には回転ずし店や量販店へ供給されるのです。供給量は、年間30トンになります。海と違って、時化や不漁と行った事態は起きません。飲食店には、確実に、決まった量を提供できるシステムになります。陸上養殖のメリットは、消費地の近くに建設し、物流費を抑えられることです。リードタイムを確実に短縮できるというメリットが生まれます。
 サーモン陸上養殖場のいけすの水は底がはっきりみえるほど透明です。これは、天然の海水や地下水でなく水道水から作った人工海水をろ過システムで清潔に循環させているためです。水温や水質のデータをクラウドで分析、管理して餌やりも自動化しています。人工海水を、バクテリアを使ったろ過システムで清潔に循環させているのです。陸上養殖は水の入れ替えや温度管理で電気代がかさみ、海より2割ほどコストが高いという難点があります。大型のクラウドコンピューティング施設を誘致して、コンピュータを冷やす廃熱を生け簀の温度管理に利用すれば、面白いかもしれません。
 世界的に水産物の需要が高まるなか、養殖の生産量は伸びているわけです。でも、最大の課題は餌代なのです。餌の不足やそのコストが、養殖経営の足を引っぱっています。国際的にも、養殖を効率化することの重要性は増しています。一般に、養殖の餌は、マイワシやカタクチイワシなどの餌魚を使用しています。でも、これも乱獲が祟り、減少しているのです。最近では、大豆ミールなどを餌用に開発する動きもあります。そこで、使われていない海の資源はないかと調べてみました。漁業では、二次生産者の動物プランクトンやオキアミがほとんど獲られることはありません。もちろん、植物プランクトンや他の光合成をおこなう微生物が獲られることもありません。マイワシなどの餌魚は、動物プランクトン食べて成長します。少し遠回りになりますが、プランクトンで餌魚を育て、餌魚でブリや鯛などの付加価値の高い魚を育てるシステムを作ってはどうでしょうか。もしできれば、植物工場のように、養殖工場ができて、そこで自動的に魚の生産が可能になることになります。全自動にすれば、人手をかけずに生産が可能になるかもしれません。